2月6日(木) 午前8時。朝から私が書いた『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書に対す る札幌開発スタッフから出ている質問への返事をガシガシッ書きまくる! 私が仕様書を送る。 札幌開発スタッフが、読む。 札幌開発スタッフが、掲示板に質問を書き込む。 私が、質問に答える。 このくり返しが、ずっとゲームが完成するまで続く。 ちなみに、最新作『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻!』で、この掲 示板でやりとりした件数は、昨年半年間で1300件以上である。 グラフィックや音楽のやり取りも入れると、2000件か。 明治の文豪たちが、とく友人の小説家に宛てた手紙などが、一冊の本になって 出版させることがあるけど、この1300件以上は、到底本になるような分量で はない。 とにかく、この掲示板、ちょっと油断していると、質問がたまって行くので、 必死に答えて行かないと、取り返しのつかないことになってしまう。 ただ質問に答えて行くというのも、プチプチを潰すような達成感があって、楽 しい。 午前11時30分。嫁と、恵比寿の「筑紫楼(ちくしろう)」へ。 読売広告の岩崎誠と待ち合わせ。 毎度おなじみ、フカヒレと蟹肉の煮込みつゆそばと、我が家の杏仁豆腐ランキ ングずっと1位の、絹のようになめらかの杏仁豆腐。このところ、この日記に岩崎誠の登場回数が多いのは、秋口からの「ジャパン カップ2004」をどうするかというアイデア出しをするため。 一気に「ジャパンカップ」のイメージを変えるのではなく、夏ぐらいに、一度 「ジャパンカップ2004」の予行演習になるようなイベントは組めないか?と いう相談。
「ジャパンカップ2004」のことを考えるのは、もう1本ゲームを作るような しんどさなんだけど、お客さんにとってはすべてを含めて、『桃太郎電鉄』なの だから、誠心誠意いいイベントにするしかない。 そういえば、岩崎誠は、「とくに名を秘す京都M」に行った日の私の日記を ついうっかり、奥さんに見せてしまったそうだ。 「そしたら、いきなり機嫌悪くなっちゃったんですよ〜!」 「これが、宮路一昭さんの離婚寸前事件ですよね。あれだけ言われていたのに、 失敗しましたよ〜!」 宮路一昭くんの離婚寸前事件というのは、「京都M」の料理がおいしかったと いうことを何度も言ったあげく「今度連れて行くからね!」のひとことを言わな かったばかりに、返事をしてもらえなくなった事件だ。 あれほど、おとぎ話によくある「決してこのことを人に話したりしないように …」と、言ったのに…。岩崎誠は…。 でも、岩崎誠は、宮路一昭くんの失敗から、「京都M」に奥さんを連れて行く 約束をしたそうだ。 きょう、食べた「筑紫楼(ちくしろう)」の麺なんか、「京都M」のメニュー にあってもおかしくないくらいおいしいんだけど、写真で見ると、おいしさが想 像できない。 「京都M」は、写真で、そのおいしさが想像できてしまうから、人に見せてしま うと、取り返しのつかない事件まで発展するのだ。 人間、失敗からしか、学ぶことができない。 岩崎誠は、またひとつ大切なころを学んだ。合掌。 午後1時30分。帰宅。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』について、札幌開発スタッフからの質問に答え る作業が続く。 うっく。キーボードを叩く右手がもう痛い。 昨日、整体のお兄ちゃんにこりを取ってもらって、楽になったばかりなのにな あ。そうか。楽になったせいで、過重労働が可能になっているのか。しまった! 午後5時。嫁と、新宿歌舞伎町へ。
新宿歌舞伎町は、とても夫婦揃って行くような場所ではないが、きょうはおも しろいものを探しに行った。 ある人からの通報で、最近はこういうお店を何というの? 風俗店? ファッ ションへルス? テレビ朝日『トゥナイト』が終了してしまうと、こういうとき に単語が出なくなるなあ。 とにかく、その手のお店に「桃色電鉄」という名前があると聞いたのだ。 お店のロゴまで似ているらしい。 そんなおもしろい話題は見に行きたい! 風俗関係の仕事の是非はおいといて、クリエイターとしては、自分の作品が、 こういうお店のパロディにつかわれるのは、最高の栄誉だ。 知名度と一般性がないと、つかってもらえないわけだから。 作者が絶賛してはいかんか…。 しかし、この手のお店はおもしろいのが多いねえ。 「サワリパーク」、「チチカルチョ」、「教師失格」、「ハレンチ女学園」、 「椎名淫語」、「あいのり」…。 もっといやらしい名前もたくさんあったけど、そっちは自分で調べてください。 その歌舞伎町を、私と嫁が、お店を探して、うろうろするのも変な話ではある。 もちろん、そのお店に入るわけでもないのに。 相当、歩き回って、疲れてしまった。 もう帰ろうかとおもったときに、かつてソープランドが並んでいた通りに、 「桃色電鉄」はあった。
思ったより、ロゴは似ていない。 土居ちゃんの絵の真似もなかった。 「エッチなのねん!」くらいの言葉は踊っていると思ったのに。 「始発」「終電」の文字以上の『桃太郎電鉄』からのもじりは、なかった。 女の子が、貧乏神の格好をして出てくるくらいのことはないのかな。あるわけ ないよなあ。 まあ、この手のお店は、すぐ名前が変わってしまうし、『桃太郎電鉄』のパロ ディをやってくれたからといって、ここで応援するわけにもいかないし、困った もんだねえ。 お店の名前を見つけた以上の感動がない。 午後5時。悔しいので、その昔、よく行った「かに道楽歌舞伎町本店」に行く。 ひさしぶりに来たので、メニューのなかから何を選んでいいのかがよく思い出 せない。コースは、松、竹、菊とか、かにすきコースなど、たくさんあるんだけ ど、値段も内容もほとんどいっしょ。 桁外れに安いコースも、高いコースもない。 これだとちょっと選びづらいなあ。 映画のディレクターズ・カット程度の差でしかない。 迷ったあげく「紙鍋コース」を注文。 蟹の刺身、天ぷら、ミニかにすきなどのコース。 あれ? 割り箸の袋を開けたら、変なものが出てきたぞ。 木製の耳掻きを大きくしたようなものだ。
「ホジホジ」? ああ、そうか。金属製の蟹をほじくるスプーンみたいなのが、以前あったけど、 それを使い捨てにしたのか。なるほどね。しばらく来ないうちに、こんなものに なっていたのか。企業努力してるわけだ。いいことだ。
「紙鍋コース」は、絶品!と叫ぶほどではないけど、満足のいく味。 10年前くらいなら、間違いなく「絶品!」と叫んでいただろうけどねえ。 口は奢るものだよ。 午後8時。新星堂に寄って、DVD「キャロル・ラスト・ライブ」を買って帰 る。私と、キャロルのイメージがまったく想像できないと言われるけど、実はフ ァースト・コンサートも行っているし、デビュー当時のミニ・ライブも何回か行 っている。 ただ矢沢永吉さんより、ジョニー大倉さんの透き通った声のほうが好きだった。 うひょ! やっぱり! きょう必死に、札幌開発チームからの質問に答えたんだけど、掲示板を覗いた ら、どっさり次の質問が来ているではないか。 予想はしていた、だ。 腕が鳴るけど、きょうはもう腕が痛いので、休ませて。
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