7月31日(火)

 旅も2泊3日目になると、ホテルで長時間眠れなくなって来る。
2時間寝ては起き、しばらく起きていて、また1時間寝て、また起きて
の繰り返しが多くなる。
 旅先でも、ぐっすり眠れるという人がうらやましい気もするが、旅は
私にとっては仕事なのだ。ブレーンストーミングの会議をひとりでやる
ようなものだから、頭がフル回転して、エンジンを切っても、ボディが
熱いままの状態になって眠りが浅くなる。

 1日じゅう『桃太郎電鉄』の参考になるようなお菓子や産業はないか
と目を皿のようにしているし、ここで殺人事件が起きたとしたら?と、
『宇和島殺人事件』という題名の推理小説のアイデアを練ってみたり、
この町の活性化プロジェクトの仕事が来たら、どこをどう伸ばして行け
ば、観光地として栄えるか? TVで旅番組を作るとしたら、どんな構
成にしたらいいか? この町で商売を始めるとしたら、どんな商売が合
っているか?
 こんなことを1日じゅう考えていたら、夜、眠れるわけがない。
 でもかつて30種類以上のマスコミ関係の職を転々としてきた私にと
って、これは至極当然の行動だ。
 しかも、寝不足でも、やっぱり旅は楽しい。
 こんな大きな空は、東京では味わうことができない。
 何度目かのうたた寝をしたあと、午前8時になった。
 
 午前9時10分。「伊達博物館」へ。
 昨日、月曜定休だったので、どうしてもここだけは見ておきたかった。
しかし、このあと午前9時40分発のバスに乗らないといけないのだか
ら、あわただしいったらありゃしない。
 この博物館の規模がどのくらいか、想像がついていない。
 下手に、展示総数が多いと、とてもじゃないが、バスの発車時間に間
に合わなくなる。

「伊達博物館」は、伊達家伝来の武具、絵画、陶磁器、古文書などを展
示している。といっても「伊達」ではあるが、仙台の「伊達」ではない。
 もちろん伊達正宗の血筋だが、江戸時代、伊達家は、仙台とこの宇和
島とに分かれた。
 この経緯は、伊達騒動などと呼ばれて、小説になったりもしているが、
説明が面倒なので、先を急がせてもらう。
 というより、幕末の藩主・伊達宗城(だてむねなり)という人が、明
治維新に与えた影響はすさまじいものがある。昨日のあの高野長英を匿
(かくま)ったのも、この伊達宗城さんだし、町医者だった長州藩の大
村益次郎にいきなり軍艦を作らせてみたのも、この伊達宗城さんである。
 そういう気風が漂っている博物館というのが、この「伊達博物館」に
対する説明。
 さて、ここからが本題。  私は赤穂浪士が、討ち入りの夜、必死に吉良上野之介を探したように、 お目当ての絵を探す。1階にない。2階にもない…、あった!  2階の奥にあった!  歴史の教科書などに必ず載っている、豊臣秀吉の肖像画だ!
 あの顔が小さくて、官位束帯風の衣装をまとって、肩幅の広いあの絵 だ。  あの絵を見ると、織田信長が豊臣秀吉を、通説の「猿!」と呼ばずに 「禿げネズミ」と呼んでいたのが、よくわかる。  その絵が展示されているのが、この博物館だったのだ。  秀吉マニアとしては、画龍点睛ともなるべき、重要展示物なのだ。  肖像画は、思ったよりも大きかった。  ん? むむ? 何とな? この絵は保存のために、県からの指示で、 昭和16年に複製したものだと! う〜む。これは模写絵か! がっく りしかけたが、どの博物館の複製もどうしてこんなに上手いのだろう。 いまならスキャナーで、高画質が作れてしまうが、模写は手作りだ。  模写した人に対して、感動する。  感動してる場合ではない。午前9時25分を過ぎた。やばいっ! バ スの発車まで、あと15分しかない。まだこれから駅まで戻って、ホテ ルから荷物を受け取らないといけない。ガイドブックによれば、駅まで、 徒歩7分とある。  