4月4日(木) 午前11時30分。嫁と、麻布十番「麻布永坂 更科本店」へ。 私はこのお店は、初めて。 「麻布永坂 更科本店」というぐらいだから、信州更科そばが最初に東京 に進出した最初のお店だったそうだ。その時代も220年ほど前の江戸時 代に遡る。嫁は、日替わり御膳そば、私は、お手打ちせいろ。 お手打ちせいろは、弾力のある田舎そば風のおそば。歯応えと、喉越し のいいおそばだ。じゅうぶん美味しいけど、病み付きになるほどではない。 午後1時。築地のハドソンへ。 『桃太郎電鉄11(仮)』会議2日目。 メンバーは、土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、ゲーム・ディレ クターの川田忠之くん。企画担当の込山勉くん。プログラム担当の田中俊 介さん。 きょうの会議は、PS2のスイッチを入れてから、「1000万円持っ てスタートします」画面に至るまでの流れを決めるいちばん重要な内容。 毎度、頭がきりきり痛くなる過酷な会議だ。 ゲームをやる側の人にとっては、あまり関係ないんだけど、この「あま り関係ない…」と思わせるまでが、毎回大変なのですよ。 設定することが多すぎて、ゲーム画面までなかなか進めなくて、「早く ゲームやらせてくれよ〜!」と叫ぶたくなるゲームって、けっこう多いよ ね。 まず「つづきから」「ニューゲーム」「おまけ」といったコマンドが出 てくるスタート画面がある。続いて、「いつもの桃鉄」「バラエティゲー ム」といったコマンドを選ぶ、ニューゲーム画面というものが出てくる。 ここから名前を決めたり、役職名を決めたりといった流れを、いかにお 客さんにとって、ストレスなく、スムーズに、しかもスピーディに進める ことができないか!ということに対して、侃侃諤諤(かんかんがくがく)、 口角泡を飛ばして、議論する。 この苦労を、お客さんが感じなければ、感じないほどいいのだから、つ らい作業なのだ。 コントローラの選び方は、もっとわかりやすくできないか? COMキャラの選び方を、もっと簡潔明瞭にできないか? シャッフルは? 結果的には、現状のままがいちばんいいという結果になったとしても、 とにかく議論して、もっといい方法、いい表現方法があるのではと模索す る。 この努力のせいで、『桃太郎電鉄』はわかりやすいという評判を得てい るので、この努力をいまさらやめるわけにはいかない。 ただこの努力は、お客さんには伝わらなくてね〜。 サッカーのゴールキーパーみたいなもんですよ! 捕ってあたりまえ。 捕らなければ、ブーイングだ。 午後6時。頭を冷却させるために、石崎仁英くんを加えた総勢8人で、 有楽橋の讃岐うどん屋さん「さか田」へ。 札幌のスタッフは、『桃太郎電鉄』のなかの高松駅の物件に「生じょう ゆうどん屋」「しょうゆ豆屋」とあっても、どんなものなのか知らないの で、教える。 食後、ハドソンまでの帰り道に、あの悪魔のケーキ・ドゥリエールのケ ーキを置いてある喫茶店があったので、入る。 ところが、土居ちゃん、柴尾英令くん、私、嫁の4人が、ケーキを食べ ようとしない。 4人とも、京都で太り過ぎてしまったのだ。 おなじ物を食べていただけに、私も土居ちゃんも、柴尾英令くんも、き っちり2キログラム増えていた。 実は、私が今朝、おそばを食べたのも、京都での増量を減らすため。 午後7時。築地のハドソンに戻って、さらに議論。 おかげで、長年思い描いていた理想形に近づいた…はず。 近づいたと思っても、いざゲームに反映してみると、思いも寄らぬやり 方をするお客さんのせいで、再検討になることも多いからだ。 お客さんがどんなにひどいやり方をしても、主役はお客さん。 たったひとりでも、無茶ができる可能性を見つけたら。仕様は変更しな いといけない。だって、お客さんの家まで行って、謝ることはできないか らね。 午後10時。完了。 うひょ〜〜〜! 頭、痛〜〜〜い! 本当に、受験勉強でも、ここまで真剣に頭はつかわなかったよなあ! 前回3月の会議で、3日間ぶっ通しの会議は、疲労困憊になってしまっ たので、今回は2日にしたので、ハドソン・シリーズはきょうで終了。 かなり私と柴尾英令くん担当の部分は、少なくなって来て、今後の主役 は、土居ちゃん(土居孝幸)! 土居ちゃんは死に物狂いで、イラストを描かないといけない。 でも本当に土居ちゃんが一生懸命描いてくれないと、土居ちゃんと予定 している取材旅行が中止になってしまうのだ。 まだ『桃太郎電鉄11(仮)』が完成していないのに、早くも次のゲー ム用の取材が始めないといけないのだ。 午後10時30分。帰宅。 きょうの会議で決まったことを、さっそく仕様書に反映させる。 ものすごい働き者のようだけど、実はすぐやらないと、会議での決定事 項を忘れてしまうからだ。わっはっはっは。己を知ってるでしょ?
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