8月11日(日)

 昨夜、私は午前2時近くで、先に寝た。
 その頃、『桃太郎電鉄11(仮)』のテスト・プレイは、18年目だったの
で、井沢どんすけも、ストロウ・ドッグスのふたりも早く寝たと思ったのだが、
今朝の午前5時までかかって、予定の20年まで行ったそうだ。

「井沢〜! 何で18年目から、20年目まで3時間もかかるんだよ!」
「キングボンビーが出ると、みんな遅くなっちゃんですよ!」
「本当は午前4時過ぎに、20年目になったんすけど、それから反省会をみんな
で始めてしまったもんだから!」
 作者としてはうれしいかぎりだが、本当に身体ぼろぼろになるまで、真剣にプ
レイして、泥のように寝ている若者たちであった。
 午前11時。 きょうから、嫁の弟夫婦と子どもたちが来ている。朝、着いて 海で遊んできて、すでに2階で休んでいる。  入れ違いのように私と嫁と、由比ガ浜の海岸へ。  少しだけ日光浴。  きょうは風が強いので、暑くても気持ちがいい。
 午前11時30分。仕事場に戻って、うちの娘、井沢どんすけ、ストロウ・ド ッグスのふたりを連れて、長谷の「ヴェルグフェルド」へ。  昨夜、『桃太郎電鉄11(仮)』のテスト・プレイで、私が見ていない期間の 出来事をあれこれ事情聴取。  今後の作品を方向付けるような貴重な意見を聞くことができた。  何気なくゲームの根幹を揺るがせるようなことをいう井沢どんすけである。  午後1時30分。そのまま由比ガ浜の海に出てみるが、白い肌ぞろいのメンバ ーなので、見事に海辺の景色から浮く。 「投稿者には、海は似合わないですね!」 「戻って、テスト・プレイの続きをやりますか?」  少しは海を見たいだろうという親心で連れて来たのだが、ゲームのほうを選ぶ とは、作者としてはうれしい。でも若者としては問題ありだな。  仕事場に戻って、『桃太郎電鉄11(仮)』を21年目から再開。  終了年数を、25年に延長する。  かなり1位〜3位までの差は縮まって来たようだ。    ★22年目総資産    1位・すとろう 328億4470万円    2位・きんてつ 227億6700万円    3位・どんすけ 142億3530万円  常に一桁違っていた井沢どんすけが、おなじ桁数に追いついた!  すとろう小泉くんと、石川キンテツくんは、5年おきぐらいに順位が変わる。  その後、一進一退を繰り広げたが、じわりじわりと、すとろう小泉くんが首位 になることが増え、定着し始める。  しかし、思わぬ劇的なドラマが待っていた!  24年目7月。すとろう小泉くんが、貧乏神をつけたまま、下関の上の黄色マ スからぶっとびカードをつかったら、なんと、2マス先の小倉駅に! 「わっはっはっは!」 「えへえへえへっ!」  大喜びする、井沢どんすけと石川キンテツくん。  しかもそのまま貧乏神が「おや?」 「キ〜〜〜〜〜ング・ボンビ〜〜〜!」 「うわあああっ!」 「ひいいいいいっ!」 「やったあ!」  キングボンビーに変身すると、井沢どんすけと石川キンテツくんは、ガッツ・ ポーズ! 「よっしゃあ!」 「やった! えへえへえへっ!」  60億円ほど持って行かれる、すとろう小泉くん。 「いいゲームだ!」 「おもしろいゲームだあ、これ! えへえへえへっ!」  ソファーにひっくりがえって無言のすとろう小泉くん。  ストロウ・ドッグスのふたりは同盟を結んで、井沢どんすけに対抗するといっ ていたのだが、けっきょく石川キンテツくんか、すとろう小泉くんが首位に立つ と、井沢どんすけと同盟を結ぶという図式が自然に出来上がってしまった。 『三国志』の昔から、弱いもの同士の同盟は、必然のようだ。  おお! 24年目にして、ついに井沢どんすけがこのゲーム初めて2位に浮上!  すとろう小泉くんが、キングボンビーを浴びまくって、1位から一挙に最下位 まで転落したのだ。  本当にこの3人、実力が拮抗…、いや、どっこいどっこいなので、いつのまに か上下が縮んでくるのだ。  25年目。一応、今回のテスト・プレイは、25年で終了を予定していたので、 いよいよ最後の年!  4月にいきなり、劣勢のすとろう小泉くんが、ゴールドカードを入手!  井沢どんすけ、石川キンテツ連合軍が「やばい! やばい! やばい!」と色 めき立つ!  11月。