2月26日(月)

 午前中、『桃鉄ファン』の原稿の加筆、訂正作業。
 この仕事は非常に楽しい。
 旅をしたその夜に、その日の原稿を書くのは、やっぱり大変で、
どうしてもセンテンスが長くなっていて、リズム感に乏しくなって
いる。それを直せるのだから、文筆業としては、うれしいかぎり。
 
 ほかの旅日記の部分も、加筆、訂正して出版したいのだが、なか
なか出版社が見つからない。最近すっかり出版社の人との付き合い
が遠のいているせいだなあ。
 出版業界にどっぷりだった頃なら、いつでもどこでも単行本の企
画が通ったのになあ。やっぱり人生はコネだ。

 午前11時。嫁と、喫茶店「らぴす」で、モーニングセット。

 午前11時30分。帰宅。
『伊吹童子(仮)』の仕様書を執筆。きょうは文章の調子がいい。

 午後3時。表参道の「ロイヤルホスト」へ。
 アイデアが出ることでおなじみのお店だ。
 それにしても、きょうのアイデアの出方は、尋常ではなかった。
 たった1時間しかいなかったのに、アイデアノートが30ページ
以上埋まってなお、壊れた蛇口のように、アイデアがどぼどぼ出っ
ぱなしになる! 自分でも血圧が急上昇して行くのが、わかるくら
いの昂奮ぶりだ。脳内出血で倒れたときの血圧220をひさびさに
記録したのかと思えるくらいだ。
 220って、ボーリングの好記録じゃないんだから!

 午後4時。本当に頭が痛くなる。こめかみがぴくぴく波打ってい
る。アイデアノートに、文章を書きなぐりすぎて、右腕まで痛くな
る。もう書いた字が読めない! 遺書と思われそうだ。
 それでもロイヤルホストに座っていると、次から次へとアイデア
が浮かんでくる。これはうれしい悲鳴どころではなく、レッドゾー
ンに飛び込むというやつだ。
 これ以上、アイデアが出たら、血管破れそうなので、お店を出る。
 
 表参道を原宿駅方向に向って帰るが、頭のなかがまだ、ぶるんぶ
るん、アイドリングしている。エンジンが休まらないのだ。
 こんな経験は、初めて。

 午後4時30分。帰宅して、ベッドにひっくり返る。
 しばらくして、ようやく昂奮が鎮まって来た。
 アイデアが出ないのは困り物だが、出すぎも困る。

 午後8時。家族3人と、成沢大輔くんの4人で、西麻布の「内儀
屋(かみや)」へ。成沢大輔くんはこのお店は初めて。
「はあ! このお店が、柴尾さんが、携帯電話を忘れたお店ですかあ! 
はっはっは!」
 成沢大輔くんから、北海道土産をもらう。
 函館の見慣れた海鮮市場のビニールバッグがなつかしい。
 札幌のあわびの源太さんの取材、函館鮨金の取材など聞く。

 午後9時30分。まだ去りがたく、西麻布の喫茶店「ポエム」で、
さらに談笑。
 またしても、うちの娘に『伊吹童子(仮)』の根幹にかかわる部
分を指摘される。指摘されるのはいいのだが、まんまとそのアイデ
アに小銭を奪われる。
 この知能犯の娘は「毎月の小遣いはいらない。うまく親をだまし
て、お金をふんだくる!」と公言して憚らないのだが、本当にこう
して、小銭を巻き上げて行く。しかし、子どもの作り手側の都合を
無視した指摘は、非常に貴重なのだ。
 おかげで、『伊吹童子(仮)』は、さらに大きく一歩先進した。

 午後11時。帰宅。成沢大輔くんと、話し込むといつも時間が経
つのを忘れてしまう。しかもせっかく今朝、完成した『桃鉄ファン』
の原稿の打ち合わせをするのを忘れた! なんたる大ボケ!
 また3日後に会うから、いいかな?
 

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