７月３日（火）

　ナムコの門谷祥子（門下生だったから呼び捨てね！）からのメール。


そうそう、さくまサン、ニンテンドー６４にはＡＶケーブルは
元から同梱されていませんよ！

なぜなら、テレビによってモノラル用ケーブル、ステレオ用ケー
ブル、Ｓ端子ケーブル、と使い分けなければいけないからです。
めんどくさいですね。どれ買ったら良いかもよく分からんし。
私も６４買ったとき同じことをやっちゃいました。


　また私がゲームの知識からっきし無いの披露しちゃったなあ！とおもっ
たけど、ゲーム好きでは業界ベストテンに入る門谷祥子が間違えたくらい
だから当然の失敗だろう。よかった、よかった！
　何たって門谷祥子は『ドラクエ７』を、発売日から３日か４日目ぐらい
にはクリアしてた恐ろしいやつだからなあ。

　えっ？　「テレビによってモノラル用ケーブル、ステレオ用ケーブル、
Ｓ端子ケーブル、と使い分けなければ…」だって。私はステレオ用ケーブ
ルとかいうの買って来たけど、大丈夫かいな？
　嗚呼！　住みづらい世の中ざんす。

　午前１１時。渋谷ブックファースト１Ｆで、アニメ・プロデューサーの
ひろたたけしと待ち合わせ。
　そのまま嫁も合流して、３人で「宇和島」へ。
　毎度おなじみの鯛めし定食。
　いつ食べても美味しいなあ。鯛めし。
　本場四国宇和島でも食べてみたい！　まだ旅がし足りないか！

　食後、喫茶店でひろたたけしと打ち合わせ。
　ひろたたけしがプランニングしているほかのお仕事とか、『Ｊヒーロー
ズ』のゲームを早く作れよ〜〜〜！と催促。

　午後１時。私、嫁、ひろたたけしの３人で、三宿（みしゅく）のカズ坊
（関口和之）の家に。
　すでにゲーム・ディレクターの國政修くんが先に来ていた。




　カズ坊（関口和之）に依頼した残りの曲を聴く。
　ギーガボンビー、ハルマゲド〜ンに続く、ゲスト怪獣の曲も完成。しか
もいい曲なので私はご満悦。
　つくづく桃太郎シリーズでのカズ坊（関口和之）の曲のよさは、ゲーム
の評価を１．５倍以上に引き上げてくれているとおもう。いや、２倍以上
かな。

　まだカズ坊（関口和之）は先週からの風邪が完治していないようなので、
われわれは早々に退散することに。

　そのまま４人で、用賀の池毅（いけたけし）さんのスタジオへ。
　きょうは、ひろたたけしがディレクションしている部分に、池毅（いけ
たけし）さんに曲を書いてもらうために、ひろたたけしを紹介する。
　ああ！　説明がまだるっこしい！
　ひろたたけしが『桃太郎電鉄Ｘ（仮）』で関係した部分は、全部トップ・
シークレットなので、書きづらいったらありゃしない。　

　とにかく、ふたりは初対面…とおもったら、池毅（いけたけし）さんも、
ひろたたけしも、どこかで一度会ったような…、仕事をしたことがあるよ
うな…、と言い出すではないか。
　しかも、ふたりとも、もうちょっとで思い出せないようなのだ。

　何たって、昔、私は池毅（いけたけし）さんに会っていないのに、作詞・
さくまあきら、作曲・池毅名義の曲が一曲あるくらいだから、池毅（いけ
たけし）さんとひろたたけしが仕事をしていても不思議ではない。

　打ち合わせのほうは、とんとん拍子で終了。
　雑談に入ったとき、池毅（いけたけし）さんが机の名刺入れを漁ってい
ると、なんと！　ひろたたけしの名刺が出て来た！　ってことは、間違い
なく前に一度ふたりは会っている！

「う〜ん。どこでだろう？」
「ＣＭのときかなあ？」
「ひろたが、テレビ朝日で『パオパオチャンネル』やってたときかなあ？」
「それは、僕、やってませんね」と池さん。
「う〜〜〜、思い出せなくて気持ち悪い〜〜〜！」
「なんかイヤですねえ！」
　こういうことって、よくあるなあ。

　けっきょく池さんもひろたも思い出せないまま、作曲の締切日と録音日
を決めて、帰ることに。
「あ〜〜〜、思い出せないまま、帰るのがくやしい！」とひろた。
「そのうち、ひょっこり思い出すよ！」

「それでは、池さん、失礼しま〜す！」
「おジャマしました！」

「あっ！！　これ！」と突然、ひろたたけしが玄関の脇の額に飾られたミ
ッフィーちゃんを見て叫ぶ！
「池さん！　思い出しました！　講談社でミッフィーちゃんの仕事をした
ときです！」
「あっ、思い出した！」
　ふたりで、がっちり握手！　はっはっは。ふたりとも胸のつかえが取れ
ただろうなあ！
　でも額に入った絵を見て、思い出すなんて、推理小説のトリックを見破
ったときみたいだ！　脇で見ていても楽しい！

