１０月６日（日）

　昨夜、私は早めに寝た。
　井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キンテツの『桃太郎電鉄１１〜ブラックボ
ンビー出現の巻！』１００年戦争を、いっしょに見ていたら、身体が持たない。
　私が寝ている間に、とんでもないことが起きていたそうだ。

　石川キンテツくんが独走しっ放しに対して、井沢どんすけとすとろう小泉くん
が同盟を締結。不可侵条約と協商条約を結び、石川キンテツ追い落とし体制に入
ったことは、昨日お伝えした。

　２９年目。すとろう小泉くんは、目的地であるハワイに入った！
　すると、目的地到着５０件目記念で、記念仙人から、ゴールドカードをもらっ
たのだそうだ。
　すると、同盟を結んでいたはずの井沢どんすけが、動いた！
　カード交換カードで、ゴールドカードを奪い、わざわざ４進めるカードで、幕
張のネズミ―シー５５５億円を、５５億円で購入したというのだ！
　しかも、井沢どんすけは、すとろう小泉くんがゴールドカードを手に入れた瞬
間から、くすくす、笑いをかみ殺していたというのだから、人が悪い。

　すとろう小泉くんが「さくまサンが、いつも井沢さんのことを、敵に回すと恐
いが、味方にするともっと恐い男だっていう意味が、初めてわかりましたよ！」
　そういうやつなのだ、井沢どんすけという男は！

　その後、すとろう小泉くんと石川キンテツくんは再び条約を結ぶ！
　そして共通の敵となった井沢どんすけのネズミ―シーに対して、毎年、毎年、
収益率０％カードをつかい、ずっと収益を出させないという、大人げもなければ、
見苦しいかぎりの死闘が、３４年目まで続いたそうである。
　何やってんだか！

　午前７時。私は『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』の仕様書の続き。
　今回も登場するカードの再チェックに入っている。
　ほとんど「※変更なし」のマークを入れればすむと思いきや、小刻みにもっと
便利に、もっと楽しくなるような改良点が記入された台帳があって、これを反映
させて行く作業だけで、気が遠くなる！

　たとえばオレンジカードの消滅期間をほんの少し長くするだけでも大変だ。
　あらゆる場面を検討した上で、５／３２の確率を４／３２に変更するような緻
密だ。仕事自体が、ほとんど囲碁とか将棋の大局のような時間の流れ方になって
しまう。




　午前１１時。私、嫁、井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キンテツの５人で、
長谷の「ベェルグフェルド・カフェ」へ。
　ベェルグフェルド・サンドにコーヒー。

　ここで先ほどの井沢どんすけの理不尽な条約破棄の話を聞かされる。
「えへえへえへっ。こんなおもしろいゲームはないと思いますよ！」
　そりゃあ、うれしいだろう、井沢どんすけ！
　他人から奪ったカードで手に入れた物件から、毎年８７億円も利益が出るのだ
から！

　午後１２時３０分。あと少しだけでも『桃太郎電鉄１１〜ブラックボンビー出
現の巻！』をやりたいというので、寄り道もせずに、鎌倉長谷の仕事場に戻り、
３５年目からの対戦。

　３日目だというのに、どっこいズ（井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キンテ
ツ）の３人は、笑ったり、ののしったり、大忙しだ！
　この３人は、「私に対して取り入ろうとしてこんなに愉快に楽しそうにプレイ
しているだけなのでは？」と疑心暗鬼になるほど、うれしそうに『桃太郎電鉄12
（仮）〜地方編』をやってくれる。
　なにしろ、私が「キングボンビーのサイコロ１０個攻撃は多かった？」と聞い
ても、最初のうちこそ、「そんなに出なかったですね…」と言っていたけど、気
がつけば、私をそっちのけで、３人で、唾を飛ばして言い合う。

「石川キンテツのときは、まったくサイコロ１０個攻撃が出なかったじゃないか！」
「ボクんときは、サイコロ１０個攻撃ばっかですよ！」
「おまえのときは、潮騒攻撃で、沖縄とか、ちっともお金を奪われないじゃない
か！」
「そんなことないですよ！　ボンビラス星に行きましたよ！」
「石川のときは、貧乏神は、絶対ミニボンビーになっちゃうんだよなあ！」
「オレのときなんか、貧乏神がついたとたん、キングボンビーに変身だよ！」
　学生さんの会話を聞いているようである。

　午後２時。３８年目で、一時休戦。
　このデータを残しておいて、来月、３９年目から続きをプレイすることになっ
た。

　３９年目の途中経過。
＜収益率＞
１位・井沢どんすけ　　１２７億５６２０万円
２位・石川キンテツ　　　７４億６６８０万円
３位・すとろう小泉　　　　２億９７００万円

＜総資産＞
１位・石川キンテツ　１５９０億７９８０万円
２位・井沢どんすけ　１３５７億８６７０万円
３位・すとろう小泉　　　３７億３１００万円

　しかしまあ、こっちは仕事をしながら、３人の対戦をずっと見ていたんだけど、
肩はぱりんぱりん！　背中には、鉄板が入ったかのような懲り方だ。
　目も疲れた。
　若い頃なんて、どんな疲れても、目薬なんてものは、効かないものだと思って
いたけど、今や目薬無しでは生きていかないほどだ。
　う〜、背中が痛い。とんとん！

