3月6日(水)

 『桃太郎電鉄11(仮)』ジャイアント会議シリーズ、2日目!
 何がジャイアントなのか、よくわからないけどね!

 午前11時30分。嫁と、銀座三原橋の「中華 三原」へ。
 ここは昨日、会議でいっしょだった、ハドソンの大里幸夫専務に教えて
もらったラーメン屋さん。
 戦後まもない頃のバーを改造したようなお店に、長蛇の列ができている。  その行列の誰もが「タンメン!」という言葉を発する。  私も大里専務に「タンメンが美味しいんですよ!」と言われているので、 「タンメン!」と叫ぶ。  ふと思ったのだが、タンメンと、ワンタン。ワンタンメンというと、野 菜が入っていないものが出てくる。野菜入りなら、ワンタンタンメンとい うことになる。しかし、ワンタンタンメンというメニューがあるお店は見 たことがない。  単なる不思議な疑問なだけである。 「はい! タンメンです!」  おお! 来た! 来た!  ほう。そんなに大きくない丼に、たくさん野菜が乗っている。  タンメンは、野菜が命だからね。とりわけ、キャベツで評価が定まる。
「う〜ん! このキャベツ、あま〜〜〜い!」  これは噂どおりに、美味しいぞ!  麺は、細い。でも大好きな黄色い麺なので、これまた評価はアップ!  ところが、5分食べ続けても、ちっとも量が減らない!  まずいわけではない。じゅうぶん美味しい。  ごま油の匂いもいいし、何よりノスタルジックな味がいい。  店員のみなさんも、いずれも漫画家の東海林さだおサンが描いたら、似 顔絵うまく描けそうな顔ぞろい。そいいう庶民的な雰囲気のお店だ。  でも、具が減らない。   麺も多い。  でも、美味しい。  こういう苦痛は、けっこうつらい。  美味しいから、途中でやめる気はさらさらない。  でも、減らないのよ。  汗をいっぱいかいて、ようやく8割方食べたので、フィニッシュ!  今度来るときは、麺を少なめにすればいいのか、具を少なめにすればい いのか、悩むなあ。  でも、値段がべらぼうに安いので、若い人には絶対お勧めのお店だ。  ラーメン・400円!  タンメン・600円!  安くて、量が多くて、美味しくて!と、3拍子揃ったお店だ。    午後1時。築地のハドソンへ。  きょうのメンバーは、土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、井沢ど んすけ、放送作家の福本岳史くん。 札幌から、グラフィック担当の佐藤裕さん、プログラム担当の田中俊介さ ん、ゲーム・ディレクターの川田忠之くん、企画担当の込山勉さん。  ハドソン宣伝部の梶野竜太郎くん。石崎仁英くん。  まず最初に、きょうは『桃太郎電鉄X(ばってん)』をいっしょにプレ イすることから始める。  ゲームでも何でもそうだけど、作り手というのは、専門職になってしま って、一般ユーザーとゲームのやり方が遊離してしまうことが多い。  そりゃそうだ。ゲームを作っているぐらいだから、どこのどの物件を増 資すると有利だとか、イベントの確率も知っているし、フェリー乗り場で カードがもらえる確率さえも知っている。  すると、どうしてもテスト・プレイでも、ゲームのからくりを知った上 で、プレイしてしまう。これをくりかえして行くと、どんどんゲームの作 り方がマニアックになって行ってしまうのだ。  このマニアック防止対策用に、井沢どんすけという世界でただひとり、 ゲームをやるだけで、印税がもらえる素晴らしい職種の人がいるのである。  その井沢どんすけの後釜を狙っているのが、福本岳史くんである。  福ちゃんは、典型的な、楽観主義というか、ご都合主義というか、きょ うもいちばん最初に、目的地に入ったばかりに「きょうはもう、勝ちに入 りましたね!」 「どこかに物件は無いですかね! お金は持っているんですよ!」と、ブ ルジョワ気分満点を満喫する男である。  というわけで、札幌スタッフ代表として、川田忠之くん、込山勉さんが 出場。  