1月11日(土)

 午前7時30分。えっ? もう朝?
 まだ1時間くらいしか寝ていない気分だ。
 ひ〜、眠い。

 旅先だと私は眠れないほうなのに、こんなにぐっすり寝たのは初めてだ。
 林に囲まれた静かな宿のせいかな。

 しかし、せっかく「癒しの宿」なんだから、朝は、午前9時くらいに朝食にし
てくれればいいのになあ。
 午前8時か、午前8時30分の二通りの選択肢しかないのは、ちょっともった
いない。しかも午前8時にしたものだから、午前7時30分に床を上げに来てし
まった。眠いよ〜!

 午前8時。朝食。
 昨日の夕食に比べて、味はいまいち。
 そこそこおいしいんだけど、ボール半個分、コントロールが甘い。

 甘いといえば、この「つつじ亭」、随所に接客が甘い。
 いい宿か、悪い宿かと言われれば、文句無しにいい宿だ。
 歴代ベスト30の宿を選んだら、絶対ランクインするほどいい。
 その上での苦言。

 昨日来たとき、部屋の玄関に飾っていた花を、朝来て、早々に外してしまって
いるのだ。お客さんが帰ってから、外せばいいのに。わけありなのかな?と思っ
てしまう。
 露店風呂に入るドアには、手書きで「戸は必ず締めてください」の張り紙が
セロテープで貼ってある。ワープロで打てばいいと思うし、高級さを売り文句に
するなら、張り紙は極力減らさなきゃ。
 蒲団(ふとん)を上げに来たときに、昨日テーブルの上においていってくれた
ミカンをさっさと片づけてしまうのも、無粋だ。お客さんが帰ってから、回収す
ればいいよね。
 ほかにも、まだお客さんが帰っていないのに、大浴場に堂々と掃除機を置いて
あるのも、いと興ざめ。

 ディズニーランドのように、日本旅館は「非日常」を売るわけだから、お客さ
んには極力、舞台裏を見せない配慮がほしい。

 旅館を出るときに、草津名物「ちちや」のおまんじゅうをお土産にくれるとこ
ろなど、けっこういろんな配慮はしているのだ。しているだけに、こまかい部分
が気になる。

 午前10時。荷物を旅館に預けて、湯畑まで歩く。  きょうも草津は、暖かいというのだが、ときおり吹く風はやはり、上州の風 で、頬をピリピリさせる。寒い!

 たいした距離でもないのに、へとへとになる。  寒さのせいだろう。

 湯畑(ゆばたけ)へ。  昨日は、ちょっと見ただけなので、きょうはじっくり観る。  湯の花で苔むした岩肌がすごいなあ。  あいかわらず、湯気と硫黄の匂いが強い。

 湯もみの会場にも行ってみるけど、4月〜11月までしか、湯もみの実演はや らないんだって! どうも寒いときにばかりあの映像を見ているものだから、冬 場じゃないと見ることができないものだと思っていた。

 湯畑を取り巻くお土産品店を、見て回る。  やけに、温泉卵のお土産が多いなあ。 ・温泉卵のサブレ。 ・温泉たまご饅頭。 ・温泉たまご餅。 ・温泉たまご煎餅。 ・温泉卵ケステイラ。 ・温泉卵チョコ。

 おなじ会社がぜんぶ発売しているようなんだけど、何で「たまご」と「卵」の 二通りの表記なんだろう。統一してほしいなあ。  これだけ温泉卵のお土産品が多いので、温泉卵専門店の「頼朝(よりとも)」 で、温泉卵をひとつ買って、湯畑で食べる。  ちゅるるん。なるほど、うまい。

