5月07日(月)

 午前5時。秘密裡に進めている仕事を粛々と…。

 いいかげんいちいち『桃太郎(仮)』とか書くのが面倒になってきたの
で、秘密裡で済ます。ひとつには昨年来、ずっと続けていた『桃太郎大全
集(仮)』が中座して、続く『桃太郎電伝(仮)』も8割強完成したもの
の、早く取り掛かるにしても着工は、9月以降になりそうなので、話題が
古くなりすぎる。
 要するに、昨年からこっち、ひとつも新しいゲームの契約を交わしてい
ないので、半年以上無料働きの状態なのである。
 幸い、今年はゲームが4本も発売されてことになっているからいいけど、
ふつう半年間無報酬なら、そろそろ倒産だよ。えのッピドゥー!
 所詮こういう、いちかばちかな商売なのですよ、ゲーム業界は。
        
 午前11時。嫁と近所のバス停「千駄ヶ谷一丁目」から、「早大正門」
行きのバスに乗る。
 午前11時9分。バスの時刻表には、次のバスは、午前11時21分と
ある。来るのは12分後かあ。だったらバスに乗るのをやめて、タクシー
にしようと思ったら、バスが来た! 早く着過ぎだよと思ったら、その前
の午前11時1分発のバスが、8分遅れで到着したのだった。

 バスは、東京女子医大に近づく頃から、大渋滞。まったく進まなくなる。
 早大正門まで、タクシーなら15分ぐらいなのに、けっきょく50分近
くかかって、到着。覚悟はしていたからいいけど、バスの時刻表はやっぱ
り当てにならない。

