7月15日(月)

 午前11時30分。嫁と、銀座の「渡辺内科クリニック」へ。
 きょうの血圧は、132ー94。
「う〜ん。下がちょっと高いですね〜!」と、院長先生に言われる。
 土曜日のストレスは、1日休んだだけでは、回復しなかったか…。

 午後12時。血圧が高かった日は、カロリーが高い物を食べないようにするの
だが、ストレス過多なので、いっそ、美味しい物を食べて、ストレスを吹き飛ば
すことにする。

 私が、食べることによって、ストレスを吹き飛ばせるお店は、3件である。

   ・「プティ・ポワン」
   ・「京都・特に名を秘すM」
   ・「てんぷらの近藤」

 この3件は、見事にストレスも吹き飛ばしてくれるけど、財布の札束も吹き飛
ばしてくれる! よい子のみんなは、真似してうっかりこの3件に気軽に入らな
いように。

 銀座なので、「てんぷらの近藤」だ。
 運良く予約できた。
 予約を入れたところで、ハドソン宣伝部の梶野竜太郎くんから電話が入る。
 用件はわかっている。
 土曜日の私の日記だ。

 別に今のスタッフに対して、悪意は持っていない。むしろ、本当に一生懸命働
いてくれているからこそ、よけい、、元ゲーム・ディレクターの悪事が際立って
しまっているだけだ。
「どうせだから、梶野くんもおいでよ! おいしいよ!」

 午後12時。「てんぷらの近藤」へ。
 このお店は以前、みゆき通りにあったのだが、ビルの改装で、来年の11月ま
では、銀座5丁目のあづま通りで、仮営業している。
 こっちに移ってから、来るのは、初めてだ。
 ご主人が、私と嫁の来訪を、心から喜んでくれたのが、うれしい。
 笑顔は大事ですよ。

 梶野竜太郎くんが到着。
「日記の件でしょ?」
「いや、もう、本当にもうしわけなくて…」
「いやいや。今のスタッフが悪いわけじゃないから! ただ本当につらいことだ
けは知ってもらいたかったから!」
 などという会話をちょっとしたあとに、梶野竜太郎くん、最初の海老を口にし
た瞬間、思い切り、目を剥く。
「こ、こ、この味、マジすか!」
 出ました、梶野竜太郎くんの「マジすかあ!」。

 梶野くんは「私の日記のこと」を自分は非常に気にしているということを、私
に伝えたいのだが、いかんせん、このお店は、私がここぞというときにしか来な
いお店。
 言葉より先に「う、う、うまい!」と叫んでしまう。ははは。

 小タマネギの天ぷらが出た。
 これがまた、うまいんだ。
 熱くて、よく唇のなかの皮がめくれてしまうのだ。

 この小タマネギを食べた、梶野竜太郎くん。
「うめ〜〜〜! 警察の取調室で、これ出たら、すぐ白状しちゃう!」。
 なんちゅう表現の仕方だ。

 さらに、梶野竜太郎くんの興奮は続く。
「梶野くん、あそこ見てみ!」
「えっ? あっ? トウモロコシ!」
「そうだよ。梶野くんが、京都の『M』で、マジすかあ!を連発したトウモロコ
シの天ぷらの元祖はここなんだよ!」
「マジすかあ! で、でもトウモロコシの天ぷらの元祖って何すか?」
「京都『M』のご主人に、ここのトウモロコシの天ぷらの話をしたら、うちでも
出来まっせ〜!って、始めてくれたんだよ!」
「へ〜〜〜! 一流って、意地っ張りなんですね〜!」

「梶野くん、実はきょう、このお店は、日食みたいな日なんだよ!」
「何すか、日食って!」
「このお店は全部おいしいんだけど、なかでも、格別に美味しいのが、冬のサツ
マイモ、夏のトウモロコシなんだ!」
「サツマイモ!?」
「でね。きょうは、サツマイモも、トウモロコシもあるんだって!」
「それで、日食すかあ!」

 トウモロコシを食べる。
「うめ〜〜〜! 塩なんかいらないッすね〜!」
 京都の「M」で、トウモロコシの天ぷらを食べて以来、梶野竜太郎くんは、ト
ウモロコシという言葉に弱い。

 サツマイモを食べる。
「ひえ〜〜〜! マジすかあ!」
 この味は、食べた者にしかわからない。

 というわけで、グランドスラムのように、美味しいものを食べ尽くす。
 このお店だけは、お腹がいっぱいになっても、つい、食材を見て、追加注文す
る。

「梶野くん、どうだった?」
「まいりましたよ! 京都『M』は、美味しくても、遠いから行かなくてすむじ
ゃないですか! このお店は、会社から近すぎますよ!」

 午後1時。いやあ。やっぱりストレス解消には、最高のお店だね〜!
 梶野竜太郎くんは、会社に戻る。
 私と嫁は、銀座三越へ。

 私は三越7Fの喫茶店で、お仕事。
 嫁は、ウインドウ・ショッピングへ。
 
 午後3時。帰宅。近所の「らぴす」サンで、アイスココア。

 午後4時。iモード・ゲームの毎月エッセイの新シリーズ原稿を書き始める。
 今月の原稿は、私の旅始めについて。
 きょうは下書きまで。

 午後5時。あれこれ、現在進行中、企画中の仕事の下準備。
『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』のMAPは、すでに完成しているんだけど、毎
日1回は眺めて、どういう戦略をお客さんが思いつくかをシミュレーションして
いる。その予想に基づき、MAPを少しずつ変えて行く。
 こんな作業をもう半年以上続けている。
 きょうも、黄色マスをひとつ減らすかどうかで、延々仮想プレイ。
 地味なお仕事でございますよ。

 午後6時。TVでは各局、田中康夫長野県知事の失職を報道。
 すでに対抗馬として要請を受けていた田中秀征さんが、テレビに出演して、
正式にお断りの電話を入れたといっているのに、まだ県議会の議員たちは、まだ
返事をいただいていないようなことを言ってしまう。

 どうして、あいつら、あとでバレるような嘘を平気でつくかね!

 午後7時。夕方、京都から帰ってきて、うちに来ていた菅沼真理(通称:すが
ねまチャン)さんと、嫁と3人で、ひさびさに西麻布の「たぬき」へ。

 相も変わらず、魚が抜群に美味しいんだけど、お客さんが少ない。
 去年なら、この時間はもう、お店は大行列だった。
 こんなに美味しいのに、お客さんがいないということは、接客の問題だ。
 接客が特別悪いというわけではない。
 ただお店の人たちに、笑顔がないのだ。
 微笑むだけでもいい。
 ひとりだけでも、笑顔をお客さんに投げかけてくれれば、あっという間にお客
さんは戻ってくると思うがなあ…。
 
 うちも、麻布十番の「たき下」の登場により、すっかりこのお店に来なくなっ
てしまった。
「美味しいだけでは、グラフィックがいいだけのゲームとおなじだな」と、他山
の石とせねば。

 午後8時。帰宅。
『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書作り。
『11』では、ほとんどカードを増やすことができなかったから、『桃太郎電鉄
12(仮)〜地方編』では、カードを思い切り増やそうかなと思っている。

 台風7号は、今夜、宮崎か。
 台風が来なければ、断水になるし、来たら、来たで、大洪水を引き起こす。
「てんぷらの近藤」のご主人も、台風のせいで、魚の仕入れに影響が出ていると
いっていた。
 コンピュータ時代になっても、人間は自然とうまく付き合って行かないと、大
変なことになる。
 

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