2月10日(土)

 昨日の『桃太郎02(仮)』の音楽打ち合わせから、一夜明けた。
 いやはや、カズ坊(関口和之)+池毅(いけたけし)さん+宮路
一昭くんの豪華競演は圧巻だった。
 まるでNHK『プロジェクトX』を見ているように、プロフェッ
ショナルな人たちの仕事に感じ入ることばかりである。
しかも一夜明けたいまも、池毅(いけたけし)さんの覚えやすいメ
ロディが、頭から離れない。

 あのつねに冷静なゲーム・ディレクターの國政修くんが、昨夜興
奮したメールを送って来たぐらいだもんなあ。仕事なのに、本当に
いいものを見せてもらった。
 しかも私のゲームのために書かれた曲ばかりなのだから、果報者
だよ、私は。

 午前11時。生まれ故郷の東京都杉並区上井草の「細見デンタル
クリニック」へ行く。不覚にも、2日前、かりんとうを食べて、前
歯が欠けた! その前に巣鴨で「日本一やわらかいかりんとう」と
いうのを買って食べて安心していただけに、つい油断した。
 私の軟弱な歯は、すでにフランスパン、げんこつせんべい、チュ
ーインガム、キャラメル、飴(すぐ噛んでしまうから。なめるなら
いい)といったものが、禁止されている。

 とにかくほかの歯医者さんでは、私の歯は処置無しなので、何か
あるとこの杉並区上井草の細見さんまで来るしかない。

 午後12時。荻窪の「麺ロード」で、喜多方ラーメン。かつてよ
く食べに来たお店だけど、喜多方といいながら、とんこつラーメン
やら、青菜麺やら、とにかくメニューが増えている。キムチラーメ
ンで、喜多方っていうのもねえ。
 ラーメン王国・荻窪で、実は本当に美味しいのは、このチェーン
店である喜多方ラーメンというのが、当時地元民だった私や土居ち
ゃん(土居孝幸)の意見だったのだが、往時の美味さはどこへやら
になっていた。残念。

 荻窪駅から、地下鉄丸の内線に乗る。
 車中、故・井上大輔さんのことを書いた『ブルーシャトウは永遠
なり』(ジャッキー吉川・近代映画社)を読む。
 
 ジャッキー吉川とブルー・コメッツのデビュー前から、デビュー、
解散までが語られている。もちろん、ブルー・コメッツを世に送り
出したのは、すぎやまこういち先生だから、先生のエピソードも出
てくる。
 今度、先生にお会いしたら、この辺のことをもっと深くお聞きし
ようっと。

 午後1時。渋谷パルコ1Fの喫茶店へ。
 きょうは、このあとパルコ劇場で、いっこく堂出演の『兵士の物
語』の劇を見に行く。
 集まったメンバーは、けーむらクン、作家の高瀬美恵さん、霊能
者兼漫画家の岩崎摂さんと娘の七音ちゃん。放送作家の青正まなつ
サン。うちの嫁。
 おっと、肝心の柴尾英令くんが来ていないではないか!
 寝過ごしたけど、開演時間には間に合うように、こちらに向って
るそうだ。
 もうひとり来るとかいっていたのに、来ないなあ。
「時間に遅れるといったら、成沢大輔くんだったりして!」と冗談
を言ったら、遅れているのは、本当に成沢大輔くんだった。おいおい!

 午後1時30分。パルコ劇場。
 午後2時。開演ぎりぎりに、柴尾英令くん、到着。
 やっぱり成沢大輔くんは来ない。お約束だなあ。
 場内の電気が消える。
 成沢大輔くんが来る。
「あ〜、また柴尾さんの日記に、また遅刻した男とか、書かれちゃ
うんだろうなあ!」
 成沢大輔くん、こっちでも書いておきました。

 さて、いっこく堂が出演する『兵士の物語』開演。
 いっこく堂というと、腹話術を想像すると思うけど、きょうは腹
話術の人形を持って登場したのは、1シーン。3分間ほど。あとは
本当に芸術的な演劇だった。

