4月23日(月)

 昨日よりも体調はよくなったものの、ならし運転レベル。ベッドで
『ジパング』(かわぐちかいじ・講談社)の1巻、2巻を読みながら、
少しずつ起き上がる。

 午前11時30分。嫁と、神宮前3丁目の「月光茶房」で、いつも
の茄子とひき肉のカレー。最初からご飯を半分にしてもらう。ここの
カレーが美味しいので、いつもご飯を残すと決めて食べ始めて、会話
に夢中になっているうちに、全部食べてしまっていることが多い。

 きょうみたいに、ご飯を最初から半分にしてもらうと、満腹感も充
足されていい。食べながら、ご飯を残すと、なんか作ってくれた人に
対して申し訳ないような気がするし、残して終えるよりも、皿ごとた
いらげたときのほうが美味しく感じることに異論はないだろう。

 午後1時。築地のハドソンへ。
 まずは昨日までに書き上げた『桃太郎02(仮)』のメッセージの
直しを、ゲーム・ディレクターの國政修くんに提出。その上で「メッ
セージ、減らない?」と交渉に入る。はっはっは。いきなり弱音吐い
ちゃったよ。

 いや、もう、ほんとに、大容量時代のゲームのメッセージを、短期
間でたったひとりで書き上げるのは、正直言って、つらい。
『桃太郎電鉄X(仮)』は、まったくひとりで書き上げたけど、その
量の多さに、土居ちゃん(土居孝幸)も、宮路一昭くんも、福ちゃん
も最後まで、読めなかったほどだからね。何たって、『桃鉄』2本分
(と言ってはいけないのだが…)だからねえ。想像がつく恐ろしさで
しょ。

 けっきょく、『桃太郎02(仮)』の後半の部分のメッセージを、
國政修くんに手伝ってもらうことになった。よかった、よかった。

 午後4時。東京駅へ。嫁はそのまま自宅に戻る。
 四国高松までの乗車券を買って、特急券は京都まで。
 時間があるので、本屋さんで本日発売の『ジパング』の3巻を買う。
東京駅構内の喫茶店で、さっそく『桃太郎02(仮)』のメッセージ
直し。

 午後4時52分。のぞみ23号。
 車中、『ジパング』を次のページをめくるのも、もどかしそうに読
みふける。
 こういうタイム・ワープ物は、大好きなのだ。

『ターミネーター』のように、未来から現代に来るのもいいけど、歴
史が好きだから、タイム・ワープ物の傑作といえば、半村良さんの
『戦国自衛隊』だ。この作品を学生時代、何度読み返したかわからない。
 学生時代って、貧乏だから、おなじ本を何度でも読み返すから、読
書が血となり、肉となったんだろうね。
 大人になると、お金があるから、読むのに追われて、ながし読みし
てしまうから、吸収力が弱くなってしまう。
 いまでもおなじ本を何度も読み返したいんだけど、ベッドサイドに
積み上がった100冊以上の本の消化についつい追われてしまう。早
く読まないと、次を買ってしまって、ベッドから本がこぼれ落ちる。

 話がそれた。
 海上自衛隊の最新艦が、第二次世界大戦の時代に飛んでしまう設定
は、私にはこたえられないものがある。親戚に海上自衛隊の人がいた
ので、子どもの頃、横須賀で、潜水艦と、駆逐艦に乗せてもらって、
隊員食を食べた記憶があるので、まってましたの作品だ。
『沈黙の艦隊』より、私はこっちのほうが、数倍おもしろいなあ。
 絵がさらに上手くなってる。失礼だが、50歳を過ぎてなお、格段
に絵が上手くなる漫画家さんは皆無だから、驚かされる。

 ただ私は歴史のなかでは、第二次世界大戦物は、あまり好きではない。
 終戦が、昭和20年。私が生まれたのが、昭和27年だから、けっこ
う戦争は生々しいし、戦争礼賛みたいな小説や漫画、映画を見て育った
人間には、戦記ものを肯定したくない気持ちのほうが強い。
 山本五十六まで登場して、今後どういう展開を見せて行くのか楽しみ。
『ジパング』という題名のつけ方が上手い。

 それにしても『週刊モーニング』は絶好調だなあ。
『バガボンド』に、『部長島耕作』に、『ジパング』。重量三本柱が揃
っている。
『新・野球狂の詩』もあるし、長期連載の『OL進化論』もいる。
『風とマンダラ』はいまどき、基本に忠実にギャグを描いている作品と
して、とくに評価したい。シュールな4コマ漫画は、10人のお客さん
を増やすけど、間違いなく30人のお客さんを減らす。
 
 『ジパング』読了後、『桃太郎02(仮)』のメッセージ直し。
 
 午後7時10分。京都駅着。

 午後7時30分。京都のマンション着。嫁から電話で、すぎやまこう
いち先生ご夫妻が京都に見えられているという連絡が入る。
 う〜ん。きょうは、『桃太郎02(仮)』のメッセージ直しをやらな
いとまずいよなあ。國政修くんから、遅くとも火曜日の夜までに原稿を
上げてほしいと言われているからなあ。

 軽く食べて、仕事するかと、マンションを出て、角を曲がったら、な
んと、ヤサカタクシーの宮本さんが運転する車がちょうど一時停車した
ところ。もちろん、車にはすぎやまこういち先生ご夫妻が乗ってらして、
おや、「プティ・ポワン」の北岡ご夫妻も!
「いやあ、さくまクンのばったり病は、あいかわらずだねえ!」と、
すぎやまこういち先生がドアを開けて、笑って握手を求めてくださる。
 すぎやまこういち先生の奥様からは「さくまサン、いまから魚津屋で
筍を食べるんですが、ごいっしょされます?」
 ううっ! 魚津屋で、筍! 海老で鯛を釣るみたいな金城湯池へ!
 大いに心動かされる。ゆらゆらゆらゆら〜!
 でもなあ。魚津屋さんだと、2〜3時間はかかっちゃうからなあ。
 後ろ髪を3トンの荷重で引っ張られる思いで、なくなく断念する。
「すみません。きょうはそこの田毎(たごと)で、にしんそば食べて、
仕事します!」
 でも、すぎやまこういち先生ご夫妻、北岡ご夫妻、宮本さん。京都オ
ールスターズのみなさんに会えてよかった。明日の四国高松行きの中継
で寄っただけの京都で、大笑いすることができました。それにしても、
私は本当によくばったり人に会う。特技だな。

 午後8時。京都のマンションに戻って、仕事開始。

 明日は、四国高松へ。でも天気予報は、雨。
困った。明日見たい場所は、晴れてくれないと困るのだ。雨だったら、
予定を変更して徳島に行こうかな。
 いずれにしても、いつも私の旅は、微妙に行き当たりばったり。
 

-(c)2001/SAKUMA-