東京代表として、井沢どんすけ、福ちゃんという最強の「桃鉄へたくそ コンビ」が出場して、桃鉄公式戦対決が始まったのである。  まず、いきなり井沢どんすけが、1ターン目に、デビルカードを引いて、 みんなを爆笑の渦に巻き込む。  続いて、物件命の福ちゃんが、物件を買いまくる。  こういう変な展開を、札幌のスタッフは見慣れていないものだから、び っくりする。この変なプレイぶりを、札幌の人たちに見せるのが、きょう の目的なのだ。  その後も、井沢どんすけの「桃鉄公式戦」3年間のうち、ほぼ半分の間、 貧乏神がつきっぱなしというへたくそプレイに驚き、福ちゃんの「ではみ なさん! 最後の見せ場をごらんください!」といって、おもむろに福引 カードをチャリ〜ン! チャリ〜ン!と鳴らすパフォーマンスに、一堂爆 笑する。  結果はもちろん、以下の通りである。     1位・かわだ社長    約22億円   2位・ふくもと社長   約15億円   3位・こみやま社長    約9億円   4位・どんすけ姫     約5億円  福ちゃんが2位に入ったのが、不思議だが、たしかに彼が「最後の見せ 場」といった、福引カードのせいで、込山社長を抜いたのである。  最初から最後まで、ほとんど持ち金がマイナスだった、井沢どんすけが プラス5億円で終了したのも不思議だったが、最後の年に「バカこくでね カード」で、手に入れたものである。最下位のプレイヤーだけしかつかえ ないカードでの入金である。いとあはれ。  午後3時。梶野竜太郎くん、井沢どんすけ、福ちゃんのプレイを横目に、 残ったメンバーで、昨日の続き!  仕様書の不備、グラフィックの表現の仕方、イベントの発生条件などを 真剣に討議する。  午後6時30分。井沢どんすけは次の打ち合わせ場所に向う。  残ったメンバーで、ハドソンの近くの「東劇」の地下の洋食屋さんで、 食事。  1皿500円の安いお店なので、みんなで20皿近く注文する。  でも、きょうは大食漢の福ちゃんがいるので、どんなにお腹がいっぱい になっても、残った料理は全部、福ちゃんが食べてくれるのだ。 「福ちゃん、悪いんだけど、これ食べて〜!」 「はい。すみません! どうぞ、おっちへ!」 「福ちゃん、こっちも食べて!」 「はい。すみません!」  福ちゃんが「すみません!」というのは変である。  助かるのはこっちなのだから。    それにしても、福ちゃん、最後まで「もうお腹いっぱいで、食べられま せん!」と言わないのだから、すごい! もう3年以上の付き合いになる が、かつて一度もこの言葉を聞いたことがない。  一度、盛岡のわんこそばを食べさせたいものだ.  午後7時30分。福ちゃんが、退席。  ハドソンの会議室に戻って、さらに会議!  かつてない充実の会議だが、さすがに疲れる。  午後10時。さすがに頭が混乱し始めたので、お開きにすることに。  とにかく『桃太郎電鉄』シリーズは、イベントの発生条件といった、お 客さんには見えない部分での特殊処理の多さは尋常ではないのだ。   「10億円突破おめでとう!」のイベントにしても、ひょっとすると、 「100億突破おめでとう!」のイベントと同時に発生する場合だって、 あるかもしれない。  こういう何億分の1の確率で、発生するかもしれないイベントに対して も対応していかなければいけないのが、ゲーム作りなのだ。  午後10時30分。帰宅。  明日も会議があるので、きょうは身体を休めることに専念しよう。
 
さくまNEWS

●3月31日(日)午前9時〜。鬼無(きなし)駅ホームにて。
 四国高松「桃太郎電鉄石像」の除幕式

●3月26日(火)午後7時開演。浜離宮朝日ホール(築地)
朝枝信彦ヴァイオリンリサイタル
※業界の方で鑑賞希望の方は、うちの嫁まで、3月18日(月)までに
 ご連絡ください。


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