徒歩7分なら、ぎりぎり間に合うはずだが、この炎天下だ。完走でき るわけがない。  しかも私の不自由な足は、極度にスピードが遅い。  タクシーを呼ぼう。 「伊達博物館」の前で、タクシーを待つ。  じりじりと暑い。  みーーーん、みーーーん、みーーーん!  セミの鳴き声が、暴走族よりよりもうるさいとおもえるほど、けたた ましい。  午前9時30分を過ぎた。あと10分しかない!  タクシーが来た。  銀髪の年老いた運転手さんは、左側車線を守り、黄色信号になったば かりでも、しっかり停車する。おじいさん、時間がないんだよ〜!  宇和島駅前のクレメントホテルの前に着く。あと5分!  私がタクシー料金を払っているうちに、嫁にクレメントホテルに荷物 を受け取りに行く。連携プレーだ!  アスファルトからあがる湯気が見えそうなくらい暑い舗道を私は必死 に走る。  宇和島バスのバス停に行く。  あれ? これから2時間20分の長距離バスである、宿毛(すくも) 行きのバスが停車していない。始発駅でしょ?  まさか行ってしまったの?  午前9時40分になった。まだ来ない。  2〜3分して、バスが来た。驚かせないでくれよ〜!  バスは、走り出したかと思うと、2〜3分でバス停に止まった。その 後も、5分おきぐらいで、バス停に止まる。  ってことは、このバスは、長距離バスではなくて、ただの路線バス?  乗合バス? いわゆる市民の足ってやつ? げ〜〜〜っ! この日記を読んでいる人の80%は、宿毛(すくも)駅というのが、 どこにあるのか知らないと思うが、宇和島駅から、宿毛駅までは、おお よそ60キロメートルの道のりである。  60キロといったら、直線距離にして東京から箱根を越える。もちろ ん高速道路などない。このバスは、路線バスであるからして、とにかく のろい。しかも、車体をがたぴし、がたぴし、ぶるぶる身体を震わせな がら、走る。  タクシーにすればよかったかなあ。  でもタクシーだと、2万円以上かかるだろうしなあ。  バスからの高い視線で、山河を見るほうを選んだのは、失敗だったか も。  でも、景色は絶品だった。  山と透明な緑色の水田のジュータンは、TVのCMでしか見ることの できないような美しさだ。  水田の稲が実っているのは、このあたりの米が早稲なせいなのか?  それとも高知県の二期作地帯に入るからなのか?   二期作。中学校で習って以来、あまり聞かなくなった言葉だなあ。
 余談だが、『ドラゴンボール』の作者・鳥山明くんに、仕事の上で、 もうひとつ別のペンネームを作っておいてほしいと言ったときに、彼が 考えたペンネームが「水田二期作(みずたにきさく)」であった。  あまりにも脱力するようなネタでごめんなさい。  国道56号線を、乗合バスは、ぶおお〜、ぶおお〜、ぶるぶる、ぶる ぶると、煙をいっぱい吐きながら、走る。  乗ってくる人は、おばちゃんばかりだ。  津島病院前というバス停で、たくさんのおばあちゃんが乗って来た。 病院のお見舞いの帰りなのだろう。どのおばあちゃんも、スーパーの袋 を持っている。  バスは、入り組んだ湾から、湾を、筆でなぞるように走って行く。  入り江の漁港の定置網のある水辺が、美しい。  空が抜けるように、明るい。  ここまで歓待してくれなくてもいいと思えるくらいの快晴だ。
 バスの広い窓のせいで、顔の右半分だけに、日に焼けているような気 がする。  事実、あとで鏡を見たら、本当に顔の右半分だけ焼けていた。  猛暑とはいえ、本当にすごい暑さだ。  午前11時30分。見事だ。時間通りに、宿毛(すくも)駅に着いた。  ずいぶんきれいで、豪華な駅舎だなあ。  ここは第3セクターの「土佐くろしお鉄道」の始発駅だ。
