3月18日(日) 朝から、雨が屋根を打つ。 雨かあ。困るなあ。昨日わざわざ鎌倉に泊まったのは、これから野球を 見に行くのだ。野球といえば、我が家では「横浜ベイスターズ」しかな い。横浜ベイスターズ対オリックス・オープン戦の内野特別席を、ハド ソンからもらったのだ。 だから是が非でも、晴れていただきたい。 午前中、帰り支度。 娘は朝早く、学校の友だちに会いに行った。 午前10時。ゴミを引き取ってくれる業者の人が来る。我が家のよう に、鎌倉を常宿としない人間にとっては、ゴミを捨てる時期に困る。い つも都合よくゴミを出す日に帰れるとはかぎらない。 京都のマンションの場合は、管理人の久野さんがいい人なので、いつ もゴミを預かってくれて、出してくれる。今回の鎌倉のような一戸建て の家の場合、頼んで行ける人などいない。 で、ひょっとしたらゴミの代理を務めてくれる業者がいるかもしれな いと思った。タウンページを見る。インターネットより地域性が大事だ から、タウンページを調べるべきだろうね。すると、けっこうゴミの代 行業って、多いんだねえ。工業用から一般ゴミまで、どこに電話したら いいか迷うくらいたくさんある。 そのうちの一社に頼んだけど、高い! 値段が高い! ゴミの多い、少ないにかかわず、平日5000円、土日1万円である。 うひょ〜、1万円だよ、きょうは日曜日だから! 転職をお考えのみなさま、今ならこのゴミの代理業が狙い目ですぞ。 平日3000円、土日5000円なら、繁盛すると思いまっせ。 午後11時30分。江ノ電長谷駅近くの「パラドール・かまくら」で、 生ハムとほうれん草のスパゲティ。 食後、長谷駅から、鎌倉駅へ。 鎌倉駅から、関内駅まで行くのだが、大船駅で「根岸線の乗り換えは こちらです」のアナウンス。関内駅は、根岸線ではなかったか? 降り るか? 自信がない。こういうとき血液A型は、間違いなく消極策に出 る。ちなみに、我が家は、全員が血液A型。派手に見えるが、実は堅実 型家族なのである。 電車は大船駅を出る。 嫁が手帳で、電車の路線図を見る。次の戸塚駅で乗り換えれば、関内 駅まで、地下鉄で2つめだというではないか? 戸塚に地下鉄なんか通 ってたかなあ。たしかに最近横浜には、市営地下鉄がいくつか開通して たよなあ。 戸塚駅で降りて、市営地下鉄へ。 JR駅と地下鉄駅が、名前おなじでもひと駅分ぐらい歩かされる場合 があるからイヤだなあ…といいながら、「地下鉄のりば」という看板の ほうに行く。おお!券売機が近し。これはいい。料金は…ええっ! か、 か、関内駅まで、2つめではなくて、11駅目〜〜〜! そ、そん、そ んなあ! 手帳の路線図で、2つめというのは、あまりにも短い区間に、たくさ ん駅があるせいだったのだ! くそ〜〜〜! 覚悟を決めて、地下鉄に乗る。今更元に戻れない。 午後1時。地下鉄関内駅着。 必死に階段を登る。地下鉄は、エスカレーターが少ないから、私の足 にはまだまだつらい交通機関だなあ。 関内駅前セルテ1Fの喫茶店「文明堂」へ。 「ごめ〜〜〜ん! 遅れたあ!」 霊能者兼漫画家の岩崎摂さんと待ち合わせしていたのだ。 「携帯に電話したんですけど、繋がらなくてどうしたのかと思ってたん ですよ!」 「地下鉄に乗ってたんだ!」 「地下鉄?」 やっぱり、横須賀線でそのまま横浜駅まで行ってしまって、京浜東北 線で関内駅まで戻ったほうが、早いそうだ。なんだ、最初の予定通りが よかったのか。じたばたするもんじゃないな。 おっと、喫茶店でコーヒーを飲んでたら、午後1時20数分になって しまった。 午後1時30分、試合開始なのだ。急げ! あたふたと、横浜スタジアムに向う。 ハドソンからもらったチケットは、内野特別席というだけで、席は決 まっていない。まあ、オープン戦だから、そんなに人は入っていないだ ろう…と、高を括っていたら、なんと! 超満員! ふつう、ここで困るのが、平凡なプロ野球ファン。私や岩崎摂さんの ような長年、横浜ベイスターズ・ファンを続けている者にとっては、ま ず球場が埋め尽くされていることに対して、喜ぶ。 なにしろ、1998年の優勝以前は、巨人戦以外いつ行っても横浜ベ イスターズ側の席は、ガラガラがあたりまえだったのだ。 なんとか内野席を登って、席を確保。 おいおい! 待ってくれ! 試合をどんどん始めないでくれ! 横浜ベイスターズの自称・影のオーナーと呼ばれている(いや、勝手 に呼んでいる)私が、ちゃんと席に着くまでに、試合を進めるなよ! あ〜〜〜! オリックスの谷選手が3ランホームランを打ったではない か〜〜〜! 