１１月３０日（土）

『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻！』発売まで、あと５日！

　珍しいでしょ？　私がゲームの発売日をカウントダウンするなんて！
　今まで発売日すら忘れていたことのほうが多かったからね。
　今回くらい、多くの人に見てほしいゲームに仕上がったのは、『桃太郎伝説』、
『スーパー桃太郎電鉄III』以来だと思う。

　あっ、そうだ。
『桃太郎電鉄Ｘ（ばってん）〜九州編もあるばい〜』のベスト版の発売は正式に
お断りしました。
「ベスト」と呼べないものを発売すべきではないでしょう。
『九州編』は、地方編の最後に全面改稿するつもりです。

　作家の有田芳生さんが、北朝鮮の拉致問題を、ニューヨーク・タイムスに意見
広告する運動を始めたそうだ。
　日本と北朝鮮だけだと、約束を「守った！」「破った！」といった「言っ
た！」「言わない！」の平行線のままだ。
　全世界の人に見守ってもらうというのは、いいことだと思う。
　意見広告を出すために、最低６００万円が必要のようだ。
　どうやって、カンパすればいいのかな。
　微力ながら、手伝いたい。
　
『有田芳生の今夜もほろ酔い--http://www.web-arita.com/--』
↑こちらのＨＰにリンクがあります。


　午前７時。いつのまにか『桃太郎電鉄』シリーズのアイデア出しのメモ帳が、
２冊分溜まってしまっていたので、まとめる作業。
　電車のなか、喫茶店で思いついたら、とにかく殴り書きしておいて、あとから
まず、『桃太郎電鉄』の台帳に移す。ここで１回目の推敲。
　で、新作の『桃太郎電鉄』を作るときに、この仕様書のなかから選ぶ。
　選んでまた、推敲。
　こういうことを何回か繰り返して、新しいイベントやカード、怪獣が、本編の
『桃太郎電鉄』シリーズに登場するわけです。
　ブラックボンビーのようなゲスト・ボンビーも、４〜５体、今も出番を待って
います。

　午前１１時３０分。家族３人、近所の「ワンズ・バーガー」へ。
　ハンバーガー・コンボに、コーヒー。

　午後１２時。隣りの日本茶カフェ「ＳＩＺＥＮ」へ。
　昨日の日本茶カフェに対する不満が何かを確かめに来た。
　決して、昨日のお店は悪くなかった。
　おしゃれな店内だし、お茶もおにぎりもおいしかった。
　こういう疑問符は、解消しておきたい。

　私は、このお店は初めて。
　嫁と娘は、このお店が日本茶カフェとしては、今のところいちばんいいと言っ
ていた。

　番茶のあんみつに、玄米茶。

　ふむ。なんだ。簡単なことではないか。
　原因は接客だ。
　いつものことだなあ。
　昨日のお店の人の説明は、コンピュータの説明書のように、頭のなかに入りづ
らい日本語だった。それだけだ。
　マクドナルドなら、日本語に難があっても、すでにその習慣に馴染んでいるか
ら、手順に対して想像がつく。
　日本茶カフェのような斬新なお店では、お客さんに対する説明が下手だと、ど
んな内容かわからないゲームのイントロ場面のように、混乱して、感情移入でき
なくなるだけなのだ。

 



　この日本茶カフェ「ＳＩＺＥＮ」は、雰囲気もいいし、イスも低くて、気持ち
いい。
　あんみつの白玉の出来がいいのは、評価高し。
　うっかり、デジカメするのを忘れてしまったので、次回もう一度来よう。

　午後１２時３０分。嫁と娘は、柴尾英令くん主催のイベントに参加のため、新
宿へ。
　私は、自宅に戻って、『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』の仕様書作り。

　午後３時３０分。大江戸線で、月島駅へ。
　仲通り商店街というよりも、もんじゃ焼き通りと名前を変えたほうがいいくら
い、もんじゃ焼き屋さんがずらりと並ぶ。
　およそ６２軒のもんじゃ屋さんがあるらしい。
　昔は、ただ漠然と、もんじゃ屋さんが並んでいたけど、よくここまで統一感を
持たせることができたものだと、感動する。
　昔、どのもんじゃ屋に入ったのか、景色が変わってしまったので、全然思い出
せない。

