1月30日(水) 大橋巨泉さんも運が無いねえ! 議員を辞職することで、国民の喚起を 促そうと思ったんだろうに。田中真紀子外務大臣と野上事務次官の更迭と いう大事件に軽〜く、吹き飛ばされてしまった。 どうでもいいから、誰か鈴木宗男をなんとかしてくれ! 午前8時30分。嫁と、近所の「スターバックス・コーヒー」で軽く食 べて、東京駅へ向う。日帰り小旅行だ。 午前9時16分。東京駅から京葉線快速に乗って、舞浜駅へ向う。 午前9時30分。げっ! 舞浜駅って、快速だと15分で着いちゃうの? すごいなあ! 昔は東京ディズニーランドといえば、東西線浦安駅から、 バスで行ったものだ。 本日は、もちろん東京ディズニーランドが、めあてではなく、東京ネズ ミーシーではなく、東京ディズニーシーに行く。 いつかは来ようと思っていたけど、どうせ混んでいるだろうと、冬の平 日を狙っていた。先日の大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンのどれ もこれも5分待ちに味をしめたのは確かだ。 しかし、まったく東京ディズニーシーに知識無しで来ると、えらい目に 会う典型を喰らってしまった。英語でいうところの、アイ・ハブ・ノー・ 知識ってやつだ! まず、いきなり「ディズニーリゾートのりかえ」の表示に戸惑う。 ええっ!? ここからまた電車に乗るの? しかもお金取るんかい! お金取るほど広いんかい!?広いなんてもんじなかった…。 先頭打者にホームランを打たれた投手の気分だ…。 大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンが浅草の花やしきに思えたほ ど大きかった。東京ディズニーランドを増築した程度ではなかったんだね。 71ヘクタール? その広さがどのくらいかよくわからん。東京ディズニ ーランドとほぼおなじ大きさのなの。総工費4500億円。ははは。笑う しかない。『桃太郎電鉄』の物件にも登場しないお金の単位だぞ。ゲーム より空想の世界を作っちゃ、やーよー! むぐっ。電車は、モノレール? 高所恐怖症の私としては、ちょっと困るなあ。まあ、懸垂式のモノレー ルじゃないから、まだ我慢できるけどね。ちなみに、このディズニーリゾ ートラインのように、跨(また)ぐ式のモノレールは、鉄道マニア語では、 跨座(こざ)式という。 それにしても、このモノレール、園内交通機関ではなくて、立派な私鉄 ではないか。西武新宿線より、営業成績がよさそうなくらい豪華で、混ん でいる。窓の形がミッキー。ドアの形はミッキーの目。吊革もミッキー。 恐れ入りました! モノレールは思ったより、低い位置を走ってくれたので、快適。 東京ディズニーランドを通って、ぐるっ!と時計とは逆回りに走って、 東京ディズニーシーステーションへ。 しかし、この来客数の多さはいったい何なの? 冬の平日に、こんなところに来るなよ! 私たちもだが! この不景気の時代に何でこんなにたくさんの人たちが散財しに来れるの よ! 入園料5500円もするんだよ! ゲームが1枚買えちゃうよ! 日本は本当は、不況じゃないんじゃないの? おーーーい! キップ買うだけで、何でこんなに並ばないといけないん だよ。しかもぐるぐる、ぐるぐるロープの道を曲がって、曲がって、曲が って、曲がって、歩く、歩く、歩く、歩く。ああ、疲れるよ〜! やっと、買えた。 さあて、えっ? キップ買っても、まだ入り口まで並ぶの? 行列に並 ぶことが大嫌いな私は、早くも嫌気がさす。 昨日柴尾英令くんが、「ボクはコンビニで、入場券を買ってから行きま す」と言っていたのは、このせいだったのか! 午前10時15分。やっと、入場できた! 東京ディズニーシーについて、まったく知識のない私でも知っている、 地球儀の大きいやつが目の前に見えた。ありゃまあ。景色の向こうに火山 が見えるぞ! でかいんだなあ!…って、あとで知りましたよ! ここか ら見えた景色がほんの一部だったことを! ふと見ると、入場口に、柴尾英令くんの姿が見えた。 私たちの待ち合わせ方というのは、つねにいいかげん。