12月3日(月)

 午後11時30分。嫁と、麻布十番の「浪花家(なにわや)総本店」へ。
 焼きそばに、鯛焼き1皿のゴールデン・メニュー。
 このお店でこのメニューで食べるのが、いちばん美味しい。夏になった
ら、これに小倉アイスを加えましょう。幸せな気分になれます。

 午後12時。麻布十番に新しく出来た「フード・マガジン」というお店
へ。理由があって来たわけではない。「フード・マガジン」という名前の
お店が何か知りたかっただけだ。
 何のことはない、高級スーパーだった。  いいお店だけど、レジの位置、品物の置き方など、いかにも開店間際な ので、生活導線が上手く行っていないのが、ありあり。場所もいいから、 そのうち有名なお店になるのだろう。どう変わるのか、またそのうち行っ てみよう。こういう企業努力の推移を見るのが、好きだ。  午後2時。自宅にて、土居ちゃん(土居孝幸)、ハドソン桃太郎事業部 の梶野竜太郎くん。きょうの打ち合わせをすっかり忘れていた柴尾英令く んは、1時間遅れで到着の予定。  このメンバーだから、今後のゲーム製作についての打ち合わせについて なのだが、現在の私のゲームに対する気持ちの離れ方は尋常ではないので、 ちっとも話が進まない。  規模はまったく違うだろうけど、『千と千尋の神隠し』の宮崎駿監督が、 毎回アニメを撮り終えたときに、引退宣言する。それをその後、揶揄する 人の気持ちもわからないでもないけど、「引退したい!」という宮崎駿さ んの気持ちのほうが、より強く理解できる気がする。  作品を作るっていうのはね。鉛がぐつぐつ煮えている大きな鍋に、手を 突っ込むようなものなのよ。私のようなものでもね。そんな苦しい作業に、 手を突っ込む勇気のHPが年々減って来ているというのが、本音だ。  だからこそ、「ゲームは簡単に作れる」と思っている人に出会うと、 ますます勇気のHPは減ってくる。梶野竜太郎くんのことじゃなくてね。  午後4時。梶野竜太郎くんが帰って、みんなで『ピクミン』を観る。  見事なゲームだ! まず、これはこれとまったくおなじ内容のゲームを、 『ピクミン』より前に考えついても、絶対企画が通らない。誰が理解でき る? 『マリオ』の宮本茂さんだからこそ通るような内容だ。  よしんば、通ったとしても、こんな一見ルール無用なものに、自分で足 かせをつけて、おもしろいゲームに仕上げることができるのも、やっぱり この世に、宮本茂さんしかいない。  このゲームぐらい、プレイする側には、簡単に作れそうに見えて、ゲー ム作者側に「とてもじゃないけど、これは作れない」と思わせるゲームは 難しい。  花の真中に、数字の「1」を描いても、変に思えない世界観をとてもじ ゃないけど、宮本さんじゃなければ作れない。いいスタッフにも恵まれて いるのだろうけど…。  午後6時30分。攻略本製作の最大手編集プロダクションの社長として、 また声の大きさで有名な、「キャラメル・ママ」の松本常男社長(松っち ゃん)が来る。  そのまま、うちの家族、松本常男社長(松っちゃん)、土居ちゃん、 柴尾英令くんの6人で、神宮前3丁目の「ナチュラル・ハーモニー」へ。    松っちゃん47歳、土居ちゃん46歳のふたりとも、昔は「何で結婚し ないの?」といわれるのが、うっとおしくて仕方がなかったけど、最近は 誰も「何で結婚しないの?」とも言ってくれなくなって、淋しいとのこと。  そうだろうなあ…。
 ↑このツーショット写真をじっくり見て、なぜ彼らが独身を続けている のか、じっくり考えてみたいと思う。 「……………」  黙祷(もくとう)して、ど〜する!  今後、業界人がどの方向に向って、進むべきかという話を、松っちゃん を中心に語り合う。うちとは違う情報を持っている、松っちゃんとの会話 は楽しい。  午後10時。帰宅。  いまはとにかく、読書だ。武士たる者、つねに読書という砥石で、刀を 磨いておかなければ。いつまた急に戦場から声がかかるかわからない。
 

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