 



「月島もんじゃ振興会」と「月島もんじゃ協会」の２団体があった。
　プロレスのように、分裂した団体なのかなあ。

　月島は、露地がいい。
　芸術カメラマンが撮りたくなるような、露地だ。
『こち亀』の両津勘吉が、歩いていてもおかしくない。





　若い頃は、下町の景色や、人々のおせっかいが、時として、けむたく思えたの
に、年々、下町を好きになって行く感情って、何なのだろうか？
　ノスタルジーなのかなあ。
　古いって、何でいいんだろう？
　自分の人生に対する美化なのかな。

 
 



　お腹はまだいっぱいなはずなのに、どの店先からも、ソースの匂いが、ぷうん！
と漂ってくるので、見る見るうちに、お腹が減ってくる。
　せめて、ソース味のおせんべいとか、売っているお店とかないのかなあ！と思
った。

　もんじゃ焼き屋さん以外に、もう少し魅力的なお店が何件かあったら、素晴ら
しい町だと思う。
　近いうちに、家族３人で、また来てみたい。

　午後４時。読売広告の岩崎誠に指定された「さんぼ」の前で待つ。
　店の前にベンチがあって、歩きつかれた私には、非常に助かる。
　もんじゃ焼き屋は多くても、喫茶店は１軒しかなかった。





「さんぼ」で、もんじゃ焼き。
「すみません！　すみません！　すみません！」と、血相変えて、ストロウ・ド
ッグスのすとろう小泉がお店に入ってくる！　遅刻したのだが、遅刻したといっ
ても、５〜６分程度である。
　遅刻アーティストの成沢大輔くんなら「ちょっと早すぎました？　わっはっは！」
といって、入ってくる時間帯である。
　遅刻の王様・松本常男（キャラメル・ママ社長）なら、そろそろ電話しなきゃ
という時間だ。
　遅刻魔王・柴尾英令くんなら、「あっ、柴尾くん、また１日間違えているな！」
である。

　すとろう小泉は、よほどあわてたのか、席につこうとして、テーブルの上のソ
ース、醤油、ラー油、お酢、青海苔の瓶をボーリングのようになぎ倒す！
「すみません！　すみません！　すみません！」
　さらに狼狽する、すとろう小泉。
「落ちついて！　落ち着いて！」と、岩崎誠が、すとろう小泉をなだめる。





　さて、ここから、岩崎誠オン・ステージ、開幕である！
　月島に３代続いて住む、キング・オブ・下町のもんじゃ奉行っぷりは、見事と
しか言いようがない。

　まず、油をつかわない。
　味が染み込むのが、嫌なのだそうだ。
　鮮やかな手つきで、土手を作り、だし汁を注ぎ込む。
　だし汁が、土手から外に出ない！
　す、す、すごい！
　鉄製の大きなヘラをシャキン、シャキン、ぶつけ合うことが、まったくない！
　あまりにも、なめらかな動きに、驚くことも忘れる。

　もち明太もんじゃに、豚キムチもんじゃ。
　キリイカのお好み焼きに、あんまき、チーズ巻まで、まるでヴァイオリン奏者
のように、大きなヘラを、蝶のように動かし、生地をひっくり返す。
　すとろう小泉が「商売できますよ、岩崎誠さん！」と、ホメたつもりだろう
が、商売なら、手抜きが上手くなければ、商売にならない。
　岩崎誠のもんじゃ焼きは、芸術である。

  



　この姿を、デジカメしようとするのだが、きょうは嫁がいないので、私がデジ
カメしたばかりに、写真が下手。
　毎回フラッシュがたかれてしまうし、このフラッシュ機能を消すことができな
い。残念だなあ…。

　何とか近日中にも岩崎誠をそそのかして、口のおごった我が家の親子に食べさ
せてあげたいものだ。

　いやあ。素晴らしいものを見させてもらったものだ。
　なんまんだぶ、なんまんだぶ…。

　おっと。きょうは、もんじゃ焼きがメインではないのだ。
　
　予定では、岩崎誠に、岩崎誠の会社の後輩・鴻池元良くん、すとろう小泉に、
岩崎誠の甥っ子の高校生による、『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻！』
のゲームキューブ版対決を、見学しに来たのだ。
　まだ発売前のゲームキューブ版を私が提供して、テスト・プレイの参考にした
いのだ。

