7月12日(金)

 黒澤映画の『影武者』をビデオで見た。
 もちろん劇場で見たのを含めると、4回目ぐらいだ。

 先日の『スターウォーズII〜クローンの攻撃』を見て以来、CG画像があたり
まえになってしまった私の脳が、CG以前の映画をどう見て、どう感じるか、試
してみたかったのだ。
 それには、ジョージ・ルーカス監督が最も影響を受けた黒澤明監督の映画を見
るのがいちばんだからね。

 いやあ。CG全盛の今の時代だったら、どれだけ『影武者』の合戦シーンは、
楽だったことか!
 でも黒澤明監督が生きていたら、「CGなんてものは、血が通ってないから、
オレはつかわないね!」と言ったかもしれない。
 黒澤監督は『乱』を撮るために、『影武者』の予算で、馬を大量に購入した大
胆な人だけに、CGですむところは、すむように率先してつかったかもしれない。
 黒澤明監督、手塚治虫さんといった、20世紀の巨星たちが、今も存命なら、
CGをどういう風につかっただろうと想像すると、おもしろい。

 私はゲームにおいて、長いことCG否定派だったのだが、『桃太郎電鉄X(ば
ってん)』の仕事終了後、かなり否定の気持ちが薄らいで来た。
 2Dと3Dの共存が可能になったからだ。
 以前から可能だったのかもしれないが、少なくとも私は3D画面に2Dを入れ
ることはできないと教えられてきた。

 具体的にいうと、『桃太郎電鉄X(ばってん)』の九州編のロケット打ち上げ
シーンのように、淋しい画面しか表現できないなら、CGは必要ないけれど、エ
ンディングで、月の上に、土居ちゃん(土居孝幸)ののんきなウサギがはしゃい
でるグラフィックなら、率先してつかいたい気分になっている。

 まあ、いつの世も、正しい最新情報を入手せよ!ということですな。
 古い情報ばかり持っていると、人に騙されることが多い。

 午後12時。嫁と代官山の「トムズ・サンドイッチ」へ。
 ときどき無性に、ここのキャベツ&ベーコンが食べたくなる。
 トーストしたパンに、焼いたキャベツとベーコンが乗っているだけの食べ物だ
けど、美味しいのだ。
 子どもの頃見た、アメリカ映画のおいしそうな食べ物みたいな気がする。
 かつてウエスタン映画を見て、わざわざアルマイトのお皿を買ってきて、煮た
ビーンズを入れて食べたら、「アメリカ人って、こんなものをおいしそうに食べ
てるのか?」と疑問に思ったこともあるけど。

 午後1時。代官山から、中目黒が近いので、「ベイ・ウォッチャー」へ。
 長崎のハウステンボスで見つけた洋服メーカーで、「横浜ベイスターズ・ウォ
ッチャーに通じる」という理由だけで、ずっと買い続けているブランドだ。

 ちょうどバーゲンだったので、どっさり買うぞ!と意気込んだら、Lサイズを
ことごとく買われていて、Mサイズと、LLサイズしか残っていない。
 いいデザインだなと思う洋服は、バーゲン除外品というお定まりのコース。見
事にお店の陰謀にはまる私であった。

 午後2時。帰宅。
『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書作り。
 昨日から、苦しみまくったイベントの仕様書がついに完成した。
 いやあ。うれしけれど、疲れた!

 午後3時。ムサシノ広告の伊東正義、来宅。
 あれこれ打ち合わせ。
 いつもながら、伊東正義との打ち合わせは公表できない。
 公表できることは、先週、伊東正義が私よりも先に50歳になったことだ。

「さくま! 50歳になると、物覚えがひどくなるね!」
「伊東くんは、大学時代から物覚えが悪いから、ちっとも変わっていないぞ!」
「さくま! 50歳になると、体力がガタッと落ちるぞ!」
「私は病気して以来、ずっと体力が増しているから、身体の衰えを感じたことな
いぞ! 日頃の不摂生をやめないから、体力が落ちるだけで、年齢に関係ないよ
うな気がするぞ!」
「そうかもしれないなあ!」
「すぎやまこういち先生なんか、私より20歳も上なのに、私より体力あるし、
私より、たくさん食べるぞ!」
「よし! 50歳になったことを忘れよう!」
 この明朗快活、変わり身の早さが伊東正義の見事さである。

 午後3時30分。柴尾英令くん、到着。
 しばらく、伊東正義と3人で、歓談。

 午後4時。柴尾英令くんと、『桃太郎電鉄11(仮)』のメッセージの洩れ、訂
正、誤字の直しなど。

 この作業が、大変。
 ブロックカードのように持っているだけで、効果を発揮するカードでも、プレ
イヤーは一度は「つかう」のコマンドを押してみたいもの。
 こういう場合のメッセージを入れておかないといけないのだ。
 ほとんどのメッセージは入っているのだが、新しいカードとか、以前からのカ
ードでも用途を変更した場合、メッセージ洩れが多く出る。

 きょうはオールスター戦なのだが、今年の横浜ベイスターズは、三浦大輔投手
しか出場しないので、見る必要がない。仕事を続ける。

 午後7時30分。私、嫁、柴尾英令くんの3人で、麻布十番の「ひむか」に
初挑戦。 宮崎料理が中心の居酒屋さん。
 冷汁とか、チキン南蛮とか、宮崎ならではの料理を食べる。
 味はいいのだが、男性のサラリーマンがたくさんいて、大声で叫び、笑い、ビ
ヤホールの状態なので、いいお店か、悪いお店か、判断がつきかねる。

 午後9時。速攻、家に戻り、柴尾英令くんと、さらに『桃太郎電鉄11(仮)』
の手直し作業。
 書いても、書いても、手直ししないといけない箇所がたくさんあって、書類の
山はビクともしない。

 午後11時。やっと半分ぐらい終了した。
 柴尾英令くんには、また明日来てもらうことに。
 大変な作業だけど、昨年の今ごろ、まったくロムすら見せてもらえなかったこ
とを思うと、問題点を直す作業を今の時期からできるということは、夢のようで
ある。
 

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