3月22日(木) 昨夜見た、ビデオ『20世紀ポップ・ロック大全集〜魂の音楽・ソ ウルの巨人たち』に出てきた言葉。 「失敗を恐れる者が、失敗を味わうことになる!」。 いい言葉でしょ? 音楽シーンの歴史に名を連ねる人たちの言葉は、重い! 午後12時。家族3人、新宿の「航海屋ラーメン」で、玉子ラーメン。 食後、さくらやホビー館、アドホックの漫画館などで買い物。 喫茶店「ニュートップス」で、ロイヤルミルクティー。 娘に、昨日からずっとアコースティックギターをねだられていて、 まんまと娘の罠にはまり、買わされる。昔、私がほしいギターやピア ノがなかなか買えなかったことを、娘は知っていて、その辺を突いて 来るのだ。 大人になってからの半生というのは、昔できなかったことへの復讐 がけっこう生きがいのひとつになるものだ。 かつて、榎本47歳が、『ジャンプ放送局』時代、25日の給料日 になると、神田神保町の高岡書店で、昔、親に買ってもらえなかった、 横山光輝さんの漫画や、『サブマリン707』の漫画を、毎月2冊だ けうれしそうに買って来た姿を思い出す。毎月2冊ずつってところが、 榎本47歳っぽいでしょ? 午後2時。帰宅。 世界的に大ヒットしたCD『ザ・ビートルズ1』のプロモーション ビデオを、鑑賞。たぶん外国版だと思うんだけど、妙に画像がざらつ いている。海賊版なのかな? それでもかつて見慣れたフィルムを、すべて見ることができるのは、 感無量だ。 『ラブ・ミー・ドゥ』から『シー・ラブズ・ユー』『抱きしめたい』 『デイ・トリッパー』『ヘルプ』『ペーパーバック・ライター』 『ペニーレーン』『ヘイ・ジュード』『ゲットバック』『サムシング』…。 1曲、1曲、すべてに数え切れないほど、思い出がある。 当時、ビルの上で、ザ・ビートルズが演奏するというだけで、斬新 で度肝を抜いたものだけど、最近の音楽シーンで、何を見ても、斬新 に思えないのは、年を取ったせいなのかな。そうでもない気がする。 午後5時30分。嫁と吉祥寺へ。 声優の神谷明さんのお誘いで、5月に創刊される漫画週刊誌『コミ ックバンチ』編集部を訪問する。 『コミックバンチ』は、週刊少年ジャンプの全盛期を担った編集さん が独立して作ったコアミックスという会社が新潮社と組んで作る、新 しい編集形態の雑誌だ。 編集部に行って、根岸忠くん、堀江信彦くんに会ったとたん、タイ ムマシンであの頃の週刊少年ジャンプに戻ったみたいな気分になって しまった。 創刊0号も見せてもらったんだけど、これはもうみんなが大好きだ った頃の週刊少年ジャンプの来週号だよ、ほんとに! 私も『コミックバンチ』創刊の話は何かと聞いていたんだけど、い ちばん心配だったのは、週刊少年ジャンプとは、一風変わった雑誌を めざしたら、失敗するなあ!と思っていたことだ。 それだけに、この創刊0号を見て、安心したと同時に、あの頃の血 湧き肉踊る熱血ジャンプ魂がこみ上げてきた。 本当に、創刊号、その次の号の執筆陣をここでバラしてしまいたいよ。 あの頃の、あの人も、この人も、あんな人や、こんな人まで、執筆 するのよ。 どう言ったらいいのかなあ。 この日記を読んでる人にわかりやすく伝えるとしたら、そうだなあ…、 錯乱坊主と冨田英義がいちばん好きだった頃の少年ジャンプがもう一度 読める!って、言い方かなあ。 堀江くんから、すっかりどんな漫画が載るか聞いてしまったし、内容 まで教えてもらってしまっただけに、みんなに伝えたい気分満点なのだよ。 だいたいね、堀江くんが、「内緒なんだけどね、この漫画はね、こう なって、ああなって、こうなるのよ! さくまサンだから言っちゃうけ ど、こんな企画を立ち上げていてね!」と、話が止まらないのは、雑誌 製作が上手く言ってる証拠だ。 すべてがあの頃の堀江くんのまんまだ。 神谷明さんと、喫茶店に行ったときも、根岸くんが、週刊少年ジャン プでは、有名すぎるあの漫画家さんとネームの打ち合わせをしていた。 もう本当に、吉祥寺が、あの頃の神田神保町のようだよ。 いまのところ、名前を出してい漫画家さんは、『北斗の拳』の原哲夫 くん、『シティハンター』の北条司さん、『よろしくメカドック』の次 原隆二さんの3人。 この漫画家さんたちが、いちばんこんな風な漫画を描いてくれたら、 いいのになあ!と思ってるそのままを漫画にしてるんだなあ。 おもしろいのは、漫画家さんの執筆室があって、アシスタントさんを 共有するというシステム。だから、アシスタントは、いろんな漫画家さ んのお手伝いをすることができるのだ。こんないい勉強の場はないよ。 原哲夫くんの執筆室にお邪魔して、生原稿を見る。次原隆二さんの生 原稿も見る。嗚呼! あの頃の週刊少年ジャンプだよ、ここは。 ただいま、『桃鉄ファン』キャンペーン中だけど、『コミックバンチ』 のキャンペーンも始めたいなあ! ひさしぶりに、出版界に旋風が巻き起こるかもしれない。 こんな機会をわざわざ作ってくださった神谷明さんに、本当に感謝。 午後9時。帰りの電車のなかでも、上がりきった血圧が全然下がらな くなってしまった。 やっぱり、私はあの全盛期の週刊少年ジャンプに育ててもらったよう なもんだからねえ。 午後9時30分。帰宅。興奮冷めないまま、『桃太郎電伝(仮)』の 仕様書作り! 昔のジャンプ魂が蘇って、仕事をせずにいられないのだ! うおおおおお〜〜〜っ!
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