谷選手といったら、あの柔ちゃんで有名になった、あの谷選手かあ? クレージーキャッツの谷啓さんのほうがいいぞ。くそ〜〜〜! こら〜〜〜! 影のオーナーである私の目前で、いきなり3点も取ら れるとは。何事ぞっ! ああ! まいったなあ。 いきなり点を取られると、このチームは滅法弱いのよ。 ほらほら、0行進が始まった。 3回まで、ノーヒット。 いつもの横浜ベイスターズの戦い方だなあ。 5回、ようやく1点。1点取った記念に、岩崎摂さんが手作りしてくれた、プリンケーキを 食す。プリンケーキというのは、ケーキの上に、プリンが乗っているの であるぞ、おのおの方! このおのおの方というのは、体重80キログ ラム以上の方々である。特定の福本岳史くん、柴尾英令くん、ひろたた けしを指す言葉では…ある。 プリンにケーキとは、まさに鴨がネギしょってやってきたような食べ 物だ。美味しいなあ。 7回が終了した時点で、6対2。 影のオーナーの天覧試合であるぞ、横浜ベイスターズ選手諸君! 誰 も気づいておらんだろうが。どうも森祗晶新監督らしくない戦い方だな あ。攻撃が淡白だ。 まさか、もう森祗晶新監督は、横浜ベイスターズが緻密な攻撃ができ ないので、あきらめてしまったのではないだろうなあ。 かつて、広島を優勝に導いた名監督・古葉さんが、横浜ベイスターズ の監督を務めたときに、機動力野球がまったくできない選手たちに、愛 想を尽かせてしまったことがあるからなあ。 くやしいので、嫁が買って来た「勝ちホッシー」という縁起のよい柿 ピーナッツの宣伝に協力する。 そうこうするうちに、ようやくドスター、金城選手たちにヒットが出 て、6対4まで追い上げる。 先発の小宮山投手、森中投手は打たれたけど、このふたりはいつもシ ーズンに入っても、好投するか、ポカスカ打たれるかのどちらかだから、 気にならない。 去年、不調で、今年のキャンプ、オープン戦で、いい結果を出してい ない、川村投手の好投が、収穫である。 すでに収穫といっているように、試合のほうは、6対4で負けた。 すでに半世紀近く、負け続けのチームを応援し続ける者にとっては、 負けた瞬間から、収穫探しを始めるのだ。 開幕出場が危ぶまれていた、波留が出場して、ヒットを打った。 高校出のドラフト1位選手・内川選手が、開幕が近いこの時期にも1 軍にいる! 毎年今年のホープといわれながら、オープン戦後半には消えてしまう、 石井義人選手がまだ先発出場している。 ずっと2軍で、四番を打ち続けている宮内選手が、代打で出た。 どうだ! 常勝・巨人軍のファンに、こんなきめ細かい喜び方ができ るか! できるもんなら、やってみろ! こちとら、負け根性が染み込 んでるんでいっ! とにかく、今年も横浜ベイスターズの試合を、横浜スタジアムで見る ことができたことは、うれしい。次は、横浜スタジアムで、公式戦を見 て、勝利のあと、鎌倉の家に戻るという新しい生活パターンの確立をめ ざすぞ! 午後5時30分。桜木町駅で、岩崎摂さんと別れ、私と嫁は、崎陽軒 のシウマイ弁当を買って帰る。勝っても、負けても、横浜ベイスターズ・ ファンなら、崎陽軒のシウマイを食べにゃあかんのよ。横浜ベイスター ズ・ファン御用達の食べ物なのだよ、崎陽軒のシウマイ弁当は! ねえ! プロスペックの江口貴博(えぐち・たかひろ)くん! 江口貴博くんに、先日この話をしたら、彼は、シウマイ弁当のほかに、 シウマイ6個入りの小さな箱入りのほうも買って食べると言っていた。 それでこそ真の横浜ベイスターズ・ファンである。 午後7時。原宿の家に戻る。 午後8時。NHK『北条時宗』。とうとう渡辺謙(時頼役)が死んで しまった。 最近どんどん、おたく化して行くストーリー展開を、渡辺謙さんひと りで、堰き止めていただけに、来週からが思いやられるなあ。 うちの家族ももう見なくなって、土居ちゃんも見なくなって、田森庸 介さんだけ見続けているなんて、『北条時宗』は、おたく推奨番組に認 定されたようなものではないか! はっはっは。 『桃鉄ファン』の校正。私が書いた旅日記の部分だ。 この日記に書いた、角館、出石の旅を再構成、加筆、削除したもの。 日記の文章とは、こんな風に変えてしまうのだということを知るには、 おもしろい文章だよ。お楽しみにね。
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