5月09日(水)

 昨夜、ビデオを見るはずが『クロサワ』(原作・園村昌弘、作画・中村
真理子、小学館)を読み始めて、明け方まで寝付けなくなってしまった。
 サブタイトルは「日本映画監督列伝2/炎の映画監督・黒澤明伝」。
 あの『トラ!トラ!トラ!』の監督降板事件を、ミステリー仕立てに追
っていく手法は、小説ではよくあるパターンだけど、漫画だと新鮮。

 中村真理子さんは、『ギャルボーイ』『唇にブルース・ハープ』などの
ヒットで知られる漫画家さんだが、小池一夫劇画村塾塾時代の私のひとつ
後輩である。当時からずば抜けて絵が上手くて、会話をしていても話題が
豊富な子だった。やっぱりそういう人が、後年こういう素晴らしい作品を
描くようになってしまうものなんだねえ。
「わが友が皆、われより素晴らしく思え…」という言い方があるけど、私
の場合本当にこういう人たちを100人以上見てきたのだから、困っちま
うよ。  

『クロサワ』に夢中になって、眠れなくなってしまったので、ビデオで
『懐かしのTVシリーズ傑作選/遊星王子』を見る。
 しかし1958年の作品にしても、お粗末とまでも言えないくらいのひ
どさ。おなじみあの時代にありがちな、人より遅く歩くロボットに追いか
けられて、大人たちが何人もゆっくり、震えながら、逃げ惑う滑稽シーン
のオン・パレード。主人公の遊星王子のコスチュームは、トレパンのよう
にブカブカだし、光線銃も持たないから、徒手空拳なんだけど、動きは鈍
く、殴るシーンでも「ボガッ! バスッ! ドガッ!」といったSEがま
ったく入っていないので、拍子抜けする。
 
 おまけに秋川渓谷と思われる違う星の国で、和製スーパーマンであるは
ずの遊星王子が、テントでキャンプまでしてしまうにいたっては、口あん
ぐり。しかもこんな陳腐な作品に一喜一憂していた子どもの頃の私が情け
ない! 不覚にもいまでも主題歌は、ワンコーラス間違えずに歌える!
『クロサワ』を読んだあとだけに、よけい落胆と怒りがこみあげる。

 ところで来年12月、予定では東北新幹線は青森県八戸駅まで伸びる。
『桃太郎電鉄』の作者としては、新幹線の延伸は、うれしいかぎり。
いまからわくわくしている。
 ところで、この東北新幹線で、ちょっと地味だけど、コロンブスの卵の
ような斬新なシステムが採用される。

 新幹線に乗って、座席に座って、すぐ寝てしまって、熟睡した頃に車掌
さんが、「キップを拝見…」と来て、起こされた経験は、一度はあると思
う。
 あの検札が、この東北新幹線でついに廃止になるようなのだ。
 実は、不詳、いや、負傷、いや、不肖、新幹線大好き男の私としては、
オリンピックの年の昭和39年新幹線開業以来ずっと、この車中での検札
を廃止する方法がないかとずっと思案していたのだ。しかもいつか思いつ
いて、JRの人を驚かせたいという密かな野望をずっと抱いていた。
 そんなバカなことを、40年間近くも考え続けていたのか…と思うかも
しれないが、私はバカだ。
 本当に本気で、ついこの間まで、正しくはさっきまでずっと考えていた。

 新幹線のドアの脇に、カードを差し込む方式とか、座席の肘掛のところ
に、パチンコの玉を買うような穴を作って、そこに乗車券をカードのよう
に挟むとか、いろいろ考えていた。

 今回のシステムは、もっと単純だった。
 駅の改札をくぐるときに、新幹線のキップを入れる。ここですでに座席
までわかるのだから、このデータを新幹線車輌のほうに送る。送られた情
報は、車掌さんが持っているファミレスのご注文コンピュータみたいな携
帯端末機械が受け取る。
 これで、どの席に人がいるはずだということを、一発で検索できるわけ
だ。やられた。やられてみると、何て単純で、素晴らしいアイデアなんだ。
あまりにもシンプルなので、私の頭の悪さとしつこさだけが、くっきり浮
き彫りになるだけではないか。