　ところが、鴻池元良くんの仕事が長引き、途中参加に。
　鴻池元良くんの独身マンションを競技場に予定していただけに、困った。
　石川キンテツも、地方の仕事が入っていて、欠席。
　井沢どんすけも、「相手が実力不足！」と切って捨て来ない（嘘）。

　けっきょく、岩崎誠の家に行って、岩崎誠の小学６年生の息子・ギロロ星人じ
ゃなかった、あれ？　まあクンだったかな。とにかく岩崎誠ジュニアと、岩崎誠
の高校１年生になる甥っ子も、プレイヤーとして参加することになった。
　ようするに、「岩崎ファミリーＶＳすとろう小泉」の図式が、出来上がった。
「みんな、小泉くんは下手だから！」
「ちょ、ちょっと、岩崎さん、それはないですよ！　いくらなんでも、ボクも、
小学生と高校生相手には、負けませんよ！」

 



　ということで、始まった第１試合。
　メンバーは、まこちんマン（岩崎誠）、ひでみ社長（岩崎誠の甥っ子）、すと
ろう小泉、ギロロ星人（岩崎誠の息子）。

　しかし、ゲームキューブのコントローラが、４本揃っている一般家庭って、初
めて見た。ゲーム好きな家族だ。
　しかも、奥さんが、コーヒー、ウーロン茶、ビールと、わんこそばのように、
飲み物を出してくれて、唐揚げ、ポテトとった手作りスナックを次から次へと出
してくださるので、おもいきり恐縮してしまった。

　試合のほうは、やっぱり、すとろう小泉の低空飛行から始まる。
　とにかく目的地に入れない。
「ほんとに、カードつかわないんだ！」と、岩崎誠。
「井沢どんすけ、ストロウ・ドッグスのすとろう小泉、石川キンテツは本当にカ
ードつかわないんだよ！　だからやたらカードをつかうプレイヤーのデータがほ
しかったんだ！」
　岩崎誠ファミリーは、カードをつかう、つかう。
　目的地が、北海道なのに、房総半島にいようが、東北にいようが、ぶっとびカ
ードを惜しげもなくつかう！
　見ていて、気持ちいい！

　結果は、明白！

　　　１位・岩崎誠　　　　１６億２９６０万円
　　　２位・岩崎甥　　　　１２億４９２０万円
　　　３位・岩崎ジュニア　　　　１１７０万円
　　　４位・すとろう小泉　　　―４７８０万円

「あれ〜。おかしいなあ。自分では強いと思っているんですけどね！」と、すと
ろう小泉。まだ下手なことを認めたがらない。


貧乏神のダッコちゃんつき！


　第２試合。珍しく、私が参加。
　最近、人間と対決しないので、すっかり腕が落ちてしまっている。
　いきなり、１年目の決算を目前にして、デビルカードを引き、自滅するも、目
的地６マス以内に入ると、サイコロ１発で入る攻撃を炸裂され、調子を取り戻す。
　場を盛り上げるために、すとろう小泉に貧乏神をつけてあげて、ボコボコにし
てあげるが、どういうわけか、すとろう小泉は徳政令カードをたくさん持ってい
て、何度も持ち金をマイナスにしてあげても、いつのまにか持ち金０円になって
いる。手強いんだか、情けないのか、よくわからない。

　では、岩崎誠に、キングボンビーをつけてあげようと、オレンジカードで、目
的地の小樽に入り、まんまと青森から３マス目にいた岩崎誠に、キングボンビー
を押し付けることに成功する。
　ここでもう誰の目にも、私のトップは決まったかに思えたのだが、なんと、次
の目的地が、青森！　岩崎誠は、青森から３マス目の位置！　
　これは、まいった！
　しかも、何を思ったか、岩崎誠、青森まであと３マスなのに、特急カードをつ
かうではないか！
　あげくに出た目は、１、１、１！
　全部１でも、目的地にぴったりの３マス！
　ばびょーーーーーーん！
　私に、キングボンビーが来てしまったのであ〜〜〜る！
「さくまサンにキングボンビーがついている場面が見れるなんて、貴重ですよね
〜！」と、すとろう小泉が昂奮している。
　私だって、信じられない。

