4月8日(月) 午前11時30分。ひとりで渋谷東急百貨店本店へ。 嫁は、娘の高校の入学式にでかけている。 東急本店地下の「アンテノール」で、スモークチキンサンドに、コーヒ ー。 東急の地下、いわゆるデパ地下がリニューアルされて、照明が2倍以上 明るくなって雰囲気がよくなっていた。照明って、重要だなあ。 食後、「ブックファースト」で、あれこれ本を買う。重い。 それにしてもこの本屋さんの地下にある、立ち読み用ならぬ「すわり読 み用」のイスは、意味が無いどころか邪魔だ。通りづらいし、いつまで立 ってもどかないので、私が選びたい本がとうとう買えなかった。 長時間立ち読みするやつって、ふだん本を買わないやつだよ。本屋が立 ち読みを奨励してどうする。 午後1時。帰宅。 『桃太郎電鉄11(仮)』の仕様書作りと、4月11日からの山陰旅行の 日程作り。 あやうく1年に2回しかない全区間運休にぶつかるところだった。 ローカル線は、こういう大胆な運休があるから恐い。 最初から、取材日程の組み直し。 山陰地方で1日3回おなじ路線の電車を乗るくらい大変なことはない。 ちなみにお目当ての場所は、特急が1日1回しか停まらない。観光タクシ ーつかいまくりにするしかないかなあ。電車のゲームだから、電車つかい たいよ。 午後3時。土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くんが来て、『桃太郎電 鉄11(仮)』の打ち合わせ。 いよいよ仕事の中心は、土居ちゃんのイラストに移った。 「さくまサン! こんな感じでいいかな?」 「OKだから、早く描いてくれ!」 「マップとか、キングボンビーとか、貧乏神がものすごくいい感じになっ て来ているから、前のままのカレンダーの絵とか、ニューゲーム画面とか、 すごく気になって来ましたよね!」と、柴尾英令くん。 今回の『桃太郎電鉄11(仮)』は、グラフィックの強化をテーマにし ているので、新たに作った部分と、前の絵との差が激しい。土居ちゃんは 全グラフィックを描き直しをする予定。 午後6時。新宿アドホックビルで、ハドソン宣伝部の梶野竜太郎くん、 大里専務と待ち合わせて、そのまま喫茶店「トップス」へ。土居ちゃん、 柴尾英令くん、嫁もいっしょ。 ここで、なんと早くも、『桃太郎電鉄11(仮)』の次に予定している 『桃太郎電鉄U(仮)』の打ち合わせ。本来、『桃太郎電鉄X(ばってん)』 の次は、『桃太郎電鉄U(仮)』だったのだが、この作品は急には作れな い内容なので、延期していた。 まずは、『桃太郎電鉄U(仮)』のマップを試験的に、ハドソンに作っ てもらうことから、スタートすることになった。 午後7時。土居ちゃん、柴尾英令くん、嫁の4人で、「航海屋ラーメン」 へ。 ラーメンを食べたのち、このメンバーは解散。 午後7時15分。嫁と、末広亭前の「ぶらうに〜」へ。 きょうはひさしぶりに、カメラマンの田宮史郎と会う。 一部の人には有名な田宮史郎であるが、世間一般的に紹介するとなると、 やっぱり荒木経惟(アラーキー)さんの一番弟子という言い方になるかな。 アラーキーさんの写真集などで、荒木経惟さんがよく写っていることが 多い。 本来、カメラマンが撮った写真集に、女優さんとカメラマンがいっしょ に写っていること自体、変なはずである。そのアラーキーさんを撮ってい るのが、田宮史郎なのだ。田宮史郎自身が写真集に写っていることも多い。 彼とは、かれこれ30年近い付き合いで、駆け出しの頃、大いに影響を 受けた男だ。この世界に入る前の学生時代からの友人だ。田宮史郎と、あ の堀井雄二がコンビで仕事をしていたこともある。 デビュー前からの知り合いというのは、貴重だ。 そんな彼が『週刊ビジネスジャンプ』で仕事をしている、松井くんとい う編集者を紹介したいと言って来た。 『週刊ビジネスジャンプ』というからには、集英社である。集英社で、松 井くんというと、『週刊少年ジャンプ』から、『りぼん』だったか、『マ ーガレット』だったか、少女漫画誌に移った男が思い出されたのだが、は たして、その松井栄元くんだった。 どういうわけか現在、松井くんと田宮史郎がいっしょに仕事をしている というのだから、人間のめぐり合わせというのは、おもしろい。 いわゆる世間は狭いというやつだ。 松井くんとは、いっしょに『週刊少年ジャンプ』の全盛期をすごした仲 なので、昔の戦友に会うような気分。って、私は第二次世界大戦経験者じ ゃないよ。今年で私も50歳になるので、けっこう戦争経験者と思われて しまう。 田宮史郎のプライベート作品を見せてもらったり、松井くんと『週刊少 年ジャンプ』の昔話をしているうちに、ふたりから「そろそろまた雑誌の 仕事をしないか?」という話題になって、大いにうろたえる。 私はなにしろ「雑誌」という言葉に弱い。 「去年の暮れなら、間違いなくこの場でOKだったんだけどなあ!」 ただでさえ「雑誌」という言葉に弱いのに、この世でいちばん好きな 「漫画」という言葉まで付いてくるのだから、正直言って、ぐらぐら、め ろめろである。 午前1時。帰宅したのが、こんな時間。相当刺激的な夜だった証拠だ。 興奮を一度覚ましてからお風呂に入らないと危険なくらい、気分が昂揚し ていたので、寝付いたのは、午前4時過ぎ。
-(c)2002/SAKUMA-