１１月２７日（水）

　午前１０時３０分。嫁と、高円寺の整体さんへ。
　最近キーボードの打ち過ぎで、右腕の下の前腕の部分が痛いので、見てもらう。
　棍棒のようなもので、ゴリゴリやってもらうが、痛い、痛い。
　でも腕が伸びる、伸びる。痛い、痛い！　ひ〜〜〜！

　午後１２時。高円寺の「代一元（だいいちげん）」で、タンメン。
　この店と銀座「三原」のタンメンが今のところ、日本一。
　きょうは春キャベツの時期でもないのに、キャベツがしんなり甘く、おいしか
った。胡椒入らずの絶妙の味で大満足。あったまる〜。
　
　午後１時３０分。帰宅。

　午後２時。ハドソンの大里専務、梶野竜太郎くんが来る。
　土居ちゃん（土居孝幸）、柴尾英令くんも到着。

　今年から始めた掲示板システムが、「言った！」「言わない！」を撲滅すると
いう大きな成果を上げたので、来年はさらに「バックアップ・システム」に挑む
ことになった。
　プロ野球でいうと、三塁手がトンネルした場合、左翼手がカバーに入って、エ
ラーを最小限に留める、あのシステムを導入しようという会議だ。

　仕事でも、エラーは付き物だ。
　でも怖いのは、エラーをみんなが見過ごすことだ。
　三塁手がエラーした球を、左翼手がカバーに行かなければ、被害はどんどん大
きくなる。ずに、球は点々外野を転がってだ。あわてた三塁手がエラーした球を
取りに行こうものなら、一塁ランナーを三塁に刺すこともできなくなる。
　
　言葉にしてしまえば、簡単なことだけど、仕事上で、こういうケースとエラー
の重ね掛けは驚くほど多いはずだ。

　ゲームの仕様書でも、完成した文書は、まず嫁と柴尾英令くんのふたりに送る。
　柴尾英令くんがチェックして、その文書をもう一度私に戻す場合もあれば、そ
のまま札幌に送ることもある。
　柴尾英令くんの仕様書も、必ず私と嫁に送り、チェック後、札幌に送るように
している。

　このシステムの徹底を、ハドソン側にもお願いした。
　結果、梶野竜太郎くんが、巡回コーチ、もしくは、ヘッド・コーチ。サッカー
でいえばボランチの役を担うことになりそうだ。

『桃太郎電鉄』シリーズの構造改革は、２年目も続く。
『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』と、『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』。あと２本で、こ
の仕事システムを理想形にまで持ち上げられたらと思っている。
　ゲーム作りは、本当に命を縮めるような過酷な仕事なので、このシステムが構
築できなければ、私の身体と神経が持ちそうにない。
　スクウェアとエニックスが合併するせちがらいゲーム業界だ。
　基本に立ち返って、ボールを捕球したら、内野に回して「声を出せ〜〜〜！」
くらいのことをやって、チーム一丸とならなければ、あっというまに脱落してし
まう。





　午後４時。井沢どんすけが到着して、ハドソンとの会議は終了。

　このあと、柴尾英令くんが作ってきた『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』のマップにあれ
これ注文をつける。
　へっへっへ。笑っちゃうほど、『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』は斬新なゲームですぞ。
　引き続き、土居ちゃんと、『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』のゲスト・ボンビ
ーと、『地方編』の目玉キャラのデザインを打ち合わせる。
　すでにこのやりとりは、２度目。
　まだまだＯＫを出さない。
　基本方針は定まったものの、土居ちゃんが描きこむことで、キャラに魂が入る
まで、じっと待つ時期だ。
　投手の「投げ込み」のようなものだ。
　ブラックボンビーにしたって、何10回描き直したかわからない。
　キャラが最終的にフィックスできた頃には、曲のイメージがズレてしまったの
で、わざわざ違う曲をお願いした。
　そのくらいゲスト怪獣には気をつかっている。
　漫画家さんでも、主人公キャラは、単行本３巻目ぐらいで、手になじんだ絵に
なることが多い。
　それを短期間で、手になじんだ絵にしてくれと、土居ちゃんに要求している。
　やるときは、やるんですよ、私たちも。

　井沢どんすけは、脇でのんきに『おいしい桃鉄』（小学館）の校正。
「どうだ、井沢どんすけ？」
「お腹が減って来ました！」

　午後６時。うちの家族３人と、土居ちゃん、柴尾英令くん、井沢どんすけの６
人で、赤坂の塩しゃぶしゃぶお店「食神（しょくじん）」へ。
　ここには『桃太郎電鉄』好きの元相撲取りさんがいる。