いい意味で 「いい加減」だ。 「園内に、午前11時近辺。着いたら、電話する」。これだけである。 早く来たい人は、早く来て、遊んでいていい。 「さくまサン、これは空いているほうですよ!」 「ええっ? こんなに人だらけなのに!」 おや? 何だか、柴尾英令くんを膨張させたような人がいるぞ。 へ〜、市長さんなの? 事前の知識がないと、驚きが新鮮でいいな。 とりあえず、私、嫁、柴尾英令くんの3人で、ホテル・ミラコスタ前の オープン・カフェで、コーヒーを飲んで、土居ちゃん(土居孝幸)を待つ。 パーク内の寒さを予想して、私はホカロン・ミニを腰に貼って来たのだ が、ホカロンが熱く感じるほど、きょうは天気がいい。 思わず、日向ぼっこがしたくなるほど。 ああ! このままだと寝ちゃいそうだぞ〜! 火山は、ランダムに煙が出たりするのか。どどーーーん! おお! ときおり、爆発するのかあ! ゲームとおなじで、ランダム性は大事だなあ! なかなか土居ちゃんが来ない。 土居ちゃんに電話する。 土居ちゃんはいま東京駅に着いたばかりだそうだ。 だったら、先に園内を見ておこうと、3人ででかける。まず蒸気船に乗 って、ロスト・リバーデルタへ。「ディズニーシー・トランジットスチー マーライン」っていうのか。「蒸気船」でいいじゃないか。 船は、13艘あって、それぞれに名前がついてるの? で、この船は唯一、女性の名前がついてる船なの? ふーーーん。芸が 細かいなあ。で、何ていう名前だったっけ? 午前11時15分。ロスト・リバーデルタに到着。 着いたとたん、土居ちゃんから電話が入って、いま入口を通ったところ だというので、こっちまで来て!とムチャな要望。 その間に、柴尾英令くんは、人気アトラクション「インディジョーンズ・ アドベンチャー」を、何だっけ? チェストパスじゃなかった、ファスト パス? そんな名前だったけ? ファストパス発券所で、午後1時50分 過ぎのチケットを予約しに行く。まだお昼にもなっていないんだよ。でも いま並んですぐ乗ろうとしても、80分待ちなんだそうだ。何だよ、80 分待ちってのは。 土居ちゃんはああ見えて健脚なので、あっというまに合流する。 「あれ〜? 入口、大混雑してなかった?」 「いや。全然!」 「何で!」 「さくまサンたちは開園時間にキップを買いに並んだからですよ!」とテ ーマパーク博士の柴尾英令くん。 「ええ? ここって午前10時開園なの? 遅いんだねえ!」 全員揃ったところで、このメンバーなので、食事。 こいつら、食べることしか頭にないんかい!? 無いんですよ! わっはっはっは。 ユカタン・ベースキャンプ・グリルで、西部劇に出てくる晩飯のような、 ビーンズ中心の料理。バーベキュービーフに、ビーンズ、ポテト、コーン にコーヒー。 「ボクのきょうのテーマは、真昼間からディズニーシーで、ビールを飲む ことですよ! わっはっはっは!」と柴尾英令くんがうれしそうだ。テー マパーク博士は酒飲みだ。 ディズニーシーはすごいよ! エンタテインメントのすべてが揃っている! 非日常の夢の世界にお客さんたちを引っ張り込むことに、全知全能が費 やされている。スピーカーは、街灯の上に隠す。トイレも極力、風景のな かに溶け込ます。観覧車のような、夢の世界の外が見えてしまうものは作 らない。 最初に、パスポートを買えば、園内のアトラクション、乗り物に乗ると きに、お金を出すという現実的な生臭い動作を、絶対お客さんにさせない。 国内のしょぼい遊園地は、乗り物に乗るときに、300円とか払わされ るので、その度に日常生活に戻されてしまう。 午後12時。ハドソンの梶野竜太郎くんがお勧めと言っていた「マーメ イドラグーンシアター」を見に行く。 サルティンバンコみたいな、ワイヤーをつかった童話のマーメイド物語 だけど、実に華麗で、極彩色の魚たちが、夢の世界に誘ってくれる。 最初から、人間がワイヤーに吊られているのが前提の仕掛けとデザイン がえらいなあ。 午後12時30分。柴尾英令くんが残念そうな顔で戻って来た。 何だって? 