１２月１０日（火）

　ちょびり、ちょびりと、『ポケットモンスター・サファイア』を始める。
　定番ソフトはいいねえ。
　スイッチを入れた瞬間から、ゲームのなかに入って行って、戦闘をするまで、
まったく迷う場面がない。

　爆発的に売れたゲームなのに、ゲーム最初で、「ポケモン・センターで、ポケ
モンを回復できるよ」といったメッセージを言わせて、生まれて初めて『ポケモ
ン』をプレイする人のための配慮が行き届いているのは、素晴らしいと思う。
　ゲームは、こうでなくちゃ！

　話は変わるけど、道路族の江藤隆美って爺いは、この１年間でものすごい勢い
で、人相が悪くなっているね〜！
「誰か言ってやれよ〜！」といいたくなるくらい、人相もやっていることも悪い。
　みんな、政治に興味を持たないと、本当にこの国は、潰れてしまうよ。

　それと、ノーベル賞の田中耕一さん。
　受賞決定からずいぶんたつのに、天狗にもならずに、よくマイペースを続けて
いられるなあ。まわりに舞い上がっちゃってる人がたくさんいるだろうに。
　本当に変わらない人だなあ。
　奇跡的な人だ。
　このままずっとああいう人のままでいてほしい。

　午前１１時３０分。嫁と、銀座の「アフタヌーンティー・ジェネラル・ストア」
へ初めて行く。
　あの「アフタヌーンティー」系の家具屋さんや、雑貨屋さんがひとつのビルに
入ったベスト版。
　もちろん私の狙いは、食べ物なので、３Ｆの「新和茶寮ＳＡＤＥＵ銀座」とい
う意図がよくわからない名前のお店に行く。

　白い竹のテーブルに、白木のイスの内装。
　店の奥に、大きな茶釜が置いてあって、新感覚の和風レストランをめざしてい
ることは伝わった。

　私は、鶏のそぼろ丼、嫁は、南昌豚のチャーシュー丼。
　ここで、どんな味だったのかを伝えたいのだが、先週からのストレスのせいで、
とうとう味覚が麻痺してしまって、味がわからない！
　いわゆる披露コンパ…いや、疲労困憊というやつだ。
　たまには、こんなこともある。
　健康でないと、食事もおいしく思えなくなる。

 
 



　デザートに、リンゴのコンフォートが来た。
　黒蜜をかけて食べる趣向だ。
　味覚が麻痺している私の口に、おいしいと感じたのだから、相当いい味なのだ
ろう。それとも甘いものは、別腹（べつばら）なのかも…。

　食後、ビルの４Ｆに、マッサージがあるのを見つける。
　マッサージと呼ばずに、「ボディ・トリートメント」という言い方をしている
のが、しゃらくさいが、きょうはこれからハドソンで会議があるというのに、味
覚も麻痺したような疲れきった身体で行ったら、身体がパンクしてしまいそうな
ので、苦しいときの神頼み。１５分マッサージを受けることにした。
　お店の名前は「ＴＡＡＣＯＢＡ」。
　読み方すら、わからない。
　キャッチ・フレーズは「ヒーリング・サロン」。
　ますます怪しい。
　でもフロアは広くて、明るすぎるくらいの照明なので、安心感はある。





　私は、腰が痛いというので、イスではなく、ベッドでマッサージを受けること
に。
　担当してくれた男の子が朴訥で、一生懸命やってくれたおかげで、身体は最悪
の状態から、少し脱出した。

　午後１時３０分。マッサージに寄っていたので、会議の時間に遅れた。
　きょうは、札幌から総勢９名が勢ぞろいで、来てくれている。
　順不同でいうと、企画の川田忠之くん、込山勉くん、加藤和美さん、小坂晃弘
くん、音楽担当の佐藤昭洋くん、アニメ担当の吉見直人くん、プログラマーの田
中俊介くん、グラフィック・デザイナーの笠原圭介くん、美術担当の佐藤裕くん。
　さらに、ハドソン宣伝部の石崎仁英くん。今回から、『桃太郎電鉄』総合プロ
デューサーに就任した梶野竜太郎くん。

