1月31日(金)

 午前3時。ホテルで目が覚めた拍子に、アイデアが出た。昨日決まらなかった
キャラの名前が、ホイッと浮かんだ。
 忘れないうちにと、VAIOを開いて、深夜のお仕事。

 ふむふむ。これは行けそうだ。むふふふ。
「早くお客さんに見せたい」ものがあるときのゲーム作りは楽しい。

 午前4時。『十津川警部シリーズ/ダブル誘拐』(西村京太郎・角川書店)を
読みながら、仮眠。
 今回の作品も派手で斬新なスタートだ。
 本当に西村京太郎さんの絶好調は続きっぱなしだなあ。
 誘拐された女の子の家が、京都で料亭をやっていて、料亭の名前が「さくま」
と平仮名なのに微笑む。こういう偶然は妙にうれしいものだ。死体役でもいい。
 午前5時。再び、仕事開始。
 本当に私は仕事が好きだなあ。しみじみ。

 午前6時。また『十津川警部シリーズ/ダブル誘拐』(西村京太郎・角川書店)
を読みながら、仮眠。

 午前7時。これが正式な起床になるのかな。
『十津川警部シリーズ/ダブル誘拐』(西村京太郎・角川書店)も読み終える。
『めざましテレビ』を見たり、四国の新聞を読んだり。
 コブクロのライブ・ツアーの名前「石の上にも2003年」は、笑えた。ちょ
っと悔しい。こういう馬鹿げた言い回しは、私が先に浮かばねば。

 午前9時30分。ホテルロビーで、みんなと待ち合わせ。
 土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、岩崎誠、FMマリノ社長の酒井秀樹
くん、橋本朋弥くん。
 そして、待ってました!
 ワ〜ッハッハ!の安藤芳樹さんが登場〜〜〜!

 桃太郎チームは、ワ〜ッハッハ!の安藤芳樹さんに会うのが大好きなのだ。
 昨日は仕事で、合流できなくて、きょう、わざわざ朝早くから来てくれた。 
 安藤芳樹さんは、広告代理店の人なので、本来は仕事で合わなければいけない
のに、ずっとうどんの名店を教えてもらったりでお世話になりっぱなしだ。
 きょうも、午前中の仕事を1本遅らせて来てくれた。
 さあ、ここからが、安藤芳樹さんの真骨頂だ。

「ワ〜ッハッハ! お昼過ぎまで、時間が自由になったから、観音寺まで行きま
すか?」
「観音寺〜〜〜?」
「観音寺〜〜〜?」
「観音寺〜〜〜?」」

 観音寺(かんおんじ)は、『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻!』
で初登場させた銭形の砂浜がある町だ。いくら香川県が小さいからといって、東
と西の端だ。『桃太郎電鉄』でも、高松から3マス目にある距離だぞ。
 高松からだと、およそ40キロメートル。
「ワ〜ッハッハ! 高速に乗ったら、ぴゅう〜〜〜!とすぐ着きまっせ〜!」
「そうかなあ…」
「まだ、いりこ出汁のさぬきうどんて食べてないでしょ? ワ〜ッハッハ!」
「食べたことないですねえ!」
「観音寺は、いりこ出汁が中心なんですよ! ワ〜ッハッハ!」
「でも、観音寺って、ほとんど愛媛県ですよ!」
「いきまひょ、いきまひょ! ワ〜ッハッハ!」

 というわけで、FMマリノの車と、安藤芳樹さんの車に分乗して、高松自動車
道へ。
 思った通りだ。
 安藤芳樹さん、高速道路でも、後ろを向きながら、運転する。
「ワ〜ッハッハ! 観音寺には、味噌汁うどんのお店あるんでっせ〜!」
 あぶない、あぶない。
 車は、高速道路で蛇行する。

 安藤芳樹さん、高速道路で、両手離しで、ハンドルを叩いて笑う。
「ワ〜ッハッハ! 『恐るべきさぬきうどん』の田尾和俊さんが、大学の教授に
なりはったんでっせーー!」
 あぶない、あぶない。
 車は、高速道路で蛇行する。