人気アトラクションの「センター・オブ・ジ・アース」の 本日の予約分は、もう売り切れったって? まだお昼だよ? そういう世 界なのか、ここは。 そこで私がパンフレットを見て、いちばん見たいと思った「海底2万マ イル」のアトラクションに並ぶ。子どもの頃、ジュール・ベルヌの小説ば かり読んでいた時期があった。『十五少年漂流記』、『八十日間世界一周』、 『月世界旅行』、『地底旅行』…。 なかでもいちばん好きだったのが、『十五少年漂流記』と『海底2万マ イル』だ。『十五少年漂流記』はつい7〜8年前に、ゲーム化しかけて、 キャラデザインまでしたことがあった。 『海底2万マイル』も、ネモ船長、ノーチラス号といった単語が思い出さ れる。 おお! 火口の湖みたいなところに、ノーチラス号が停泊しているでは ないか! あの潜水艦に乗せてくれいっ! 土居ちゃんも「子どもの頃、よくノーチラス号の絵を描いたなあ!」 やっぱり土居ちゃんは、こういう絵ばかり描いていて、今日に至ってい るわけだね。 ええっ!? 「海底2万マイル」のアトラクションは、ノーチラス号に 乗れるんじゃないの? ちょっと残念だなあ。しかも待ち時間は、35分 間。長いなあ。 ぐるぐる、ぐるぐる、ロープで区切られた道を、しずしずと歩いて行く。 もうちょいで、アトラクションに乗れるのかと思うと、また行列の道が 続く。 そのうち、不覚にも、おしっこに行きたくなってしまった。 まあ、おしっこぐらいなら、アトラクションに乗ったあとでも間に合う からいいだろうと高を括っていたら、急に腹具合が悪くなって来た! 「きゅるるるるッ!」。これはやばい! うっ! どんどんお腹の調子が悪くなって来た。 外が寒くて、屋内が暖かいを繰り替えし過ぎたか! もうすぐアトラクションに乗れるかもしれないけど、乗ったとたん、お もらしをしてしまいそうだ! こんなところで、おもらしをするなんて、 話題がおもしろすぎるぞ! でもこの調子だと、ダメだ! 自分の顔が真 っ白になって行くのがわかる。口数も少なくなった。ああ! 万事休す! 私の脳裏に、次の言葉が浮かんだ。 「さくまあきら、49歳にして、ディズニーシーにて、うんち洩らす!」。 それは恥ずかしすぎる! でも、ここで下手な我慢は、致命傷になる。 「もうダメ! 私はリタイアする!」とみんなに告げて、後ろも振り返る 余裕などなく、鎖をくぐり、出口に急ぐ。 急ぐけど、下手に急ぐと危ない。あわてず、急がず、ゆっくりと! 目の前の「ヴォルケイニア・レストラン」によろよろと入る。 広い公衆トイレのほうを探しているヒマなどない! 「トイレはどこですか?」 「はい! いちばん奥の左でございます!」 いちばん奥…、いちばん奥…、いちばん奥…。 この言葉がなんと残酷に聞こえることよ! あわてず、急がず、ゆっくりと…! あわてず、急がず、ゆっくりと…! あわてず、急がず、ゆっくりと…! あわてず、急がず、ゆっくりと…! ああ! 冷や汗が垂れて来た! あわてず、急がず、ゆっくりと…! あわてず、急がず、ゆっくりと…! うわわわわわわ〜〜〜ッ! もうダメ! あった! トイレだ! トイレだ! 間に合ったか!? ふうっ。トイレにたどり着いたぞ! でもトイレの大のほうが埋まっていることを、イメージする。 うっかり、「トイレにたどりついたら、もう大丈夫!」などと思い込んで、 トイレが埋まっていたら、おもらししてしまうに違いない! 案の定! トイレの大のほうは、埋まっていた! やっぱり〜! トイレの大のほうは、1個しかないの!? わずか数分が、何10分にも感じだ。 ああ! 男の人が思ったより、早く出てくれた! これから先の描写は控えるけど、助かった〜〜〜! ふ〜〜〜っ! 並んでいる途中の風景と小型潜水艇の中 午後1時。「海底2万マイル」を見終わった3人を待って、レストラン でケーキとコーヒー。午後2時。予約しておいた「インディジョーンズ・アドベンチャー」へ。 もちろん、私はこういう過激なアトラクションは、パス! 外で、遺跡に必死に蹴りを入れる間抜けな修学旅行生を眺めて、みんな の帰りを待つ。 