「あっ。さくまサン！　おひさしぶり〜！
「こんにちわ〜！　寒くなったら、このお店を思い出した！」
「さくまサン、テレビで見ましたよ！」
「がちょーーーん！」
　どうもあの番組を見た人が、やたらと多い。





　この元お相撲さん、本気で「ジャパンカップ」の東京大会に出たいらしい。
　ひょっとしたら、東京大会に来そうだ。

「いやあ！　おいしいなあ！　おいしいなあ！」
　柴尾英令くんは、このお店が大好きである。
　ちゃんこ鍋だ。
　柴尾英令くんが好きに決まっている。
　ここのは塩ベースのちゃんこ鍋なので、口当たりが非常にいい。
　柴尾英令くんが好きに決まっている。
　最後に残ったスープにちゃんぽん用の麺を入れて、ぐつぐつ煮る！。
　柴尾英令くんが好きに決まっている。
　ちゃんこ鍋はデブが食べるものの筆頭だ！
　柴尾英令くんが好きに決まっている。

 
 



　きょうは、土居ちゃん（土居孝幸）に、鍋からキングボンビーが顔を出してい
る絵を描いて、私、柴尾英令くん、井沢どんすけのサイン入りの色紙を描いたの
で、ちゃんこ鍋が食べたくなったら、ぜひともこのお店へ。

「ごちそうさま〜！」
「これで、きょう体重が増えすぎなかったら、また来ますね〜！」と言って、帰
る。無理だろうなあ。食べ過ぎないようには注意したんだけど。

＜食神・赤坂店>
住所：東京都港区赤坂５の１の３８ 赤坂東商ビルＢ１
電話：０３（３５６０）５０３３
営業時間：１１：３０〜１４：００　１８：００〜２３：００
備考：塩ちゃんこ

　午後７時３０分。喫茶店でコーヒー。
　私と嫁以外は、全員コーヒーにケーキという素晴らしい人たち！
　ちゃんこ鍋のあとに、ストロベリーケーキを食べるか、柴尾英令くん！　うち
の娘のモンブランケーキまでもらって食べていたぞ！

　午後８時。喫茶店で、土居ちゃん、柴尾英令くんと別れて、家族３人と井沢ど
んすけの４人で、自宅へ。

　午後８時３０分。帰宅。
　井沢どんすけがプレイする『トルネコの大冒険３』を見る。





　スーパー・テスト・プレイヤー・井沢どんすけは、その称号にふさわしく、の
っけから、スライムに倒され、スライムベスに倒され、スライムに倒される。
「おいおい！　おいおい！　井沢〜〜〜！」
「あれ〜〜〜、おかしいなあ！」
「まだ一匹も倒していないぞ、井沢〜〜〜！」
「変ですねえ！」
「変なのは、おまえだ！」
「難易度高いですよ、このゲームは！」
「最初の洞窟で、スライムに負けるやつに難易度を語る資格はない！」
「えへえへえへっ！」

　井沢どんすけが異能なのは、スーパーファミコンの時代から、『トルネコ』シ
リーズをやり込んでいるのに、すっかりシステムを忘れていることだ。
　毎回スライムに先制攻撃を受ければ、洞窟の外に追い出されるのも無理ない。
「あれ？　何だ？　股間から変なものが出てるぞ！」
「それはトルネコが今どこを向いている示しているだけだぞ！　弓をつかうとき
のものだ！」
「そうかあ。水みたいなものが、飛び出ているから、おしっこかと思いましたよ！」
　そんなゲーム、いまどきあるか！

「やった！　最初の洞窟、クリア！　あっけないなあ！」
「こっちはじゅうぶんおなじ洞窟を何度も見させられたよ！」
　
　この後ようやく、テンポを思い出したようで、「いざないの洞窟」は、すいす
い地下２階、地下３階、地下４階へ…と思ったのだが…。
「井沢！　さっきから女にばっか攻撃させているじゃないか！」
「えへえへえへっ！」
「あいかわらず人使いの荒いやつだなあ！」
「えへえへえへっ！」
「傍観してるなよっ、井沢！」
「えへえへえへっ！　女の人のほうが、強いから！」

「ああ！　危ない、危ない、ああ！　死んだ〜〜〜！」
　井沢どんすけが自力で戦ったら、負けてしまいました。
　まったく、ひどいプレイヤーだ。

　午後１１時。
「井沢くん！　そろそろ私を寝させてくれんかね？」
　井沢どんすけは、ゲームを気に入ってしまうと、「帰れ！」と言わないかぎり、
いつまでもやってしまうのだ。
　反対に気に入らなければ、２０分で、さっさと「ちょっと仕事が…」と言って
帰ってしまう。
　そういう男である。

『トルネコの大冒険３』は、いいゲームの判定が出たようだ。
　このゲームの続きを、井沢どんすけに夜からやらせるのはやめよう！