 ところで、銭湯があたりまえの時代に、やたらと「松の湯」という名前が多か った。何で「松の湯」が多かったかというと、この草津の湯が、「松の緑色」に 見えるところから来ているようなのだ。  豆知識だねえ。  午前10時40分。喫茶「ぐ〜てらいぜ」で、コーヒー。  ここで昨日乗ったタクシーの運転手さんを待つ。  高橋さんといって、非常に感じのいい人だったので、きょうの観光に付き合っ てもらうことに。運転手さんひとりで、旅の印象は、まったく変わってしまう。  午前11時。西の河原公園へ。 「西の河原」と書いて、「西の河原(さいのかわら)」と読む。  草津温泉の「西方」にあるので、「西の河原(さいのかわら)温泉公園」とい う名前がついたらしいけど、川から湯気が立ち上っているので、まさに地獄の 「賽(さい)の河原」だ。  案の定、「鬼の茶釜」、「鬼の相撲場」といった名前が残っている。  温泉の河原を歩くのは、ちょっと不思議な気分。

 午後11時30分。昨日も行った道の駅「草津運動茶屋公園」へ。  昨日、見ることができなかった「ベルツ記念館」へ。

 エルウィン・ベルツという人は、ドイツの人で、東京大学医学部教師だった人 のようだ。「ベルツ水」という薬に名前を残したほどの人らしいんだけど、それ 以上に、草津を気に入り、草津の名を広めた立役者だったそうだ。  明治時代に、馬車で何度も、何度も、草津に通ったというのだから、すごい情 熱だなあ。  このあとは、国道144号線を、嬬恋村に向かって進む。  何度も見え隠れする雪化粧の浅間(あさま)山が美しい。  雪のない浅間山はかつて何度も見たことがあるけど、さほど美しいと感じたこ とはなかった。  午後12時。嬬恋村観光物産案内所というのが国道沿いにあったので、車を停 めてもらって、入る。  はっはっは。「キャベツようかん」という、いかにも私好みのお土産品を手に 入れた! ついでに「とうもろこし羊羹」、「キャベツふりかけ」も買う。

 車は「浅間白根火山ルート鬼押ハイウェイ」に入る。  有料道路だ。  おお! あんなに美しかった雪化粧の浅間山が、目の前にどーーーん!と広が る。思わず車を停めてもらって、しみじみ感動する。  日本じゅうの景色を見てきた私だが、まだまだこんな素晴らしい景色がたくさ んあるんだねえ。これだから旅に出るのはやめられない。

              → → → → →

 昨日、草津温泉は、軽井沢に近いことがわかったので、車は軽井沢をめざして いる。  長野新幹線が開通して、東京から軽井沢まで、わずか1時間になったので、軽 井沢から草津温泉に来る観光客が非常に増えたそうだ。  そうだろうなあ。高崎駅から吾妻線で、途中何度も、すれ違い列車待ちで何分 も待たされるのは、体感時間も相当長い。  軽井沢から来れば、浅間山の雄大な景色も見ることができるのだから、こっち のほうを利用してしまうよなあ。  午後1時。思うわぬことに、軽井沢に寄ることになったので、前から嫁が一度 食べてみたいと言っていたフランス料理屋さんに行く。 「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」だ。  中軽井沢の林の中を通る道路沿いにある。  案の定、一度通り過ぎた。  ここで運転手さんとは、お別れ。  ガラス張りの「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」は、暖房が薪で、実に雰囲気 のいいお店。それ以上に、接客係の奥様の対応が、上品で、丁寧。  山口県萩で捕れた魚や、フグをつかったジュレ、うちわエビなど、今まで食べ たことのない海産物をつかった料理を高原で食べるのは、不思議なものだが、実 においしい!  野菜は、もちろん軽井沢の地のもの。  軽井沢は、野菜がおいしいからねえ。

 いやあ、まいった、まいった。  軽井沢においしいフランス料理のお店を見つけて、ど〜するのよ!

なんと、ラディッシュのソルベ!

