11月25日(日)

 何度来ても、京都は去り難し。帰らないといけない日が淋しい。
 しかも、3連休の最終日なだけに、朝から終日、新幹線の指定席は、
のぞみも、ひかりも完全に売り切れ状態だそうだ。
 うちはこっちに来るとき、何時もでもいいからと先にキップを買ったの
だが、午後3時過ぎの臨時列車しか残っていなかった。来るときとおなじ
ように、家族3人、席がバラバラでやっと取れた。

 午前11時30分。家族3人、京都ホテルの地下にある「有喜屋(うき
や)」へ。
 ホイップクリームのような納豆そばの、有喜そばを食べる。
 納豆嫌いでない人なら、絶品の味。
 午前11時54分。京都市役所前駅から、京阪京津線に乗って、浜大津 へ。  京都滞在の残り時間は少ないけれど、ちょっとぐらい観光はして帰りた い。  午後12時17分。浜大津駅で、京阪石山線に乗り換えて、終点の石山 寺駅へ。
 午後12時40分。石山寺駅到着。  紅葉で有名な石山寺だけ見て行こうと思った。  終点で名前も石山寺だし、ふたつ手前の駅名も「京阪石山」だったから、 終点の駅を降りれば、すぐ目の前が、石山寺だと思ったら、700メート ルも先にあるというではないか。駅前のタクシーに乗ってしまえばよかっ た。
 帰りの日なので、旅行用カートをがらがら転がしながら歩いているので、 石山寺まで700メートルはけっこう長い。旅行用カートは、でこぼこ道 が苦手だし。  おいおい。娘が違う方向に歩き出しているぞ。  娘の行く手には、大きな「御菓子」ののれんが!  ううむ。入ることに異論は無い。時間がなくても、甘いもの屋さんには 入る。 「茶丈藤村(さじょうとうそん)」という洒落た名前の新しいお店だ。
 藤村というからには、やっぱり島崎藤村だ。  島崎藤村が失恋して、この石山寺で、茶丈の一室を借りて、2ヶ月間自 炊生活をしたそうだ。そのとき、運命を左右するような人物に出会った、 その逸話からつけられたそうだ。  石山寺というと、またしても松尾芭蕉ゆかりの場所だったりする。  お寺の入口のほうにも、句碑が立っている。  石山の 石にたばしる 霰(あられ)かな 「たばしる」というのは、降り注ぐという意味。  その「たばしる」とい名前の和菓子も、この「茶丈藤村(さじょうとう そん)」で売っていたので、食べる。3人で、抹茶セット3人前+たばし る1個だ。要するに和菓子が4種類。取材だ、取材。松尾芭蕉の句ゆかり の和菓子なら、食べるべきでしょう。
 でもいちばん栗蒸し羊羹がいちばん美味しくて、お土産に買って帰った ほどの美味しさ。松尾芭蕉ゆかりの「たばしる」はいまいち。  午後1時。石山寺。  ここ数日、京都はかなり冷え込んだので、紅葉のピークが早まってしま ったそうだ。これから京都に行く人は、紅葉の名所をしっかり選んで行か ないなと、がっかりになる確率が高い。高地よりも低いほうがいい。 ちりちりになってしまった紅葉も多かったけど、ところどころ、さすが京 都の紅葉は格が違うと思わせるような、真っ赤な紅葉があった。
 時間がないので、ちょっとだけ石山寺で、紅葉を見て、お土産品屋さん が並ぶ場所で、山栗を買って食べる。
「花より団子」。へっへっへ。「紅葉より山栗」が、実はきょうの寄り道 の目的だったりする。  午後1時30分。JR石山駅。  おお! 踏み切りの向こうに、松尾芭蕉翁の像が!  線路の脇に像というのも、何か中途半端な立ち方だなあ。
 午後2時15分。JR石山駅から、新快速に乗って、京都駅へ。  京都駅は、観光客の渦、また渦。  本当に沸いて出て来たかのように、観光客だらけ。  京都の春と秋は、桁が違うねえ。  午後3時14分。ひかり326号。  すごいよ。ホームに上るエスカレーターに乗るのに、長蛇の列の後ろに 並ばないといけないんだよ。エスカレーターが渋滞するなんて経験ある?  ホームも、本当に人があふれていて、ちょっとでも押されたら、線路に 落ちてしまいそうなくらいだ。  新幹線に乗っても、デッキには、何人もの人が、座り込んでいたり、立 っていたり。ええっ? ここは指定席の車輌だから、東京までずっと立ち っ放しってこと? あんたたち、みんな美容室に勤めてるの? そんなわ けないよな。  ビュッフェまで、立っている人で、いっぱいだよ。  狂乱の3連休の様をまざまざと見せつけられた。  午後6時30分。原宿の自宅に着く。  京都駅で買って来た、おなじみ「はつだ」の特選和牛弁当で夕食。  ヤサカタクシーの宮本さんにもらった、吉野の柿もちゃんと持ち帰って 食べる。  いったい、宮本さん、何個柿くれたんだ? 7個? たくさんくれたん だなあ。その柿を3日で食べてしまった私たちも異常だ。たぶん、私が5 個は食べたと思うけど。とにかく柿が好き!  ところでさ。最近テレビで、芸能人がしゃべる言葉が、テロップとして 流れるじゃない? 発音の悪い芸能人も増えているから、あのテロップを 否定する気はないんだけど、テロップのほうに、誤植が多すぎる。 「迎える」のはずの単語が「向える」。 「確率」はまず、ほとんどの場合「確立」になっている。 「最低」が「最底」。  たしかに「最底」のほうが、ボトムな感じがするけどさあ。  テレビはやっぱり世の中の模範になる機関であってほしいなあ。  知らず知らずのうちに、間違った言葉を覚えるのって、無差別犯罪だよ なあ。  誤植は誰でもうっかりやることだけど、それをチェックする人たちのレ ベルも低いってことだもんなあ。ベースカバーが大切ですよ、野球にも人 生にも!  しばらく、東京のはず。
 

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