　そして、毎度おなじみ、土居ちゃん（土居孝幸）、柴尾英令くん。
　うちの嫁も加えると、１５人！
　すごい人数だ。

 
 




　このメンバーで、『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』と、『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』
を同時に作り始める。
「えっ？　田中俊介くんは、両方とも、プログラム担当するの？　それって大変
じゃない？」
「大変ですよね。ははは…」
　まあ、なぜ２本続けて作るのかについては、守秘義務もあるんで、はっきり言
えないんだけどね。
　まあ、うちの場合、ＲＰＧじゃないんで、いくらバラしても、どこにも影響が
ないとは思うんだけどね〜。
　大人の事情ってやつですかいね。

　まあ、『桃太郎電鉄Ｘ（ばってん）』が最初から、九州地方付きってわかっち
ゃって１年以上待たせたら、驚きは少なくなってしまうと思うのとおなじ理由で、
守秘義務を守ります。

　まずは、現在までにあちこちで入手した『桃太郎電鉄１１〜ブラックボンビー
出現の巻！』の改良希望点を、こっちから、札幌スタッフから、言い合って、あ
あしよう、こうしようという話題から。

　基本的に『桃太郎電鉄１１〜ブラックボンビー出現の巻！』は、満足のいく出
来だっただけに、改善策の規模は、いずれも小さい。
　とんとん拍子で、あれこれ細かい改善策が決まって行く。

　いったん休憩後、『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』と『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』
の最新ロムを見せてもらう。
　いっておくが、きょうは業界用語でいう「キックオフ・ミーティング」という
うやつだ。私はどうもこの言葉が嫌いで「スタート会議」でいいじゃないか！と
思っている。

　で、スタート会議なのに、もう『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』の地方編部
分のＭＡＰが出来上がっているのである！
　まだ仕事開始以前のはずなのに。
　ふいいいいっ！　なんて仕事が速いんだ！

　えっ？　あれはなんだ！
　高速…、へっへっへ。そうか、あれか！
　うーーーん。ほう。おもしろいなあ。
　おもしろいけど、繋ぎ目がちょっと変だなあ。
　
　けっきょく、私がもう一度、地方編のＭＡＰを大幅に書き直すことに！
　いやあ、『桃太郎電鉄１１〜ブラックボンビー出現の巻！』のときから、途中
でもいいから出来ているものは、すべて見せてほしいというのを徹底した成果が、
早くも『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』でも出た！

　きょうのＭＡＰ変更が、もっと仕事が進行していたらなら、直しが利かない状
態に突入して、「これじゃ、発売できない！」と大騒ぎになったはずだ。
　仕事に、ミスは付き物！
　早期発見なら、致命的なミスになる前に、直すことができる。
　今回も、最初にＭＡＰを見ることができたために、もっとおもしろくなるアイ
デアまで浮かんで、ＭＡＰを変えることもできる。

　仕事っていうのは、すごい仕事をする必要は、まったくない。
　いかに失敗や、ミスをしても、直せる進行表と、進捗状況を作れるかにかかっ
ている。

『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』のほうも、前回一度もらったＭＡＰより、さらに進化し
ていた。ふむふむ。これは早く遊んでみたいなあ。

　午後７時。東劇地下のレストランで、総勢１５名による食事会。
　比内鳥のソテーが、評判らくして、１日２０食限定。
　あと３人分ならというので、あわてて注文。
　うまいっ！

「柴尾くん、私はきょうじゅうにＭＡＰの変更をしちゃいたいんで、家に戻るから、
これから札幌のみんなと親睦を深めるために、いっしょに飲みに行ってくれる？」
「い〜でふよ〜！」
「何だよ、もう酔っ払っちゃってるよ〜！」
「うーーー、楽ひ〜ね〜！」
　瞬間湯沸し器ならぬ、瞬間酔っ払い器だ！

