12月13日(木)

 午後12時。嫁と、近所の自然食のお店。私はトーフステーキ。嫁はチ
キンバーグ。嫁のチキンバーグは、半生で、私のトーフステーキは、お醤
油の海に浸かっていて、素材が自然食でも、身体に悪いよ!
 外国の人が調理したようなんだけど、ちょっとなあ…。

 午後1時。四谷4丁目の「スタジオ・ダバス」へ。
 きょうはここで、伊集院光くんが司会しているテレビ東京の「ゲームW
ave」の収録。
 きょうが『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあるばい〜』の発売日
だからではなく、録画なので、放映日は来年の1月16日の深夜の予定。
 
 スタジオに入ると、放送作家の柿添尚弘くんという人が挨拶に来て、
「私、9年ぐらい前に一度、さくまサンにお会いしたことがあって…」と
言われて、「???」と、読み込みの遅い頭をシューシュー言わせて検索
したら、「あっ! ビクタースタジオだっ!」と思い出した。
「そうです。嘉門達夫さんのアルバムの仕事のときです」
 おお! 思い出した! 思い出した! なつかしいなあ!
 いっしょにホープ軒のラーメン食べに行ったっけ。
 聞けば、きょうこの番組に私を呼んでくれたのは、この柿添尚弘くんの
せいだったようだ。最近こういう風に昔、知り合いだった人が声をかけて
くれるので、うれしい。
 さらに「当時、サラリーマンをやりながら、ゲーム作る仕事をやりたい と言ったら、さくまサンにそれだと10年ぐらいかかっちゃうよ!と言わ れて、今度本当にゲーム出ることになったんです!」 「え〜、オレ、そんなえらそうなこと言ってたの。しかもその言葉を守っ ているなんて、もっとえらい。いやあ、いいかげんなことは言うものでは ない。もうしわけない!」  午後1時30分。収録開始。
 伊集院光くんが「ゲームはここ10数年間で、グラフィックも内容も進 化して来たけど、その分ゲームデザイナーたちの身体ににしわ寄せが来て いる」というようなことを、対談のなかで言ってくれた。  そうなんだよ。酷使されまくりなんだよ。ゲーム・スタッフは増えても、 根っこを考える人間の数は、まったく増えていなんだよ。 『ドラゴンクエスト』の『I』なんか、町が4つだよ。4つだって大変だ ったのに、いまや町の数30、40が当たり前だからね。堀井雄二が5年 もかかってと文句を言われるけど、堀井くんじゃなかったら、5年じゃ作 れないよ。  私だって、一度過労で死にかけているのに、まだハドソンは毎年ゲーム を作らそうとするからね。こっちの身体のことなんて、何とも思っちゃい ないからね。びっくりするほど何も考えていない。  伊集院光くんのような視点からゲーム業界を見てくれる人が少ない。  少しは伊集院光くんのいう人ことを、ゲーム業界の人がちゃんと聞いた ほうがいい。 「さくまサン、『桃太郎電鉄』はネットワーク対応にしないんですか?」 「ねえ。私も言ってるんだけど、ハドソンはまったくその話しないよ!」  これは最近の取材で必ず言われる。何でやらないのかなあ? 『桃鉄公 式戦』はネットワーク向きなのに…。  収録が終ってからも、けっこう長い時間、伊集院光くんと、ゲーム業界 について、あれこれ話す。  何で、ゲーム業界にいない人のほうが、正論を持っているんだろうなあ。 「近視眼になっている」というのは、こういうことをいうのだろう。  私なんか、業界の人間はどうせ聞く耳を持たないから、もう何も言わな いようにしているもんなあ。  まあ、その辺のことがちらっ、ちらっと、垣間見えるような収録だった ので、お楽しみに!  午後3時。銀座の「渡辺内科クリニック」へ。  きょうは私ではなく、嫁のほう。結婚して12年になるけど、風邪気味 程度はあっても、苦しむような風邪は初めてなので見てもらいに来た。    午後4時。帰宅。  ラーメン・ゲームの内容が大きく前進する。  きょう伊集院光くんとしゃべったせいだろう。すごくいい刺激になった ようだ。   午後6時。自宅にて、銀座三越の地下食品街で買って来た、お弁当を食 べる。  まつおかの手作り弁当という、あまり期待していなかったお弁当なんだ けど、かなりいける味であった。  食後、ラーメン・ゲームをちょびちょびと…。  けっこういま、聞かれると、ベラベラしゃべっちゃいたいくらい、ラー メン・ゲームを作ることに、はまっている。  それにしても、寒いねえ。雨はやんだのに、寒い、寒い…。  エアコンの設定温度は30度なのに、温度計は21度。
 

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