1月10日(木) 午前10時。東京駅「資生堂パーラー」で、土居ちゃん(土居孝幸)、 柴尾英令くんと待ち合わせ。 きょうから、1週間ぶっ通し会議旅行である。 阪神タイガースが毎年夏になると、甲子園球場が高校野球につかわれて 「死のロード」と呼ばれる地方遠征にでかけるが、まさにこの1週間は、 私にとっては死のロードだ。今回は生命維持装置の嫁がいないだけに、ち ょっと心配。 午前10時53分。のぞみ10号。 新幹線が走り出すやいなや、会議開始! もちろん、『桃太郎電鉄11(仮)』の会議である。 しかし、この会議の様を、見知らぬ人が見たら、なんと思うだろう。 マシンガンの打ち合いのようである。 土居ちゃん(土居孝幸)が描いてきたラフ・コンテを見ながら、ああで もない、こうでもないと、ふだんの私たちのしゃべり口調の3倍の速さで ののしり合う。 とくに、すごいのが、柴尾英令くん。 もともと、雛にはまれな頭脳明晰の男だが、きょうはとくにすごかった! 彼の得意分野である3D画面が議題だったせいもあるが、柴尾英令くん の親が聞いていたら「男の子はそんなにべらべらしゃべるもんじゃありま せん!」と怒るぐらい、機関銃の撃ちっぱなしである。 しかも! このおっさん、メモ帳も持たず、手ぶらでまくし立てる。 これで、自分が言ったことをすべて覚えていれば天才なのだが、昨年い っしょに旅行してわかったのだが、この親父、せっかくのいいアイデアを ひと〜〜〜っっっっっっっっっっっっ〜〜〜つも、覚えていないのである 〜〜〜! あじゃぷわあああっ。 そんなわけで、昨年の反省から、私と土居ちゃんで、手分けしてメモす ることに。柴尾英令くんに自分でメモさせたら、たぶんこんなにアイデア が出なくなると思うからだ。 どうも我がチームには、好・走・守、揃った選手がいないぞ。 揃って、巨人のマルティネスのような大砲ばかりである。体重的にも。 午後1時10分。京都駅着。 恐るべきことに、『桃太郎電鉄11(仮)』の8割方のグラフィックの 骨子が完成してしまったのである。 あまりのテンポのよさに、京都で相当時間に余裕ができそうなので、名 古屋駅の手前で、ヤサカタクシーの宮本さんに来てもらうように電話する。 新幹線のなかからなので、会話は途切れ、途切れ。 と思ったら、なんと、またしてもきょうは宮本さん、お休みの日で、自 家用車で迎えに来てくれているではないか。それはあまりにもと恐縮して いると、運のいいことに、宮本さんがパソコンの接続で大いに困っている というので、あとでスーパー・エレクトロニクス男・柴尾英令くんを宮本 邸まで派遣しましょう!ということに。 午後1時30分。今出川大宮の「L」というパン屋さんへ。 イニシャルだから、まずいのではなく、まだ食べていないので「L」。 夜食で食べてみて、美味しかったら、実名で書く。 インターネットで、京都グルメを調べたら、えらく評判がよかったので、 来てみたのだ。 イートインのスペースも少しだけあって、午前8時から営業していると いうのは、ちょっと魅力的。 午後2時。柴尾英令くんがあのシュークリームのお店「クレーム・デ・ ラ・クレーム」に行ったことがない!と衝撃の告白をした?ので…まあ、 すべては言い訳に過ぎないのだが、「クレーム・デ・ラ・クレーム」へ行 く。 朝、「資生堂パーラー」で、カレーライスとアイスコーヒーを食べたば かりの柴尾英令くんが、「クレーム・デ・ラ・クレーム」で、日替わりラ ンチを注文する。 「朝、カレーで、また食べるの? でもせっかくここに来たのに、シュー クリームを食べずに帰っちゃうの、もったいなくない?」 「ランチのあとに、シュークリームも食べるに決まっているでしょうが! 何考えてるんですか、まったく!」 「何考えてるんですか、まったく!」は、私がいいたいセリフだ。 脇で「はっはっは!」と笑っている土居ちゃん! 君も日替わりランチ +シュークリームではないか! 何考えてんだか、このふたりは。 