3月2日(土)

 午前7時。『桃太郎電鉄13(仮)』のMAP作り。
 A4サイズ、5ミリ方眼紙15枚に、物件駅と青マス、赤マス、黄色
マス、☆印カード売り場を書き込んでいく。
 5ミリ四方に、駅名も手書きしないといけないので、文字が小さく、
肘と手首の間が、みごとな筋肉痛になる。

『桃太郎電鉄』を作る上で、いちばんつらい作業であると同時に、いち
ばん楽しい作業である。
 お城の設計図を作るような楽しさや、国王様が、自分の土地に自由に
線を引くのに似ているだけに、征服者の気分である。

 午前11時。一向にMAP作りが終らないので、気分転換がてら、嫁
と原宿に出る。裏原宿と呼ばれる、うちの近所に、時ならぬ若者たちの
長蛇の列が! 
 警備員が出て、歩道橋まで埋め尽くしている。
 誇張でなく、その行列の長さは、まるで原宿駅を降りて、竹下通りを 抜けて、明治通りにぶつかるまでぐらいの長さである。  しかも、行き先は一戸建ての小さな一軒家である。 「REVOLVER」というファッションブランドの正規代理店だそう で、きょうはバーゲンだとか。思わず列の先頭まで歩いて行って、お店 の場所を確かめ、警備員の人に取材しちゃったよ。  しかしまあ、よくここまで長蛇の列を作ってまで、並ぶものだ。これ から黒澤映画の合戦シーンに、雑兵役で借り出されたエキストラの群れ かと思った。
 お店を後にして、明治通りに出ると、自動車のミニ・クーパーの販売 店が出来ていた。そういえば何10年ぶりかの新車が発売になったんだ っけと見ると、う〜む。ただの日本車っぽいデザインになってしまって いるではないか。  老舗の商品が、世の中に迎合すると、こういう風に平凡になってしま うんだなあ。『桃太郎電鉄』も下手に、新しくしないように心がけねば。  ミニ・クーパーは、昔のデザインで、テカテカの黒で、雨上がりの京 都の細い道を軽快に抜けて行く様が、いちばん美しい。白と青のツート ン・カラーもいいけどね。  午前11時30分。キディランドの手前のベーカリーレストラン「ペ ルティエ」でブランチ。最近ここがお気に入りだ。  午後12時。嫁は買い物へ。私は自宅に戻り、『桃太郎電鉄13(仮)』 のMAP作りの続き。  これが終らないことには、集中力が持たない。  午後2時。ぷしぇ〜〜〜いっ! 暫定地図、完成〜〜〜!  どんどんどん、パチパチパチッ、ひゅ〜〜〜、ひゅ〜〜〜ッ!  たぶん、部分、部分が、うまく繋がっていないと思うけど、航路もま だできていないけど、青マス、赤ますが埋まっていないのが、3分の1 ほど残っているけど、とにかく第1稿完成だ〜〜〜〜〜!  午後3時。嫁と、池袋駅から、東武練馬駅へ。  午後4時。柴尾英令」くん主催の映画の会に初参加。  きょうの映画は『ロード・オブ・ザ・リング〜指輪物語〜』。  なにしろ、3時間の映画と聞いて、トイレの心配が大変。朝から水分 を控えた。私は健康のために、毎日2リットルの水を飲んでいるので、 トイレが近い。  映画のほうの感想は、もう非の打ち所が無いのが、最大の欠点という ぐらい、よく出来た作品。実写とCGがまったく違和感がなく、スムー ズに融合しているし、まあ、小道具の作り方の緻密なこと。  うるさいファンタジー・ファンを黙らせるのに、じゅうぶんなぐらい 凝りに凝っている。  ホビットの足に、ちゃんと毛が生えていた。  それにしても、つくづく『指輪物語』は、すべての物語のエッセンス が入っている素晴らしい作品だ。  カルピスの原液みたいなもので、『スター・ウォーズ』も『ドラゴン クエスト』も、週刊少年ジャンプの漫画群も、この原液をどのくらいの 割合で薄めたみたいなもんだからねえ。  早く、DVDのメイキング・ビデオが見たいなあ。たぶんメイキング・ ビデオもしっかり撮影しているんだろうなあ。今回の作品がヒットすり かどうかわからない段階で、2本目、3本目を作ってしまっているよう なスタッフだからね。  午後7時。息を呑む展開に、途中トイレに行くこともなく、見終わる ことができた。さすがに途中でトイレに立つ人が多かった。    午後7時30分。東武練馬の居酒屋「こだわりやま」で、映画の後の 談笑会。  こういうの若い頃よくやったけど、楽しいねえ。  自分とは違う目線をしている人の意見が聞けて、映画をより強く覚え ることができる。ひとりで見に行ったら、家に帰り着く頃には、ガンダ ルフという名前が、ガンタンクぐらいになっていそうだ(なるかい!)。 これだけ、ガンダルフ、ガンダルフとみんなで連呼することで、名前が 確実なものになる。  きょう来た名前のみなさんは、以下の通り。  柴尾英令くん。少女小説家の高瀬美恵さん。ポニーキャニオン勤務・ 音楽史研究家のけーむらクン。漫画家の菊池晃弘くん。ゲームライター の野安ゆきおクン。スクウェア社員番号28番の松村靖くん。ゲーム会 社勤務の二位真裕・尚美夫妻。SCE勤務プログラマーのオラッチさん。 漫画家のイダタツヒコさん・なちさん夫婦。ゲーム製作会社勤務の山之 内みどりさん。丸堀彩文さんとひでクン。  飲み会からの参加が香月涼くんとイエネコ・アンジーさん。  初めてしゃべった人もいて、楽しかった。とくに二位くんという人が、 コンピュータを持参してきて、音声認識のゲーム・ソフトを見せてくれ たのには、びっくり。初めての人の声を本当に見事に認識するのだ。わ ざとなまって発音しても、しっかり認識する。いったいこういう物は、 どこまで進化し続けるのだろう。
 午後11時。私と嫁は、一次会で早退。  映画を見て、みんなで語り合うというのが、なんだか懐かしくて、楽し かった。  ただ『ロード・オブ・ザ・リング〜指輪物語〜』が優等生すぎる出来の 作品だっただけに、「『スターウォーズ』のジャージャービンクス、あれ は何だ!」みたいなツッコミを入れて楽しめるまでに至らなかったのが、 残念といえば、残念!
 

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