 午前10時30分。本当に、観音寺まで来てしまったよ〜!
 観音寺の商店街を抜けて、風情豊かな細い道の住宅街に入って行く。
 高校に入学しロックに目覚めた高校生の3年間の青春映画『青春デンデケデケ
デケ』のロケ地なので、見たことのあるような風景ばかりだ。
 安藤芳樹さんは、もともとこっちの出身で、『青春デンデケデケデケ』の作
者・芦原すなおサンは、高校の先輩に当たる。芦原すなおサンのお母さんが学校
の先生で、安藤芳樹さんはお母さんに習っていたという。
 ちなみに、安藤芳樹さんの大学の5年先輩が、私だ。
 学生時代会ったことはないけど、私は1年浪人して、立教大学に入って、1年
留年しているから、間違いなく、安藤芳樹さんとキャンパスですれ違っていたは
ずだ。その頃から、あの笑い声だったのだろうか。

 細い道を抜けて行く。
 こんな道、自分で運転してきたら、絶対入って行かないような道だ。
 えっ? ここがうどん屋さん。

「ワ〜ッハッハ! ここの岩田屋さん知ってたら、上級者でっせー!」 「上級者も何も、こんなところ来れるわけないですよ!」  あとで住所を調べたら、観音寺市観音寺町大和。  番地がない。  観音寺市観音寺町大和3の12の5とかでもない。  ただの観音寺市観音寺町大和。  まいりました。 「安藤さん、ここ、やってるんですか?」 「わかりまへん。午前10時までとしか、情報がないんで。ワ〜ッハッハ!」 「ええ〜〜〜? 午前10時〜〜〜? いま、午前10時30分ですよ」 「そやから、ちょっと心配で…」  安藤芳樹さんが「ワ〜ッハッハ!」と笑わなかった。  あとで調べてわかったんだけど、このお店、開店時間が、午前6時!  午後6時の誤植ではない。  朝の6時開店、午前10時閉店なのだ。 「あっ。ひとりお客さん出てきよった。やってるかもしれん。ワ〜ッハッハ!」 「安藤さん。お店暗いですよ!」  ガラガラガラッ。 「おばちゃん! やってる? ワ〜ッハッハ! やってるて。運いいわあ!」

 入ってまたびっくり。  まるでお米屋さんの裏口みたい。  どこからどこまでがお店で、どこからが作業場だかわからない。  おっ。工具室かと思ったら、ここで食べるのか。  総勢8人が、ぴったり入った。

 うどん1杯150円。  またしてもびっくりするような安い値段だ。  しかも、うどん(小)を注文したのに、丼には、こんもりうどんが入ってい る。東京ではこの量の麺は、ふつう、または大盛りと呼びますぞ。  大きな鍋に、いりこ出しが入っていて、ああ、いい匂いだ。 「いりことは、カタクチイワシの煮干のこと」って物の本には書いてあったけ ど、魚のことにあまりくわしくない私には、カタクチイワシといわれても、よく わからん。煮干のことだよね、いりこって。  この大きな鍋から、自分で出汁を丼に入れる。  天かす、ネギは、入れ放題。  意外と細めんだ。  ちゅるちゅる。ちゅるちゅる。  ほう。細めんなのに、腰があって、おいしい。  出汁が濃い。  出汁の強烈さに比べて、ちょっと麺のほうが劣るかな?と思ったら、おばちゃ んが「作り置きの麺でごめんね! 出来たてだったら、もっとおいしかったのに!」  そうか。閉店時間を過ぎたから、作り置きの麺しか残っていないということか。  しかし、この「岩田屋」は、昨年度の「さぬきうどん八十八ヵ所」に選ばれて いるお店だぞ。  「さぬきうどん八十八ヵ所」を全部回った人は、けっきょく400人いたそう だ。ということは、少なくとも、400人の人が、「岩田屋」に午前6時〜10 時の間に食べに来たということか。  さぬきうどんブームの仕掛け人・田尾和俊さんが、自著に『恐るべきさぬきう どん』と名づけた気持ちがよくわかる。  しかし、作り置きの麺で、このおいしさなら、茹で立ての麺はどのくらいおい しいんだ?  さぬきうどんがおいしいと言われるお店でも、天ぷらが揚げ立て、うどんが茹 で立てでない場合は、そんなにおいしいと感じない場合が多いので、これからさ ぬきうどんの道を極めたいという人は、注意したい。  巨人の上原投手だって、コントロールが悪くて、ポカスカ打たれる日がある。  でも1年通したら、20勝近い勝ち星を上げる。  それが、さぬきうどんのおいしいお店の定義だ。  この「岩田屋」は、初めてなんだけど、麺が茹で立てではないので、巨人の上 原投手の5失点ながら、完投勝利という試合内容ってところなのかな。 「ほな、次行きましょうか? ワ〜ッハッハ!」 「えっ? 安藤芳樹さん、次って?」  まさか?  そのまさかだった。 「岩田屋」から、車で1分、歩くこと30秒くらい。  安藤芳樹さんは「ワ〜ッハッハ!」と笑いながら、「柳川うどん店」に入って 行く。