 いやあ。演劇の素養がないと、十分に楽しめない本格派の演劇だ
った。
 ストラヴィンスキーの曲も素晴らしいし、ダンスも素晴らしかっ
たし、寓話もよく出来ていたし、いっこく堂も熱演していたし、篠
井英介さんの洒脱で、流れるようなセリフまわしにも、感動した。
 
 でもやっぱり眠い。
 第一次世界大戦直後と同じ舞台にして、当時とおなじ7人編成の
オーケストラにしたところなど、非常に興味深かったのだが、もう
ひとつ楽しみ方がわからなかった。いい刺激はたくさん受けたんだ
けどなあ。
 これとおなじ劇を見て、きょうの劇と見比べてみたい気がした。

 午後4時。いっしょに見たメンバー全員と、東急bunkamuraでお茶。
どのあたりがいちばん眠かったとか、篠井英介さんの演技がよかっ
たとか、男の背の高い豹の頭をしたダンサーさんが、手塚治虫さん
が描きそうなキャラだったとか会話しながら、一様にもっと教養が
あれば、もっと楽しめた劇だったというところに、落ち着いた。
 十分教養のある人たちの言だけに、奥深い。

 岩崎摂さんとこの娘の七音(なお)ちゃんとは、ひさしぶり。
 七音ちゃんは、うちの娘の大ファンなので、私のことを「ゆりち
ゃんのお父さん!」と呼ぶ。しかもいつも私をからかう。
 きょうも『ポケモン銀』を持って来ていた。
「ねえねえ、ゆりちゃんのお父さん、ピカチュウがいる場所教えて
あげようか?」
「教えてくれ!」
 実際まだ出てこないんで、困っている。
「いま、おじちゃん、どこにいるの?」
「ヤマザキシティだよ!」
「ふ〜ん。まだまだだよ〜!」
 ぎえ〜〜〜! 野安ゆきおくんに、先週まだ半分くらいですよ!
と言われてショックだったのに、小学生にまで「まだまだだよ〜!」
と言われるとは!
 しかも野安やきおクンに「まだ半分くらいですよ!」と言われて
から、10時間以上やっているから、もう3分の2ぐらいまで来て
ると思っていた。
 ちょうど、ピカチュー・マニアの青正まなつサンがいたので聞い
たら、七音ちゃんの言う通りだという。
 まいったなあ。もう連日寝不足で、左のまぶたがぴくぴくしてる
んだけどなあ。

 しかし、まわりの人から見たら、この集団、異様だったろうなあ。
 半数の人間が、ビールをかっくらい、真剣な目で、七音ちゃんと、
あやとりに興じているかと思えば、30代後半〜40代後半の人間
が真剣に『ポケモン』の話をしている。かと思えば、思い出したか
のように『兵士の物語』のストラヴィンスキーの曲はやっぱりよか
ったなあ!という会話をしている。

 いずれにしても、話題が豊富な人たちとの会話は楽しい。
 次回、けーむらクンと、系図マニアな話と、ラブ・サイケデリコ
の話をすることを約束して、散会。

 午後6時。帰宅後、嫁と菅沼真理(通称:すがねまチャン)さん
と、今年初めて『樋口』へ。
 嫁は美味しい料理のとき、いつもデジカメするのを忘れる。
 きょうの画像のほとんどは、菅沼真理(通称:すがねまチャン)
さんの器のほうである。嫁は食べるのが早い。
 しかし菅沼真理(通称:すがねまチャン)さんは、野球大好きな ので、野球用語を一般用語に変化しないでしゃべることができるか ら、楽チンだなあ。2軍の選手の名前ばんばん出してもついて来る もんなあ。  午後9時。帰宅。  やっぱり当然、『ポケモン金』でしょうな。  岩崎摂さん家の七音ちゃんと、今度ポケモン対決する約束したか らな。何で戦ってやろうかなあ。
 

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