10月20日(土) けっきょく昨夜、井沢どんすけは江ノ電の最終電車で午前0時過ぎにやっ て来た。 「井沢くん、あやうく寝るところだったよ!」 「ボ、ボクもあやうく鎌倉駅で、寝るところでした!」 「そのほうが、日記的にはウケたのになあ、残念!」 「えへえへえへっ!」 午前11時。鎌倉駅。きょうのメンバーが大集合。 おなじみ、鉄の胃袋・柴尾英令くん。プロスペック代表取締役・江口貴博 (えぐち・たかひろ)くん。ポニー・キャニオン勤務・けーむらクン。少女 小説家の高瀬美恵さん。井沢どんすけに、うちの嫁。 午前11時30分。鎌倉駅前「鳩サブレー」の3F「扉」で食事。 かわいい和風オムライスが大好評!きょうはこのバラバラなメンバーで、『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州 編もあるばい〜』のテスト・プレイをやってもらう予定。 せっかく、鎌倉に来たのだから、小町通りを散歩せねばと、みんなでそぞ ろ歩く。妙に江口貴博くんが、鎌倉の昔についてくわしいと思ったら、生ま れが逗子で、育ったところが、葉山だというではないか。それはくわしいわ けだ。 それぞれ、みんな鎌倉の思い出をひとつやふたつ語ってくれるのだが、何 の思い出もない井沢どんすけは、無敵である。 何しろ、この男、大学生のとき、高田馬場駅から北に行ったことがないと いう男である。地方出身者ではない。神奈川県出身である。 おお? 石像を置いたお店があるぞ。 最近、石像を見ると、磨き具合とか真剣に見てしまう。 柴尾英令くんと、アンパンパン。ちょっと似すぎ! 午後12時30分。若宮大路の「こ寿々」へ。 わらび餅の美味しいお店だ。和田塚にあるお店の支店。 この大振りでぷりぷりのわらび餅だけは、きょうわざわざ鎌倉まで来てく れた人にぜひ食べてもらいたかった! 私はわらび餅の本場・京都で数多くのわらび餅を食べて来たけど、いまの ところ、ここのわらび餅が日本一! 世間は広いからまだ隠れ1位があるか もしれないけど。 午後2時。鎌倉長谷の家で、『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もある ばい〜』のテスト・プレイ開始! 高瀬美恵さん、けーむらクン、共に「桃鉄は強いですよ!」「いや、オレ のほうが桃鉄は強いよ!」と豪語するほどだという噂を聞いて、本日ぜひと 誘ったのだが、これが毎年、四番打者、3割、30本塁打を期待して獲得し てくるような、インチキ大リーガー! 高瀬美恵さんは、マイナス3億円のまま目的地の出雲に入って、援助金を もらってなお、持ち金がマイナス! 出雲そば屋をひとつも買えないプレイ ヤーというのを私は生まれて初めてみた。 けーむらクンのほうは、かつて『桃鉄』をたくさんやったというのだが、 いくらあまり変わらない『桃鉄』でも3年前のゲームからは相当変わったし、 とくに今回大幅に変わっている。 「勝負勘が戻らね〜!」の言い訳がむなしく響く。 この高瀬美恵さん、けーむらクンと対戦したのが、過去の『桃太郎電鉄』 のほとんどの攻略本を編集した、江口貴博(えぐち・たかひろ)くん。 江口貴博くんの圧勝は火を見るよりも明らかと思われたのに…序盤で、 長野駅近くの赤マス地獄にはまりまくって遅れを取るとう、珍しい事態に。 その間、高瀬美恵さんが何度も目的地に到着! それなら高瀬美恵さんの 圧勝かと思うと…これが、冬の赤マスに平然と止まるから、一向にプラスに 転じない。 すでにゲームは、7年目に突入するというのに、決算でのそれぞれの収益 額は、450万円とか、700万円といったお寒い状況。ここで初めてゲー ムを見た人は、まだゲーム開始3年目ぐらいだと思うだろう。 