 この駅からいよいよ、日本最後の清流と呼ばれる、四万十(しまんと) 川のある中村駅をめざす。  …と思ったら、次の電車が来るのは、40分後。  駅前のタクシーの運転手さんに聞いたら、四万十川まで20分ほどだ という。  タクシーを選択する。 「運転手さん、宿毛の駅って、ずいぶん豪華ですね!」 「ええ! 新しいもんでね!」 「いつごろ改装したんですか?」 「う〜んと、2〜3年前だったかな。それまで駅なかったからね!」 「えっ!? 第3セクターになってから、新しく駅ができたんですか?」 「そうです!」 「第3セクターになったら、駅が減るものなのに!」  そうと知ってたら、電車に乗るべきだったかもしれない。もう遅いが。  四万十川に向う。  四万十川もまた昔から、一度来てみたかった場所だ。  数多くの写真家たちの題材になり、カヌー・ファンたちのあこがれの 場所として、喝采を浴び続けている。  かつて10数年前に、高知に来たとき、ホテルでマッサージを受けな がら、四万十川までの電車の連結が悪くて、どうしても行くことができ ないという話をしたことがある。そのときマッサージ師さんが「お客さ ん、人が来れないから、四万十川は清流なんですよ」と言われたことに、 深く納得した。  今回も、高知から四万十川に入って、宇和島に抜けるか、宇和島から 四万十川に向うか、大いに悩んだ。  ようやく宇和島から四万十川に向うことを決めたあとでも、コースで 悩んだ。  電車で向うと、大きく時計回りに回って、窪川(くぼかわ)という駅 で、高知方面とは逆の後戻りして来ないといけない。  しかもこの宇和島から窪川までの電車は、鈍行しかないらしく、四万 十川のある中村駅まで、宇和島から、早くて3時間半、遅いと4時間以 上かかるらしい。  きょうじゅうに高知まで行ってみたい私としては非常に困る。  そこで考え出したのが、宇和島からバスに乗ることだったのだ。  午後12時10分。ついに来ました、四万十川!  いまいるところは、四万十川遊覧船のりば。  たったいま、帆掛け舟が出たばかりで、午後1時に次の屋形船が出る という。  ちょうどお腹が空いていたので、乗船券だけ買って、のりばのお土産 物屋さんで食事をすることにした。 「アカメ館」という不思議な名前のお店に入る。 「アカメ」とは不思議な名前だなと思ったら、幻の魚として、釣り人た ちにはあこがれ満点の魚のようだ。  しかも四万十川のアカメを広く世に知らしめたのは矢口高雄さんの 『釣りキチ三平』だそうで、つくづく漫画の影響力は素晴らしいと思う。  とにかく大きい魚で、全長っていうの? 1メートルを越える大きな のものが、太平洋にいるならまだしも、川にいるというのを聞くと、た しかにそれは幻の魚だなとおもう。
 アカメ館の水槽には、この目の赤いアカメが何匹も泳いでいたのだが、 この水槽のアカメですら、釣りキチさんたちにはうやらましいのだろう なあ。  私と嫁は、魚の美味しい旬の時期はかなり暗記しているんだけど、釣 りにはまったく興味がないからなあ。  アカメ館で、川の幸定食を食べる。  四万十川は、あゆ料理と、天然のウナギが有名だ。ほら、食べるほう の魚のことなら、四万十川に来る前から知識がある。  川の幸定食には、その両方が入っているからお得。  それでもまだ「青のりは、川の幸定食に何か入っていますか?」とお 店の人を困らせる。  お店の人が調理場から戻ってくる。 「青のりの天ぷらなら、あるそうです」。 「それを単品で加えてください!」
 四万十川と来たら、青のりですよ。  瓶に入った、四万十川の青のり、岩のりみたいなやつね。これだけで、 ご飯二膳は行けまっせ! ついでに青のりの味噌汁もあるといいな。  何で青のり定食が無いのか、ちょっと不満。  でもそんな不満も、川の幸定食を食べたら、一気に吹き飛んだ!  あゆの塩焼きが、んんんままま〜〜〜いいい!  うなぎの蒲焼が、んんんんんままままま〜〜〜いいいいい!
