１月４日（土）

　ごろごろ…。ごろごろ…。
　こんなにのんびりしていて、いいのかな。
　ごろごろ…。ごろごろ…。
　せっかちなもんだから、だんだん心配になってくる。
　本格的に寝正月の毎日。

　午後１２時。そういえば、きょうは京都文化博物館のお餅料理のお店「きた
村」で、振る舞いのお餅つきをやる日ではなかったか。
　昨年はまんまと忘れた。
　嫁と、出かける。

　京都は、天気がよくて照っているのに、ちらちらと雪が降る。
　天気雨というのは聞いたことがあっても、天気雪というのは聞いたことがな
い。『雪の名前』とかいう本には、こんな雪にも名前がついているのかな。

　すごいなあ。
　今年もちゃんと「きた村」は、振る舞い餅をやっていた。
　ぺったん、ぺったん、威勢のいい音がする。





　とろろ、黄粉、おろしの３種類の搗（つ）き立てのお餅をいただく。
　毎年、無料のこのお餅ばかり食べていないで、もっと「きた村」の料理のほう
を食べに来ないといけないと思うのだけれど、年々、行く回数が減ってしまって
いる。いかんなあ。
　と同時に、無料で料理を食べさせてはいけないんだなあとも一般的に思う。
　インターネットもそうだけど、一度無料を味わうと、お金を払うことに抵抗を
覚えてしまう。商売を考えると、振る舞い酒はいいとして、主力商品であるお餅
をたくさん出すべきではないのだろう。

　午後１時。地下鉄で、京都駅へ。
　きょうも京都駅の伊勢丹へ。
　ズボンなどお買い物。何も京都で買わなくてもいいんだけどね。

　午後２時。ズボンのお直しを待つ間、嫁は運動不足解消のためにバーゲンセー
ルを見に行く。
　私は、６Ｆの「ブラーンマルシェ」で、『十津川警部［標的］』（西村京太郎・
角川書店）を読みながら待機。

　昨年ぐらいから、西村京太郎さんが、全盛期を思わせるような内容の濃い作品
を連発していると、この日記で何度か言った。
　今回の『十津川警部［標的］』は、さらにすごい！
　全盛期以上のおもしろさだ。

　小説の前半は、最終的には、まったくいらなかったように思えるんだけど、後
半のたたみ掛けはすごいとしか言いようがない！
　今年の９月で、７３歳になるはずなんだよ、西村京太郎さんは！
　体力的にアクションシーンを描くのが、つらくなるはずなのに、かつての大藪
春彦みたいに胸のすくような爽快感だ。
　しかもあきらかに小泉純一郎さんをモデルにした、政治がらみの話へと発展し
ていく。デビュー当時はよくこういう社会派の作品を描いていたんだけど、ここ
ずっと何１０年と、書かなかったような題材だ。
　すぎやまこういち先生といい、いまの７０歳台は、元気すぎる！
　
　おや。アリｔｏキリギリスの石塚義之（ヅカッチ）くんから、携帯メール！
　年賀状ありがとうございます…。
　いよいよ年賀状の範疇って、どこまでにしたらいいのかわからないなあ。
　毎年暮れのあわただしさを考えると、そろそろ郵便での年賀状は終わりにした
い。すっかりキーボード入力に慣れてしまって、直筆は疲れる。

　午後３時３０分。帰宅。
　ついつい、封印していた『桃太郎電鉄１５（仮）〜地方編』のＭＡＰ作りを再
開。ＭＡＰを作るのは最高に楽しい遊びなので、ちびちび作るようにしている。
　子どものころ、とにかく白地図に色を塗るのが大好きで、大好きで、１冊まる
まる色を塗ってしまうと、もう１冊買ってきて、もう一度塗り始めるくらい大好
きだ。
　だから、飛行機に乗れないせいで、海外旅行の経験は一度もないけど、地名と
地形だけは今でも詳しい。
　かつて『桃太郎電鉄』の目的地にエロマンガ島が登場したのは、地図好きだっ
た頃の名残りだ。
　今でも、ＶＡＩＯを閉じる前には、プロアトラスを１０分くらい見てから閉じ
る。何でこんなに地図が好きなんだろう。自分でもわからない。たまたま『桃太
郎電鉄』という作品を作っているから、正当化されているけど、よく考えたら変
な趣味だ。

　午後５時。おお！　柴尾英令くんから電話が入る。
　成田空港にいるとなっ。
　これから『週刊ヤングサンデー』の石川享くんと、ニュージーランドへ旅立つ
そうだ。
　すごいよなあ。ほいほい日本人が、海外旅行にでかけてしまうんだもん。
　４０年前なんて、「洋行」という言い方で、今生の別れになるかもしれないと、
みんなに挨拶をしてから、ニューヨークになんぞ行ったものなのに。
　そう思うと、月旅行は意外と遅れているね。
　２１世紀になったら、気軽に行ける場所になっていると思っていた。

　ニュージーランドの首都は、ウェリントン。
　白地図マニアのせいで、各国の首都はいまだに言える。

　午後６時３０分。さすがに京都もめぼしいお店は休業中だ。
　嫁と、堺町蛸薬師の「玄玄（げんげん）」へ初挑戦。
　町屋風の造りで、基本的にはバー。
　呑み屋さんのわりに、食べ物がおいしかった。
　はまぐりのお吸い物のお雑煮は、東京風で胃にやさしくておいしかった。
　クリームコロッケは、お菓子のようなおいしさ。
　５個１セットの小さな手まり寿司は、甘くておいしい。

 



　錦市場に近いところにあるので、桃太郎チームの合宿のときに柴尾英令くんが
酔っ払うにはよさそうなお店だ。

　午後７時３０分。家まで歩いて帰ってくると、さすがに京都らしい寒い風が吹
いてきて、骨がちょっと痛い。
　ローソンに置かれた郵便ポストを見に行く。
　投稿ページばかりいくつも担当していただけに、郵便ポストがコンビニに設置
されるだけで一応確認しておかなければと思う。

　そろそろ本格的に仕事をしないと、身体の調子が悪くなるといけないので、気
合を入れて、『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』の仕様書作り。
　どのイベントに、新曲をつかうかを考える。
　よくゲーム業界の人から「さくまサンは、どの辺までやってるんですか？　カ
ードのメッセージとかはお弟子さんがやってるんでしょ？」といわれるんだけど、
見ての通り、ＣＯＭキャラのルーチン以外は、隅から隅まで、全部書いている。
　こんな楽しい仕事、ほかの人にやらせたくはない。

　いやあ、やっぱり仕事をしているときが、いちばん落ち着く。