　ひろたたけしが、次の仕事に向わないといけないので、ここでお別れ。
　私と嫁と國政修くんの３人は、用賀駅前の喫茶店でしばらく打ち合わせ。
『桃太郎電鉄Ｘ（仮）』のテスト・プレイに入る時期が遅れて来ているの
で、ちょっと心配、土居ちゃん（土居孝幸）の絵が遅れているのは深刻な
問題！という話に。

　でも早くテスト・プレイを始めたい。
　何たって、『桃太郎電鉄Ｘ（仮）』はマップが２枚だ！　いつもの２倍
テスト・プレイしないとやばい！　私の体力は往年の力が無いから、連投
はきかないぞ！

　午後５時３０分。嫁と私は地下鉄で、大手町駅へ。
　大手町が丸の内三丁目まで遠いと気づいたのは、３０分かけて歩いたあ
と。夕方で少し風が吹いて来ていたから、それほど暑さに苦しまずにすん
でよかったけど、歩いた、歩いた。

　午後６時。丸の内三丁目「東京會舘」で、「第４７回文芸春秋漫画賞」
の表彰式。
　先日この日記でも伝えたように、かつてうちの事務所にいた菊池晃弘く
んの晴れの授賞式だ。

 


　おや？　ヒサクニヒコさんだ。
「おひさしぶりです！」
　キクちゃん（菊池晃弘）と私の関係を紹介。
　ヒサクニヒコさんも１９７２年。第１８回文春漫画賞を受賞されている。




　何たって、この文春漫画賞は、古くは『サザエさん』の長谷川町子さん、
東海林さだおサン、赤塚不二夫さん。手塚治虫さん、谷岡やすじさん、い
しいひさいちサン、杉浦日向子さん、江口寿史くん、吉田戦車、黒鉄ヒロ
シさん、その他日本の漫画を形成された方々のほとんどが受賞されている、
それはそれは権威のある賞なのだ。
　その賞をキクちゃん（菊池晃弘）が受賞するんだから、私の喜びたるや、
いかばかりなものか！

　あれ？　土居ちゃん（土居孝幸）も来てるぞ！
「土居ちゃん、いいの？　イラストの締め切り？」
「うん。だから授賞式終わったら、すぐ帰る！」

　おっ！　キャラメルママの社長の松本常男くんだ。
「まっちゃん！　キクちゃんの授賞式なのに、何その服装！　社長らしく、
背広にネクタイしてこいよ！」というと、「ネクタイしてきたもん！」。




　なんちゅう、ギャグだ！

　ちなみに、キクちゃん（菊池晃弘）がうちの会社にいたとき、うちは
ゲーム作りが、メインの会社になることになったので、キクちゃん（菊池
晃弘）を松本常男くんの会社に預けた経緯があるだけに、松本常男くんと
顔を合わせて「お互い、うれしいね〜〜〜！」「菊池は謙虚な男だし、人
の悪口を絶対言わないいいやつだよねえ！」「うんうん。そうそう！」と、
ふたりで老兵談義。

 
 


　審査員の先生方が選考過程を披露する。
　あのイラストレーターの山藤章二さんが、キクちゃん（菊池晃弘）の
『メカッピキ　ポチ丸』を激賞してくれた。ふだん辛口な批評を加える山
藤章二さんが、これほどまでに絶賛するなんて、過去一度も見たことがな
い。
　聴いているこっちが狼狽するほどの大絶賛だ！

 


　榎本４７歳も来ている。
　審査員の先生方が選考理由を壇上で披露しているのに、そ〜〜〜と会場
の後ろを通って、私のほうに近づいて来るから、「えのクン、何？」と聞
いたら、小声で「おしっこ！」。
　あいかわらずな男だ。人の授賞式なのに、緊張している。

 


　双葉社の諸角裕さんとひさしぶりにご挨拶。
『桃太郎伝説』がヒットしたときに、双葉社から攻略本が出たときからの
お付き合い。編集者として、土居ちゃん（土居孝幸）のデビュー当時を担
当している。
　
「土居ちゃん、うちはそろそろ帰るけど、いっしょにご飯だけ食べて行く？」
「いや。すぐ帰って、仕事する！」
「えっ？　本当にそこまで追い込まれているのか！」
「うん！」


キクちゃん、本当におめでとう！

　午後７時３０分。私と嫁は、家の近所まで戻って、「鶏味坐（とりみく
ら）」で食事。こんにゃくそばが、ヘルシーで美味。
　
　午後８時。帰宅。
　今夜もビデオ三昧。
『ザッツ・エンタテインメント』が、震えるほどいい映画なのよ〜！
　たっぷり刺激を受けまくっているので、お勧めだけして、どこがいいの
か、教えない！　もったいないもん！　そのくらい興奮。
　今夜は『ザッツ・エンタテインメント２』を見る予定。
　ふっふっふ。また刺激をたくさん受けちゃおっと！