　この３年目の一打は、致命傷となり、挽回できず、最下位で終了。
　何年ぶりかの最下位である。
　岩崎誠が、ホームの強みで、２連勝！
　アウェイでの戦いは、厳しかったが、それ以上にプレイヤー名をおまかせで
「おわらい関白」と安易につけたのが、敗因だったようだ。

　第３試合は、岩崎誠ジュニア、岩崎甥、すとろう小泉の３人で、対決。
　休憩無しで延々と続けられる試合の連続に、もはや試合の展開をよく覚えてい
ないのだが、すとろう小泉があいかわらず、目的地に入れない拙攻ぶりを見せた
り、第１試合、第２誌合で、ビールを飲んだのが敗因と、ビール断ちして、さら
にへんこだことは、印象に残っている。

　この仕合の途中で、ようやく、鴻池元良くんが到着。

　午後９時３０分。
「さくまサン！　もう１試合やって行きませんか？」
「そうだなあ！　このまま負けて帰るのもなあ…、じゃあ、トイレに行って、気
を引き締めて、本気でやるか！」
「じゃあ、名前入力だけしておきます。何という名前にしますか？」
「つつみ社長！」
「おお〜〜〜！　つつみ社長だ！」
「伝説のつつみ社長だ！　これは怖い！」
「さくまサン、本気だ！」
「そりゃあ、日記の都合上、２回連続で最下位に終われないよ！」

　最初の目的地こそ、鴻池元良くんに奪われたものの、次の目的地・ハワイに入
り、ダイヤモンドカードを手に入れ、☆印カード売り場で、７億円ちょっとに換
金。縦横無尽にお金をつかえる体勢に入る。

　しかし、きょうの主役は、すとろう小泉！
　あと３マスで、湯布院が目的地のときに、サイコロを振って、「３！」
「うわ〜〜〜、やられたあ！」と叫ぶわれわれの声をバックに、なんとすとろう
小泉は、右回りで、湯布院駅に入ろうとする！
　そっちのコースから行ったら、３マス目は、大分駅だよっ！　３マスなら左回
りだよっ！
「あ！」
　すとろう小泉の顔が、白くなった。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！」
「…だよなあ！」

　最後の最後でも、岩崎誠が、目的地の喜多方駅にあと６マス以内と、せまった
ときに、何を思ったか、すとろう小泉は冬眠カードをつかった。
　岩崎誠の後ろには、キングボンビーがいるのに…。
　次で、岩崎誠が喜多方に入ったら、キングボンビーは私に来てしまうのだよ〜！
　私は四国松山にいて、どうやっても喜多方に近づくことすらできなかった。
　この大いなるすとろう小泉の大ボケで、私の首位が確定した。

　　　１位・つつみ社長　　　１８億８２９０万円
　　　２位・すとろう小泉　　　９億８６６０万円
　　　３位・岩崎甥　　　　　　１億５９６０万円
　　　４位・岩崎誠　　　　−１８億７０８０万円

　すとろう小泉が放った冬眠カードで、寝ている間、５回もキングボンビーにサ
イコロ１０個振りを喰らった岩崎誠の３連勝の夢は、露と消えた…。
　そりゃ、そうだ。

　かくて、つつみ社長、無敵の伝説は残り、すとろう小泉は「桃鉄が下手！」の
伝説は、また定着した。
　はたして、井沢どんすけ、石川キンテツ、すとろう小泉の３人のどっこいズ
で、本当に下手なのは、誰なのだろうか？
　またどうしたら、彼ら３人の優劣を判定すればいいのだろうか。

　午後１１時。岩崎誠邸を後にする。奥さん、遅くまでお騒がせしてすみません
でした。

　午後１１時３０分。帰宅。
　岩崎誠が作るもんじゃ焼きを、もう一度食べたい…。
　うちの家族にも、食べさせてあげたい…。
　あれは、芸術だ。