　午後２時２９分。長谷駅から、江ノ電で、鎌倉駅へ。

　午後３時３６分。鎌倉駅から、横須賀線に乗車。
　車中、今後の『桃太郎電鉄』について、井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キ
ンテツの３人に、あれこれ事情聴取！　３人は容疑者か？




　井沢どんすけ大先生から、貴重なるご意見を拝聴し、ただでさえ遅れ気味の
『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』の仕様書作りの分量を増加させていただき、
さらに完成が遅くなりそうだ。
　井沢どんすけは、ゲームの核心を突くような意見を言うからなあ。
　本人は、まったくそういうつもりで言っていないようなのだが。
　とにかく『桃太郎電鉄１２（仮）〜地方編』で、苦しんでいた胸のつかえが取
れた！

　午後４時。品川駅で、どっこいズの３人と、別れて、原宿の自宅へ。
「いやあ！　疲れた！　疲れた！」といいながら、ベッドにひっくり返る。
　このまま少しは休めばいいのに、おもむろに条件反射のように、スカイ・パー
フェクＴＶのスイッチを入れてしまう。

　「横浜ＶＳ中日」戦だ。
　８回表。今年の横浜ベイスターズ、最後の夢である、新人王候補の吉見祐治投
手が投げているではないか！
　しかも４対２！　かろうじて、リードしているではないか！
　これはいい場面から見たもんだ！

　えっ？　先日プロ入り３１打席目にして、初ヒットを打った七野（しちの）く
んが、初ホームラン打ったの？　それは最高だ！
　よっしゃ！　吉見！　１１勝目を飾って、新人王を不動のものにしろ〜！

　えっ！　あっ！　うげっ？
　し、し、しまった！　最近、私が横浜ベイスターズの試合を生放送で見ると、
負ける、逆転されるというジンクスを忘れていた！

　あっ。あっ。あ〜〜〜、やめろ〜！
　１点入ってしまった。

　うげげげげっ。２点目が…。
　４対４の同点だ…。

　なんとか吉見投手は、踏ん張ったけど、４対４。
　新人王を取らせるために、続投するしかないというムチャクチャな選手起用。
　でもなあ。今年、同点されて、勝ったためしないからなあ。
　延長戦でのさよなら勝ちはないし…。

　ふごっ！　おおおっ！　ランナーが出た。
　塁が埋まる！　塁が埋まる！
　満塁だ！　ノーアウト満塁だ！
　ここで、以前延長戦でノーアウト満塁で、併殺打を打った、ボイ・ロドリゲ
ス！　嫌なキャッフフレーズだ…うおおおお、打った、打った！

　おお！　さらに、加点！
　おおおお！　ひさびさのマシンガン打線だ！
　一挙、６点！
　１０対４！
　二桁得点なんて、何ヶ月ぶりだ！
　８月３０日以来じゃないかな！
　う、う、うれしい！
　今年いちばん、うれしい勝利かも。
　巨人の優勝が決まった今こそ、稼ぎ時だ。
　シーズン中の１勝も、消化試合の１勝も、横浜ベイスターズ・ファンにとって
は、おなじ価値の１勝だ！

　新人王候補の吉見投手が、１１勝！
　和製大砲・七野（しちの）内野手が、初ホームラン！
　来季の４番打者・古木克明内野手が、またしてもホームラン！

　ほら、ほら！　ヤング・ベイスターズたちが、私がこの日記で、仮想打順を書
いたとおりの活躍を始めたぞ〜！
　来シーズンが、ようやく楽しくなって来た！

　午後５時３０分。家の裏の佐藤志靖さんの美容室『レ・ザンジュ』へ。
　今週、またしても四国へ行くので、もはや美容室に行くのは、この時間しかな
い。

　午後８時。嫁と近所の「香港屋台・九龍（くーろん）」へ初挑戦。
　名物が、ドラゴン麺というので、注文したら、奇抜なものが出て来た。
　角煮の大きなものが、でーーーんとふたつも乗り、煮玉子が１個。
　ここまでなら、ふつうのパイタン・スープのこってりラーメンだ。
　これに、串に刺したタコが乗っている。
　トマトをふたつに切って、煮たのまで入っている。




　味のほうは、けっこういい味。
　ただ店内を見渡すと、若いカップルだらけ。
　それだけに、味が濃い。
　焼き餃子も美味しいはずなのに、惜しい。
　いかにも油を引きまくったフライパンで焼いたであろうこの餃子の色は、まん
まと黒々！
　赤い唐辛子がなかに入っていて、これでいい油をつかっていたら、絶対話題の
餃子になったと思うなあ！
　嫁が食べた、酸味が強いサンラータンメンも、美味しかったようだ。

 


　またこのお店には、来るかも。
　もう一度来て、よかったら、お勧めマーク！

　午後８時３０分。自宅に戻る。
　文豪・井沢どんすけ大先生から、いただいた『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』
の宿題を始める。
　まったく、敵に回すと恐いが、味方にするともっと恐い男だけに、おもしろい
アイデアなんだけど、資料を探すのも大変。仕様書の書き方も面倒。チューニン
グも取りづらいネタ。

　でも他人に出されないと、自分からは書きづらい、怠けたいネタというものは
あるものだ。
　井沢どんすけのいうことを聞いて、必死に作ったものが、どっこいズ（井沢ど
んすけ、すとろう小泉、石川キンテツ）の爆笑を生むのだから、作者としては応
じずにはいられない。

　今夜は、既存のカードの再チェックを中止して、井沢どんすけ大先生の宿題に
取り組む！　とほほ…。