1月1日(月)

 新年あけましておめでとうございます!
 
 昨日の続き。
 12月31日。午後9時。TBS「日本レコード大賞」で、サザ
ンオールスターズが『TSUNAMI』で大賞を取ったのを見届ける。
 地味なカズ坊(関口和之)が、万歳をしていたのが印象的。
 知り合いが大賞を取るなどという経験は初めてなので、幸せをお
すそ分けしてもらった気分で、心地よい。

 家族3人で、すぎやまこういち先生ご夫妻邸へ。
 きょう東京から到着された、「プティ・ポワン」の北岡ご夫婦も
ごいっしょに、マンションの11Fへ。

 11Fの階段付近から、ちょうど今夜の「京都21」のメイン会
場である京都市役所が見下ろせる。
 このイベントの正式名称は『二十一世紀京都幕開け記念事業・京 都21』というそうだ。何だかよくわからない。
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     すでに、京都ホテルの向こう側に、大文字の「大」の字が燃えて いる。ふつう「大文字焼き」という言い方がポピュラーだけど、実 は「送り火」というのが、正しい。  その「送り火」は通常、夏暑い盛りのお盆の時期にやるのだが、 今回は、20世紀を「送る」ということで、特別に今夜だけ点灯さ せるのだ。だからこうして寒いなか、マンションの11Fに立って いるのである。  しかも、この「送り火」だけではない。  有名な「鞍馬の火祭り」「石座(いわくら)の火祭り」も、この 京都市役所の前に集結する。 「石座の火祭り」というのは知らなかったが、岩倉具視で有名な京 都岩倉神社で、大きな松明に火を点す行事として知られているそう だ。要するに3大火祭りということになる。  若い人にわかりやすく言えば、東宝映画の『3大怪獣快進撃!』 のような、グランドスラム。  だいたい70年間に一度しか、お堂を開帳しないようなお寺の多 い京都は、伝統と格式を重んじるのに、年に一度のお祭りをきょう にかぎって、しかも合同でやるというのだから、びっくりである。  サザンオールスターズとユーミンとGLAYが、合同で新曲を出 すようなレベルをはるかに越えた困難さである。    ましてや、20世紀を送るとはいうものの、20世紀というもの は、西洋の数え方である。そんな西洋風のものに引っ掛け、イベン トをやること自体、信じられないことだ。 「皇紀○○○○年記念」というならまだ納得がつく。  京都を知れば知るほど、身の震えるような出来事をいま目の当た りにしていることになる。  そうこうするうちに、右大文字に続き、うっすら左大文字が点き、 真正面にあっというまに「妙」の字と「法」の字が点いた。  イベントの意味の整合性など吹っ飛んで、ただの観光客として楽 しみ始めてしまった。 「妙」のくずし文字が美しい。 「法」は、ちょっと直線が多い文字だなあ。  さらに、左手前方に、じわじわと「舟」の形が燃え始める。  もうひとつ「鳥居」の形の字があるはずなのだが、嵐山のほうか らしか見えない。  それでもここからは、左から「大」「舟形」「妙」「法」「大」 の字がすべて見えるではないか!  しかも、真冬で、雨上がりという最高の気象条件なので、澄んだ 空に「大文字」の字が、美しく燃える上がる。  夏のお盆のほうが「大文字」の文字はぼやけて映るそうだ。  何のことはない、すぎやまこういち先生ご夫妻のマンションから の眺望が、この「京都21」のお祭りにおいては、最高の場所だっ たのである。恵まれてるなあ!  午後10時。寒いので、すぎやま先生邸で暖を取らせていただく。 京都テレビの中継を見て、鞍馬の火祭りが京都市役所に近づくや、 もう一度11Fまで登って、見下ろすという贅沢さを満喫。
「炎」というのは、人間の気持ちをぞわざわさせる何かがあるね。 本能なんだろうねえ。    午前0時。再びすぎやま先生邸で、新年を迎える。 「あけましておめでとうございます!」 「おめでとうございます!」 「おめでとうございま〜す!」
左から→さくま家、すぎやま奥様、北岡ご夫妻、すぎやま先生
