2月5日(月)

 午前11時30分。本来はきょう、『有限会社 桃太郎商店』の
録音が予定されていたのだが、連絡が無いので、急きょ、ゲーム・
ディレクターの國政修くんに電話。嫁と3人で、築地ハドソンの裏
の「アッシュ・ド・バン」で、おそば懐石。
 
 録音の予定が無くなったら、無いで、いまは、『桃太郎電鉄X(仮)』
でやることが、山積み状態なので、さっそく『桃太郎電鉄X(仮)』
の臨時会議をすることにした。

 午後1時。土居ちゃん(土居孝幸)、到着。
 土居ちゃんもいっしょになって、私が土・日に悩んでいたイベン
トを検討する。
 なんとか、今まで出ているアイデアをブラッシングして、つかお
うと思うのだが、システムが複雑になる一方で、そうこうするうち
に、わかりづらいイベントになってきた。

 こういうとき、『桃太郎電鉄』シリーズには、つねに次回作用に
待機しているアイデアがあって、そっちから引き上げてくることが
可能だから、便利。
 巨人軍の2軍ぐらい、豊富だぞ。
 甲子園の優勝投手だらけだ。
 きょうも、そのなかで、すでに次回作に温存しておいたイベント
をつかうことにした。そのままでは練り込みが足らないと思ったの
で、とっておいたのだが、みんなで話すうちに、どんどんおもしろ
いイベントへと、変貌して行った。
 こういう意外な方向への暴走があるから、ブレーンストーミング
の醍醐味がある。人類の叡智を結集ですな。3人だから、文殊の知
恵か。

 その場で、どんどん細部まで決めて行く。

 午後3時。ほかの会議室で打ち合わせしていた、ハドソン桃太郎
事業部の梶野竜太郎くん、石崎仁英くん、『ダビスタ伝道師』の成
沢大輔くんと、ちょこっとだけ、昨夜書き上げた新プロジェクトの
企画書の話。
 みんな私の意図をすぐ理解してくれたので、話が早い。
 何の障害もなく、企画書通りに進めることが決定する。
 ものの、15分で会議終了。
 お見事!

 午後3時30分。げっそりとした顔の柴尾英令くんが到着。
 柴尾英令くんの日記を読んだ人はすでに知っていると思うが、V
AIOがハングアップして、1月15日からのデータがすべて消失
してしまったのだ。
 こころなしか、白髪の数が増えたように思えるのは、柴尾英令く
んの日記の臨場感あふれる文章のせいかも知れない。
 こういうときに文章が上手いのは、皮肉だ。

 きょうは、この時間から、柴尾英令くんと『桃太郎大全集(仮)』
の打ち合わせだったのだが、中止にする。テンションが下がってい
るときに、いいアイデアは出ない。

 そこで、お昼に、3人で練った『桃太郎電鉄X(仮)』のアイデ
アを、実際に『桃太郎電鉄V』をつかって、シミュレーションして
みることにした。
 ここから先は、内緒の話になるが、驚くほどおもしろいイベント
が誕生した。
 絶望の淵に立っているはずの柴尾英令くんも、いつのまにか、オ
レンジカードを5枚買って、嬉々としているし、土居ちゃんは、い
つものように、レッドカードを手に入れるや、すぐつかって、みん
なのひんしゅくを浴びている。

「こんなおもしろいやつまで、『桃太郎電鉄X(仮)』に入れちゃ
うの?」と、土居ちゃん。
「今回で燃え尽きちゃうかもしれんなあ!」
「すごいなあ! 今回の『桃鉄』は〜!」
「本〜当〜に、すごいです!」と、テレビ東京『アサヤン』の松尾
貴史のナレーションの口調で言いたいくらい、すごいよ!
 午後5時に、このシミュレーションは終了。いったいこの人たち は何をシミュレートしていたのでしょうねえ。なにやら画面には、 北海道が写っています。ヒントとして、出せるのは、ここまでかな?  早く解禁にしたいよ!  午後6時。土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、嫁、私の4 人で、新橋駅前の「おか田」へ。  赤味のステーキをフィレかつにして、上から、細くマヨネーズを 格子模様のよにたらした美味しい牛かつ丼のお店だ。 「今夜、このお店に行かない?」と言って、すぐ反応したのは、柴 尾英令くんであった。なんと、きょう午後1時すぎに「おか田」に 来たというではないか。  でも売り切れで入れなくて、銀座の「煙事(えんじ)」で、食事 をしたそうだ。  何とまあ、柴尾英令くんは、義経の八艘飛びのように、都内の油 っこい料理のお店を、ここかと思えば、またまた、あちらと、飛び 回っていることよ。
 しかし、このお店のフィレステーキかつ丼は、美味しいなあ。  しゃきしゃきのキャベツにつられて、お肉まで全部食べてしまい そうになる。  隣りにでは、すでに土居ちゃんと、柴尾英令くんが、きれいに平 らげていたが。  この少量の肉とご飯の残しが、五十歩百歩のデブ合戦に勝利する のだ。  食後、駅前の「小川軒カフェ」でお茶。  あの代官山の有名な小川軒のチェーン店だそうだ。 「ここは、ボクがおごるから!」と言って、土居ちゃんがまたまた 柴尾英令くんに、アイスクリームの上から、エスプレッソをかける、 アフォガートを食べさせてしまうことに成功。  土居ちゃんは、本当に人に甘い物を食べさせる名人だ。にこにこ しながら、空気投げのように、甘い物を食べさせる。  まあ、柴尾英令くんも、断われない性格だからなあ。  そんな「いい人」は、とかく損をするという話を延々と…。  そういう私も、諸先輩たちから「人がいいのも、たいがいにしな さい!」と言われ続けたものだ。昨年ようやくわかりかけたところ かな?といったレベルだ。  諸先輩たちの教えを、柴尾英令くんに伝授。  午後8時。帰宅。  きょう、みんなでシミュレーションしたイベントが、非常におも しろくてよかったのだが、けっきょくはそれを仕様書にしたためな いといけない。  ようするに、また宿題が増えてしまったのだ。  まあ、楽しい宿題だし、これでお客さんが喜んでもらえると思う だけで、わくわくする。というより、一刻もいろんな人に早く見て もらいたいので、必死に仕様書を書くのだ。  そんなわけで、また明日!
 

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