9月9日(日) 風邪は悪化する一方。昼はまだ小康状態になるのだが、朝晩、激しく 咳き込む。咳き込むと、涙目になるくらいつらい。 水を飲んでも、喉に針が刺さっているように、痛い。 トローチは、1日6錠以内の制限を初めて知った。もちろん昨日1日 で、10錠以上舐めている。いかん。イソジンののどフレッシュもすで に3瓶空にした。 もう万策尽き果てたり。 さて、さすがに『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあるばい〜』 の情報が解禁になるとメールが増えるようで、紹介する! 少し気分が よくなる。 札幌市・あやや 桃太郎電鉄X(ばってん) あはははははははははははは(しばし笑い続ける) もぅ やられました〜。 ぺけorばつと思っていたのですが まさか ばってんとは! ぶらぼーです。最高! ●さくま「『ファイナルファンタジーX(てん)』に続くことができる、 唯一10作目を出せるゲームソフトなのに、『X(ばってん)』という 威厳のなさが、うちらしいでしょ?」 鳥取市・佐々木 信二 さくまさん、あんまりじゃないですか! 今度の桃鉄! 画面がポリゴンはいいとして 桃鉄にはポリゴンは似合わないと言う理由で 64で桃鉄を作らなかったはずなのに、 PS2ならOKですか? どゆ事?それ! ただ64が思ったより売れてなかったから 64には出さなかったんでしょ!ハッキリ言って下さい。 とにかくかなりのショックを受けています、私。 GCには絶対、桃鉄出してください。 PS2で苦労して開発するよりGCの方がいいですよ! 宜しく!!!!! ●さくま「64は、本当に作りづらかったのよ。PS2では、MAPだけ はうまいこと表現できたけど、それ以外はやっぱり、ポリゴンに苦しめら れている! PS2の機能の問題ではなくてね。現在『桃太郎電鉄X (ばってん)』が遅れ気味なのは、実はこの3Dを必死に2D表現に戻し ているから! 先日も、堀井雄二と、つくづく3Dは、ボードゲームに向いていないっ て話になった。立体になることで、かえって不都合が増えてしまうのだ。 たとえばMAPを回転させることができるけど、それだとプレイヤーは どこにいるのかわからなくなってしまうでしょ。 だから『桃太郎電鉄X(ばってん)』でもやっぱり、MAPの回転は やめたもんなあ。ゲーム業界も、ゲーム雑誌ももっと3Dに向かないジャ ンルもあるってことを喧伝してほしいよ。 『ファイナルファンタジー』シリーズが3Dにひた走る気持ちがよ〜く わかったよ! あのゲームは本当に3Dに向いている。『F.F.』は、 あの道を突き進むべきだと思うけど、ほかのゲームは無理に3Dをめざす べきじゃないと思ったなあ。 それと、ゲームキューブでの『桃太郎電鉄』はもちろん考えている。 『桃太郎電鉄X(ばってん)』を作り始めたときは、まだキューブのスペ ックが入手できていなかったからね。 でも今度の『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあるばい〜』は、人 に買わせてでもやってみてほしい1本だよ! 何たって、『桃鉄公式戦』 というモードもついているからね! うふふ。それと九州編の●●●●に も会わなきゃね!」 午後1時。気分転換に、嫁と目黒駅から、東急目黒線に乗って、武蔵小 山駅へ。 かつて日本最大規模といわれた武蔵小山商店街パルムを一度見てみた かったのだ。日本では最も歴史のあるアーケード商店街ということらしい。 でも、高円寺、阿佐ヶ谷といった商店街とそんなに規模が違うわけでも ないし、大きいという意味では、四国高松の商店街のほうが、よっぽど大 きい。ところが、どの商店も活気に満ち溢れているのだ。 どの店先にも、POPと呼ばれる、手書きの宣伝文句が並び、新製品が 並ぶ。 ダメな商店街というのは、店頭の品物が埃(ほこり)まみれになってい たり、色褪せたポスターに昔のタレントが微笑んでいたりで、いかにも寂 れていますと宣伝しているようなものが多い。 だからといって、この商店街に特徴があるわけでもなく、マツモトキヨ シもあれば、携帯ショップもある。ときおり、下町っぽい人形焼のお店が あったりする程度で、わざわざ武蔵小山の商店街に来ないといけないよう なお店は、一軒もない。なのに、どのお店も明るくて、商店の人全員が、 リポビタンDを飲んでいるかのように、元気はつらつなのだ。 不思議だ。実に不思議だ。といいつつ、六福の人形焼屋で、黄金ゴマ カステラという新製品を買うことは忘れない。食い意地は不滅なり。 こういう形式のアーケード商店街は、全国どこにでもある。 あるどころか、いま全国のアーケード商店街はどのお店にもシャッター が降りて、絶滅の危機を迎えている。 なぜこの武蔵小山商店街だけが、元気なんだ!? わからん。 午後1時30分。ファミレスの「藍屋(あいや)」があったので、入る。 焼き魚定食。 