途中、きょうの珍プレイ大賞を独占しそうな、高瀬美恵さんがついにグラ ンプリ作品をノミネート! 「あと5マスで、目的地の別府よ! あっ。5が出た!」 「うわああああっ、やられたあ!」 「まいったなあ!」 「5、4、3、2、あっ!」 「そっちじゃな〜〜〜い!」 「ええっ? ええっ?」 あわれ、高瀬美恵さんは大分駅の右隣りの黄色マスに入ってしまったとさ。 午後6時。あと1年で終了のところで、食事に。 長谷駅近くの「パラドール・デ・かまくら」でスペイン料理。 きょうは人数が多いので、パエリアを3種類ぐらい頼んで、みんなで突き 合う。 スパゲティも頼んで突き合う。 デザートも頼みまくって、突き合う。 食事は、大人数のほうが楽しいに決まっている! 午後7時30分。長谷の家に戻って、『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州 編もあるばい〜』の決着をつける! 一応、桃鉄有段者である江口貴博くんが優勝して、江口くん、ホッと胸を なでおろす。 午後8時。引き続き、バラエティゲームのなかから、「桃鉄公式戦」を。 メンバーは、柴尾英令くん、高瀬美恵さん、井沢どんすけ。 いつもの1000万円持ってスタートではなく、1億円持ってスタートし て、3年で勝負。 青マスも、赤マスもいつものインフレ率より大きくしてあるから、短期決 戦なのに、10年目ぐらいの緊迫感でしのぎを削る戦いになる。 そういう意味では、本当に『桃太郎電鉄』の上手い人を選ぶのには最適な ゲームとなった。 その『桃鉄公式戦』は、ゲーム序盤から、柴尾英令くんが順調にリード。 今回、柴尾英令くんに桃太郎チームに参加してもらって初めて気づいたん だけど、柴尾英令くんは、めっぽう『桃太郎電鉄』が上手い! これだけ上手い人は、5人と過去見たことがない。 そんな強豪なので、ついつい私と江口貴博くんが、高瀬美恵さんにアドバ イスを送ってしまう。 すると、柴尾英令くん、怒る! 怒る! 「やめろよなあ! 高瀬美恵の強運な引きの強さに、あんたらの頭脳が加わ ったら、強くなり過ぎるでしょうが!」 実際、高瀬美恵さんの引きの強さは類を見ない。 目的地のそばで、サイコロを振って入る確率は、3回に1回ぐらいだ。何 度サイコロを振っても入れないということがまずない。急行カード、特急カ ードの出目も大きい。きょう私は高瀬美恵さんが特急カードをつかって、6、 6、6と、全部サイコロ6になる「あと18マス」という場面を3回見た! だから、柴尾英令くんが怒るもの無理はない。 午後9時。けっきょく、私と江口貴博くんの大きなお世話で、漁夫の利を 得た井沢どんすけが優勝してしまった! 「ほら〜〜〜!」と膨れる、いや、ふくれる柴尾英令くん。 「ごめん! つい井沢どんすけを陥れる使命を忘れてしまった!」 しかし、このメンバーの『桃太郎電鉄』は新鮮でおもしろい。 いままでいろんな人のいろんなやり方を見て来たつもりだけど、世間は まだまだ広いなあ。今後のゲーム作りに役立つ点がいっぱい出て来た! 一度、高瀬美恵さんVS土居ちゃん(土居孝幸)の、いきあたりばったり、 とっちらかり、でも強運の持ち主同士の対決を見てみたいものだ! 午後9時30分。ぞろぞろと、みんなが帰る。 嫁を除く全員が東京に帰ってしまったので、妙にがら〜んと、だだっ広い家 になってしまった。 TVを見たら、ヤクルトが近鉄に7対0の快勝! 石井一久投手は、大舞台に強いからなあ。プロのエースが絶好調のときは、 どんな打者でも打てないからなあ。 戦前の予想が、近鉄有利が多かっただけに、今後がおもしろくなりそうだ。
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