2月24日(日) 日付が変われば、気分も変わる。 午前9時。「イノダコーヒ本店」で、スパゲティ・イタリアンにコー ヒー。 このお店で、調子を取り戻すぞ! 縁起かつぎだ。 しかし、このお店の繁盛ぶりは、異常である。 朝から、タクシー横付けで、観光客が続々と入ってくる。 順番を待つためのイスがあるのに、その行列はお店の外にまで達する。 麻薬性の高いコーヒーは、たしかに美味しいが、ここまでムキになる ほどだろうか? 一度、上げ潮(あげしお)に乗って認知されると、手 がつけられない典型といった感じだ。 いつもこのお店で、スポーツ紙をチェックするのだが、昨日は阪神タ イガースがオープン戦の初戦で、さよなら勝ちしたので、スポーツ紙は 奪い合いで、見ることができない。 ひそかに、横浜ベイスターズも大勝しているのだが…。 あとで駅売りを買おう。 午後9時58分。京都駅。 Jスルーカードを買って、長浜行き新快速に乗る。 駅ホームの売店で、自動販売機のスポーツ紙も買った。 日曜日なので、さすがに超満員。座ることができない。 午後10時23分。草津駅で、柘植(つげ)行きのJR草津線に乗り 換える。 私はけっこうこの草津線が好きだ。 別に景観がいいわけではない。 清冽なる渓谷の脇を通るでもなく、もちろん海は無い。 ひたすら林(森でなく)と、ススキ、笹、竹林のくりかえしで、人家 も少ない。平凡な景色だ。 でも、どこまでもまっすぐで、列車が一生懸命スピードを上げて走っ ているのがいい。まるで軽自動車が、ローギアで呻き声を上げながら、 疾走するみたいで、いとおしいのだ。 Jスルーカードを買ったときに、もらったJR西日本の案内書を読む。 ふむふむ。Jスルーカードは、近鉄でもつかえるのか。 へ〜〜〜。関西私鉄連合の、「スルッとKANSAI」というカード もあるけど、頭の固かったJRも、急速に企業努力するようになってい るなあ。 老舗企業というのは、どん底まで落ちても、そこから這い上がる力を 持っているから、すごい。 …と、ホメたら、おい! このJスルーカードは、貴生川(きぶかわ)駅までしかつかえないの? 柘植(つげ)駅も、JR西日本だったんじゃないの? ぎょえ〜〜〜! 貴生川駅で、いったん降りるしかないのか? こんなことなら、京都駅 で、ふつうにキップを買ってくればよかった。 げげっ! えっ!? もう貴生川駅を通過しちゃってるの? うひょ 〜〜〜、どうすればいいんだ!? う〜む。貴生川駅以降つかえないと 言っても、私のようなミスをする人はいるに違いない。 電車の最後尾まで歩いて行って、車掌さんを呼び出す。 「Jスルーカードは、つかえないんですよね?」 「ああ〜! そうなんですよね! ちょ、ちょっと待ってください!」 どうするののか、楽しみたでもある。 米国NASAのロケット打ち上げに関するマニュアル書の3分の2は、 失敗したときのマニュアルだそうだ。 JR西日本もこういうときの措置を考えてあるに違いない。 「どこまで行くんですか?」 「亀山か、関(せき)です!」 この期に及んで、まだ行き先を決めていないのが、いいかげんでしょ。 決めていないからこそ、Jスルーカードみたいな、乗り降り自由なキ ップをよく買うのですよ、私は。 一応、亀山も、関も、京都駅から料金はおなじの隣り駅だ。 実は、昨日、名古屋駅から寄り道旅行するのを断念したけど、きょう はそのコースを逆走しようとしている。 「あの〜、もうしわけないのですが、京都から亀山までの料金を払って いただいてですね、Jスルーカードをもう一度つかえるようにする手続 きの券を発行するということでよろしいでしょうか?」 ふむふむ。ていねいな対応だ。 そうか。Jスルーカードは、すでに「京都駅」という文字をカードの 後ろに印字してしまっている。これを消去しないといけないわけだ。で も亀山駅で、消去できるくらいなら、Jスルーカードにも対応できるわ けだ。なるほど。 「この券を、JR西日本の駅窓口に出していただければ、Jスルーカー ドがつかえるようにできますので、お願いします! 京都駅でもできま す!」 