12月1日(土)

 昨日の夜、うちの食い道楽娘が突然「とんかつが食べたい!」と言い出
したそうだ。ふつう一晩寝ると、こういうことを忘れるものなのだが、
うちの娘が忘れるわけがない。

 午前11時30分。そんなわけで、家族3人で、新宿のとんかつ屋さん
「王ろじ」へ。
 新宿には、三大とんかつ屋さんと呼んでいるお店がある。
 鹿児島黒豚の「にいむら」
 かりかり揚げの「さん太」
 そして、この「王ろじ」である。
 3つとも、まったくタイプの違うとんかつを食べさせてくれる。

 いつものように、とんかつセットを食べていると、お店の人が「以前い
らしたときに本を忘れて行きませんでしたか?」という。覚えがないが
「鎌倉の本です」と言われる。
 あっ! 思い出した! え〜〜〜、それって夏ぐらい前に買った本だぞ。
「いらっしゃったら、渡そうと思っていたので…」
 何て親切なお店なんだ。しかもしっかり顔を覚えられていたなんて! 
とんかつは、カロリーが高いので、一度行くと次は、じゅうぶん登板間隔
を空けてから行くので、お店の人にはずいいぶんと長い迷惑をかけてしま
った。
 
 それにしても昨夜、突然「とんかつが食べたい!」と言い出した娘は、
予知能力が? 食べ物の予知能力だったとしたら、あいつは悪用しそうだ。

 午後2時。帰宅。
 本棚に埋まっている読みかけの本を、片っ端から読み倒すキャンペーン
実施中! きょう詠んだなかでは、漫画だけど、吉田聡くんの『バードマ
ン・ラリー』の作品集がよかった。
 吉田聡くんは、『湘南爆走族』の大ヒットで知られる漫画家さんで、週
刊少年サンデーで『ちょっとヨロシク』を連載していた頃は、編集さんと
3人で、朝まで新宿で、漫画論を戦わせたものだ。
『バードマン・ラリー』もその頃の作品で、13〜4年ぶりに読んだわけ
だけど、本当に野太いセリフ回しが上手いっ! 上手いなんてもんじゃな
くて、歯ぎしりが聞こえてきそうだ。歯を食いしばるようなセリフって、
本当に歯ぎしりしないと出てこないからねえ。すごいパワーだ。
 漫画原作を始めようとした私は、ちょっと自信を失う。

 ビデオで『踊る大紐育(ニューヨーク)』も観る。1949年の作品だ。
『雨に歌えば』のジーン・ケリーと、あの『マイ・ウェイ』の歌でおなじ
みのフランク・シナトラが主演だ。
 ストーリーは陳腐極まりないのだが、当時の映画業界の勢いで、蹴散ら
されたような気がする。
 しかし、この時代の映画がなつかしいのは、この世でいちばん最初に好
きになったクレージー・キャッツの映画が、この時代の映画の影響を強く
受けたからだろうなあ。  

 午後6時。自宅で食事。
 TVは、雅子さま、女の子出産の特別番組一色だ!
 でも、お笑い芸人にまで、コメントを求めるのは、安易過ぎないか? 
とくに語彙の少ないお笑い芸人のときには、うっかりしたことをしゃべら
ないかと、ひやひやしてしまったよ。
 水増ししないで、密度の濃い番組を作ってほしい。
 だらだら長い番組は、見ていてアナウンサーたちがかわいそうだ。

 食後も、本棚の本を減らすために、読書、読書、読書!
 読書はやっぱり文筆業にとって、ガソリンだね。
 

-(c)2001/SAKUMA-