4月18日(木)


 午前11時30分。嫁と、麻布十番のおそば屋さん「M」へ。
 麻布十番の振興大使?・菅沼真理(通称:すがねまチャン)さんも後から
合流。
 ここで、3人揃って、納豆ぶっかけそばを食べた。
 ついでに焼き筍も。
 お店の女の子に、注文をつける。
「焼き筍に、山椒が乗ってるでしょ?」
「は? サ、サ、サンショですか?」
「もし乗っているようだったら、外してほしいんだけど…」
「いえ、サンショは乗っていません!」
 おいおい! 焼き筍には、間違いなく、山椒をふりかけるでしょうが! 
あの女、絶対知らないで物を言ってるぞ!

 10分後、案の定、目の前で筍を網で焼いていた料理人が、山椒を焼き
筍にふりかけようとする!
「待ってくれ! 山椒をかけないでくれ!」
 ほ〜ら! やっぱり、知ったかぶりしてるじゃないか、あの女! どう
して、後でわかる嘘をつくかね! 『桃太郎電鉄X(ばってん)』のとき
のゲーム・ディレクターとプロデューサーみたいなやつだ! おっとっと。
話がそれてしまった。

 もう、みんな! 知ったかぶりは迷惑だから、やめようよ!
 知ったかぶりして、いいことあった?
 絶対無いよね! 損することあっても!
 知らないってことは、全然恥じゃないんだから、やめようよ!
 わかならいことは、わからないと言おうよ!

 午後1時。すがねまチャンに、「ピラミデ」でケーキをごちそうになる。
 私は待ってましたとばかりに、シュークリーム。
 こってりしたクリームで、ショーにバターのようになすりつけて食べる
と、おいちいよ。

 午後2時。帰宅。
 建築会社がやってくる。
 前日、駒沢の住宅展示場に行ったとき、お金を出せば、ラフ・スケッチ
の設計図まで作ってくれるシステムがあったので、頼んでおいた。
 意外に安い値段で、けっこうきっちり、鎌倉の家の改築安案を練って来
た。
 この家を建てるという行程が、非常にゲーム作りにそっくりなので、興
味を持ったので、家を建てる、建てないは、別として、お勉強がてら、頼
んでみたのだ。
 ほうほう。ふんふん。お客さんが気になるところ、疑いたくなるところ が、ゲームに対する感情とまったくおなじだねえ。  ファミコン時代は、オープニングにアニメなんかつかえるわけでなし、 音楽も4つしか音がつかない。今の携帯電話より、しょぼい。  でも今みたいに、実写の映画もアニメも入ります。音は、生音、デモテ ープの音がそのまま入りますという時代になると、選択肢の幅が、広がり すぎて、かえって散漫になってしまう。  ファミコン時代なら、白い壁といえば、一種類しか作れなかったのが、 今や白い色といっても、何10種類の白い色を描くことができる。  それとおんなじで、家も今、いろんな斬新なデザインをすることができ るようになって、その選択肢の多さに、お客さんのほうが苦しめられてし まうのだ。  注文住宅は、自由に家を作れるのがメリットだけど、とても素人には、 「こういう風にしてくれ!」と細かい指図を言えないいレベルになってい る。  かといって、デザイナーさんに好き勝手に作らせてしまえば、それって、 建売住宅とおなじではないか。  けっきょく、悩む一方だ。  それより、もっと鎌倉の家を利用すべきだ!で、終ってしまった。  それにしても、家作りは、ゲーム作りに似ている。  言った、言わないで、もめるところまで、そっくりだ。  家作りのほうが、書類に残すだけ、大人だ。ゲーム作りは、書類にまで 悪事が残っているのに、「言われていない!」と、言い張る馬鹿チンが、 いるからなあ。  午後6時。新宿「トップス」で、ムサシノ広告の伊東正義、集英社総務 部勤務の牧野弘と、待ち合わせ。  この3人は、大学時代の同級生。  最近ずっと3人で会うことがないので、たまには会うかと集まった!  まあ、いちばん気をつかってしゃべらなくてもいい男たちだ。  午後6時。4人で、串焼きの「車屋」へ。  4月12日の日記で、松江の夕陽を見たとき、伊東正義がいたかどうか 思い出せないと書いたことを、伊東正義に聞く。 「覚えてないなあ! 行ったかなあ?」  これだ。聞くんじゃなかった。伊東正義は、日本一何でも忘れちゃう大 雑把男として、有名だったし、牧野弘は、昨日の話しか話題にしない男と して、学生から鳴り響いていたからなあ。  牧野弘に至っては「松江って行ったっけ? 萩に行ったのは覚えてるけ ど…」である。 「牧野! あのとき、牧野の弟が博多から、車で合流したの覚えてないの か?」 「覚えてない!」  ほとんど老人同士の会話だ。
 午後8時。食事し終わって、「ぶらうに〜」にでも飲みに行くかと、 「車屋」の階段を登りきったら、目の前の道路を、カメラマンの田宮史郎 が歩いているではないか! あの天才カメラマン・荒木経惟さんの一番弟 子の田宮史郎だ。  まあ、恒例のばったり病ですな。 「ほんとに、さくま、よく人に会うな!」 「お〜い! 田宮〜〜〜!」 「おお! 何だよ! おやおや、みんな揃っちゃって〜!」  田宮史郎も、学生時代から、伊東正義、牧野弘をよく知っている。 「田宮さん、悪いときに、悪い奴らに見つかっちゃった?」 「まあな。『ぶらうに〜』に行くの? 行こうかな?」 「行こう! 行こう!」  学生時代の飲み会の乗りと変わりまへんなあ!    そんなわけで、新宿末広亭前の「ぶらうに〜」へ。  マスターが「田宮さん、昨日も来てたんだよ!」とバラす。 「何だ、田宮! 本当に悪いやつらにばったり会っちゃったんだ!」 「まあなっ! はっはっは!」
 このメンバーだと、『ドラゴンクエスト』の堀井雄二も、共通の友人な ので、携帯電話で呼び出す。  しかし、あいにく仕事の打ち合わせ中で来られないとの返事。 「さくま! 日記に、『堀井くん! 夏休みか、ゴールデンウィークに会 おうぜ!』って書いておけよ!」 「伊東くん、夏休みか、ゴールデンウィークっていう選択肢は、あまりに も大雑把だよ!」 「はっはっは。そうかあ?」    学生時代から、社会人になったとき、このメンバーでよくこのお店に来 た。  昔話に、花が咲き、2週間後、牧野弘が50歳の大台一番乗りになるこ とが話題になる。 「ってことは、オレがいちばん年下?」と、田宮史郎。  その通りなんだけど、全員昭和27年生まれで、5月が牧野弘、7月が、 伊東正義に、私。8月が田宮史郎だから、年上も、年下もあったもんじゃ ない!  楽チンだね〜、このメンバーとの宴は。  午後10時10分。帰宅。みなさん、すっかりお年寄りになってしまっ たので、夜更かしせずに、早めにお帰り。  それにしても、2週間ほど前、私が田宮史郎とひさしぶりに会って、そ のとき「牧野とかってどうしてるの?」「そういえば最近会っていないな あ!と言ったのがきっかけになって、3人が集まることになって、その 田宮史郎と街でばったり会ってしまうのだから、おもしろいね〜!  そんなわけで、堀井くん! ゴールデンウィークか、夏休みに会いまし ょう!との伊東正義からの伝言です。  しかし、ゴールデンウィーク、もしくは夏休みっていうジャンルの分け 方は、学生だよな!
 

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