意外とこの商店街、飲食店が少ない。 この辺が原因なのか? でも飲食店は重要だろう。 午後3時。再び、商店街を歩くが、この活気の秘密がとうとうわから なかった。 読みかけの推理小説にしおりをはさんで寝るみたいでイヤだ。でも きょうはまだ風邪がひどくて、分析力も落ちているだろうから、後日ま たここを訪れてみようと思う。 アーケードがあって、飲食店が少ない。商店街が幹線駅同士を結んで いるわけでもない。巣鴨のように、おばあちゃんに的を絞った商店作り をしているわけでもない。ポイントカード制度があるようだが、いまは どこでもやっている。わからん。謎だ。 とうとう中原街道に出てしまったので、タクシーでそのまま、下目黒 をめざす。 ところが、タクシーの運転手が適当なやつで、下目黒5丁目を知らな いということを誤魔化すために、この先を行くと、大鳥神社前の交差点 で、その左が下目黒2丁目で、その向かい側が下目黒3丁目だというこ とを何度もくりかえす。 私はそんな自慢話より、「すみません。下目黒5丁目を知りません!」 のひとことが欲しいのだ。 最近本当に、わからないことを、わからないとはっきり言えない輩が 多すぎる。 けっきょく、大鳥神社の交差点で降りて、商店の人に聞くことにする。 まったくもう…と思った瞬間、電流が走った! あ、あれは! 大鳥神社交差点の角に「カツミ模型」の文字が! このお店は知る人ぞ知る、鉄道模型の有名店なのだ。 しかも、はるか、10年、20年、30年、いや、40年前のさくま 少年がこのお店まで、父親に連れられて、はるか杉並区上井草からわざ わざここまで、鉄道模型の仕入れに来ていたお店だったのだあ! びっくりしたなあ! きょう目黒駅に降り立ったときに、一瞬走馬灯 のように、この駅で降りて、よく鉄道模型のトランスなどの仕入れに来 たものだなあ!ということを10数年ぶりに思い出したばかりなのだ。 思わず、お店に入る。『埋もれた轍・北海道篇〜廃線跡探訪〜』のビ デオを買って、息せくように、若い店員さんに話し掛ける。 「このお店は昔から、この場所にあったんですか?」 「いや、昔は魚蘭坂のほうにあったそうです!」 そうでしょ、そうでしょ。私が来ていたのは、もっと目黒駅沿いだっ たはずだ。 若い店員さんなのに、私のしょうもない話に付き合ってくれて、昔は アメリカ向けの輸出製品まで作っていたことや、会社自体は50周年を 越えているけど、20年ほど前に昔の形態の会社は一度潰れたというこ となどを教えてくれた。 思わず時価60万円するジオラマを買ってあげちゃおうかな!と思っ たほど、うれしかった。まさか偶然こんなところで、私のルーツに会え るなんて! 私は自分が『桃太郎電鉄』を作るようになって初めて、かつて電車に まつわるエピソードが多かったことに気づいたくらいなのだ。 西武新宿線上井草駅の脇のおもちゃ屋の家に育ち、このお店には、鉄 道模型のOゲージ、HOゲージの仕入れによく来た。ちょうどNゲージ が出るか出ないかの頃だ。その後も、家の2階に、お蕎麦屋さんのお兄 ちゃんが住むようになり、そのお兄ちゃんが、鉄道写真を撮るのが好き で、いつもパネルにしては見せてくれた。 こういう子どもの頃のエピソードの積み重ねが、粘土細工のよにいま の自分という彫像を作り上げているのだろうなあと思う。 興奮冷めやらないまま、お店を出ると、大雨。台風のような激しい雨。 そうだ。台風が来ているんだったっけ。 本来、きょうの目的だった下目黒5丁目に行く計画は挫折。カツミ模 型を発見という収穫があったので、帰る。 雨で、風邪はさらに悪化している。 午後4時。自宅に戻り、寝る。 ベッドに寝ると、喉が押されるせいか、また咳が出始める。 ゴホッゴホッ。ゲホッゲホッ。 もう咳をすること自体が、喉に痛くて、つらい。 夕方、菅沼真理(通称:すがねまチャン)さんが、知り合いからもら った、釧路のサンマを届けに来てくれたようだが、会うこともできず、 布団にくるまり、ゴホッゴホッ。ゲホッゲホッ。 『竜馬がゆく』を読みながら、何度も寝ては起きる。 いつも『竜馬がゆく』を読むと、元気になるのだが、どうも今回はず っと風邪の期間中に読んでいるので、悲観的な場面にばかり感情移入し てしまう。いかんなあ。クレージーキャッツのビデオでも見たほうがい いかなあ。でも元気が無いときに、植木等さんの元気は、眩しいからな あ。 午後8時。とうとう嫁に、おかゆを作ってもらって、病床にて、食べる。 「おとっつぁん、おかゆが出来たよ」のコントとおなじになってしまった。 おかゆが美味しい。喜多方で買って来た味噌入りコンニャクと、高 松の醤油豆が美味しい。京都の大きくて甘い梅干も美味しい。 食後、成沢大輔くんにもらった山形産の梨が、喉に冷たくて美味しい。 これじゃ、本格的な闘病日記だ。 早く治さねば。 今週は予定がいっぱい入っている。
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