 あれ? こっちのお店は住所に数字があったぞ。 「柳川うどん店」  観音寺市観音寺町甲2814−1  電話:0875−25−3846  営業時間・9:30〜18  定休日木曜日  ひょっとすると、さっきの「岩田屋」にも、正しい住所があったのかもしれな い。いずれにしても、さぬきうどんのお店は、見つけづらい。  うどん博士・安藤芳樹さんがいなければ、観音寺のうどん屋さんなど、1日仕 事だ。

「柳川うどん店」は、けっこうふつうの食堂風。  比較的きれいで、余裕のあるお店だなあと思うようになっている自分は、かな りさぬきうどん通になっていると感じる。  というより、基準値がむちゃくちゃ低くなって来ている。  だって、さぬきうどんの名店のトイレのほとんどが、ぼっとん便所なんだもん。 浄化槽つきのお店というだけで、優良店だ。

 安藤芳樹さんのお勧めに従って、天ぷらうどんを注文。  ここでも、うどんの(小)を注文したのに、間違いなく、東京の大盛りうどん の麺の量!  店のおばちゃんが「あははは。適当に麺、入れてるからね。多かった? ばら ばらや!」  このアバウトさがいいでしょ?  さぬきうどんの魅力に、お店のおばさんの魅力も味のひとつだと思う。 「柳川うどん店」も、いりこ出汁だそうだ。  さっきの「岩田屋」の出汁より、薄くて、透明。  味が上品で、私はこの味、大好きだなあ。 「ボクは、岩田屋の出汁のほうが好きだなあ!」と、柴尾英令くん。  そうだろう。柴尾英令くんのほうが、私よりお下劣だから、岩田屋のほうが、 好みだろう。私は上品な「柳川うどん店」の出汁のほうが好きだ。 「ボクは、ふだん上品だから、食べるときは、下品な味が好きなだけですよ!」 と柴尾英令くん。  何とでもいう。  かき揚げの天ぷらもおいしい。  真っ白な雪のような天ぷらは、美しい。  うまい、うまい。  これは、うまい。  私の個人的さぬきうどんベスト5に入るかも。 「あっ! 安藤芳樹さん! ひょっとして、まだこれから、ほかのお店に行きま す?」 「ワ〜ッハッハ! 行きまへん! これでおしまい!」 「ああ、よかったあ! 安藤芳樹さんのことだから、もう1軒とかいうんじゃな いかと恐れていた!」  安藤芳樹さんは、1日6軒とか、9軒行ったりするからなあ。  再び、2台の車に分乗して、高松へ。  往復高速道路をつかい、わずか150円と380円のうどんを食べに行く馬鹿 馬鹿しさは、冗談の通じるもの同士にしかわからない周波数があるような気がす る。もっと馬鹿馬鹿しいのは、この200〜300円のうどんを食べるために、 東京から通う私たちだ。    午後12時30分。全日空ホテルクレメント高松に到着。  酒井秀樹くん、橋本朋弥くん、安藤芳樹さんとは、ここでお別れ。  午後1時。高松駅でキップを買って、「ステラおばさんのクッキー」で、コー ヒー・ブレイク。  さぬきうどんを食べなければ、高松に来た気がしないのは、当然だが、密かに この「ステラおばさんのクッキー」の登場回数は、連続記録を重ねている。