うむ。お見事なり。 こんな文字が書かれた券を発行してもらった。 【鉄道慣用句】で、あとでここを検索しておけるようにしよう。推理小 説でも書くときにつかえるかも。つかわないか! 西 113―290 有効証明書 原券 Jスルーカード 乗車駅 京都 ※エリア外等に乗り越された現在お持ちのカードは、そのままでは お使いになれません。 ※残額を減額せずに、カードを使えるようにいたします。 ※次回乗車時に自動改札機設置駅に、本証明書とカードを提示して ください。 あまり上手い文章とはいえないが、こういう文体って、おもしろいね。 障害物競走のように、あっちこっちに気をつかいながら文章を作って いるのが、伝わってくる。 午後10時58分。柘植(つげ)駅着。 どんどん風情がローカル色満点になってくる。 きょうは、日曜日だから、カメラをかついだ鉄道ファンをよく見る。 柘植駅から、西に4つ駅を行けば、伊賀上野(いがうえの)駅である。 あの忍者でおなじみの伊賀上野駅であり、かつて私が京都のマンショ ンの鍵を落として、わざわざ京都のホテルに一泊するはめになった、あ の伊賀上野駅である。どうもこの近辺の景色が、私は好きなようだ。 松尾芭蕉のせいもあるのかなあ。 午後11時03分。柘植(つげ)駅で、関西本線に乗り換えて、東に 向う。 4〜5両あった草津線から、いきなり、2両編成である。 いいねえ。関西本線といいながら、2両。おまけに単線ときたもんだ。 ついでにいうと、ワンマンカー。 いいかげん、JRも単線の路線に「本線」という名前をつけるのは、 やめてもらいたい。山陰本線なんて、いかにも複線のようだし、知名度 も高いのに、やっぱり「単線」だからねえ。 きゅるきゅる、かわいい音を立てながら電車は走る。 柘植(つげ)駅の隣りの「加太」駅につく。 「加太」は、「かた」と読むのだとおもったら、なんと「かぶと」と読 むのだそうだ。これは鉄道クイズの問題につかえそうだな。 午後11時27分。関(せき)駅で、降りる。駅前には、大きな道路が横切っているだけで、町並みがない。 ここに、東海道五十三次の47番目の「関宿」があるはずなのだ。 ちなみに「関の孫六」といった刀剣でおなじみの「関市」は、岐阜県。 こっちの「関(せき)」は、東海道五十三次に名前を連ねているわり には、知名度が低い。 駅の売店で、パンフレットをもらう。 「ここからまっすぐ300メートルほど行くと、古い町並みが2キロほ ど続きますから!」 「2キロメートル!? それは長いですね!」 「いいところですよ!」 おお! おばちゃん、仕事熱心! なになに? 駅から垂直に伸びる道を行けとな。 何だか、ありふれた坂道だなあ。 しかも、ゆるやかに上り坂だ。 嫌な予感がするなあ。 ひとり旅、好例の「遭難」パターンじゃないだろうなあ。 おばんちゃん、確かに300メートルって言ったよな。 標高300メートルじゃないよな。 田舎の人の「すぐ近くだから」ぐらい、恐いものはないからな。 坂道を歩く。ふーーーん。 歴史的景観でなくても、ふつうの民家もじゅうぶん古いな、このあた りの家は。 思ったより、坂も急じゃない。 天気も、とても冬とは思えないほどの暖かさで、快適だ。 午後11時40分。おおっ! いきなり旧東海道に出た! こ、こ、これはいったい! すごいよ! すごいよ! こんなすごいものを、隠していたのかい! 埼玉県川越(かわごえ)の古い町並みや、伊勢の「おはらい横丁」… は、『桃太郎電鉄』での名称だった。伊勢の「おかげ横丁」に匹敵する ような、歴史的景観じゃないの〜〜〜! すごいよ、すごいよ、す〜んご〜い〜よ〜! 電信柱を隠した町並みだ。 3メートルぐらいの狭い道の両側に、古い町並みが延々と続く。 ここまで本格的だとは思わなかった。 静岡県島田市の歴史的景観が、いちばん東海道でいい雰囲気だと思っ ていたけど、比べ物にならない! いきなり「百五銀行」が、昔風。 第16回三重県建築賞「濱田賞」とかいうのを取っているのか。 「濱田賞」がどれほど由緒ある賞か知らないけれど、見事なデザインだ。 