9月17日(月)

 午後12時。嫁と、新宿の「航海屋ラーメン」へ。
 ここのワンタンメンのワンタンは大きくて大好き。

 きょうは『千と千尋の神隠し』を見に来たのだが、新宿文化劇場での
上映期間が終了していた。看板にはまだ『千と千尋の神隠し』の絵が入
っているのになあ。
 そろそろお客さんが減って来たのかな? ビレッジ1だと、開始時間
が午後2時30分過ぎからだから、まだ1時間半もある。
 仕方ないので、渋谷まで遠征して、Qフロント7Fの映画館に。おい
おい! 『ぴあ』で調べたのに、何で『ジュラシック・パークIII』やっ
ているの?
 映画自体が「神隠し」? 冗談になってないよ。

 午後1時30分。道玄坂のシネタワーで、ようやく『千と千尋の神隠し』
を見ることができた。しっかり超満員。2館も上映館が減ったのがよく
わからないほどの大盛況だ。

 もう! 上映中、何万回「うらやましい!」をつぶやいたかわからな
い。自動車が右折するだけのさりげないシーンなのに、向こうから来る
自動車が通り過ぎるを一瞬待ってから右折する。
 この何気ないシーンの重要性と、受け入れるスタッフの意識の高さに
感嘆する。

 こわごわと階段を降りるシーン、八百万(やおよろず)の神様たちの
細かい表情。
 どうしてそこまで、豊かな絵が描けるの? かぎりなく芸がこまかい。
 町の景色が、香港風だったり、台湾の屋台風だったり、旅館が道後温
泉ぽかったり、調度品がイギリスの王国風だったり、とにかく無国籍。
 無国籍なのに、資料をふんだんにつかって、正しく描かれているから、
統一感の取れた画面に仕上がっている。
「根も葉もない嘘」という言い方があるけど、娯楽作品に対する最高に
絶賛の言葉は「根も葉も<ある>嘘」。これが最上級だ。
 資料をつかって、リアリティを持たせた上で、大きな嘘をつく。

 電車がときおり通るけど、なるほど2両編成で、古めかしい車輌でな
いと、この映画の世界観から踏み外す。さらに電車を出したんだから、
飛行機も出していいと思ってしまうのは、素人の美術設定だ。
 あくまでも、この「根も葉も<ある>嘘」すれすれのところで、描か
れている。
 そのイメージを伝える宮崎駿監督もすごければ、スタッフもすごい。  

 本当に心から「うらやましい」。
 一度でいいから、こんなスタッフに私のゲームの絵を描いてほしいも
のだ。
 抜けるような青空と、どこまでも続く海を描いてほしいよ。

 それにしても、この『千と千尋の神隠し』は、まったくダレるところ
のない、それでいて、肩の力が抜けた仕上がりは、実に気持ちいい。
『もののけ姫』より、とっつきやすい分だけ、興行成績で上回るわけだな。
 2Dがいいよ! 2Dが! 心情と温度がびりびり伝わってくるよ。
『千と千尋の神隠し』でも、ドアがバタン、バタンと閉まるシーンや、
水のシーンでCGをつかっているようだけど、こういう風に特性に合っ
たシーンにつかうべきだよなあ。何でもかんでも3Dにする風潮だけは、
絶対にやめてほしい。

 午後4時。興奮覚めやらないまま、映画館を出たところで、アリto
キリギリスの石井正則くんから電話が入って、「食事しませんか?」の
お誘い。ちょうどこのあとどうしようかと思っていただけに快諾。

 午後6時。渋谷「ブックファースト」で本など買ったあと、代官山の
「間人(まにん)」で、石井正則くん、奥さんの石井愛(かな)さん、
スタイリストの石原博之さんと待ち合わせ。
 このお店は石井正則くんが見つけた和食のお店で、季節のおまかせ料
理が手間隙掛けたものばかりで美味しい。とくに海老パンが美味しい。
 ひさびさに会った石井正則くんからは、『早乙女タイフーン』の裏話
をたっぷり聞く。撮影スタッフのチームワークがよかったらしくて、打
ち上げが感動的だったという話は、またまた「うらやましい」!
 ゲームは、クランク・アップとか、撮影終了!の場面が無いからねえ。
 ひどいときなんか、ゲーム作家の見ていないところで、ゲーム製作が
終了してたりするからね!

 あとは、石原博之さんと、アリtoキリギリスの相方・石塚義之(ヅカ
ッチ)くんがカメラが回っていないところでのおもしろさが日本一だと
いう話題で意気投合する。
「かわいいんだよね、彼!」という石原さん。
「あのひとなつっこさが、撮影初日から出ていたら、天才なんだけどね
え」と、私。

 このところ、腐るような話題ばかりだった私に、向上心の塊のような
石井正則くんとの会話は、人間性を取り戻すいい機会になった。
 向上心のある人と会いたいよ、ほんと。

 午後8時。ありゃ。石井正則くんにおごってもらっちゃった。
 きょうも海老パンを食べ過ぎて、お腹が膨れすぎ。
 腹ごなしに、代官山から渋谷まで歩いて帰る。

 午後9時。スカイ・パーフェクTVで「西武VS近鉄」戦。
 パ・リーグのほうが、逃げ球が少なくて、見ていて気持ちいいねえ。
 テレビ朝日あたりが、西武ライオンズの全試合を放送すれば、パ・リ
ーグのほうが人気出ると思うなあ。
 中村紀洋、小笠原、カブレラ、ローズ、松中、城島捕手、松坂投手、
黒木投手、個性的な選手はパ・リーグのほうが多い。ホームラン40本
以上打つ選手が、4〜5人いるっていうだけでも楽しい。

 あと数10ページで『竜馬がゆく』を読み終えてしまう。最後にイチ
ゴを残しておく心境。何度も読んだはずのエンディングなのに、またま
たドキドキしている自分がいる。
 

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