　午後９時。帰宅。
　さっそく『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』のＭＡＰの手直し。
　へっへっへ。エクセルでＭＡＰを書いているときが、いちばん楽しいね〜！　
　私は何でこんなに地図を書くのが、好きなのかなあ？

　あっというまに、手直しが終わっちまった。
　何だか、ものすごい勢いで、アイスクリームを食べ終えたみたいで、もったい
ないことをした。もっと味わって、手直しをすればよかった。

　今夜は、きょうの会議でいくつか出た改善策に、着手。
『ポケットモンスター・サファイア』は、ほどほどにね、と自分に言い聞かせる。


　　　　　　　　　　　　　☆　　　　　　☆


『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻！』発売記念！
　感想メールを１週間限定で、掲載していますが、あと２日！
　ますますメールが増えています。
　長い文章が多いので、一字一句読み飛ばさずに、熟読するのが大変です。
　なお、掲載に際して、抜書きで一部分だけ掲載することをご了承ください。
　またここに掲載するのは一部で、そのうち『桃鉄研究所』のほうで、特集を組
みます！　お楽しみに！


・北九州市・無量寿
 　「桃鉄１１」、買いました！　ものすごく楽しいです！！
　グラフィックは綺麗だし（特にオープニング）、読み込みは早いし、イベント
は盛りだくさんだし…
　友達と三人で、発売日から２日連続でやりまくってました。

　とりあえず、今回のブラックはやばいですね…
　今までに３回ほど、この世の暗黒面を見させられたのですが、デビルを大量に
つけられる恐怖＆カードが使えない絶望は、体験しないとわかりませんね…

●さくま「自分でもわざとつけてみたあと、あそこまですごい恐怖感に襲われる
とは思わなかったよ〜！　」

・北九州市・無量寿
　そうそう、キングといえば、１９年目に出たときに、オレがメカボンビーＲＸ
を持っていたので、「どうせなら戦わせよう！」ということになり、オレがわざ
とキングに取り憑かれて、ＲＸと戦わせてみたんです。
　ところが、キングの「ギャラクティカ・ボンビーム」を食らって、ＲＸが大敗
北！　そして４０億円を捨てられるハメに…（その後すぐに戻ったので、物件は
売らずにすみましたが）

●さくま「あのキングボンビーの勝利ポーズ、腹立つでしょ？」


・埼玉県・ノンタ
　さくまさん、こんにちは。
『桃太郎電鉄11』は、シリーズの中でも完成度が高く、初心者から上級者まで、
楽しめるゲームだと思います。

●さくま「シリーズ最高傑作というのが定着すると、やばい！　次の作品にプレ
ッシャーがかかるし、期待度が高くなりすぎる！」


・大阪市・タクロー
　２０年目ぐらいで、持ち金１００億円以上持っちゃうと、目的地の到着金が少
なくなって、目的地をめざす気がなくなってまうな〜！

●さくま「そりゃそうだろ！　井沢どんすけたちなら、２０年目で決算で手に入
れる金額は、１０億円がやっとだよ！　２０年目で１００億円持ってりゃ、目的
地の到着金が安く思えるのは、当然でしょう！
　だからって、１００億円の人にあわせてチューニングしたら、初心者にはまっ
たくできないゲームになってしまう。
　だいたいこういうチューニングがあってないよ！っていう言い方をしてくる人
は、けっきょくは自慢話なのが多い！」


・山口市・山口文雄
　さくまさん、おはようございます。
　ただ今、99年プレイをクリアしました。
　プレイ内容が年表になるとやっぱりおかしいですね。
　ほとんどがキングボンビーの悪行で、まさに「激動」にふさわしいものでした。
　また、最後のスタッフロールを眺めながら、いつの日かここに私の名前を載せ
てもらうぞ、と意気込んでおります。

●さくま「あの年表、妙に生真面目な文体で、おかしいよねえ！　自分で書いた
んだけどさ。ははは！」