う〜ん。あまりにも月並みな言い方だけど、「町ぜんたいが博物館の ようだ!」ってやつだね、これは〜! むむっ。月並みな言い方以上だ、この町並みは。 いきなり、桶屋さんがあったよ。 昔の桶屋さんじゃないよ。今もお店やっているんだよ。 「桶重(おけじゅう) 服部家」。 服部家は明治15年創業の桶屋さん。現在も3代目重三氏が大小の桶 造りにいそしむとある。 あれま。本当におじいちゃんが接客しているよ。 あ〜、あの手桶、いいなあ! ちょっと持って帰るのは、きつい。 まあ、先に全長2キロメートルに渡る町並みをとにかく、行けるとこ ろまで歩くとしよう。全部はとても歩けない。半分見たとしても、帰り 道もあるから、2キロメートルになってしまう。 ほう。電気屋さんも古い町並みに合わせているのか。 自動販売機も、木目模様風にして、町並みの地図がプリントされている。 美容室も、おもちゃ屋さんも昔風だ。 タバコ屋さんなんか、本当に時間が止まってしまっているよ。 それにしても、この町並みは、案内図が多いし、休憩用の縁台も多い。 すぐへばる私には、非常にやさしい町だ。 「百六里庭(ひゃくろくりてい)」というのは、ここが江戸から106 里の距離にあることから名付けられたのか。1里が、3.93キロだそう だから、416キロメートルか。遠いねえ。 「関まちなみ資料館」に「旅籠玉屋歴史資料館」と、見どころも多い。 「山車(だし)倉」というのがあるのか。 へ〜。よく会話につかわれる「関の山」とう言葉の語源は、この町に 山車(やま)が多かったせいなのか。ほえ〜。最盛期には、16基の山 車があったとか。 もともと、この「関(せき)」という地名は、はるか昔、江戸時代よ りもっと昔。 「伊勢鈴鹿(いせすずか)の関」という「関」が置かれたことから、そ の名が付いたそうだ。 それだけに、徳川家康ゆかりの瑞光(ずいこう)寺、織田信長の息子・ 織田信孝の菩提寺「福蔵(ふくぞう)寺」、関に伝わる俗謡に「関の地 蔵に振袖(ふりそで)着せて、奈良の大仏さん、婿(むこ)にとろ」と 歌われた地蔵院など、歴史たっぷりの場所もいっぱいだ。 途中、大型観光バスが到着するや、ドッと、じいちゃん、ばあちゃん、 おっさん、おばさんの群れが、吐き出されてきた。 とたんに、静かだった町が、うるさくなる。 「ほ〜、えらいなあ! こんな古い町並みをずっと保存していて!」 「約2キロもあんのかい、すごいのー!」 「妻籠(つまご)より長いんでねーかい?」 「そりゃ立派じゃのーーー!」 妻籠(つまご)というのは、木曾のことだな。長野から来たようだ。 しかし長いから「立派だ」という飛躍はすごい。 「関(せき)」は、江戸時代、火縄(ひなわ)屋が、6軒以上あって、 特産品だったらしい。この「火縄屋」さんも保存されている。今も営業 しているかどうかはわからなかった。日曜日なので、お休みのお店も多い。 おおっ。気がつけば、町並みの8割方を見たあげく、最初に遭遇した 「百五銀行」まで戻って来てしまったぞ! この私がノンストップだ。 よっぽど見飽きない景色ということだ。もちろん、すでに足はパンパン に張っているのだが…。 午後12時30分。紅茶専門店「アールグレイ」で休む。 紅茶に、アップルケーキ。 ずいぶんおしゃれなお店だ。 若い女の子向きだな、このお店は。 きょうはけっこう足の調子がいいぞ。このまま駅まで戻るぞ! 午後1時。関駅のすぐ近くにある「道の駅・関」を覗く。 あまり珍しいものがない。 古い町並みは、美しいんだけど、関特有のものがないのは、確かだ。 『桃太郎電鉄』のローカル版では、ぜひ物件駅にしたいけど、物件が無 いなあ。 「郷愁街道」っていうのか。「郷愁街道」1件だけじゃなあ。 「街道そば」というのがあるらしいから、これも加えておくか。 「火縄屋」は、いまも活動していたら、絶対加えるな。無理やり入れるか。 大企業とか、大きな工場でも近くにあるといいんだけどなあ。あとで 調べてみよう。 しかし、JR関(せき)駅は、少なくとも「JR関宿(せきじゅく) 駅」と改名すべきだね。