4月18日(水)

 午前11時45分。銀座5丁目のニューメルサの前で、土居ちゃん
(土居孝幸)と待ち合わせる。
 と、携帯に電話が入る。土居ちゃんからだ。
「いま、メルサの前にいるんですけど…」
「うそ。オレもいま、メルサの前にいるよ!」
「見えないですねえ!」
「土居ちゃん、回りの景色何が見える?」
「松坂屋が見えますけど…」
「えっ? 松坂屋? あっ! 松坂屋の向こうに『メルサ』の看板が
見えるぞ! そうか! ゴメン! 土居ちゃん! 待ち合わせは『メ
ルサ』じゃなくて、『ニューメルサ』なんだ!」
 銀座にメルサというビルは、ここにしかないと思っていたのだ。
 何で300メートルほど離れた場所に、メルサと、ニューメルサ・
ビルがあるんだ。もっと近くに建てるか、まったく違うところに建て
るか、はっきりしてほしいものだ。

 午後12時。土居ちゃんと、嫁の3人で、ニューメルサ8Fの「皆
実(みなみ)」へ。この日記によく登場する赤坂のお店の銀座支店だ。
 鯛めしと、鰻まぶし(名古屋でいう、ひつまぶし)の美味しいお店だ。

 本当は、この鰻まぶしを、柴尾英令くんに食べさせて、いつものよ
うにマイクロダイエットのジャマをしてあげようと思ったのだ。
 ところが電話が入って、きょうハドソンの会議に提出するマップの
作製がまだ終わっていないので、来れないとの連絡。
 う〜ん。土居ちゃんとの作戦を見破られたかな?
 鰻は、脂たっぷりで、柴尾英令くん好みだと思ったんだがなあ。

 さて、銀座の「皆実(みなみ)」の鰻まぶしのお味のほうは、正直言
って、いまいち。初めて食べる人なら、美味しいと感じるだろうが、
こっちは赤坂の「皆実(みなみ)」の鰻まぶしを食べなれているので、
どうにも納得が行かない。
 鰻の照りに、輝きが足りないのだ。
 ギャング映画のボスの照り照りした顔のように、脂ぎっていないと
いけない。
 刻み海苔も、もうひとつ水分を吸ってしまって、ぺたっ!としている。
 おたく少年の髪型じゃないんだから。

 料理が出てくるまでに、相当時間がかかったから、調理場に滞留し
た時間が長かったのかもしれないが、お客と料理人は、一期一会。
残念ながら、今後も赤坂店だけ、利用するだろな。

 午後1時。そのまま、築地のハドソンへ。
 きょうも『桃太郎02(仮)』のテスト・プレイ。
 いよいよ3日目。

 2日間、セミプロとか、スーパー・テスト・プレイヤーといった上手
い人ばかり集まってしまったので、きょうはごくふつうの人に集まって
もらった。
 嫁の知り合いの、歯医者さんの、国府田(こうだ)夫妻。  さらに、おなじみウェブ・デザイナーの菅沼真理(通称:すがねまチャ ン)さんと、岸田さん、CMディレクターの平林勇さん。  そして、満を持しての登場。  キング・オブ・テスト・プレイヤーの井沢どんすけ!
 今週から、週刊少年ジャンプで新連載が始まった、あの井沢どんすけ である。  さらに、午後3時。柴尾英令くん、到着。  午後4時。放送作家の福本岳史くん、到着。  テスト・プレイヤーが、なんと! 8人! 土居ちゃんも入れると、 9人。  この3日間、最高の人数でテスト・プレイ。
 人数が多いから、4人対決のミニゲームを中心にプレイしてもらった ものだから、テスト・プレイというよりも、ほとんどホーム・パーティ。
 わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。  わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。  わーわー、きゃーきゃー! わーわー、きゃーきゃー!  わーわー、きゃーきゃー! わーわー、きゃーきゃー!  わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。   わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。     とくに、ゲームは得意ではないという、国府田(こうだ)夫妻が、ゲー ムをやる度に、みるみる上手くなって行く。  こういうテスト・プレイは、作者側としては、最高にうれしい。  テスト・プレイというのは、ゲームが上手い人より、実は下手な人の ほうが、いいサンプルになる。もちろん、上手い人は、上手い人で、 「免許皆伝」レベルのときの決定要素になるので、必要である。  いちばんいいのは、下手な人が、飽きずに、何度も何度も「もう一度 このゲームをやりたい!」と言ってくれて、ぐんぐん上手くなっていく ことだ。この上達度のグラフが、右肩上がりだと、最高にいいゲームの チューニングなのだ。  だから国府田夫妻の奥さんが、最初のうち、コントローラをつかうの さえ、ままならなかった人が、2時間後に、旦那さんより上手くなって いる様は、最高にうれしい結果なのだ。  ゲームをするために、生まれて来た男・井沢どんすけのように、いき なりコントローラを握ったとたん、過去最高点を記録してしまうような プレイヤーは困るのである。はっはっは。  あいかわらず、どんちゃんは、楽しそうにゲームをやるなあ。   あっというまに、午後6時。  食事に行ける人を募って、おなじみの「太老樹(たろうき)」へ。  土居ちゃんと私は、密かに柴尾英令くんの隣りに座り、両側から、お 寿司をわんこそばのように、どんどん勧める。今朝、鰻まぶしを食べさ せることができなかったのを、挽回するために、必死だ。  でも、こっちはもう、柴尾英令くんが、カリフォルニア・ロールや、 アボガド巻といった珍品が好きなのを知っているので、どんどん注文し て、柴尾英令くんの前に置く。  柴尾英令くんは、ビールを飲ませれば飲ませるほど、食欲が増すとい うデータもあるので、どんどん注文する。  まあ、言ってみれば、松坂牛を育てるのに、ビールを飲ませているよ うなもんだね。  それにつけても、みごとな食べっぷりだ。  これで、現在79キログラムの体重が、80の大台に乗ったことだろ う。しめしめ。柴尾英令くんのダイエットを邪魔するのは、楽しいなあ。  午後7時30分。さらに築地のハドソンに戻って、テスト・プレイの 続き。  会議室のあるフロアには、まったく人がいない。  このテスト・プレイをしている人たちだけである。  わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。  わーわー、きゃーきゃー! わーわー、きゃーきゃー!   わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。わいわい、がやがや。      「どんちゃん、何かゲームに対する文句出ないの?」 「えっ、やっ。すみません、全部おもしろくて、のめり込んでるだけに なっていました!」 「困るなあ、どんちゃん! 君の文句たれ!の才能を見込んで、テスト・ プレイ頼んでるんだから、何か言ってよ。まあ、作者としては、うれし い反応だけどさ!」 「役立たずですね!」 「自分でいうな!」 「えへっえへっえへっ!」  どんちゃん、笑い方、変わらないなあ。  ついに、午後9時30分。うれしいことに、誰も「やめませんか?」 と言わないので、こっちから、タイム・オーバーを宣告。お開きにして もらう。  ハドソンのビルを出たら、雨。  午後10時。帰宅。充実の1日である。横浜ベイスターズが、昨日に 続いて、また負けたことを除けば…。あの阪神に2連敗とは、これいかに…。  明日も、ハドソンで、テスト・プレイ。
 

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