5月22日(水)

 体調、悪し。
 すこぶる、悪し。
 夜中、1時間、2時間置きに目が覚める。
 もちろん連敗病のせいだ。
「かあ〜〜〜!」と、血圧が上がっているのが、よくわかる。

 まったく何で、たかが棒振り遊びの勝ち負けで一喜一憂したり、ストレ
スが溜まったりするのかなあ。頭ではわかっちゃいるんだけどねえ。
 昨夜も放送作家の清正まなつチャンから「明けない夜は無いとわかって
はいても、つらい」というメールをもらったけど、返信を書く気力すらな
かった。

 午前7時。眠れないので、iモード・ゲームの毎月エッセイを書き始め
るが、調子が出ない。途中でやめる。

 午前11時30分。嫁と、麻布十番の「ホームワークス」へ。チーズバ
ーガーにコーヒー。

 食後、元麻布から仙台坂のほうに向って、歩く。
 登り坂の連続で、じっとり汗ばむ。散歩にちょうどいい季節だ。
 これといって目標を定めず、景色のおもむくままに、歩く。
 楽しいけれど、横浜ベイスターズの13連敗が坂道よりも、重くのしか
かる。
 気がつけば、四の橋の交差点に出た。

 以前、「プティポワン」にいた榎吉秀郎さんがいる「ラビラント」が目
の前だ。
 何でも「ラビラント」が、スイカのケーキを始めたらしいという情報を
嫁が入手したので、これは幸いと、お店の前に立つ。
 ちょうど榎吉秀郎さんがこっちに気づいて、出て来てくださった。
 ケーキを売っているのは、10メートル先のお店のほうだというので、
行ってみる。わざわざ榎吉秀郎さんはあとから、お店のほうに来てくださ
った。
 一流のお店で、学んだ人は、親切が自然体になっている。

 午後1時30分。帰宅。

 午後2時。インテリア・デザイナーの齊藤敏彦さんが来る。
 ゴールデン・ウィーク中、鎌倉の家のお風呂場とトイレを改装するデザ
インをお願いしていたんだけど、そのデザインが上がったので、見せても
らう。
 なるほどねえ。デザイナーさんというのは、デザインで勝負するだけあ
って、いいデザインを考えてくるもんだなあ。
 こっちも現在のトイレや脱衣場に対する不満は、ここと、ここが、よく
ないということまではわかっている。でもそこをどうしたら、いいのかと
いうアイデアまでは出ない。
 そのアイデアの部分を、絵に出来るんだから、すごいよなあ。
「そうそう。こういうトイレにしてほしかったんだよ〜!」
「へ〜〜、ここを格子戸にしちゃうんだあ!」
 びっくりするような大工事ではなく、たった1枚のドアをつけることで、
まったく違った雰囲気にしてしまえるのが、すごい。
 家の建築、改築は、本当にゲーム作りによく似ている。

 午後2時30分。洋行帰りの柴尾英令くんが、到着。
「あれ? 柴尾くん、アメリカでいっぱい食べた?」
「食べましたとも!」
「柴尾くん、また太ってるよ〜!」
 まったく、太ったり、痩せたり、太ったり、痩せたり、忙しい人だ。
 柴尾英令くんには「空気男爵」の称号を与えよう!
「空気男爵」は、ある有名な漫画家さんのデビュー作だ。ヒマな人は、
インターネットで検索してみよう。

 柴尾英令くんが来たところで、「ラビラント」のスイカケーキを、みん
なで食べてみる。
「おおっ! こ、これは!」
 驚きましたぞ、みなさん! これは盲点だ。
 過去、私は、東にスイカジュースがあると聞けば、買い求め、西にスイ
カケーキがあると聞けば、新幹線に乗ってでも、買い求めた。
 しかし、スイカ製品のほとんどは、駄作である。
 ほとんどが、スイカの味とは、似ていないものばかりだ。 
 かろうじて、京都「おひるや豆魂(とうこん)」の夏季限定スイカゼリ
ーと、岡山駅のお土産品店で売っているスイカゼリーが、及第点というレ
ベルだ。しかもこの岡山のスイカゼリーは、1個500円ぐらいする。