「これはおじさん、一本取られたなあ!」という味だ。  一流料亭の上品な、あゆ料理と違って、野趣あふれる美味しさだ。思 わず塩まみれの尻尾まで食べてしまうところだった。塩分は血圧の敵で ありまする。  午後1時。アカメ館の前のマイクロバスに乗って、四万十川の河原に 行く。  いくつかの屋形船が浮かんでいる。  靴を脱いで、遊覧船に乗る。  定員22名。お客さんは大人10名、子ども8名の18人。
 ヤマハモーターのエンジンにスイッチが入って、勤続4〜50年ぐら いのおじいさんが、マイクで説明しながら、屋形船はしずしずと動き出 す。船頭であるおじいさんの声は小さくて、何を言っているのか、さっ ぱりわかりません。  でもこの四万十川の清流が最大の魅力なのだから、おじいさんのしゃ べりはどうでもいい。  屋形船は、喫水線が低く、まるでアメンボになった気分で、下流に向 って行く。  水深は13〜14メートルというから、けっこう深いではないか。  途中で、わざとらしく、鮎漁の船が一艘浮かんでいて、屋形船はいま その船の存在に気づいたかのように近づいて行く。  近づいていくと、スイッチが入ったかのように、船の若者、バイト学 生かな?が、投網をほぐして、川にぱ〜〜〜っと投げ込む。  投網をぐいぐい引く。  1匹だけ取れたようだ。  2回目、今度は屋形船に向って、投網を投げ込む。歌舞伎の投げテー プみたいなものだな。
 投網を引く。  今度は一匹も取れなかった。  若者が、拝み手で「釣れなくてすみません!」のポーズをしている。  そのお辞儀のかわいらしさに、いっせいに拍手が起きる。  釣れたときより、釣れなかったときのポーズに拍手というのは、いか に愛嬌が大事かという証しだな。  往復7キロメートルの道のりを1時間かけて、この屋形船は進むのだ が、30分を過ぎたあたりから、子どもたちが退屈になってきたのか、 騒ぎ始める。  私もこの四万十川の遊覧船で、今回の主だった取材がほぼ終了したの で、船のなかで眠くなる。  眠くなったと同時に、雨が降ってきた。  またかい!  どうも私が旅に出て、仕事気分のときは、快晴になるのだが、遊び気 分で行くときは雨になるジンクスがある。  きょうもまた、わざわざ四万十川の取材が終了しかけたところで、待 ってましたとばかりに雨が降ることないのに。  松山から、内子、伊予大洲、卯之町、宇和島とまったく雨が降らなか った。    午後2時。四万十川の遊覧、終了。  けっこうの下流の太平洋に出る寸前まで行って来たそうだ。  太平洋まで出たら、流されて行ってしまうからね。  再び、マイクロバスで、遊覧船のりばまで戻る。  午後2時20分。タクシーで、中村駅へ。四万十川から中村駅までは、 わずか10分ほどだ。
 ここで思ったのだが、なぜ中村駅は、四万十川駅という名前にしなか ったのだろう。駅だけではない。中村市とはあまりにも平凡だ。  京都の公家だった一条氏が移り住んだ由緒ある土地らしいけど、それ なら一条市のほうが、格好いい名前だと思うんだけどなあ。  まあ、四万十川市なんていう名前にしたら、観光客が来すぎて、最後 の清流としての名前が消えてしまうからかもしれないね。  いまでもけっこう四万十川は有名になりすぎて、長いこと清流の透明 度っていうの? そういう美しさのランキングでずっと1位を続けてい たのに、最近4位に転落してしまったそうだ。  でも『桃太郎電鉄』ではいまでも、☆印カード売り場の名前を「四万 十川」としている。ほかにも『桃太郎電鉄』では、北海道の襟裳(えりも) は、本来、浦河(うらかわ)駅で、襟裳駅というのは、実在しない。  お客さんにとって、どっちがいい名前なのかが、判断基準だ。 さて、四万十川駅をシミュレーション。 <四万十川駅>  あゆ料理屋・・・・・・・・・・1000万円………50%・・食品  うなぎ料理屋・・・・・・・・・1000万円………50%・・食品  青のり漁・・・・・・・・・・・5000万円………80%・・水産  四万十川遊覧船・・・・・・・・・・・1億円…………5%・・観光   四万十川遊覧船・・・・・・・・・・・1億円…………5%・・観光  青のりは、ひいきしたい。  宿毛駅は、☆印カード売り場だな。  午後2時56分。南風22号で、高知に向う。  ちなみに特急は、ほぼ2時間に1本。ちょっと少ない。  車輌も、ちょっと古い。  ぶほほほ〜と、ディーゼル特有の苦しそうな悲鳴を上げながら走る。 必死さは伝わるのだが、いまいち早くない。まるで横浜ベイスターズの 投手陣のスピードのようだ。  おっと、何で私が旅行中に、7連勝もするのだ。  こっちのスポーツ紙では、阪神優先で7連勝しても、10センチ四方 の囲み記事にしかならない!  おお! 右手に雄大な太平洋が見えて来た。  波が高い! 太平洋だ! 土佐の一本釣りだ!  やっぱり土佐の海は豪快だなあ!  と思うまもなく、盛大に夕立が窓ガラスを叩き始めた。  本当に旅行中に、私の気が緩むと、待ってましたとばかりに雨が降る なあ。  夕立をBGMに、しばし、うとうと…。  午後4時39分。高知に着く。