 午後1時51分。高松駅から、岡山行きマリンライナー34号に乗車。  車中、座席を向かい合わせて、会議。  桃太郎チームは、観音寺までうどんを食べに行く間も、『桃太郎電鉄』の内容 について、あれこれ会議する。  今年から、読売広告の岩崎誠が正式にチーム入りすることになったので、宣伝 方法についても会議することになった。

 しかし、「言った」「言わない」の撲滅のためと、ホウレンソウ(報告・連絡 の徹底のために、業務用連絡ボードに書き込まないかぎり、「言わなかった」と みなされることになっている。  あくまでも口答による決定は、無効である。  昨年から推進しているこの方式を、さらに徹底したい。  午後2時46分。岡山駅に到着。  乗り換え時間に、構内を物色。  案の定、岡山は宮本武蔵が生まれた町だけに、駅構内の一角に「宮本武蔵の店」 という売店が出来ていた。NHK『武蔵MUSASHI』のせいだ。  でもお土産用の商品が、凡庸。  今まで売っていた商品の包装紙だけ替えて、宮本武蔵の名前を入れたような商 品ばかりだ。ひとつも購入せず。

 午後3時5分。岡山駅から、東京行きのぞみ20号に乗車。 「土居ちゃん、このままこの新幹線に座っていれば、午後6時くらいには、東京 に着くんだから、帰ればいいのに!」 「ねえ!」 「ねえじゃないでしょ!」  この日記をかかさず読んでいるみなさんなら、私たちがこれから京都で下車し て、割烹料理のお店「特に名を秘すM」に行くことを想像しているだろう。  想像通り、行くのである。  しかも、土居ちゃん、柴尾英令くんは、「京都M」に寄ったあと、きょうじゅ うに東京に戻るのである。  新幹線が走り出すと、土居ちゃん、柴尾英令くん、岩崎誠、揃って、フゴー、 フゴーといびきをかいて寝始めたのだから、本当にこのまま東京に帰ればいいの に。私はVAIOを開いて、お仕事。  午後4時8分。京都駅に着く。  ヤサカタクシーの宮本さんに迎えに来てもらって、私と嫁は、京都の仕事場に 荷物を置きに行く。  岩崎誠は、明日京都で仕事が入っているので、駅のホテルにチェックイン。  土居ちゃん、柴尾英令くんは、京都駅でうろうろしてもらう。  午後5時。私と嫁は、京都駅のグランヴィアホテル京都2Fの喫茶ルーム「グ ランジュール」へ。もちろん、土居ちゃん、柴尾英令くん、岩崎誠たちとの待ち 合わせのためだが、もうひとり待ち合わせ。  さあ、昨日の日記を思い出してほしい。  午後2時。ようやく、FMマリノ7Fの会議室にて、打ち合わせ。  と思ったら、ある人から電話が入る。 「明日、大阪の仕事が午後3時で終わる? その後なら、京都に行ける? お お! それはいい! ぜひぜひ! 大丈夫ですよ。土居ちゃん、柴尾英令くんは そのまま終電で東京に帰る予定だから!」  ほう。おもしろい人からの電話で、明日が楽しくなりそうだ。  誰からの電話かは、明日の日記を待て!  その人とは、ダラダラダラダラッ!  何もドラムロールやらなくてもいい。  なんと! 浅草キッドの水道橋博士どぅわああああ!  はっはっはっは。  これはさすがの「さくまにあ」のみなさんも驚いたでしょ?  私たちも驚いたんだから。

