6月17日(月)

 午前8時。『桃太郎電鉄11(仮)』の手直し作業。
 最近ハドソン札幌のスタッフが、私が思いつかないようなアイデアを送
ってくれるので、助かる。

 午前11時30分。嫁と、渋谷の「ブックファースト」へ。
 土居ちゃん(土居孝幸)と、待ち合わせて、「上海ヌードル」へ。
 蒸し鳥のねぎラーメン。
 何だかんだいって、「上海ヌードル」のメニューは、どれも及第点以上
だから、リピーター客になっちゃうよなあ。

 食後、東急文化村の喫茶店で、土居ちゃんと『桃太郎電鉄11(仮)』のイ
ラストの打ち合わせ。
 先週、札幌のスタッフから、土居ちゃんの絵の進行が、1ヶ月遅れてい
るとの宣告を喰らっているので、土居ちゃんは、現在、火の車。
「必死ですよ、もう!」

『桃太郎電鉄11(仮)』のスタートが、ハドソンの役員の不始末で、1ヶ月
遅れて始まっているのだから、1ヶ月遅れという言い方は、本来正しくは
ない。
 でも、いずれにしても、発売できなきゃ、「遅い」、「いや遅くない」
と言ったところで、議論にならないので、土居ちゃんはがんばるしかない。
 
 スリの銀次用のイラストに、訂正やら、OKを出す。
 本当なら、トルシェ監督を出して、「お金をトルシェ!」というギャグ
をスリの銀次にやらせたかったんだけど、サッカー関係は、肖像権がきっ
ちり法令化されていたりするので、出せないのだ。
 年々、スリの銀次も変装できる相手が限られてきて、かわいそうだ。
「土居ちゃん、がんばって、楽しく描いてね!」 「やりますよ、もう!」  土居ちゃんは、ローギアの時間は長いが、セコンドから、サード、トッ プに入るスピードは速いから、何とかなるだろう!    午後2時。土居ちゃんと、私と、嫁の3人で、三軒茶屋のキャロット・ タワーへ。  8月配信予定のiモード・ゲームが、いよいよ土居ちゃんも加わっての 打ち合わせなのだ。  出席メンバーは、ムサシノ広告の伊東正義。南澤新樹くん。辻本裕子さ ん。中田満之くん。小板橋真弓さん。 「イラストの締め切りは、いつ頃まで?」と、土居ちゃん。 「8月配信から逆算すると、7月の初めには…」 「ううっ! 7月?」 「はっはっは! 土居ちゃん、『桃鉄』と両方で大変だな!」 「どの絵から描けばいいとか、優先順位ない?」 「『桃鉄』とおなじこと言ってるよ、土居ちゃん!」
 あっ。そういえば、またこのiモード・ゲームのタイトルとか、ゲーム 内容はいつから公表していいのか聞くのを忘れてしまった。  おもしろいシステムとかあるから、早くバラしたくて仕方がないんだけ どなあ。  午後4時。土居ちゃんは速攻、自宅に戻って、『桃太郎電鉄11(仮)』 のイラスト描き。私は、ムサシノ広告の伊東正義と、嫁の3人で、渋谷 「ブックファースト」1Fの「マ・メゾン」へ。  今朝、「ブックファースト」で、土居ちゃんと待ち合わせしたから、何 だかふりだしに戻ったみたいだ。  ここで、学研広告部勤務の十鳥文博(とっとりふみひろ)と、待ち合わせ。  十鳥文博は、私の弟子第1号である。  明治大学の漫画研究会出身で、漫画の単行本を出版したこともあるが、 その後、学研に就職して、今日に至る。  ちなみに、弟子第2号は、エッセイストとして有名になった、永尾カル ビである。  この十鳥文博と、永尾カルビのふたりに、私は「弟子リットル」という 素晴らしいコンビ名を与えていたのだが、この名をつかえる場所もほとん どなく、自然消滅してしまった。
 そんな弟子第1号の十鳥文博も、早や、43歳である。  私が来月、50歳になるわけだ。  あれ〜? このお店で、空気男爵・柴尾英令くんと待ち合わせしている はずなのに来ないなあ? おかしいなあ!と、窓の外を見やれば、おや!  平成のヒデとロザンナこと、群馬のケーキ大好き女子大生の丸堀彩文さん と、全日本お人よしランキング1位のヒデくんのコンビが、こっちを見て 手を振っている。  これから、ホリプロ・ライブに行くそうだ。 「柴尾くんも来るはずなんだけど、まだ来ないんだよう!」  電話するしかないな。  携帯電話を取り出して、さ、し…と、柴尾英令くんの名前のところまで スクロールしようとしたら、柴尾英令くん本人から電話がかかって来た。 「すみませ〜〜〜ん! いま起きましたあ!」 「いま?」  いまって、もうすぐ午後6時だぞ。  昨日うちで仕事をして帰ったあと、眠れなくなってしまったそうだ。  私も昨日は、神経が高ぶって、しばらく眠れなかった。  午後6時。自宅に戻って、渋谷の東急百貨店本店地下で買って来た、 なだ万のお弁当を食べる。  午後7時。「柴尾! 3連チャンで登場で〜す!」  あいかわらず、明るくて、全部が丸い男だ。  昨日、昨年の悪夢を思い返して、エンストしてしまったが、けっきょく、 ゲーム作りの根幹に関わる部分なので、まず昨日の問題を柴尾英令くんと 討議する。  具体的には言えないが、「過剰サービス」について。  VAIOなんかでも(本当はウィンドウズ2000のOSのことなんだ ろうが…)、たとえば文字フォントが、何10種類も選べる。  でも活字に対して、素人な人には、まず「標準は、これですよ!」とい うのがどれかを知りたいのに、ただひたすら同価値で、「何10種類を選 んでください!」では、お客さんは困ってしまう。  何10種類も、文字フォントがあるのは、お客さんに対して、サービス なことは間違いないのだ。でも過剰サービスに思う人のほうが、圧倒的に 多いと思うのだ。
 というようなことを、しばらく柴尾英令くんと議論。  DVDの映画でも、特典映像が過剰サービスなのって、いっぱいあるよ ね。  携帯電話の絵文字も、多いに越したことはないのだろうが、過剰サービ スだよね。  通販のいまなら、○○○○に、××××もついて、*万***円という のも、過剰サービスだよね。  スカイ・パーフェクTVの「トルシェ」アングルも過剰サービスだ。で もスカイ・パーフェクTVはマニア向けだし、ふつうの人よりお金を多く 払うんでしょ? 違う? 払うなら好きでやっているんだから、いいと思 う。  世の中、過剰サービスが多すぎる。  そんなことを、柴尾英令くんと話したのち、さあ! ピッチを上げて行 こう!と、気合を入れて、『桃太郎電鉄11(仮)』のメッセージの訂正& 加筆に燃える!  午後10時30分。ついに3日間に及ぶ、メッセージの訂正が一段落す る。  まだこれからたくさん直すところが出てくるかもしれないけれど、昨年、 崩された『桃太郎電鉄』の慣用句は、これで復旧できそうだ。  さて、明日はW杯「日本×トルコ」戦で、再び日本じゅうが沸き返りそ うなのに、私は新幹線に乗って、西をめざしてしまうかもしれない。  まあ、「気分次第だ、朝令暮改マン!」っていうくらいだから、どこぞ で、声援を送っているかも。
 

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