 今年も、すぎやまこういち先生ご夫妻、北岡ご夫妻と新年を迎え られたことを慶ぶ。  午前0時30分。京都のマンション戻り、録画しておいた『紅白 歌合戦』を見る。  何だか『紅白歌合戦』って、そごうデパートの最後っぽいなあ。  美川憲一さんや、小林幸子さんが、凝った衣装を見せることに死 力を尽くしているのはわかるけど、ゲームの懲りまくりCGとおな じで、見た目だけで引っ張って行くのには、限界があることを教え てくれる。  やっぱり、レコード大賞のサザンオールスターズがいないのは変 だし、ユーミンとか、矢沢永吉といったふだんテレビに出ない人が、 『紅白歌合戦』にだけは出るという権威がほしいなあ。  宇多田ヒカルはダメでも、倉木麻衣が出るだけでも、特別な価値 があったはず。  構成も、なんとか盛り上げようとして歌以外の寸劇やコントが多 くて『歌の合戦』の色合いが薄まるばかり。  コントも、平日民放で見ることのできるレベルよりも低いから始 末が悪い。  NHKらしく、宇多田ヒカルがビデオ出演して、そのビデオをジ ョージ・ルーカスが撮るといった民放が真似のできないことをして ほしいなあ。GLAYが万里の長城から歌うとか。  いくらでもまだ方策があるような気がする。  午前4時過ぎに、就眠。『紅白』のエンディングまで見ることで きず。最後の五木ひろしで力尽きる。  2001年1月1日。午前6時すぎに目が覚める。今度はビデオ に録画しておいた『いけ年こい年世紀越えスペシャル2000→2 001電波少年・雷波少年合同企画』を見る。  忙しい。仕事柄、大晦日の番組はチェックしておかないといけな いので、受験勉強の生徒みたいだ。  こういう企画の生放送の難しさを痛感する。  いかに見る側が、編集された番組を見ることになれてしまったの かが、よくわかる。とっちらかった様を見せるのが、最近の生放送 の主流なのだろうか。  どうも段取りが悪い。以前の『電波少年』なら、段取りの悪さも 味方につけるパワーがあったのだが。  それでもほかのバラエティ番組の何倍も企画が人を食っていてお もしろいのは、さすがだ。  午後12時。目が覚めて、食事。ローストビーフにパンなど。  ちょっと寝不足なので、再び寝る。  風邪が完全に治ったわけではないが、確実に治る方向に向ってい るようなので、ここで寝ておけば早く治るだろう。 『北条時宗』を読みながら、熟睡。チンギス・ハーンに。フビライ が出て来た。  エビフライ・ハーンとかいうギャグを昔書いたことを思い出す。  思えば、ギャグを書くために、歴史が詳しくなったようなものだ な。見事なまでに寝正月。  午後7時。今夜もすぎやまこういち先生ご夫妻邸にお邪魔しに行 く。本当に毎年毎年、食い逃げしに行くだけなので、心苦しい。  その食い逃げも、毎年「プティ・ポワン」の北岡シェフの手料理 を食い逃げしに行くのだから、罰当たりすぎて、神様もうっかり見 逃すようなレベルである。  シューマイとサーモンのサンドイッチに、鹿肉のカルパッチョ、 数の子、お雑煮、鹿肉のステーキといった料理をごちそうになる。  うちの嫁がデジカメするのをすっかり忘れる美味しさだ!  娘がぶつぶつ「しあわせ…、しあわせ…」といい始める。  すぎやまこういち先生がきょう、「書き初め」をなさっていたと いうので、見せていただく。 「書き初め」とは、書道の「書き初め」ではなく、音楽のスコアを 書く、仕事始めのことであった。現在製作中のPS用ゲームの音源 の音譜を作る行程を見せていただく。  最近私もすっかりゲーム音楽の作り方に疎くなってきているので、 少しずつゲーム音楽の音作りについて、教えていただいている。  ゲーム監督として、音楽の良し悪しをわかってあげないと、音楽 担当の人たちに悪いからね。  ツメの垢程度は理解したかな?    北岡ご夫妻からも、料理の話を聞く。  違うジャンルの話題なのに、ゲームの仕事に通じる話ばかり。業 種に違いは無いんだよなあ。  そんなことを熱心に聞いているうちに、時計の針が午後11時を 指しているではないか。  うち娘がまた眠り姫になってしまう。  昨年に続いて、本当に食い逃げになってしまって、恐縮しながら、 お暇する。  帰り道、うちの家族から、すぎやま、北岡ご両家にできることが ひとつもないことを恥じながら、戻る。  今年も日記で、バカ旅行をして、楽しんでいただくしかないな… と勝手に思う。  ああ! たった2日間仕事を休んだだけで、長いこと仕事をして いない気がして、罪悪感に悩まされる。  休むのも勉強と思って、チャレンジしているんだけど、つらいな あ。もうちょい、もうちょい。いまは先に風邪を治そう。
 

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