3月20日(水)

 きょうも4月中旬の陽気。
 昨日蕾(つぼみ)だった桜が、きょうはもう満開になっている。
 全国各地で、4月初旬に予定している「桜まつり」は、いったいどうな
ってしまうのだろう。急に早めるわけにもいかないだろうし。

 午前11時30分。嫁と、六本木のアークヒルズ裏の霊南坂あたりの桜
を見に行く。ここはもうすっかり満開で、ビルと桜の対比も美しい。
 サラリーマンたちが、お昼休みを利用して、花見に来ている。  近くの飲食店「旬香(しゅんこう)亭グリル」は、予約でいっぱい。「キ ハチ・カフェ」は、すでに長蛇の列。  午後12時。アーク森ビルの「日本料理BASARA(ばさら)」で、 親子丼。  私は、三つ葉が苦手なので、親子丼から、三つ葉を抜いてもらう。  でも、親子丼の三つ葉は抜いてくれたけど、お吸い物には、しっかり三 つ葉が入っていた。この「日本料理BASARA(ばさら)」は、日本料 理のお店として、5本の指に入るといわれる、「青柳(あおやぎ)」のカ ジュアル版だけに、接客の見事さでは、定評があったのだが、きょうはち ょっと「?」が、点滅。  午後1時。喫茶店「らぴす」サンで、コーヒー・ピットインののち、帰 宅。 『桃太郎電鉄11(仮)』の手直し作業。    午後2時。土居ちゃん(土居孝幸)、井沢どんすけが到着。  3日前、盛岡でわんこそばを112杯も食べた胃袋巨大男・柴尾英令く んから電話が入る! 「すみませ〜〜〜ん! 今、目が覚めました〜!」 「遅刻した場合は、納豆風呂に入ってもらうよ!」とまでは、言わなかっ たが、柴尾英令くん抜きで、土居ちゃんと『桃太郎電鉄11(仮)』のイラ スト部分の打ち合わせを始める。  井沢どんすけは、柴尾英令くんが来るまで、『桃太郎電鉄11(仮)』の 「桃鉄十番勝負」をプレイ。  まめ鬼、赤鬼には、圧勝したものの、ガキ、はらだしあたりに苦戦しは じめる。 「井沢どんすけ〜! 何10年、桃鉄やってんだよ!」 「いま、逆転しますから!」 「本当か?」 「三賞を独占すれば…」 「危ういなあ!」 「あっ!」 「どうした!?」 「最後の月で、逆転して、勝ちました〜! う、うれしい!」 「四段のはらだしに勝ったぐらいで、そんなに喜ぶなよな!」    午後3時30分。柴尾英令くん、到着! 「遅い! 遅い! 遅〜〜〜い!」 「すみませ〜〜〜ん!」  全員で、いちばん新しい『桃太郎電鉄11(仮)』のロムを見る。 「えへえへえへっ! えへえへえへっ!」  井沢どんすけが、さっそく笑い転げる。  はっきりこの場で書けないのが、本当に残念なのだが、『桃太郎電鉄11 (仮)』では、貧乏神とキングボンビーが格段に楽しくなる。  どう楽しくなるかを書いてはいけないのだが、とにかく貧乏神の動きの よさには、期待しても、それ以上の動きを見せることを、この場で保証し てもいいくらいだ! 「えへえへえへっ! もうこれだけで『桃太郎電鉄11(仮)』を買う価値 がありますよ! ほんと!」と、井沢どんすけがうれしそうだ。    ここから、土居ちゃん、柴尾英令くんと、こめかみが痛くなるような困 難で過酷で、神経がすり減る、厳しい打ち合わせを始める。 「こっちが、仕事している間、井沢どんすけには、何をやっていてもらお うかなあ?」 「はい。ボクは、コントローラを動かす役を!」 「コントローラだけかい!」 「はっはっは! 井沢どんすけ! たしかに今からの打ち合わせにコント ローラを動かす人は必要だけど、それって、自ら、戦さのときに、足軽を 志願するようなもんだぞ!」 「えへえへえへっ!」  ダメだ! この男は自分がけなされても、ネタさえおもしろければ、笑 い飛ばしてしまう。  キリキリ、キリキリッ!  頭が痛い。  キリキリ、キリキリッ!  むむむむむっ。  柴尾英令くんが作成してきた、フローチャートを凝視しながら、ひとつ でもコマンドを減らすことができないかということを討議する。 「ここを削除すれば、ここと、ここが繋がって、お客さんにとっては、ス トレス無くゲームに入り込めるよね!」 「あれこれたくさんデータを見ることができるのは、必ずしも親切ではな いよね。むしろ、よいけいなお世話に終ることが多い!」 「過剰親切は慎まないとね!」  午後7時。近所の「ロートロ」で、スパゲティを食べながら、さらに打 ち合わせ。  午後8時。井沢どんすけは、近所のバナナ・グローブ・スタジオへ原稿 を出しに行く。土居ちゃん、柴尾英令くんは、自宅に戻って、さらに『桃 太郎電鉄11(仮)』の打ち合わせ。  午後9時30分。思考回路が焼けきれてきたような気がして来たので、 本日の会議は終了することに。  疲れた。肉体疲労でなく、神経疲労なので、心地よさがない。 「それじゃ、みなさん、お疲れ様でした!」 「さくまサン! 来週の会議までに、また大量に原稿送って来ないでくだ さいよ! ボクだっていっぱい仕事詰まってるんですから!」と、柴尾英 令くん。 「でもさあ。早く原稿書かないと、打ち合わせで決定した手直しがどうす るんだったのか、忘れちゃうんだよ!」 「あっ。それはボクもおなじだな!」と、土居ちゃん。  本当に『桃太郎電鉄11(仮)』は、百科事典とおなじぐらいの原稿の量 だ。  さすがに、きょうは風呂入って、寝る。
 

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