 そのまま新阪急ホテルへ。  高知は昔からあまりいいホテルがなかったのだが、このホテルは豪華 で、きれいだ。  午後6時。はりまや橋の近くの「得月楼(とくげつろう)」へ。  6〜7年ほど前、土居ちゃん(土居孝幸)といっしょに行った、皿鉢 (さわち)料理のお店だ。小説『陽暉楼(ようきろう)』のモデルにな った老舗中の老舗だ。
 皿鉢(さわち)料理とういうと、カツオのたたきだ。  でも私は長いこと、このカツオのたたきが嫌いだった。生臭くて、あ まり美味しいと感じなかった。東京の有名店でも食べたけど、美味しく 感じなかった。  そこで、土居ちゃんといっしょに来て、この皿鉢(さわち)料理の老 舗店でも、美味しくなかったら、カツオのたたきは、美味しくない!と、 認定しようと思って、ミイラ取りがミイラになった。  美味しかったのだ。  そんなわけで、一度このお店に、嫁を連れて来たかった。いつも話題 に出すだけだったからね。しかもその後、脳内出血に倒れてしまったし。  しかし、きょうもカツオのたたきは美味しかったんだけど、12畳ほ どの広さの日本間に、私と嫁が、ぽつんと向き合って、大皿の皿鉢(さ わち)料理を食べる図は、あまりにも淋しすぎるね。
 やっぱり、豪快な土佐料理は、酒飲みがいないと似合わないね!  柴尾英令くん、成沢大輔くん、菅沼真理(通称:すがねまチャン)さ んといった、日本三大酒飲みがいて、箸拳(はしけん)でもしながら、 鯨海酔候、大はしゃぎしないと、皿鉢(さわち)料理は美味しくない。  女性のすがねまチャンを日本三大酒飲みに入れちゃいけないな。3人 目は週刊ヤングサンデーの石川享くんにしておこう!  だって、皿鉢(さわち)料理って、白身魚のフライとか、海老フライ とか、生じゃない魚が多い。しかもけっこう前から作り置きしているの で、料理が冷えている。料理はやっぱり温かくないとね。  もともと食べるのが早い私と嫁は、あっというまに40分ほどで皿鉢 (さわち)料理を食べ、20分ほど待ってから、帰る。お腹はじゅうぶ んにいっぱい。  どうせだからと、はりまや橋に寄って行く。  はりまや橋は、♪土佐の高知の〜、はりまや橋で、坊さん、かんざし、 買うを見た〜! よさこ〜い、よさこ〜い!の歌で有名な場所だ。  ところが、このはりまや橋、実際に高知に着てみると、橋の欄干が地 面に埋まっただけで、橋も川もないことから、日本三大がっかりのひと つとして、旅人のなかではうれしくない称号を与えられ続けて来た。  ちなみに、日本三大がっかりは、この土佐の高知のはりまや橋と、北 海道札幌の時計台が不動で、三番目が、京都タワーだったり、長崎のオ ランダ坂だったり、諸説ふんぷんいろいろあるようだ。  私だったら、鳥取砂丘かな。日本一なのに、あんなに小さいと思わな かった。  そのはりまや橋だが、なんと!  橋ができていた!  即席ながら、池のような川まで出来ていた!  そうかあ。橋を作っちゃうとは思わなかったなあ。
 これには、かえってがっかり。はりまや橋って、行ってみると、がっ かりするよ〜と知識をひけらかすことができなくなってしまう。高知市 民にとってはそれどころではないだろうが。  平成10年に完成したのか。  これで、はりまや橋の近くのお土産物屋さんたちも「詐欺だ!」 「がっかりだ!」といった言葉を聞かなくなっただろうし、言い訳めい た言葉を作らなくてもいいから、助かっただろう。  はりまや橋から、帯屋町のアーケードを歩く。  よさこいソーラン祭りが、8月9日から始まるらしくて、シャッター の折り始めたアーケードのあちこちで、よさこい踊りの練習会が始まっ ていた。
 一糸乱れぬ踊りと、鳴子(なるこ)の音が、美しい。  パラパラに興じる若者がいるかと思えば、こういう民謡風のよさこい に興じる若者がいる。その境界線というのはどの辺にあるのだろうか。 ブラキストン線とか、フォッサマグナのようにわかりやすいといいのだ が。  午後8時。新阪急ホテルまで歩いて行って、一階の喫茶店で、「ふぁ 〜むのアイスクリーム」を食べる。  土佐ジロー(玉子味)、焼きナス味、ゆず味の3種類が乗っている。  どの味も美味しい。
 午後8時30分。VAIOに、『桃太郎電鉄X(仮)』の手直し原稿 のメールが届いていたので、夜中までお仕事!
 

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