２月１５日（土）

　午前１１時３０分。嫁と、御徒町（おかちまち）駅北側の「中川屋カレーうど
ん」へ。





　漫才コンビのような名前のお店だけど、カレーうどん専門店と聞くと、一度来
てみたくて、はるばる御徒町までやって来た。
　今年の京都でのグルメ探訪のテーマが「カレーうどん」だったんだけど、東京
でも、カレーうどんの記事が目に入ると「むむっ！」と、チェックを入れてしま
う。

　どうもメニューを見ると、ぶっかけうどんとかあって、トッピングも天ぷらも
のばかりで、いかにもさぬきうどん風だ。

・中川屋カレーうどん　　　５００円
・冷しカレーうどん　　　　６００円（夏季限定）
・竹輪天カレーうどん　　　６００円
・茄子天カレーうどん　　　６００円
・いんげん天カレーうどん　６００円
・ごぼう天カレーうどん　　６５０円
・いか天カレーうどん　　　６５０円
・揚げ餅カレーうどん　　　６５０円
・アスパラ天カレーうどん　７００円
・チーズカレーうどん　　　６５０円
・たこ天カレーうどん　　　７００円
・ぶた肉天カレーうどん　　７００円
・海老天カレーうどん　　　７５０円
・穴子天カレーうどん　　　８００円
・いんげんボイルカレーうどん　６００円
・アスパラボイルカレーうどん　７００円

　嫁は、揚げ餅カレーうどん。
　私は、スペシャルカレーうどん　７５０円。
　スペシャルのなかには、ほうれん草、玉子、ちくわ天が入っていた。

 
 



　麺はさぬきうどん風で、腰もあっておいしい。
　ちくわ天も、及第点、いや、じゅうぶん合格点。
　問題は、おいしいけど、もう一度わざわざ御徒町まで来るかどうかだ。
　渋谷だったら、間違いなく、1ヶ月に２回は来るレベルだ。
　けっこう高いレベルでしょ？
　でも御徒町はねえ。
　仕事の帰り道の近くにあるようなお店ではない。
　上野近辺の人には、絶対お勧めのお店としか言い様がない。
　こういうおいしさは困る。

　食後、アメ横を通って行く。
　天気がよくて、暖かくて、歩いていても、気持ちがいい。

 



　そういえば、私が小学生の頃は「アメ横」は、「アメヤ横丁」とか言っていた
ような気がする。「アメリカ横丁」とも言ってなかったか。
　どっちだったっけ？
　調べてみよう。


　アメ横の始まりは、戦後すぐに闇市（許可を得ていないで商売をする市場）が
出来、その後、復員者たちでつくった団体が国鉄のガード下を借り受け、希望者
に貸し出しました。

　錦糸町でサツマイモのでんぷんで飴をつくっていた業者が店を借りて商売を始
めると、砂糖が買えない時代だったので飛ぶ様に売れ、いろいろな種類の飴を売
る店が100軒ほども集まったそうです。
　ここから「アメ屋横丁」と呼ばれるようになったそうです。

　また、朝鮮戦争（1950年）ごろから、米兵達が小遣い稼ぎに様々な物資を持ち
込んで、アメリカ軍の物資が大量に出回りました。

　こうして「アメリカ横丁」とも呼ばれたそうです。
「アメ屋横丁」と「アメリカ横丁」が混ざって「アメ横」となったそうです。
　昭和45年に「アメ横」は商標登録されています。


　そうか。でんぷんの飴を売っていたから「アメ屋横丁」だったのかあ。
「アメリカ横丁」っていうのも、正しかったのか。
　私が両方どっちだったか曖昧だったのは、どっちも正しかったわけだ。
　豆知識は、楽しいなあ。

 



　午後１２時３０分。アメ横を通り抜けて、上野駅へ。
　最近、上野駅が大きく変わったという情報が入っていたので、『桃太郎電鉄』
次回作用のチェックに来た。

　あれ？　見た感じ、上野駅の正面は、まったく変わっていないぞ。





　ちょっと入って行くと、たしかに広場だったところに、お店が増えていた。
　スターバックス・コーヒーがある。サザビーがある。ハードロック・カフェも
ある。スーパー、本屋さんまである。
　でも、これじゃせっかくの上野駅が、ふつうの駅になってしまう。
　しかも、中央口の大きな絵が変わっていないので、まったく変わり映えがしな
い。

 



　…と思ったら、「下町ストリート」の文字が！
　おお〜！　「あんみつのみはし」発〜〜〜見〜〜〜ッ！
　創業昭和２３年。上野駅と、京成上野駅の間にある老舗のあんみつ屋さんだ。
　ここのあんみつの寒天がおいしいのよ〜！
　ちゅるるん、ちゅるるん、ちゅる！なのよ。

　あれ！　「あんみつのみはし」の隣りには「浅草染太郎」が！
「染太郎」の焼きそばといえば、我が家の焼きそばランキングでも１位、２位を
争うお店だ。鎌倉長谷の家の近くにもあって、よく行く。
　ほう。ここの「染太郎」は、けっこう広いぞ。
　持ち帰りの販売もあるけど、店内で食べられるのもいいなあ。