 話がそれた。
「ラビラント」のスイカケーキだ!
 なんと、スイカ風味のケーキではなく、スイカそのものの上に、クリー
ムが乗っていたのだった。これは、盲点だ!
 スイカ好きは、スイカが食べたいのだから、スイカそのものをケーキに してしまえばいいということに、なぜ今まで気づかなかったんだろう。  フォークを入れると、サクッ!と音がする。スイカだから。  味は、もちろんいい。スイカだから。  これはスイカ製品のナンバーワンだ!  柴尾英令くんに、ウィンドウズ2000のVAIOを再インストールし てもらいながら、『桃太郎電鉄11(仮)』と『桃太郎電鉄U(仮)』、 『桃太郎電鉄13(仮)』の打ち合わせ。  ずいぶん、先の先まで打ち合わせするものだと思うけど、『桃太郎電鉄』 は、密かに大河ドラマになっているのだ。1本、1本にコンセプトがあっ て、予想とずれた結果が出た場合、次の作品、そのまた次の作品で、軌道 修正していかないといけない。
 ウィンドウズ2000の再インストールに手間取る。  夕方、パナソニックの高田直幸さんから電話が入る。  今週、もし私が旅行にでかけなかったら、今夜、高田さんの会社で、B S放送で「横浜対広島戦」を試験放送するので来ませんか?と誘われてい たのだ。ギリギリ出席でも、よいと言われていた。 「今夜のことなんですが…」 「はい。予定はなくなったんですが、13連敗で、とても初対面の方々に 会えるような精神状態ではないので、キャンセルさせてください!」  冗談では言っていないのが、情けない。  午後6時30分。横浜ベイスターズ対広島戦。テレビ神奈川で、1回の 裏、鈴木尚典選手の犠牲フライで1点取ったところで、家を出る。  嗚呼! 先制点を先に取るなんて、何10試合ぶりだろう。  私、嫁、柴尾英令くんの3人で、白金台のおばんざい料理のお店「伊真 沁(いまじん)」へ行く。  菅沼真理(通称:すがねまチャン)さんが「さくまサン! 以前、日記 で、麻布十番の『たき下』と、どこかがあれば、『T』は、接客が悪いか ら、二軍落ち、または自由契約候補になるといっていた、もうひとつのお 店って、どこでしたっけ?」というのは、この「伊真沁(いまじん)」の ことでした。  今度、いっしょに行きましょうね!    城下カレイのお刺身がぷりっぷりっで、大分で食べたときよりも、美味 しかった。コロッケも美味しいし、笹カレイも美味しい。湯葉のサラダも いい。  どの料理も、ていねいに作っているのが、伝わって来る。 「伊真沁(いまじん)」は、地下にあるお店なので、携帯は圏外の表示に なってしまう。気が気ではないので、階段を登り、道路に出て、iモード のベイスターズ情報を、見に行く。  5回を終了して、2対1。  なんて微妙にうれしそうで、薄氷な展開なの?  ますます心配になるだけだった。  あわてて家に戻ることにする。  途中でも、ベイスターズ情報を見る。3対1。ひょうっ。むずがゆい展 開だ。  午後7時30分。帰宅。  ベッドにダイビングするように、飛び込み、TVのリモコンを点ける!  ぐぎゃあっ! ランナー1塁、2塁。ホームランが出れば、逆転される 大ピ〜〜〜ンチ! このあたり、気が動転していて、走者の数に間違いが あるかも。  ひえ〜〜〜、ロペスだったか、ライト前にヒット! 万事休す!  おおっ! おおっ! ライト田中一徳からの返球が! おおっ! おおっ!   おお〜〜〜っ! タッチしていないにもかかわらず、判定はOUT〜〜〜!  このときばかりは、気づかなかった審判に感謝、感謝!  ふひいぃ〜〜〜い! 胸が苦しい!  嗚呼! 恋をしたときだって、ここまでドキドキしたことはなかったぞ!  ついに、9回表。3対1。  がんばれ、斎藤隆!  嗚呼! 球に勢いのある投手って、横浜ベイスターズでは、斎藤隆しか いないんだなあ!と、しみじみ。  第1球で、ストライクが入れば、嗚呼! 1球目から、ストライクを取 れる投手って、斎藤隆しかいなんいんだなあ!と、しみじみ。  ストライクが入らない、逃げるピッチングばかりの投手陣じゃ、ここま で連敗するのも無理ないなあ。  あっ、あっ、あっ。2OUTまで行ったのに、広島の選手にデッドボール!  ひょえ〜〜〜! ホームランが出れば、同点だ。  それだけは、やめてくれいっ!  嗚呼! 1998年のセ・リーグ優勝の瞬間以来のドキドキ感だ。  巨人ファンには、この気持ちがわかるまい!    嗚呼! 一塁ゴロだったのか、三振だったかのかも、よく覚えていない けど、勝った! 勝った! 勝った! 連敗脱出だ! 勝った! 勝った!  嘘じゃないだろな! 勝った! 勝った! うれしいよおんおんおんおんっ!  勝った! 勝った! 5月初勝利だよ〜〜〜! 勝った! 勝った!   へなへなへな〜。  ヒーロー・インタビューは、犠牲フライのほかに、2安打を放った鈴木 尚典選手。目にうっすら涙をためながらのインタビューだ。  しかも、いかにも横浜ベイスターズの選手らしいトンチンカンな受け答 えだ! 「1回裏、犠牲フライを打ったときの打席は、どんな気持ちだったのです か?」 「ファンのみなさま、13連敗もして、すみませんでした!」 「3回裏、勝ち越しのヒットを打ったときの打席は、どんな気持ちだった のですか?」 「負けている間もずっと球場に足を運んでくれたファンのみなさま、もう しわけございませんでした!」  答えになっていないよ、鈴木尚典選手〜〜〜! でも、こういうところ が、横浜ベイスターズの選手の生真面目さだし、その生真面目さゆえに、 連敗が止まらなくなる体質なんだあ。思わず、鈴木尚典選手の涙に、もら い泣き。  嗚呼! ホッとしたのか、うれしいのか、身体が浮遊しているような妙 な気分だ。それにしても、ケガから復帰した佐伯選手が、1軍に合流した だけで、昨日は1点差にまで追い上げ、きょうは、連敗脱出!  昨日も、きょうもヒットを1本も打っていないけど、影のヒーローは、 佐伯選手だな、やっぱり! 人間の持つオーラは、偉大だ!    このまま、横浜ベイスターズの話を書き続けたら、旅行のとき以上の日 記の長さになってしまうので、この辺でやめておきます。  これから、TVのプロ野球ニュースをはしごします。  今夜のお風呂は気持ちいいぞ〜!
 

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