こんなに素晴らしい景観があることが予測でき る名前にしなきゃ! それと駅前に、山車(だし)を展示しておかない と。「関の山」の語源の町とうだけで、ありがた味が増す。 この町は、もう一度絶対来る。今度来たときは、手桶を買いたい。 午後1時24分。JR関駅。 すごいね。カメラ片手の鉄道マニアだらけだよ、この駅。 けっこう新しいステンレス車輌だとおもうんだけどなあ。 気分がいいので、余勢を駆って、隣りのJR亀山駅を急襲することに した! 亀山といえば、これまた東海道五十三次の46番目の宿場町。 カメヤマローソクで有名な町でもある。 亀山城もある。 とうとう電車は、1両編成だ。 さすがに超満員。 午後1時30分。わずか6分で、亀山駅に着く。 この駅には、30年ほど前にも来たことがある。 30年もすれば、昔の景色は跡形も無いものだが、ほとんど変わって いないのに、びっくり。亀山駅は、名古屋方面に向う路線、伊勢に向う 路線、伊賀上野方面に向う路線と、5番線までホームがある大きな駅だ。 あっ。草ぼうぼうになってしまっているけど、電車が向きを変える操 車場もまだ残っている。すごいね。この変わらなさは。 駅を出る。駅前のほうが、見覚えが無いなあ。 しかもカメヤマローソクの文字が、まったく無い。 駅の売店にも、カメヤマローソクを売っていない。まあ、お土産でロ ーソクを買って行く人もいないか。 大きな石の鳥居と、バスのりばが目立つ。 とりあえず直進して行けば、亀山城の跡があるようだから、歩き始める。 そうか。ここは亀山茶が、特産品なのか。 あれ? 「亀山市街」の表示があるけど、それは舗装された車道だけ の橋であはないか! 人間はどこを歩くのよ。えっ? 一度、この橋の 脇を降りて行って、道路に出たら、今度は鉄製の階段を登って、車道と 合流するの? どうもこの町は、いきなり亀山城が立ちはだかっている町のようだ。 早い話、お堀の前に立って、お堀の底まで降りて行って、そこから城 壁をよじ登るように、鉄製の階段を登って行くのだった。 Uの字形に歩けってこと? すごいのは、マンションにも幅広い石段がついていたりする。 まだまだ急坂は続く。 どうしよう。関(せき)で、すでに体力は著しく消耗している。 でも、なんとか東海道五十三次の宿場を2ヶ所クリアしたい。 亀山城は、やたらと城主が変わって、落ち着くヒマもなかったから、 どうしても行きたいほどの場所ではない。気力のほうも、かなり希薄に なって来ている。 それでも、がんばって、急坂を登る。 やった! 高台に登った! ふい〜〜〜ッ! 疲れた〜。足がもう、よぼよぼ。 ん? この立て札は? 「西町問屋場跡」だって…。 けっこう古い町家があるけど、ああっ! はるか前方に見える石垣は! あっちが、亀山城跡か! まだ橋もあるぞ。さらに上り坂だぞ! これはもう無理だ! ここで無茶をすると、帰ることができなくなりそうだ。 まだ体力があるうちに、戻ろう。 こっちのほうから、帰れば、ひょっとすると、さっきの谷底のような 場所を通らなくてすむのではないか? そう思って、橋の手前を右に入 る。げっ! こっちも上り坂! いったいここはどうなってるの? 町 全体が、亀山城? 天然の要塞? ここは、旧東海道の街道沿いなのか。 一応、表示があるけど、関(せき)に比べると、おざなりな表示だなあ。 戻ろう。この道を登って行くのは、危険だ。 ちょっと惨敗だな、亀山は。 地図を確認してから行動したんだけど、高さは書いてなかったからなあ。 午後2時。なんとか、足をじんじんさせながら、亀山駅まで戻る。 次の電車まで、40分近い。 鈍行の名古屋駅行きだ。 キップを買う。 「名古屋駅まで! 途中、どの駅で特急とか、急行に乗り換えられますか?」 「そうですねえ! え〜と。無いですねえ! 次の名古屋行きがいちば ん早く名古屋駅に着きますね!」 わーん。しかも1時間とちょっとだってさあ。 途中に四日市とか、桑名とか、有名な地名があるから、そこでもっと 速い列車に乗り換えられると思った。 あと30分。タクシーでぐるっと、市内を回ってもらうには、時間が 足りないなあ。