1月11日(金)

 昨夜、京都のマンションにて、『桃太郎電鉄X(ばってん)』をプレイ
しながら、『桃太郎電鉄11(仮)』の仕様書を手直ししていたから、眠
い、眠い。
 ついでに『プロジェクトX』の再放送まで見たから、よけい眠い。あさ
ま山荘の回だ。

 午前10時。京都ホテル脇の喫茶店「ALZA(あるざ)」に昨日とま
ったくおなじメンバーが集結。土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、
ヤサカタクシーの宮本さん。
 朝から、『桃太郎電鉄11(仮)』の会議。

 午前11時20分。雨が降り始める中、祇園の手打ちうどんのお店「萬
樹(まんき)」へ。開店10分前なので、2番目のお客さんとして入るこ
とができることになって、よかった。なにしろ、このお店は10席3組し
か入ることができない。
 しかも夕方には不定期に終了してしまう。
 だから必死にこうして、開店時間を狙って来ているのだ。
 なにしろ、ここの絶品天ぷらうどん、1500円は、本当にあまり人に
教えたくないほどの美味しさだ。

 ところが、なんと!
 今朝、天ぷらを揚げる機材に火を点火させようとしたら、火がつかない
ので、天ぷらを作ることができないというではないか! がび〜〜〜ん!
 オレたちの行いの何が悪いんだ! あんなことや、こんなこと。確かに
悪いことはたくさんして来ているぞ!
 頼む! 絶品天ぷらうどんを食べさせてくれいっ!
 機材相手では、叶わぬ夢。
 そんなわけで、私は肉うどん。  でもこれもまた美味しいお味! お肉が薄くて、柔らかくて、上品なス ープに溶け込む、溶け込む。極上ですなあ。  土居ちゃん、宮本さんも、きざみきつねうどんにご満悦。  柴尾英令くんは、鍋焼きうどんに、朝から日本酒を飲んでいる。  まったく、柴尾英令くんは時代劇に登場する、とっくり片手の素浪人の 先生のようである。まさか肝心なところで、主人公に袈裟懸に斬られやし まいな?  午後12時30分。周山(しゅうざん)街道を、栂尾(とがのを)高山 (こうざん)寺へ。
 軽い気持ちで行ったら、石段がきっつい。急だ。  思わず、山形の山寺の階段を思い出す。いや、こっちのほうが、無造作 に石の塊を積んだだけの石段なので、私のように足の不自由な人間には、 拷問だ。  左足が悪路に混乱しているのがよくわかる。  ぷひ〜〜〜。お尻の筋肉がぷるぷるするくらい、きついよ〜〜〜!
 こういうとき、土居ちゃんはバスケを毎週やっているので、健脚だ。柴 尾英令くんも、あんなに連日連夜、暴飲暴食、鯨飲馬食の限りを尽くして いるくせに、すいすい階段を登って行く。不思議だ。デブになるために生 まれて来た男のくせに。  私は宮本さんに介護されながら、なんとか国宝の石水院までたどりつく。  ひいひい。はあはあ…。内腿、パパンがパン!
 石水院は、後鳥羽上皇から賜った建物というよりも、あの日本最初の漫 画『鳥獣人物戯画』があることで有名。とはいえ、『鳥獣人物戯画』全4 巻の本物は上野の国立博物館に行ったままで、このお寺に置いてあるのは 複製だ。  力関係というものだろうか。
 さっきまで降っていた雨が上がって、陽射しが出て来た。  1月というのに、気温が13度まで上がって来た。  幸い、お客さんがまったくいない。  どうにもぽかぽか、いい気持ち。  縁側にしゃがみ込んで、ほっこり。山の稜線が美しい。  真っ先に、酔生夢死男・柴尾くんが縁側にひっくり返ったまま、起き上 がらない。見るからに気持ちよさそうだ。  私もたまらず、ひっくり返る。  おお! ちょうど足が縁側に伸びて、背筋が伸びる。これは天然のマッ サージ機のようだ。腰も気持ちいい。ああ! 法悦なり。  気がつけば、土居ちゃんもひっくり返っている。 「ははは。これは、気持ちいいなあ!」  あっ。宮本さん! 私の鞄から、デジカメを盗んじゃダメ! 泥棒〜!  みっともない轢死体を3つ撮影しちゃ、ダメ! あ〜〜〜、気持ちいいか ら、起きる気にもなれない。ふに〜〜〜!
 このままでは、本格的に高いびきをかいて、熟睡しそうなので、みんな でよろよろ起きる。 「春に来たら、ここの杉で花粉症がきついだろうなあ!」と、杉の大木の 坂道を登り、金堂まで。  帰り道も、尖った石を並べたような石段に、足をがくがく言わせながら、 下山。  これは昨夜のお肉を燃焼し尽くしそうな運動量だ。ひ〜〜〜!  午後2時30分。北山の喫茶店「ドルフ」でお茶。本物の暖炉がある喫 茶店に、揃って眠くなる。ほんとに眠い。薪の暖かさは、眠くなる〜!  瞼(まぶた)が、とろ〜ん。
 午後3時30分。土居ちゃんたちが泊まる京都ロイヤルホテルまで戻り、 各自バラバラの行動を取ることに。私もマンションに戻って、仮眠。疲れ たよ、高山寺は。  午後6時。京都ロイヤルホテル裏の和食の店「忘吾(ぼあ)」へ。  土居ちゃんが「ひさびさにここの料理食べるけど、美味しくなってない?」 「うん、美味しくなってるよ! 腕が上がったんじゃない?」  きょうは、琵琶湖の魚・諸子(もろこ)を炭火で焼く趣向など入ってい て、実に料理の出方が多彩になった。
 開店当時から来ているお店の味が、ぐ〜〜〜ん!とアップする瞬間に立 ち会えるのは、うれしいことだ。ご主人が、研究熱心で、人なつこいから なあ。男も女も愛嬌が大事。  けっきょく、物作りは、人柄としかいいようがない。  作り手の心構えが、お客さんに向いていれば、お客さんも響く。  作り手の心が温かいならば、お客さんはその温度に気づく。  作りが楽しければ、その楽しさがお客さんに伝わる。   どれもこれも当たり前のことだが、それだけに難しい。  午後8時30分。京都ロイヤルホテルの喫茶室で、頭をきりきりさせな がら、お客さんについて、必死に考える。  オレンジカードの値段はいまのままでいいのか。新幹線カードより、オ レンジカードの値段が高いほうが妥当なのでは。その分、もっと手に入り やすくしたほうがお客さんにとって、爽快感が増すのではないか。…とい ったことなど、真剣に討議。  どこかのお寺の縁側にひっくり返っているだけの疲れたおっさんたちで はないのである。   午後9時30分。マンションに戻り、出たアイデアをまとめる作業。  明日は、いよいよ高松!
 

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