5月31日(金) 午前9時。きょうも日光浴をしようと思って、由比ヶ浜に向うと、風は びゅうびゅう、波頭は白く、お日様が出る気配まったくなし。 せっかく日光浴セットを用意したのに、そのまま家に戻る。 悔しいので、そのままDVDで、平成版『ゴジラ対モスラ』を観る。 昭和のときは『モスラ対ゴジラ』と、モスラのほうが先の表記だった。 昔はけっこう『モスラ』のほうが人気が高かったのだが、最近は圧倒的 に『ゴジラ』のほうが一番人気だ。 ちなみに、私の草野球チームの名前は「モスラ」であった。 特典映像でも言っていたが、最近はさらに『モスラ』よりも『キングギ ドラ』のほうが、人気があるらしい。 映像がよくなると、モスラの造形はいかにも、ぬいぐるみ的で、弱い。 手足が毛のようなものだと、飛ぶだけでは、いかにも頼りない。 体当たりしても、毛糸の束がぶつかったようで、迫力にかける。 40年ほど前の映像なら、モスラも勇壮だった。 口から吐く糸もそれなりに強そうだったが、いまやカキ氷の氷ほどの威 力にしか見えない。 時代によって、もてはやされる造形も変わってくるものだ。 『ゴジラ対モスラ』のバトラの造形は、けっこういい味していた。 お話のほうは、うーん。 典型的な怪獣映画のお作法を守ったという点では、及第点かな。 午前11時30分。長谷の「ヴェルグフェルド」へ。 ロースハム・サンドにコーヒー。 食後、「ヴェルグフェルド」の前のバス停で、バスを待つ。 このバス停には、梶原行き、大船駅行き、藤沢駅行き、鵠沼駅行きとい った、いろんな路線のバスが停まる。 きょうは、どこに行くでもなく、行き当たりばったりに、次に来たバス に乗って、終点まで行こうと思う。どうせバスに乗って、仕事のアイデア を練るだけなので、終点がどこでもいい。 藤沢駅行きが来た。 整理券を取って、乗車。 車窓からの景色を眺めながら、アイデアを練る。 『桃太郎電鉄U(仮)』と『桃太郎電鉄13(仮)』のアイデアが中心だ が、現在『桃太郎電鉄15(仮)』のマップ作りをしているので、つい 『桃太郎電鉄15(仮)』用のアイデアが出てしまう。 まだ『桃太郎電鉄15(仮)』のアイデアなんて、全然いらないのに。 まぎらわしいが、年末発売予定なのは『桃太郎電鉄11(仮)』だ。 午後1時。藤沢駅に着く。 整理券だと、270円。 私はまだ本格的に左手が治ったわけではないので、片手で、財布のなか から、小銭で270円を選んで払うのは、至難の業。しかも最近私は気に して見なければ、手の不自由な人に見えなくなるまでに回復しているので、 後ろの人が、何をそんなに手間取っているのだという顔をしている。 なんとかお金を払って、バスを降りたが、今後の迷惑を考えて、バスカ ードを買うことにした。嫁の分も買っておいてあげよう。ちょうどバスを 降りたところに、カードを売るおじさんがいた。これは都合がいい。 「5000円のカードでいいですか?」 「2枚ください!」 「ハイ。1万円です!」 カードをもらってから、驚いた。 この間、麻布十番で買った、バス共通カードとまったくおなじではない か。 よく読むと、『東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県内の「バス共通カー ド取扱車」の表示のあるバス・都電にご利用いただけます』とあるではな いか。 ってことは、「ヴェルグフェルド」の前のバス停から乗ったときも、麻 布十番で買ったバス共通カードがつかえたってことじゃないかあ! まさか麻布十番で買ったバスのカードが、こんな遠くでもつかえるとは 思ってもいなかったよ〜! 確かに鎌倉も藤沢も、神奈川県だ。 パスネットといい、バス共通カードといい、交通機関は、垣根を越えて、 お客さん本意に考えるようになって来ているんだね。みずほ銀行に爪の垢 でも煎じて飲ませてあげたいくらいだ。 この調子で、ファミレス共通カード、コンビニ共通カード、ポイント付 き電気量販店共通カードとかできればいいのにね。 しばらく藤沢駅の周辺をウィンドウ・ショッピング。 予定があって来ているわけではないので、買いたいものがない。 東急ハンズ、イトーヨーカ堂、小田急などを回るも、何も買うものなし。 