あきらめて、駅の待合室で、へたる。 午後2時38分。亀山駅から、名古屋駅に向う。 対面式の4人掛けの座席。 半分うとうとしながら、車窓を眺めたり、仕事をしたり。 途中、富田(とんだ)駅から乗り込んで来て、目の前に座った初老の 男たちがうるさい、うるさい。 「もう、不景気なんてもんじゃないよ!」 「あそこも、もう危ないらしいですよ!」 「おちおちしてられねーなー!」 「あっ、東芝の工場ですねえ!」 「東芝も大変らしいよ!」 ありふれた会話だ。 午後3時49分。名古屋駅。 本当は、亀山駅から、伊賀上野方面に出て、奈良のほうから京都に戻 ってもよかった。亀山から、松阪に出て、近鉄特急で、京都に戻る方法 もある。 でも、どうしても、名古屋駅に寄る必要があったのだ。 さくまにあの高木明光くんだったかな。ほかの人だったら、ゴメン! 名古屋駅のエスカ地下街に、あのみそかつの「矢場(やば)とん」が お店を出したという情報を送ってくれたのだ。 これは、寄るしか無いでしょう。 去年からずっと確かめたかった。京都の帰りに、「矢場とん」のため だけに名古屋に寄るというのもねえ。私らしいか? そんなわけで、エスカ地下街。 新幹線からいちばん近い地下街だ。 ここには、味噌煮込みうどんの美味しい「山本屋総本店」もある。 「寿がきや」もある。 てっきり、「山本屋総本店」のほうだと思って、歩いていったら、こ れがまったく正反対! エスカ地下街を降りて、右み向って、いちばん 奥に「矢場とん」はあった! 地下街を一周しちゃったよ。 でもこの地下街は、名古屋のすべてが凝縮されているから、おもしろ いよ。 午後4時15分。「矢場とん」。 まだ晩ご飯には、早すぎるよなあ。 でも、お腹空かせてから、食べると、食べ過ぎちゃうからなあ。 嫁にも、「みそかつなんだから、少しは食べ残すように!」と言われ て来ているのだ。揚げ物は、カロリー高いからねえ。 以前も、嫁と別行動で、ひとり旅をしているときに、霊能者の岩崎摂 さんから携帯メールが来て、「嫁がいないからといって、甘い物を食べ てはいけません」と忠告が書かれていたのに、そのときはすでにもう甘 い物、食べちゃってたもんなあ! というわけで、けっきょく、入る。 そんなにお腹が空いていないから、半分ぐらいご飯を残そう。 みそひれかつ丼、1200円を注文。 このお店は、カウンター席もあるから、ひとりで来た場合も入りやす い。いずれにしてもいままでのように、わざわざ大須(おおす)まで行 かなくてよくなるのだから、矢場とんマニアとしては、うれしいかぎり。 もぐもぐ…。 目の前に何やら、書いてあるぞ。 まずは、そのまま食べてください。ふむふむ…。 甘すぎると感じたら、からしをつけて食べてみてください。ほう。 ほかの味も楽しみたかったら、すりごまをかけて食べてみてください。 へ〜〜〜、すりごまをかけるとは知らなかったなあ。 あっ! ああ〜〜〜ッ! みなさん、もうおわかりでございましょう! 但し書きを読みながら食べてるうちに、私が丼をたいらげてしまった ことを! まったくもう…じゃないですよね! でも、何でこんなに、美味しいんだろうなあ。矢場とんのみそかつは! 午後5時01分。名古屋駅から、のぞみ75号で、京都に向う。 車中、読書。 『キャノン高収益復活の秘密』(日本経済新聞社編)がおもしろい。 「不採算部門はいらない。逆に、他社ブランドで売っているビジネスで も利益さえ上げていれば立派な事業だ。企業の目的は利益で、ビジネス は手段である」。 その通りだ! 午後5時37分。京都駅着。 駅の窓口で、有効証明書を渡して、Jスルーカードをつかえるように してもらう。「手塚治虫ワールド」にも、ちょいと寄る。新作のフィギ ュアが出てたりしなくて、よかった。すぐ買っちゃうからな。 午後6時30分。京都のマンションに戻る。 当然のように、疲れた。 小旅行は、1ヶ所にすべきですな、あはは…。
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