 夜は、午後6時から営業というから、日帰りは難しそうだ。  ところが、午後9時43分の東京行き最終の新幹線で東京に帰るお客さんが多 いそうだ。グルメ魔人たちは、勇敢だなあ。  私も嫁も、血液A型の本来気が小さい人間なので、終電を気にしながら、料理 を食べるのはどうも苦手だ。  でも、日帰りで食べて帰りたいと思うほど、このフランス料理屋さんは、おい しい。初めて「プティ・ポワン」系じゃないお店のフランス料理で、おいしいと 感じた。ん? まさか、このお店も「「プティ・ポワン」系じゃないよね?  たぶん何とかして、このお店にはもう一度来ると思う。  頼むから夜は、午後5時からの営業にしてほしい。  午後2時40分。軽井沢駅。  いやあ、あいかわらず目まぐるしい1泊2日の旅であった。  草津温泉で歩いたせいで、けっこう疲れた。  それ以上に、「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」で、料理を残さず食べてしま ったために、私のお腹は、つまようじを刺せば、マリモようかんのように、ぺろ! と破裂してしまいそうなくらい、苦しい。 「グリーン車で帰らない? 距離短いから値段も安いし!」  JR東日本は、最近料金を値下げした。とくにグリーン車は、最大49%も値 下げしたから、半額だ。  それにしても、お腹が苦しい…。  でも料理はおいしかったなあ。  午後2時59分。軽井沢駅から、東京行きあさま554号に乗車。  さすがに、車内で仕事をせずに、寝て帰るか。  そう思ったら、寝させてもらえない事件が起きた。  斜め後ろに、とんでもないババアがいた。 「ちょっと、ちょっと、すみませーーん!」  車両じゅうに響き渡るようなでかい声で、車内販売の女の子を呼ぶ。  何を言い出すかと思えば「おしぼりくださる?」  なんじゃ、それは! 「あの〜、昨年11月から、おしぼりのサービスは停止させていただいて…」 「あら、前は出してくれたじゃないの? どうして?」 「長野新幹線は、区間が短いので…」 「それが納得いかないわけよ! 前は出していたじゃないの?」  納得がいかないって言葉、こんなときにつかうか?、 「はあ、もうしわけございません…」 「値段安くしたから? 納得いかないわね! どういうこと? 前は出していた じゃないの? 説明して! それが聞きたいだけなの!」 「はあ、もうしわけございません…」 「私はね。以前出ていたおしぼりがね。何でおしぼりが出なくなったか、知りた いだけなのよ!」  本当に、知りたいだけのはずがないだろ! 「は、はい…」 「こういっちゃ、何ですけど、私はグリーン車しか乗らないのよ! あなた、上 司に聞いてちょうだい! JRの社長さんか、会長さんに聞いてくれる? 私は 理由が知りたいだけ。それだけなのよ!」  だったら、車掌を呼べばいいじゃねえか、くそババア!  何度も、何度も、おなじことを繰り返しやがって!  車内販売の女の子をいじめたいだけなのが、見え見えだよ。  さすが、菅井きんから人の良さを脱色したような憎たらしいバアアだ!  だいたい車内販売の女の子はJRの社員ではないのだから、おしぼりサービス とは、まったくか関係がない。  車内販売の女の子は動けなくなっちゃうし、まわりにも迷惑なので、ついに私 が口を出す! 「あの〜、うるさいんですけど!」 「私はね。何でおしぼりが出なくなったか、知りたいだけなのよ!」 「うるさいんですけど!」 「とにかくね。私は納得いかないわけよ!」 「静かにしてくれませんか?」 「はっ。ほらね。なかには、静かにしてくれという人も出てくるわけだから!」  おいおい。その「わけだから」は、どこにかかる文章なんだい。国語のテスト だったら、難問だぞ!  くそババアは、大宮駅で降りた。  ババアの席には、グリーン車に備え付けのひざ掛けが丸めて残ったままである。  グリーン車に乗りなれているような、お上品なご婦人なら、ひざ掛けを畳んで、 棚に置いて行けよ!  自分の行動が他人の目にどう映るかを、気をつけないといけないな。  午後4時16分。東京駅に着く。  けっきょく、くそバアアのせいで、寝ることができなかった。  午後5時。自宅に戻る。  さっそく、仮眠。  午後6時。仮眠、終了。  軽井沢の「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」で食べたフランス料理が、まだお 腹に重たいので、夕食を抜くことにする。  あきらかに、このところ食べすぎだ。  今夜は、『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書作りに、『桃鉄研究所』の 執筆に、『ポケットモンスター・サファイア』!

 
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