 水道橋博士は、いつも私の日記を熟読していてくれる。  昨日、倉敷の実家に帰った水道橋博士は、きょう大阪で仕事があるので、昨日 のうちに京都にいるはずの私に会えるかもしれないと思って、電話をくれたの だ。 ところが私は、高松にいた。  そこで、大阪の仕事が、午後3時に終わるなら、「京都M」に行きませんか? と誘ってみたのだ。  もちろん忙しい水道橋博士のことだから、きょうじゅうに東京に戻らないとい けない。ふつうの人でも、京都に泊まる時間がないから、断るしかない。博士も 最初は、残念そうに断った。  でも、高松から、京都に下車して、「特に名を秘すM」に寄って、きょうじゅ うに東京に戻るアホンダラがふたりいるということを告げる。 「ちょっと、マネージャーと相談してみます」  電話の向こうの水道橋博士の声がうれしそうだった。  喫茶店で待ち合わせた水道橋博士は、「桃太郎電鉄まつりずし」のパッケージ を持っていた。 「あっ? えっ? 買えたの?」 「午前中、岡山駅で…」 「へえ。さっき、岡山駅で売店のおばちゃんに聞いたら、午前中にしか売ってい ないんですと言われたんですよ〜!」  午後5時30分。というわけで、「京都M」へ。  土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、岩崎誠、私、嫁、そして、水道橋博 士!  偶然というのは、すごいもので、昨日のきょうで、水道橋博士が「京都M」に 来れたのにも、理由がある。  うちの娘が、実は東京から来ることになっていたのだ。 「京都M」をめざして。  ところが風邪がどうしても治らず、水道橋博士から電話がかかる1時間後くら いには、「京都M」に、ひとり減りますと、連絡を入れようと思っていたのだ。  水道橋博士、さすがに運がいい。  さて、水道橋博士の登場で、すっかり存在が薄くなってしまったのが、岩崎誠。  実は昨年、岩崎誠は『桃太郎電鉄』の仕事で、数々のトラブルに巻き込まれて しまったので、慰労のために、高松に仕事に行った帰りに「京都M」に寄らない? と誘っていたのだ。  ちなみに、土居ちゃん、柴尾英令くんのアホンダラ兄弟は、先週まで「ボクた ちは、高松から直接飛行機で、東京に帰ります」と言っていたのだ。 「そのまま東京に帰ればよかったのに!」 「何を言うんですか、さくまサンが京都Mに寄るなんて、よけいなことを言うか らですよ!」 「よけいなことか、京都Mは!」 「オレを誰だと思ってるんですか!」と、柴尾英令くん。  そのくらいおいしいのですよ。「京都M」の料理は。

 おや? 顔はにこにこしているのに、岩崎誠がまったく声を発しない。  水道橋博士は、本当にこまかいところまで、私の日記を熟読してくれているの で、こうして桃太郎チームと会食していても、会話にまったく違和感がない。  知らない人が見ていたら、水道橋博士は、4〜5年、桃太郎チームにいる人に 思うだろう。  そういう点では、インターネットの日記というのは、垣根を取り外す最終兵器 のようなものだな。  先日の「笑止会」に80人のみなさんが集まってくれたけど、毎日ひとりずつ 会っていたら、80日、2ヶ月ちょっとかかる。もちろん会うことなんて出来な いわけだけど、その間をインターネットが繋いでいてくれるので、会いやすい。  きょうは、すっぽんスープが出た。  このすっぽんスープが、うまかった。  私は、すっぽんが苦手だけど、まるで別の味。  上品で、繊細な味。

