8月28日(水)

 きょうは夜まで、モンテカルロ・ラリーのように、時間が主役で、時間を追い
かけながら、あっちこっち駆け回る1日。

 午前10時30分。家族3人で、高円寺の整体さんへ。
 ここ1ヶ月間ずっとおなじ姿勢で、テスト・プレイしていたので、すっかり身
体が曲がってしまっていたようだ。
 やっぱり、ゲームは身体によくないよ。

 高円寺は、「阿波おどり」の真っ最中。
 ふだん何もない道路に、見物席が設けられているのが、奇異。

 午後12時。高円寺の「フレッシュネスバーガー」。
 スモールサイズのネギミソバーガーと、フレッシュネスバーガーにコーヒー。
 最近このスモールサイズを注文するのが、マイ・ブーム。

 午後1時30分。総武線千駄ヶ谷駅から、自宅へ。
 15分間だけ、『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書作り。

 午後2時。佐藤志靖さんの美容室『レ・ザンジュ』へ。
「時間がないんで…」と、思い切り佐藤志靖さんをせかせてしまう。
 でも本当に、きょうは時間がないのだ。
 ひとつ狂うと、ゴールの午後6時にたどり着けなくなる。

 午後4時。家族3人で、渋谷の西武百貨店B館8F美術画廊へ。
 高校時代の同級生で、洋画家の北見隆くんの個展『西方航路』を見る。
 世間的には、赤川次郎さんの本の表紙の挿画で有名な作家さんだ。

