3月14日(水)

 午前10時30分。嫁と、高円寺の整体さんへ。
 筋力トレーニングもいいけど、左手を動かす練習をと、言われる。
 すっかり左手をつかわなくても、平気な日常になってしまったか
らなあ。
  
 午後12時。高円寺のカレー屋さん「七つ森」で、野菜カレー。
 あれ? このお店のカレーって、こんなに辛かったかなあ。ひ〜、
血圧上がりそうな辛さだ。どんどん辛く感じる。まいったな。半分
ぐらい食べて、のこす。

 午後2時。帰宅。
 DVDで『ゴジラ』鑑賞。
 昭和28年に製作された初代ゴジラだ。
 
 いま観ると、ゴジラが暴れまくるシーンが思ったよりも少なくて、
社会派ドラマの色合いが濃い。
 こういう映画華やかりし頃のエネルギーは、すさまじいものがあ
るね。
 白黒画面っていうのも、妙に画面に緊張感が漂っていいなあ。

 音楽担当の伊福部昭さんのインタビューが50分も入っていて、
DVDならではのおまけでよい。伊福部昭さんが宮内庁で、林業の
研究をしていたというのが、意外。

 音響の人たちが、ゴジラの声を、ゴリラの音に、コントラバスの
弦を布で摩擦させた音も加えて、さらにいくつかの音を逆回転させ
たりして作った話など、興味深い。

 やっぱりひとりひとりのスタッフの合計点数が、その作品の評価
になるってことだろうなあ。
 ヒット作は、ひとりでは絶対に作れない。必ずメインの人のほか
の人たちも、特筆すべき能力の持ち主ばかりだ。桃太郎チームもそ
うありたいものだ。

 午後5時30分。家族3人、近所のスパゲティ屋さん「ロートロ」
で食事。たらこイカ・スパゲティ。

 午後6時30分。九段下、日本武道館。
 きょうはこれから、フォークの神様・ボブ・ディランのコンサー
トに行く。
 いい時代だよなあ。子どもの頃、一生見ることができないと思っ
てたアーティストをこうして、日本で見ることができてしまうんだ
もの。長生きはするもんだ。

 しかも、うちの場合、ボブ・ディランのコンサートがあることを
見つけてきたのは、うちの娘なのだ。娘は本当に昔の音楽が好きで、
エリック・クラプトンとか、このボブ・ディランとか、やたらと渋
い音楽が好きである。
 まるで親の年代の音楽が好きなら、自分のお金をつかわずして、
コンサートを見ることができるから、好きになっているんじゃない
だろな?と疑うくらい、昔の音楽好きである。

 だから、きょうもまんまとこうして、家族3人で来ている。
 それどころか、娘は先週も、パシフィコ横浜でのコンサートにも
行っている。

 午後7時。おお! 珍しい。時間どおりに始まる外タレさんなん
て、初めてだ。
 おお! いきなり、2曲目に『ミスター・タンブリン・マン』か。
ちょっとアレンジが違うんで、『ミスター・タンブリン・マン』と
すぐには気づかなかたぞ。
 でもボブ・ディランの曲なら、相当知ってるはずだから、楽しみ
だぞ。

 おや? わからんなあ。
 ん? この曲も知らない…。
 ありゃあ? 何ていう曲だろう。
 おかしいなあ。知ってる曲が全然ない!
 知ってる曲なのに、アレンジ違いで気づかないだけかなあ。
『ラブ・マイナス・ゼロ』とかもう歌っちゃったのかなあ?

 ギター2本、ベース、ドラムスのシンプルな編成で、トークも無
しに延々歌いまくる。いつものそっけない歌い方どおりだ。

 だんだん不安になって行く。
『アイ・ウォント・ユー』、『オール・アイ・リアリー・ウォント』、
『くよくよするな』、『ライク・ア・ローリング・ストーン』、
『風に吹かれて』…。数々の名曲を聴かずして、終わってしまうのか?
 フォークの神様だ。神様にさからってはいけないのか。
 でもせっかく遠い極東の国に来たのだから、もう少しサービスが
あってもいいのでは? 昔からわがままなコンサートをすることでは、
定評があったからなあ。ボブ・ディランは。

 ああ! 歌いながら、メンバー紹介をやって、ああ! 帰ってしま
ったよ〜!
 ぎょえ〜! アンコールは?
 娘いわく、横浜のコンサートでは、アンコールがなかったそうだ。
 そ、そげなベイビー!
 まさか、私が知ってる曲は『ミスター・タンブリン・マン』1曲で
終わり???

 おお! アンコールでまた出て来たぞ!
 やった〜! 今度こそ!
 ぽへ〜〜〜。この曲も知らないよ〜〜〜!
 あ〜〜〜、終わっちまった! とほほ…。

 えっ? もう1曲やってくれるの?
 おお! このイントロこそ、間違いなく…、ありゃ、違う曲かあ…。
 アンコールは多くても、2曲ぐらいなものだからなあ。
 ん? ん? ん?
 まてよ。この違うと思った、アンコール2曲目! ひょっとして!

「♪ライク・ア・ローリン・ストーン〜〜〜!」
 ぎょえ〜〜〜! やっぱり『ライク・ア・ローリング・ストーン』
だあ!
 前半のメロディは、とても『ライク・ア・ローリング・ストーン』
に聴こえなかったけれど、サビは間違いなく『ライク・ア・ローリン
グ・ストーン』だ! サビでシャウトしてくれないから、聞き逃すと
ころだった。
 でもこの曲は、まさしく私が中学生時代、レコードが擦り切れるま
で、聴いた『ライク・ア・ローリング・ストーン』だ!
 うちの親父が、「誰だ、これ? ベトナム人が歌っているのか?」
と言った、『ライク・ア・ローリング・ストーン』だ。
 吉田拓郎も、桑田佳祐も、ジョン・レノンも、みんなが好きだった
『ライク・ア・ローリング・ストーン』だ。
 これが聴きたかったんだよ〜〜〜!

 神様、出し惜しみは、身体によくないよ〜。
 ぎょえ〜〜〜! 今度の曲は『ハイウェイ61』じゃないかあ!
 ああ! 次の曲! う〜ん。知ってるんだけど、ど忘れてしている! 
ああ! とにかく有名な曲だよ!

 うおおおおおっ! いったい何曲、アンコールをやってくれるんだよ。
というより、2部構成なのかな。

 げげっ〜〜〜! 出た〜〜〜!
 まさか! 『風に吹かれて』を歌うか〜〜〜! もちろん、うれし
いけれど〜!
 うおお! 私はいま『風に吹かれて』を生で聴いているんだぞ〜〜〜!
 相当、原曲とは違うメロディになってしまっているけど、とにかく
この曲は『風に吹かれて』だあっ!

 ああ! もう満足!
『ライク・ア・ローリング・ストーン』と『風に吹かれて』が聴けた!
 
 午後10時。満腹気分で、帰宅。
 これでまた、青春時代好きだったアーティストを生で聴くシリーズ
のスタンプ帳にひとつ、スタンプを押せた。
 残るは、ラヴィン・スポーンフルと、サイモン&ガーファンクルく
らいかなあ。プロコルハルムなんて、解散しちゃったまんまかなあ。
ウォーカー・ブラザースっていうのも好きだったんだなあ。トレメロ
ーズ、バッキンガムズ…何だよ、けっこうまだたくさん残ってるじゃ
ないか! 欲張りだなあ!
 とにかく人生は、これから。お楽しみも、これからだ!
 

-(c)2001/SAKUMA-