 40年越しで敗れた悔しさと、車輌会社の人たちの英知に惜しみない拍
手を送りたいと思う。地味すぎる発明だけに、絶対NHK『プロジェクト
X』で取り上げられることもないと思うので、私だけでも激賞してあげた
い。
 昨日の『プロジェクトX』は、スバル360を開発した人たちだっただ
けに、またまたおもしろかった。
 学校教育も、つまらない授業やるより、こういう番組を毎日1本見せて
あげたほうが、明日の日本に役立つ人間が生まれるのでは。小泉純一郎さ
んいうところの「米百俵物語」になるような気がする。

 午前10時30分。嫁と、高円寺の整体さんへ。
 左腕は順調に成長していて、水泳のクロールができそうなぐらいにまで
回復。あとはどうしても手のひらを動かす動作が遅れぎみ。すっかり片手
で生活する日常になれてしまって、左腕をつかわなくてすむからだ。何で
もつかわないと、退化する一方だな。頭(おつむ)もね。

 午後12時30分。高円寺の「薔薇(ローズ)亭」で、日本一美味しい
大量のキャベツと、ミンチカツの定食。B級グルメ・マニアは絶対知って
おくべきお店である。
 午後2時。帰宅。  毎月、原稿が遅れて、インデックスさんに迷惑をかけている、iモード・ ゲームの毎月原稿「iさくまにあ」の執筆を始める。  400字原稿用紙にしたら、2枚半程度の短さだけど、『東海道五十三 次』『奥の細道』『西遊記』といずれも記憶だけで書けるようなエッセイ ではないので、GW中、ずっとこの3本に関する資料を漁っていた。  というわけで、まず今月の『さくま式西遊記』の分の原稿が完成。  夕方見たビデオ映画は、いまいちだったので、紹介しない。  人に知らせないのが、最大の批判。  午後6時。テレビ神奈川にて、セ・リーグ最下位決定戦「横浜ベイスタ ーズ対阪神戦」を見る。  さすが、最下位決定戦にふさわしい内容。  両軍とも、エラー、拙攻、バント失敗、残塁と、ダメなチームにありう るかぎりを尽くし合う。  前半の話題といえば、あのナムコの中野渡昌平くんの従兄弟・中野渡進 投手が好投したぐらいのものである。中野渡投手の面構えは、野武士みた いで好きだなあ。もみあげの切り方がちょっと笑える。  横浜ベイスターズに4点入ったところで、速攻、近所の「Ojian Cafe(オジアン・かふぇ)」で食事して舞い戻る。  ずっと4対2のままだ。  8回表まで、4対2と書けば、接戦だが、両軍の凡打の山を見れば、ま さに拙戦(せっせん)なだけである。 8回裏。ようやく横浜ベイスターズのマシンガンに火がついて、結果だけ 見れば、7対2の圧勝だが、それまでがねえ…。    それでも、最近絶好調の佐伯選手が、本日3安打、2四球と、全打席出 塁で、とうとう打率1位に踊り出た。ここ4年間、金城、ローズ、鈴木尚 典と、毎年首位打者を輩出して来た、横浜ベイスターズとしては、この調 子で、今年の首位打者を佐伯選手に取ってもらって、5年連続の偉業を達 成してほしいものだ。  さらに、昨年のドラフト1位選手の田中一徳外野手が、「く」の字打法 という、実にふざけたバッティング・フォームを披露して、2安打。田中 一徳選手の次の打席の選手が、中日から移籍してきた、ガニ股打法の種田 選手。  ひさびさに横浜ベイスターズお笑い陣も、人材が出て来た感がある。  一時の最下位独走より、私の精神状態も少しだけ、上昇中。  さて、たぶん私は明日から、京都に行く予定。  明日のハドソンでの打ち合わせ次第では、明後日になってしまうが、最 終目的地はもちろん、5月12日、13日の香川県高松駅。  どの時間にどのイベントに出演するのか、私はよくわかっていないので、 お問い合わせは、JR四国高松駅、またはFMマリノのほうに。たぶん南 新町通りのFMマリノのサテライト・スタジオに聞くと、スケジュールが わかるんじゃないかな?  12日、13日は、家族も高松に来るかもしれないので、そのときは、 日記はお休みでーーーす!  5月13日。高松駅に来れる人は、桃太郎電鉄人形焼を買いに来てね〜!  ひょっとすると、手に入りづらいと言われている『桃鉄ファン』も買え るかも。
 

-(c)2001/SAKUMA-