 午後12時。リーガホテル早稲田の前にある徳島ラーメンのお店「うだ
つ食堂」に行く。「うだつ」とは「うだつが上がらない」の「うだつ」で
ある。
 その「うだつ」とは、江戸時代、徳島県の脇(わき)町が、阿波藍染め
の産地として栄え、豪商たちがこぞって小屋根つきの土壁を作ったことか
ら、「うだつ」の上がるような家は金持ち、「うだつ」が上がらないのは、
ボンビー、ボンビー!という慣用句になった。
 さて、その「うだつ」のついた店舗の「うだつ食堂」で、本場の徳島ラ ーメンの味が食べられるというので、来てみた。  店内に入ると、ちょうど昔の駅の待合室みたいな作りになっている。駅 の待合室というよりも「停車場」という文字が似合いそうだ。  徳島から穴吹、阿波半田、佃、阿波池田までのJR徳島線(よしの川ブ ルーライン)の駅名が壁に貼ってあったりする。
 さらに、店内に駅のアナウンスや、阿波踊りの音楽などが流れたりする。  どちらかというと、ラーメン・マニアより、鉄道マニアにうれしいお店 のような気がする。  ラーメンは、大と小の2種類あって、小を頼むが、このくらいの大きさ のラーメンならいくらでもあるといったサイズ。大にしたら、どのくらい 大きいのが来てしまうのだろう。  デミカツ丼というメニューがあったので、注文する。 「鮮魚のすり身をパン粉で揚げた徳島名物カツ天を、カレー風味に仕上げ、 デミグラスソースで食べるオリジナル丼」とお品書きにある。  このデミカツ丼は、ハムカツのような食感で、なかなか美味。  ラーメンのほうは、茶色く濁った甘めのスープに、細い麺。薄く切った 豚のバラ肉が乗っていて、お好みで、生卵か、半熟玉子をトッピングでき る。生卵のほうを所望いたす。
 味は、う〜ん。いちばん困る悪くもなく、良くもなく。  どろっとしたスープだが、京都天下一品らーめんの「どろっどろっ」ま では行かない。麺のこしも、「しこしこ」ではなく、「しこ」止まり。  かといって、決してまずいわけではない。  生卵のトッピングも、妙にスープに合っていて、それなりに美味しい。  もうちょい麻薬性のあるものが入っているとか、何じゃこりゃあ!とい うトッピングがあるといいんだけどなあ。  この辺だと、金毘羅山あたりのジャコ天なんかを、ラーメンのなかに入 れたほうが特徴が出るのではないかと思う。鳴門金時と呼ばれるサツマイ モがひとつ乗っているだけで、相当女性ファンがつくと思う。  惜しい味である。  食後、天気もいいので、腹ごなしに、神田川沿いを歩いて、護国寺へ。  春なら、こぼれるような桜が咲き乱れる場所だが、いまは緑色なだけ。  ダイエットのためといいながら、めざすお店は、豆大福のお店「群林堂」 だったりする。ダイエットの意味ないじゃん! かなり足がへろへろにな るまで歩く。  我が家が、わざわざ豆大福のお店をめざして行くのは、この「群林堂」 と、京都の「ふたば」と、神宮前6丁目の「瑞穂」である。  もちろん、「銀座あけぼの」とか「岡埜栄泉(おかのえいせん)」とい った豆大福で有名なお店はあるが、デパートの食料品売り場でも手軽に入 手できる。わざわざ買いに行くお店となると、この3軒が、ベスト3だ。  現在のベストワンは、神宮前6丁目の「瑞穂」だなあ。  甘さがくどくなくて、とにかくあんこが上品。
 午後2時。帰宅。  秘密裡に進めている仕事を黙々と…。  夕方。本日のビデオ名作劇場はオードリー・ヘップバーンの『ローマの 休日』。  最近どういうわけか過去の名作をよく観る。いま見ると、違った印象に なる違和感を楽しんでいる。 それにしても当時からオードリー・ヘップバーンの目の強さは、なるほど 大スターになるだけの素質を十分備えていたんだなあ!と納得させられる。  アイドルは、もちろん、常人においても、目に強さのない人は、仕事も 芳しくない確率が高い。たしかに若い頃、仕事に向うときは、目に力を入 れてから行けと言われたものだ。  それと白黒映画って、いいねえ。  画面に妙にリアリティがある。  いまやカラー作品というと、SFX、CGの作品というイメージが強く なる。  午後6時。嫁と高田馬場の餃子屋さん「餃子荘ムロ」へ。  先日、悪代官の成沢大輔くんと行こうとして、お休みだったお店だ。  餃子好きに、ベストテンを上げさせると、間違いなく、このお店が入っ てくる。  実は私も20年前ぐらいに一度行っているのだれど、びっくりするほど の美味しさではなかったと記憶している。  きょうは、それを確かめに来た。  珍しく嫁がデジカメを忘れて来た。  餃子だから、画像で美味しさは伝えづらいからいいよね。  にんにくの入っていない餃子と、腸詰餃子、チーズ餃子と、唐辛子入り 餃子など注文して、鶏そば、チャーハンなども頼む。  ふつうの焼き餃子は、注文してから、目の前で、餃子の皮を作り始める。  カウンターだけの決して、こぎれいなお店ではないが、掃除の行き届い た、仕事好きの人たちのお店の雰囲気が漂っている。  焼き餃子のぱりぱりっとした食感がいい。  形も大きくなく、小さくなく、ほどよい。  焼き方も意外なほど、焦げ目の面積が多い。  焦げ目の多い餃子は、駄作が多いのだが、焦げ目を噛んだときの「サクッ」 という音が小気味いい。  どこをとっても、とにかくオーソドックスな餃子なのだ。  紅虎餃子房(べにとらぎょうざぼう)の餃子のように棒状になっている わけでなく、生八つ橋のように包んであるでもないのに、美味しいと思わ せる技は、相当奥が深いのだろう。  腸詰餃子は、お酢とラー油につけて食べる。  まるでウインナ―ソーセージがなかに入ってるようなボリューム感が、 これはこのお店独特のものだろう。  食べ終わってお店を出る頃には、また来たいと思わせる不思議なお店だ。  お店の人たちの雰囲気もいいせいだろう。  いかにも高田馬場のお店だ。  嫁はいたく、鶏そばの麺と、椎茸を気に入っていたようだ。  午後6時。高田馬場BIGBOXの前で、デブにしては、機敏な動きを 見せるアニメ・プロデューサーのひろたたけしと待ち合わせる。  BIGBOXの2Fの「パピエ」で、『桃太郎電鉄X(仮)』とは別に 動いてもらっているほうの仕事の途中経過を聞く。  私はいったい今、いくつの仕事にからんでいるんでやんしょうねえ。  この4月から、仕事減らしたはずなんだけど…。  ひろたたけしといえば、『Jヒーローズ』のゲーム化の話もまかせてい たなあ。 『Jヒーローズ』について、「いよいよ…」とひろたたけしは毎回言って いるような気もする。「ゆっくり、着々…」という言い方もないよなあ。 まあ、とにかく蝸牛のような速度で進んでいることだけは、確かなようだ。  午後9時。帰宅。  再び、秘密裡の仕事を、こそこそと…。
 

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