 岩崎誠はいまだに、顔はにこにこしているのに、まったく声を発しない。 「いやあ、『桃太郎電鉄』は、まだ初心者のうちの奥さんとしか対戦できないん で、スパークリング・パートナーがほしいですよ!」  水道橋博士は、本気で『桃鉄』が上手くなりたいのだ。 「本気で上手くなりたいなら、柴尾英令くんしかいないでしょう!」 「どっこいズ(井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キンテツ、込山勉)は?」と、 土居ちゃん。 「土居ちゃん、あいつらじゃ、相手にならないよ。奥さんのほうがすでに上手く なっているかもしれない」  実は、ストロウ・ドッグスのコイズミリュウジと石川キンテツは、一時期、浅 草キッドのふたりにお世話になっていた時期がある。 「コイズミリュウジは、浅草キッドさんのところにいたときは、どうだったんで すか?」と、柴尾英令くん。 「彼は、文章も上手いし、構成力もあったし、役に立ってましたよ!」 「おお〜〜〜!」 「へえ〜〜〜!」 「おお! それはコイズミが聞いたら、喜ぶなあ!」 「うん。確かに、コイズミは文章上手いもんなあ!」 「でも、ビビりでしたね!」 「そうそう、そうそう、ビビり! ビビり! コイズミは、すごいビビり!」 「わっはっは。やっぱり博士のところでも、ビビりだったんだあ!」 「どこでもおなじなんだあ! あははは!」

 鴨ロースが、出た。  水道橋博士も、「M」の料理に満足そうだ。 「うちの奥さんも、さくまサンの日記読んでるから、Mに来ること、理解しても らえたんですよ」 「だったら、ぜひ一度奥さんと来てね! うちの音楽担当・宮路一昭くんは、奥 さんの前で、Mはおいしい、おいしいと言い続けて、連れて来なかったばかり に、離婚寸前にまで追い込まれたことがあるからね!」  岩崎誠はいまだに、顔はにこにこしているのに、まったく声を発しない。  水道橋博士が実は、編集者になりたかったという話題が出る。 「へ〜〜〜、私とおなじだったんだあ!」  妙に私が、水道橋博士と波長が合うのは、編集者志望だったからかあ。 『スターログ』、『奇想天外』、『シティロード』、『月刊OUT』といったな つかしい雑誌名がぽんぽん飛び交う。  桃太郎チームは、もともと雑誌畑の出身だ。  岩崎誠はまだ、顔はにこにこしているのに、まったく声を発しない。  映画の話やら、みんなのデビュー当時の話やら、あっというまに時間は過ぎて いく。  きょうの締めのご飯は、カレー・カニチャーハン。  チャーハンとしてだけ食べてもおいしいのに、「京都M」の必殺料理であるシ ーフードカレーをかけてしまうのだから、困ったもんだ。

 岩崎誠は最後まで、顔はにこにこしているのに、声を発しなかった。  午後8時。土居ちゃん、柴尾英令くん、水道橋博士は、東京へ。岩崎誠は、京 都駅のホテルへ。  あとで、岩崎誠からの携帯メール、水道橋博士からのメールで知ったが、あわ てん坊将軍・柴尾英令くんが、京都駅で「キップがない、キップがない!」と始 まったらしい。  岩崎誠も、水道橋博士も、私の日記での柴尾英令くんのあわてんぼうぶりをラ イブで堪能できて、よかったようだ。  私と嫁は、京都のマンションに戻る。  ふうっ。怒涛の2日間だった。  ふっふっふ。きょうは、水道橋博士という新しい獲物を見つけたぞ。  これでも私は一応、値段の高いお店ばかり行くことに、3ミリ程度のためらい はあるのだ。でも、すぎやまこういち先生ご夫妻とか、サザンオールスターズの 関口和之くん、アリtoキリギリスの石井正則くんといった、知名度のある人と いっしょだと、大手を振って、値段の高いお店に行くことができる。  水道橋博士には、「天ぷらの近藤」に行きましょうと、約束する。  私が「近藤に行きましょう」と言ったときに、土居ちゃん、柴尾英令くんのふ たりの目が微笑んでいた。来るつもりだな。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書をまとめて、高松に送る。

 
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