11月4日(日) 午前11時30分。嫁と、新宿紀伊国屋書店へ。 げげっ! 柴尾英令くん、事件ですよ! 紀伊国屋書店地下の、「博多丸天うどん」が消滅していたぞ! まいった なあ! おいしい博多のうどんが食べられる唯一のお店だったのに〜! 仕方なく、「博多丸天うどん」の跡にできた、釜揚げうどんのお店「水山 (すいざん)」に入ってみる。店内は小ぎれいで、麺は悪くない。あっ、そ うか。このお店は、駅そばに対する、スターバックスそばを狙っているんだ な。駅のスタンドそばでは女性が入りづらいが、こういう風にきれいにすれ ば入りやすくなる。 海老天ぶっかけうどん、680円。 値段からして、駅そばに対するスターバックス・コーヒーだ。 食後、紀伊国屋書店へ。 このところ、仕事でほしい資料本を探して、あちこちでかけている。でも お目当ての本がない代わりに、ついでに買って行く本が、10冊、20冊と やたら増えて行くのが困り者だ。 それにしてもここ2週間ぐらい探していて、どこにもなかった本が、紀伊 国屋書店本店にはあった。立派だ、紀伊国屋書店! 午後3時。嫁と、表参道の交差点近くの喫茶店「大坊(だいぼう)」へ。 『ソムリエ』、『大空港』などの漫画原作者である、城アラキさんと初めて 会う。 嫁が食い道楽の人のサイトを探して行くうちに、城アラキさんのところに 行き着いたようで、漫画原作者といえば、近しい業界の人ではないか。それ どころか略歴を見ると、私より1歳下で、立教大学卒というではないか。 ってことは、おなじキャンパスですれ違った仲?というわけで会ってみる ことになった。うちの嫁は不思議な人で、こういう風にインターネットで、元ナムコで 『ファミスタ』の作者である、岸本好弘さんを見つけて来たり、放送作家の 清正まなつチャンとか、WEBデザイナーの菅沼真理(通称:すがねまチャ ン)さんとか見つけて来ては、友達になっている。 城アラキさんは、やっぱり年代がおなじせいか、仕事に対する考え方がま ったくおなじで、まるで古くからの同業者に、ひさしぶりに会ったような気 分になってしまった。 「目さえ疲れなければ,24時間ずっと仕事を続けても平気!」といった仕 事好きなところもまったく、私とおなじ。 立教大学の校舎5号館という名前をひさしぶりに聞いたり、集英社の編集 者の名前が出れば、ほとんど知っている人ばかりなので、とても初対面とは 思えない。 だいたい漫画原作者になる人は、純粋に漫画畑から入る人と、雑誌記者の ほうから来る人の2種類に分かれるのだが、城アラキさんは後者のほう。 もし漫画畑からなら、すでに大学生のときに漫画研究会で出会っていたんだ ろうなあ。 あっ。そういえば学部がどこだったのかを聞くの忘れた。 でも城アラキさんも私とおなじように、一浪して立教に入り、5年生で卒 業したというし、あまり学校に行ってなかったところまでおなじだから、聞 いても意味無いな。 午後5時30分。城アラキさんの多彩な趣味の話は飽きない。引き出しの 多い人だ。まだまだ話し足りないけど、再開を約束して、私と嫁は千駄ヶ谷 駅へ。 午後6時。西荻窪駅。 きょうは漫画原作者の石関秀行邸で、先日の「劇画村塾同窓会」の幹事グ ループの打ち上げ宴会。 もうひとりの幹事である梶研吾(かじけんご)くんは、仕事の都合であと から合流の予定。 私は、劇画村塾一期生。 梶研吾くんは、劇画村塾四期生。 石関秀行は、劇画村塾八期生。 きょうは立教大学から始まって、劇亜村塾生と会うなんて、まるで私の人 生のダイジェスト版を見ているようだ。 つい最近、漫画の原作を書いたとたん、きょう3人も漫画原作者に会うな んて奇遇としかいいようがない。 石関秀行自体、グルメ物の漫画原作を書くことが多いのだが、奥さんがま た美人で料理が得意という人で、きょうも家にあがって、テーブルの上を見 ると、1枚の紙がおいてあって、「さくま夫妻来宅記念メニュー」とあるで はないか。 こういう茶目っ気はなかなかできないことだ。 〜本日のお品書き〜 一、振る舞いのヤクルト(ヤクルト優勝記念だそうだ!) 一、きぬかつぎ 一、タイの昆布締め 一、黒豆の枝豆 一、大根揚げ 一、アスパラはるまき 一、豚のコーラ煮 一、トマトサラダ 一、蕪蒸し。 一、石関亭名物麻婆豆腐 一、ごはん 一、里芋とネギと大根とお揚げさんのすうぷ 一、珈琲 一、りんごのパイ 一、水菓子 美味い! きぬかつぎなんか、そのままでも美味しいのに、にんにく醤油 につけて食べてみてください!といった、ひと手間をかけるところがえらい。 あまりの美味しさに、まず前半をデジカメするのを忘れた! お品書きが 書いてあるのに、スタミナ配分を忘れて、きぬかつぎ、昆布締め、黒豆の枝 豆をばぐばく、ばぐばく食べて過ぎて、梶研吾(かじけんご)くんが食べる 分を残すのを忘れてしまった! ゴメン! 午後9時に、梶研吾(かじけんご)くんが、俳優の涼平くんといっしょに 到着するころには、私のお腹ははちきれそう! 俳優の涼平くんは、苗字のない「涼平」が、芸名で、金鳥のCMやら、 いろいろ出ている売れっ子モデルさんでもあるそうだ。長身で、本当に男前! 梶研吾くんがまだ独身なのをきょう初めて知ったが、「涼平くんがいるから かあ!」という冗談をあまりいえそうにないくらい美男子だ。 劇画村塾出身だから、『ダーク・エンジェル』のドラマ作りについて議論 したり、本宮ひろ志さんの自伝『天然まんが家』(集英社)を読んだという 話をしたりする。石関秀行は、最近までゲーム業界でシナリオの仕事をして いただけに、こういう議論に飢えていたようで「う〜、こういう会話したか ったんだよなあ!」と天を仰ぐ。 劇画村塾時代なら、ごく当然のことだったんだけどなあ。 ゲーム業界で、ドラマ作りとか、テーマは?といった会話は皆無だからね。 石関秀行邸は、けっこう溜まり場になっているようで、ゲーム『カルドセ プト』のイラストレーターとして知られる中井覚(なかいさとし)くんが合 流。 昔はこういう風に、誰かの家に集まって、お互いが持っている知識也情報 を交換したものだなあ!と懐かしく感じる。 気がつけば、午前0時を過ぎてしまった。 漫画関係者たちだけに、まだまだこれからが宴席の本番のようだけど、私 は病気以来朝型人間になってしまったので、退席することに。 劇画村塾時代の青春話をして、ちょっと気分が若返った気がする。 午前1時。帰宅。 こういう夜更かしもたまには、よし!
-(c)2001/SAKUMA-