首位を行く石川キンテツくんに、井沢どんすけがデビル派遣カードを つかう! しかもご丁寧に、井沢どんすけは石川キンテツくんが持っていたブロ ックカードを2枚奪ってから、デビル派遣カードをつかう横暴さを見せる。 「井沢さん! キングボンビーがいたときに、釧路に入らずにいてあげたじゃな いですか〜!」 「えへえへえへっ!」 「井沢さんと石川の蜜月時代もこれで終わりだな!」と、すとろう小泉くん。 「どうだ、石川キンテツくん! これが敵に回すと恐いが、味方にするともっと 恐い男・井沢どんすけだよ!」 「ひどいですよね〜!」  さすがに最後の年になると、同盟も共闘もへったくれもない。  これですっかり1位の行方がわからなくなった。  最後はみんな持ち金が無くなるまで、物件を買いまくる。  そして、25年モード終了!    はたして結果は?     ★25年目      1位・きんてつ社長 320億5390万円     2位・すとろう社長 298億3540万円     3位・どんすけ社長 232億5460万円  石川キンテツくんが、見事雪辱を果たして、優勝〜〜〜ッ!  それぞれの選手にインタビューしてみよう。  石川キンテツ 「本気を出せば、こんなもんですね!」  すとろう小泉 「きょうは石川のサポート役に徹していましたから。とりあえず井沢どんすけさ んに勝てたのが、うれしいっすね!」  井沢どんすけ 「なぜこうなってしまったのか、わからない!」
 午後6時。江ノ電で、江ノ島駅まで行って、「舟善(ふなぜん)」へ。  メンバーは、嫁、井沢どんすけ、ストロウ・ドッグスのふたり。  井沢どんすけは、なんとこの「舟善(ふなぜん)」へ来るのは、10年ぶり。  10年前。私は江ノ島駅の近くのマンションを借りていて、ゲームのシナリオ を作るために、井沢どんすけとよくこのマンションにこもった。PCエンジン版 の『桃太郎伝説II』の頃だ。    その頃よく来たのが、このお店。  アジのたたきと、岩のりが美味しいのだ
「なつかしいなあ!」と、井沢どんすけ。 「井沢! 本当に覚えてるのか? 井沢の記憶はいいかげんだからなあ!」とい うと、お店の叔父さんが「昔はもっとかわいかった!」と、ギャグを飛ばす。 「お父さん、本当に覚えているのかなあ!」  午後7時。井沢どんすけとストロウ・ドッグスのふたりは、小田急片瀬江ノ島 へ向かい、私と嫁は、歩いて、腰越(こしごえ)駅まで。  この腰越駅までの道は、昔よくスイカを買いにいったスーパーとか、『ジャン プ放送局』のコミックスが全巻揃っている不思議な本屋さんとかがあった。  そんなお店に寄り道して行く。    この江ノ島駅から腰越駅までの景色は、江ノ電の素晴らしい景色のなかでは、 2番目の絶景ポイントといわれいる。  もちろん、いちばんは、鎌倉高校前駅の海の景色だ。  この2番目の景色は、ここだけ江ノ電が道路を走る。  ほかは専用軌道を走るのだが、ここだけ車といっしょに走る路面電車になる場 所なのだ。「電車接近」という大きなネオンが立っている。
 腰越駅にもう少しというところで、江ノ電に抜かれる。  もう間に合わないなとあきらめようとすると、江ノ電の車掌さんが「乗ります か?」という。自動販売機が間に合わなさそうなので、遠慮しようとすると「な かでキップ売りますよ!」といって、乗ることができた。
 都電荒川線みたいなのどかさだ。  午後7時30分。長谷の仕事場に戻る。  テスト・プレイのデータをまとめる作業がまだ残っている。  きょうがテスト・プレイのひとつのピークだ。  25年という長期に渡って、致命的な部分はひとつも出てこなかったので、ひ と安心。  データをまとめる作業の多くは、次回作品用だ。  もうほとんど気になる部分は、なくなって来た。  あとは突拍子も無いことをしでかしてくれるテスト・プレイヤーさん待ちと、 音楽、SE関係のタイミング・チェックだけ。  いよいよ『桃太郎電鉄11(仮)』のゲーム作りも大詰め。
 
さくまNEWS

●9月21日(土)午後7時開演 浜離宮朝日ホール(築地)全席指定6000円
アマデウス・アンサンブル東京--バッハを弾くよろこび、聴くたのしみ--」


※業界の方で鑑賞希望の方は、うちの嫁まで、8月31日(土)までにご連絡ください。
 メールはこちら→sakumacb@za2.so-net.ne.jp

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