午後2時。藤沢駅から、江ノ電に乗る。 住宅地をずっと走る江ノ電は、鎌倉高校駅の手前で、バッと海の景色が 広がるので、前の座席に座っていたおばちゃんたちが、いっせいに立ち上 がって、振り返って「うわ〜〜〜っ!」と叫んでいた。 この景色が、江ノ電の圧巻だからねえ。 午後2時30分。鎌倉長谷の仕事場に戻り、ビデオ『ザ・ビーチボーイ ズ25イヤーズ・トゥゲザー』を流しながら、『桃太郎電鉄15(仮)』 のマップ作り。 マップ作りが地味なので、BGMだけでも、ハワイの青空の下で。 なんとか、半分まで書き上げた。ふう。 午後5時。江ノ電で、鎌倉に出て、うちの嫁と娘と合流する。 新星堂で、買い物したあと、駅前の喫茶店「銀のすず」で、井沢どんす けの到着を待つ。おなじみ、敵に回すと恐いが、味方にするともっと恐い 男である。 午後6時10分。鎌倉駅に着いた井沢どんすけから、電話が入る。 「井沢〜! 今、駅前の喫茶店にいるから、勘定をすませてからそっちへ 行くから、駅前で踊って待っているように!」 「はい!」 駅前に行くと、井沢どんすけは本当に踊っていた。 恥ずかしそうに、両腕をWの字に、出しては引っ込める消極的な踊りだ。 パラパラのできそこないのようでもある。 午後6時30分。そのまま4人で、由比ヶ浜の「ココモ」へ。 最近お気に入りのピザの美味しいお店だ。 しらすと豆腐のサラダも絶品。 さすがに、きょうはサッカーW杯の開会式なので、お店はガラガラ。 食事したら間に合いそうもなかったので、開会式は録画予約しておいた。 午後8時。鎌倉長谷の仕事場へ。 井沢どんすけ、私、娘、コンピュータ・キャラの4人で、『桃太郎電鉄 11(仮)』のテスト・プレイ。 まだ全部が出来上がったわけではないのだが、かなりの部分が出来上が っていて、4年目までは実戦さながらにプレイ出来る。 こんな早い時期からのテスト・プレイは、最短だ。 「げっ! さくまサン! つつみ社長ですか!」 「そうだよ!」 「本気だ! 恐い!」 「きょうは、井沢を、こてんぷわ〜〜〜ん!にしてやる」 「ひ〜〜〜っ!」 『桃太郎電鉄』をやるときに、私が本気モードでやるときは、名前を「つ つみ社長」にして、適当にやるときは「べいすた社長」にするのは、スタ ッフの間ではけっこう有名なのである。「おい! 娘! 刀狩りカードで、オレンジカードを2枚も奪うのはやめ てくれ! さすがに進行系がないと、私もきつい!」 「さくまサン! さくまサンの貧乏神が、キングボンビーになりましたよ!」 「甘いな! 井沢どんすけ! 来月、このキングボンビーがおまえのとこ ろに行くのだ!」 「そんなわけが、ああああああああああああ〜〜〜ッ!」 私が最寄りの駅でカードをつかうまでもなく、コンピュータ・キャラが 目的地のハワイに入り、めでたく井沢どんすけに、キングボンビーが移動。 私はキングボンビーに一度も悪行をされず終い。 井沢どんすけに元に移動したキングボンビーは、あろうことか1ターン 目に、井沢どんすけをボンビラス星に誘った。 「ひ〜〜〜〜〜〜!」 「……………」 「ひ〜〜〜〜〜〜!」 「……………」 「ひ〜〜〜〜〜〜!」 「……………」 「ひ〜〜〜〜〜〜!」 「……………」 井沢どんすけは、ボンビラス星で赤マスに停まる以外、まったく声を発 しなくなった。 「井沢くん、何かしゃべってくれよ!」 「ちょ、ちょ、ちょっと何も浮かばなくて…、ひ〜〜〜〜〜〜!」 その後、井沢どんすけは、夢のまた夢カードで、目的地の稚内駅にホー ルイン・ワンするも、目的地の賞金をもらってなお、マイナス2億円ちょ っとの低迷を続け、コンピュータ・キャラの後塵を拝し、ダントツのビリ。 私は、つつみ社長なので、3年目にして、総資産16億円の快進撃。 これが本気モード。 午後11時。井沢どんすけが、がっくりうなだれて、テスト・プレイは 終了。 もちろん、問題点もしっかりメモしたし、新しいカードのアイデアも出 たし、収穫多し。 井沢どんすけは、このあと『ラクガキ王国』の続き。 私はたぶん、サッカーの開会式を見る予定。
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