2月1日(木)

 午前中、『桃太郎電鉄X(仮)』の手直し作業。

 午後12時。外は雨だけど、きょうはひさしぶりに、人と会う
仕事が無いので、昨年暮れから行きたくて仕方がなかった、巣鴨
の「古奈屋」に行くことに決めていた。
 いざ、行こうとすると、きょう、娘は学校が休みだというでは
ないか? 
「何で休みなんだよ?」
「大学の試験説明会とかで休みなんだって?」
「本当か? オレたちが上手い物を食べに行こうとしてるのを察
知して、ズル休みしようとしてるんじゃないだろうなあ!」
「昨日まで知らなかったんだよ〜!」
 こんな出来すぎのシナリオ、ふつうボツだぜ!
何でこういう風に、美味しい物を食べに行こうとすると、娘は行
ける事態になってしまうの? 

 そんなわけで、巣鴨とげぬき地蔵尊の隣りにある「古奈(こな)
屋」に、家族3人で行く。
 ここのカレーうどんは、間違いなく日本一なのだ。

 私は、カレーうどん、1100円。
 娘は、もち入りカレーうどん、1300円。
 嫁は、えび天カレーうどん、1500円。
 すぎやまこういち先生ご夫妻から、天ぷらが美味しいとお聞き していたので、天ぷらの盛り合わせ、1300円も注文する。  さくさく、海老の天ぷらが美味しい。  あれ? カレーうどんの麺って、こんな感じだったかなあ?  もっと、こしがあって、弾力があったような? 麺の色も、も っと水晶のような輝きをしていたと思うのだが。  もちろん十分美味しいのだが、前よりも味が落ちているのが、 ちょっと残念。  本当に味が落ちたのか、近日中にもう一度確認に行かんといか んなあ。って、それは口実でしょ!  食後、娘が「古奈(こな)屋」の裏にある、「とろろや」の ずんだ餅が食べたいと言い出す。 「おい、さっき、餅入り食べばかりだろ。またお餅食うのか?」 「そうだよ!」  否定しない。ふてぶてしい餓鬼だ。
 合成着色料をつかっていない、本格派のずんだ餅を食べること ができるのは、東京ではこのお店だけなのではないだろうか?  昨年暮れ、仙台の「源吾茶屋」で食べた、ずんだ餅とほとんど おなじレベルの味なのだから、ここのずんだ餅は、絶対チェック である。  午後2時30分。帰宅。まだ雨が降り続いている。 DVDで『雨あがる』を鑑賞。 雨が降っているので、『雨あがる』と、洒落れてみた。  この映画は、まさしく黒澤映画だ。  映像も、美術の懲り方も、説教臭いセリフ回しも、すべてが黒 澤映画だ。  1シーン、1シーン、見る者を緊張させるところまで、黒澤映 画だ。  出演者たちが、生活臭の染み込んだ衣装を着ているところまで、 黒澤映画だ。  酒盛りのシーンで、セレナーデを流してしまうところまで、黒 澤映画だ。  珠玉の短編という言葉が、本当にふさわしい。  しかしいったいどうやって、あんな美しい日本を探し出してく るのだろう。  彦根城から、掛川、伊豆、御殿場?  彦根城にあんなきれいな庭があったっけかなあ?  殿様役に、三船敏郎さんの息子さん(といっても私より年齢が 上だが)をつかってるのがいいなあ。私は三船史郎さんの歌手時 代を知っている。  主役の寺尾聡さんは、「発掘された明治維新直前の武士の写真」 とかに写っている被写体のように、昔の人のムードを発散させている。  良い作品を見させていただきました。  メイキングも見たけど、ただただ頭が下がるだけ。  仕事に対するこだわりに、スタッフ間にまったく温度差が無い ことが、メイキング・ビデオから伝わってくる。  いいなあ。うらやましいなあ。  かつて、ゲームのグラフィックにこだわる私と、まったくそん なことに気にも止めないスタッフとの温度差に、何度も疲労困憊、 隠忍自重、憔悴しきったことのある私には、このスタッフの一体 感がうらやましい。  いやいや最近の『桃太郎まつり』、『桃太郎電鉄X(仮)』と、 この『雨あがる』の現場に近い温度になりつつあるのだ、桃太郎 チームも。  いやあ、たくさんの刺激をもらってしまった。  黒澤組、改め、小泉組の新しい映画を見てみたい。    午後8時。お昼にカロリーの高い物を食べ過ぎたので、夜は家で、 粗食。  食後は、再び『桃太郎電鉄X(仮)』の手直し作業。
 

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