午後3時。私だけ、京都のマンションに残って、土居ちゃんと柴尾英令 くんは、宮本さんの家へ。パソコンをドクターしに行く。 私も行きたかったのだが、あのマシンガン・トーク男の柴尾英令くんの アイデアをVAIOにまとめる作業をするために残ったのだ。あの調子で、 1週間まくし立てられたら、私がVAIOに書ききれなくなる。 しかも私は、私が出したアイデアも、土居ちゃんが出したアイデアもま とめないといけない。若手で書記係がいたら、楽なんだけどなあ。 でも、回転の遅い若者がひとりいただけで、テンポが悪くなって、きょ うのようにたくさんアイデアは出ないんだろうなあ。 難しいものだ。 なにしろ、たった2時間10分の乗車時間で、通常の人の1か月分ぐら いの仕事をこなしてしまったのだ。 私はひとりさみしく、『桃太郎電鉄11(仮)』の仕様書作り。 中4日で戻って来たマンションは、もうすっかり冷えていて、なかなか 暖房が効かない。 そんな部屋で、カタカタ…とキーボードを叩きまくる。 しばしも休まず、叩きまくる! ちくしょ〜〜〜! あの親父(柴尾英令)! すごいアイデアを連発すると思ったけど、アイデア言いっ放しで、どれ もこれもメッセージ作りが大変なやつばかりじゃねえかあああああっ! きょえ〜〜〜! 何て面倒なんだあっ! 言いっ放しって、楽なんだよなあ。しみじみ…。 こっちは、アイデアだけのイベントにギャグを入れないといけない。 ギャグは大変なのよ〜! ひ〜〜〜! 午後5時30分。ありゃあ。もう3人が戻って来てしまった。 えっ? あの柴尾英令くんがいて、宮本さんのパソコンだめだったの? ディスクが足りないだけ? そりゃ誰であってもダメだな。 午後6時。仏光寺通り油小路の和風肉料理の店「藤むら」へ。 昨年5月に家族で行って、めちゃめちゃお肉の美味しかったお店。この 日記に写真を載せて以来、土居ちゃんと柴尾英令くんが「あのお肉、美味 しそうですねえ!」と何度も言っていたお店だ。 きょうはアイデアがたくさん出たせいか、みんな気分がよくて、お肉の 食べるスピードまで、マシンガン! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! お肉乗せる! ジューッ! 食べる! 本当にズガガガガッという音が聞こえてきそうなぐらいだ。宮本さんが「出石(いずし)で、皿そばをみなさんがものすごい量を食 べるの見て以来ですねえ、このすごいスピードは!」という。 それに対して、柴尾くんは「お腹空いてたんですよ〜!」 「朝、カレー食って、日替わりランチにシュークリームを食ってるやつが お腹空くかあ!?」と私。 「空きますよ、きっぱり!」 柴尾英令39歳は、無敵のデブだ。 しかし、このお店のお肉は本当に美味しい。 薄いお肉を、大根おろしとポン酢で食べる、焼きしゃぶしゃというのが、 実に美味しい。 しかもこのお店は、けっこう値段がリーズナブル。 お値段を気にせずに行けるという点では、非常にお勧め。私の日記を見 て、美味しそうだと思って、軽い気持ちで行って、玉砕する人がけっこう いるので、最近ちょっと値段を気にするようにしている。ちょっとだけね。 よい子はあまりマネないようにね。 一応、お肉の写真を撮っておいたから、お肉に興味のある人は、1週間 後ぐらいにまたここを読んでね! 待ちきれない人は、昨年5月13日の 日記を見てね! 午後7時30分。京都ホテルの喫茶室でお茶。 満腹中枢が働きまくりの柴尾くんは、まんまと居眠り。しかも自分のい びきで目を覚ます。なんちゅう、おもしろいデブなんだ。 午後8時30分。土居ちゃんたちはホテルへ。私は京都のマンションへ。 今夜は、満腹デブ男くんが、言いっ放しのアイデアをまとめる作業が、 かなり続く予定。くそっ。お目出たき人め。 死のロードは、まだ始まったばかり。
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