 きょうが初日。
 明日から私は京都に行ってしまうかもしれないので、個展を見るには、きょう
しかなかった。
 私よりも、すっかり嫁と娘が、北見隆くんの絵のファンになってしまっている。  ちょうど初日で、北見隆くんもいたので、しばらく昔の思い出談義や、お互い 50歳になっちゃったね談義。  高校時代から30年も過ぎているので、お互いが繰り出す同級生の名前が、通 じなかったりする。忘れてるもんなあ。
 最後に、北見隆くんのほうから、本を出版するときは、絵を描いてもいいよと いってくれた。  それは、うれしいけど、北見隆くんの高級感のある絵と、私の仕事内容とが、 イメージに合わないなあ。  まずは、お下劣な絵でおなじみの土居ちゃん(土居孝幸)とのコンビを解消し てからだなあ。はっはっは。  世間のみなさんは、『桃太郎電鉄』というと、私のイメージだと思っているけ ど、『桃太郎電鉄』は、土居ちゃん(土居孝幸)の色がいちばん濃いんだからね。  私とカズ坊(関口和之)は、無理して、土居ちゃんのうんち、オナラ、貧乏神 ネタに合わせているだけだからね。  本当は、私は北見隆くんの絵のような、芸術性の高いお仕事が、本来の姿なん だよ。へへへのへ。  午後5時。西武百貨店3Fの「エバンタイユ」で、ロールキャベツ・セットに コーヒー。時間がないので、早く食べられるものを。  娘が、北見隆くんのことを「素敵な叔父様って、感じだね!」と言っていたの には、ちょっとびっくり。  高校の同級生が、自分の娘から「素敵な叔父様」と言われるようになるとは思 わなかった。  だって、映画『ウォーターボーイズ』の矢口史靖監督に、もし娘さんがいたら、 その娘さんが「井沢どんすけサンって、素敵な叔父様って、感じだね!」って言 っているようなもんだからなあ。  いかん。いかん。また井沢どんすけをつかって、安易なたとえ話をしてしまっ た。  午後5時30分。渋谷駅から、山手線に乗車。  午後5時50分。池袋駅で下車。  東京芸術劇場まで、汗びっしょりになりながら、ひた走る。  ジョージ・ルーカス監督のILMの特殊撮影スタッフが描いたような、長い長 いエスカレーターを昇る。この劇場は、このエスカレーターがあるので、高所恐 怖症の私は苦手。  しかも、昇り切ったところには、東武練馬の「肥中年」、空気男爵、怪獣ブー スカ、ガリガリ博士(なぜ、ガリガリ博士なのかは、後述)こと、柴尾英令くん が、にこにこ笑いながら手を振っている。  午後6時。池袋東京芸術劇場大ホールにて、『第16回ファミリークラシック コンサート〜ドラゴンクエストの世界』を鑑賞。  今回のプログラムは、『ドラゴンクエストIV』の曲が中心。  もちろん指揮は、すぎやまこういち先生。  演奏は、神奈川フィルハーモニー管弦楽団。  ゲスト・コンサート・マスターは、朝枝信彦さん。  黄金トライアングルだ!  会場は、2000人のお客さんで超満員。  すごいよなあ。  ゲームが発売された直後でもないのに、満員だよ。  出版業界では、初版3000部の本が売り切れなくて困っているというのに、 2000人だよ! 脱帽の動員力だ。  でも、やっぱりたくさん経験値をもらえるような音楽だもん。  朝枝信彦さんのソロになると、ああ! こんな風に演奏されるゲームを作れる なんて、うらやましいなあ!と、つくづく思うもんなあ。 『ドラゴンクエスト』の作者・堀井雄二くんも来てましたぞ。  やっぱり、お下劣な作風の土居ちゃん(土居孝幸)とのコンビを解消して、芸 術作品を作らないといけないかなあ!と、ここでもギャグをひとつ。  第一部・終了。 『ドラゴンクエスト』のコンサートや、朝枝信彦さんのコンサートで、よく会う、 小学生のときに『桃太郎伝説』をクリアしたという、上原悟くんが、きょうも来 ていた。 「さくまサン! いつも日記で柴尾さんのこと、空気男爵! 空気男爵って、書 いているけど、そんなに太ってないじゃないですか! 格好いいですよ!」 「格好いい? 君ね、それだけ立派な嘘をつけれるなんて、大人になったら、偉 くなるよ!」 「何言ってるんですか、さくまサン!」と、柴尾英令くん。 「そうか。空気男爵という言い方は、逆効果だったなあ。水前寺清子さんや、和 田アキ子さんのことを、男っぽい、男っぽいというと、女性らしさが際立つよう なものだな!」 「何を考えているんですか、さくまサン!」 「ふむ。これからは、柴尾英令くんのことを、空気男爵と呼ばずに、1919年 のドイツ映画『カリガリ博士』にちなんで、『ガリガリ博士』と呼ぶことにしよ う! ガリガリのやせっぽち!」 「何考えてんだ、このおっさんは!」  上原悟くんとは、ここ2〜3年、コンサート会場で会い続けている。  今年、17歳になった上原悟くんは、朝枝信彦さんの影響で、ヴァイオリンを 始めたそうだ。  いいねえ。いいねえ。  私だって、中学1年生のとき、荻窪公会堂で、『思い出の渚』のヒットで知ら れる、加瀬邦彦とザ・ワイルド・ワンズのコンサートを見なかったら、この業界 に来なかっただろうと思う。  人間、人生の転機がどこに転がっているかわからない。  でも、チャンスは町にしか転がっていない。  家にいては、チャンスはやってこない。  第2部も、『ドラゴンクエストIV』からの曲。  なつかしいメロディがメドレーになって、次々に奏でられる。  HPが少なくなってきた気分になる曲もいくつか。    アンコールで、とんでもないことが起きた!    な、な、なんと、あの『亜麻色の髪の乙女』を演奏してくださったたのだよ〜 〜〜!  うわあああん。私はこの時代の曲には、滅法弱いのよ〜〜〜!  思わず、涙腺緩んで、ナイアガラですだよ。  まさか、『亜麻色の髪の乙女』を、朝枝信彦さんの演奏で聴けるなんて!  思わず、「先生! これ、レコーディングしましょう!」と、心のなかで、叫 んでいた!  ああ! 来て、よかったあ!  昨日、テスト・プレイが完了していなかったら、来れないところだったよ〜!  嫁と娘に、さんざん羨ましがらされるところだったよ〜!  しかも、アンコール2曲目が、『花の首飾り』だよ!  あんぎゃあ、ほんぎゃあ、ひんぎゃあ!  すぎやまこういち先生は、きょう来てくれたお客さん全員にサービスとして、 この2曲を加えてくだったのだろうが、この2曲は、断じて、私のものだ。  この会場で、私より感動している人は、絶対いないはずだ。  あっ。前の席のお年を召した女性が、ハンカチで涙をぬぐっていた。  くそっ。こんな近くに、もうライバルがいたか。 「『亜麻色の髪の乙女』も『花の首飾り』もきょうの編成に合う曲ですねえ!」 と、柴尾英令くん。 「いや、これは過去のすぎやまこういち先生の名曲を集めて、神奈川フィルwi th朝枝信彦さんで、絶対レコーディングすべきだ!」 「CDで出たら、いいですねえ!」 「私はもう曲順まで考えているぞ!」 A面:          B面: ・花の首飾り       ・シーサイド・バウンド     ・モナリザの微笑     ・ハウス・バーモント・カレーだよ〜! ・恋のフーガ       ・涙のギター ・ヒットパレードのテーマ ・君の誕生日 ・銀河のロマンス     ・君だけに愛を ・ローマの雨       ・虹のキャンドル ・遠い渚         ・ロッテの小梅ちゃん ・学生街の喫茶店     ・落葉の物語   たしか、レオ・ビーツの『貴族の恋』も、すぎやまこういち先生の作品だった ような気がするんだけど。違ったかなあ。ああ! 古いレコードは、ぜんぶ鎌倉 の仕事場にあるのだ。もどかしい。    はっ。し、しまった!  私が横浜ベイスターズ並みに、すぎやまこういち先生のおたくだったことを満 天下に知らしめただけではないか。  でも、こんなCD、絶対ほしい!  午後9時。東武百貨店11Fの「みさき亭」で、うちの家族3人と、柴尾英令 くんの4人で、マグロ料理をつつく。
 午後10時30分。帰宅。  明日から、私は京都に行くはずなのだが、どうも大型台風が来ているようだ。  どうも今年は、台風に足止めを喰らうことが多いなあ。    明日は、天気次第で、予定変更。
 
さくまNEWS

●9月21日(土)午後7時開演 浜離宮朝日ホール(築地)全席指定6000円
アマデウス・アンサンブル東京--バッハを弾くよろこび、聴くたのしみ--」


※業界の方で鑑賞希望の方は、うちの嫁まで、9月10日(火)までにご連絡ください。
 メールはこちら→sakumacb@za2.so-net.ne.jp

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