「インディジョーンズ・アドベンチャー」と「センター・オブ・ジ・アー ス」が、二大アトラクションのようだ。 午後3時30分。このあとシンドバッド・セブンヴォヤッジだったかな。 船でのんびり、シンドバッドの人形たちを見て回る、のんびりしたものを 見たり、水と炎の祭典「ミスティック・リズム」で、太鼓のリズムに合わ せて、うとうとしたり…。 そろそろ本格的に、へばって来た。 「さくまサン、午後3時くらいで帰っちゃうかと思ってた」と土居ちゃん。 「私もこんな時間までいるのは、意外だ!」 午後5時。さすがに海風が吹いて来て、寒くなって来た。でもせっかく、 ここまで来たのだから、午後6時30分からの花火「ディズニーシー・シ ンフォニー」は見ていきたい。 ホテル・ミラコスタからこの「ディズニーシー・シンフォニー」を見る のが、特等席だというので、蒸気船で行ってみるが、もちろん見事に予約 でいっぱい。予想はしていた。朝、予約しておけばよかったんだけど、私 がこんな時間まで身体が持つと思っていなかった。 午後5時30分。火山の麓のレストラン「マゼラン」へ。あと1時間こ こで、食事しながらディズニーシー・シンフォニー」を待つことに。 ここは、いいほうに予想外なほど、食事が美味しかった。園内で、30 00円でフランス料理のフルコースというのはまったく期待していなかっ た。驚くほど味がしっかりいていたし、お客さんたちの年齢層も高く、落 ち着く。 「何だか遠くに旅行に来ている気分…」 「言われてみれば、九州とかものすごく遠くに来ているような気がするなあ」 「非日常の夢の世界がしっかり構築されているせいでしょうね!」 「立派だ。とにかくすべてが誠実に作られているよ。ディズニーシーが、 誠実だよ! 作っている人たちの誠実さが伝わってくる」 「ゲームも誠実に作らないといけないですよね!」 「そうだよ! そうだよ! お客さんのために誠実にね!」 午後6時30分。「メディテレーニアンハーバー」ですでに花火が打ち あがり、星空にシンフォニーが流れていた。 ドドドドーーーン! メリメメリメリッ! ズガガガガーーン! うひょ〜〜〜! あれだけランダムに爆発していた火山は、この時間に なると、これだけ派手な花火が打ちあがるの? ことごとくいい方向にお 客さんを裏切るんだなあ! コテンパンに打ちのめされる! ほかのどん なテーマパークも太刀打ちできないわけだよ。横綱と幕下ぐらいの格差が ある。 花火が終るやいなや「センター・オブ・ジ・アース」に走る人たちがい る。最後の待ち時間に間に合わせようという作戦らしい。自分流の戦術を 練る余地までお客さんたちに残してあるのが、すごい! 午後7時。最後に、ディズニーシー・エレキトリックレールウェイで、 園内の夜景を眺めながら、アメリカンブロードウェイ。ここでも座席にヒ ーターが入っているサービスに感服する。 最後まで美しい園内 出口に達する頃には、私の足は完全に限界。 「さくまサン! まだHP残ってますかあ?」と土居ちゃん。 「少しだけ残っているけど、毒を喰らっている。キアリーがほしい!」 出口を出て、新宿行きのバス乗り場に行くが、まだ出発までに30分近 い時間があることがわかった時点で、HPの残りは、1桁に。 「ダメだ。タクシーで帰ろう! この際、お金より、身体のほうが大事だ!」 「そうしましょう!」 タクシーで、東京の美しい夜景を見ながら、高速道路を疾走する。これ は最高のデザートだ。『シムシティ』のオープニングみたいな夜景だ。 午後8時。すごい! 50分で、千駄ヶ谷駅に着いてしまったぞ。 「まだこれから飲みに繰り出せる時間ですよ〜!」と柴尾英令くん。さす がに帰るけど。 NHK『そのとき歴史が動いた』を同時録画しながら、吉田松蔭のエピ ソードをBGMに仮眠。気持ちいい。 疲れた。さすがに今夜は、風呂入って寝る。 東京ディズニーシーの徹底したエンタテインメントぶりに、マットに沈 められた。完全にノックアウトだ!
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