　すでに昼食をすませているので、「あんみつのみはし」に入る。
　小倉アイスを食べるか、あんみつを食べるか、さんざん悩んだあげく、小倉あ
んみつ　４６０円を注文。はっはっは。両方食べたいじゃない。欲望の強さを感
じるでしょ？

　お店は、わずか５席しかない。
　５席というより、テーブルが５つ。
　向かい合うスペースがないので、テーブル５つでも、５席。要するに、マイ・
テーブル。

 



　うま〜〜〜！　あんみつ、うま〜〜〜！
　小倉アイス、うま〜〜〜！
　思ったり、器が大きくて、うま〜〜〜！

　思ったより、上野駅は大きく変わっていない気がしていたんだけど、「あんみ
つのみはし」の出現でグググググッと大きく評価が変わる。

　この「下町ストリート」には、「あんみつのみはし」、「染太郎」のほかにも、
大学芋や、芋ようんかんを売っているお店もあった。駄菓子屋さんもあった。
「下町ストリート」の外れには、博多ラーメンの「一蘭（いちらん）」まで。

　惜しいなあ。惜しいなあ！
　もっとこの「下町ストリート」を強化すれば、上野駅は、昔のイメージを残し
たまま、大きく変貌できたのに。
　まあ、かつてあれだけ北に行く始発駅として君臨していたにもかかわらず、時
間つぶしがまったくできない、がら〜ん！とした駅だったことを思えば、大きな
進歩かも。

　午後２時。「ハードロック・カフェ」で、コーヒー。





　午後３時。自宅に戻ったのち、家の裏の佐藤志靖さんの美容室『レ・ザンジュ』
へ。

　
　午後７時。嫁と、広尾の「プティ・ポワン」へ。
　すぎやまこういち先生ご夫妻と待ち合わせ。
　きょうの「プティ・ポワン」は、特別な夜で、なんと！　「プティ・ポワン」
の新しいメニューを試食して、アンケートに答えてほしいということで、すぎや
まこういち先生ご夫妻と、私、嫁の４人が招待されたのだ。
　こんなうれしいモニターなんて、この世にないよね。
　新型のポルシェに試乗して、アンケートを書いたら、そのままそのポルシェに
乗って帰っていいよと言われたようなものだ。ちょっとオーバー？

　でも、うまい話には、必ず落とし穴がある。

　モニターというからには、「うまい！」「おいしい！」だけではいかないわけ
だ。ひとつやふたつの提言ができなければいけない。
　でも「プティ・ポワン」の料理にどうアドバイスすればいいというのだ。
　言えるわけがない。
　言うのが、失礼なのではなく、おいしくて言うこと無しの、「言えるわけがな
い」なのだ。

　もともと世間は私のことをグルメだと思っているけど、本当にグルメなのは、
すぎやまこういち先生ご夫妻、うちの嫁と娘までが横綱、関脇、小結で、私は単
なる食い道楽な序二段か、幕下付け出しなだけだ。

　それが証拠に、きょうの宴は、牛肉の「低格付け部位」をつかった料理が中心
だと言うのだが、私には、牛の部位で、おいしさの優劣を語れる味覚は持ち合わ
せていない。
　牛肉、豚肉、鶏肉の３種類しか、余の辞書にはない。
　近年ようやく、鴨肉が加わったばかりだ。
　
・ランイチ………………腰から腿鬼にかけての部位。
・ジットアノア…………外腿。
・タンドトランシェ……内腿。
・トランシェグレース…内腿の下にある部位。しんたま。

　あははは。だじゃれひとつ浮かばないほど、知識がない。

　みなさん、このメニューと料理の写真をごらんくださいよ。


・ランプ肉の黒胡椒スモーク、マルチカラーサラダ。




・ショートリブのコンソメ蒸し、しゃぶしゃぶスタイル。




・牛舌の聖護院かぶら蒸し。



 
・上旭（かみあさひ）牛のランプ肉ステーキ。


　こんなお肉のオンパレードを「プティ・ポワン」で食べられること自体が、極
楽、天国、桃源郷だよねえ！
　とくに、牛舌の大きさと、やわらかさったら、ないよ！
　聖護院かぶらに、わさびまで付いているから、さっぱり味だし。
　上旭（かみあさひ）牛のランプ肉ステーキなんて、何気なく書いてあるけど、
お肉の上に乗っているのなんて、トリュフだからね。

　どう言えばいいのよ〜！

　デザートもおいしかったんだよ〜！
　赤いフルーツのジュレと炭酸ガスのムースのせ。
　信じられないおいしさだよ。

 



　ああ！　ほとんど何も書けないまま、ただ食い。





　あげくに、私は帰りに「プティ・ポワン」のディスプレイのガラスの小瓶を、
うっかり割ってしまう醜態まで！
　ううっ。まったくもって、面目ない。
　この上は、腹をかっさばいて！…というギャグもわかずに、ひたすら「牛舌の
聖護院かぶら蒸しをもう一度食べたいなあ…」という月並みな感想を抱きながら、
帰るのであった。

　午後１１時。帰宅。
　案の定、体重は、１．５キロ・オーバー。
　３キロ減って、２キロ下がるの日々だ。
　これが反対なら「３６５キログラムのマーチ」になってしまう。