12月17日(日)

 日常生活の疑問を考え始めると、答えがわからないので困る。
 
 たとえば、なぜ新聞と、NHKの受信料は今も、人間が集金に来るのだろう?
 NHKなど、テレビを買うときに、「NHKをご覧になりますか?」と聞いて、「見る」
と言ったら、銀行振込の手続きをそこでしてしまうようにすれば、銀行のお仕事にもなる
と思うのだが。
「見ない」と言ったら、NHKは映らないようなプロテクターをかけるのは、いともカン
タンだと思う。

 私も若い頃、NHKの受信料を格好つけて拒否していた時期があるのだが、大晦日の
『紅白歌合戦』放映中に、集金に来て、「ここまでされては!」と、ついに払うようにし
た。今は自動引き落としである。

 もちろん私のことだから、以後、NHKのテレビとラジオの出演だけは断らない。受信
料を回収しようという魂胆だ。最近はあまり出ないが、以前はレギュラーで出てたことも
あるから、まだ黒字だろう。
 誰にも迷惑をかけずに、私はつねにこういう遊びをしている。

 新聞なんかも、引き落としにしてくれれば、人件費が浮くと思うし、ほかの新聞に移る
のが面倒になって、定着率が上がっていいと思うのだが。
 何か理由でもあれば、教えてほしい。

 午後12時30分。嫁の風邪が悪化してダウン。娘と新宿の「航海屋ラーメン」へ。
 ワンタンメン。やっぱり御主人がいないと、スープの味が濃くなって、いつもの美味し
さが落ちるなあ。
 マニュアルを綿密に作っても、最後は人間味が、味に出るものだと、だじゃれみも入っ
た感想。

 食後、チケットぴあで、来年のボブ・ディランのコンサート・チケットを買う。
 うちの娘は、エリック・クラプトンとか、ママス&パパスとか、このボブ・ディランと
いった昔の音楽が大好きなので、親子でコンサートに行ける不思議な子どもである。
 別に無理やり聴かせたわけではなく、自分で探してくる。
 まあ、どのアーティストの名前を言われても、必ずCDは持っているので、いつも娘に
驚かれるが。
  
 このあと伊勢丹で、今夜の食材を買い、嫁の遅い昼ご飯を買って帰る。

 午後2時。帰宅。
 さっそく『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作り。
 順調に仕事は進んでいるんだけど、いつまでたってもゴールが見えて来ないので、だん
だんイライラしてくる。
 RPGは、学校の校庭じゅうの小石をひとりで、全部拾い集めるようなつらさがあるか
らなあ。
『桃太郎電鉄』でもおなじようなものなのだが、『桃太郎電鉄』の場合、この小石に相当
する、物件駅の名産品自体が、大好きなものだから、つらさを感じない。

 RPGだと、小石はどの部分だろう? 桃太郎の成長パラメータかな? 敵キャラのパ
ラメータかな? アイテムかな?

 しかし仕事としては、過去初めてといっていいほど、意見の合うスタッフと仕事ができ
て、最高にうれしい。毎日スキップ! スキップ!の連続なんだけど、楽しさと面倒臭さ
は、別儀のようだ。
 まあ、これで意見が合わなかったら、今ごろもうやめてたな。

 最近悟ったことは、意見の合わない人と仕事をしても、最終的にいい作品にはならない
こと。
 今後も合わなければ、すぐやめる。
 年を取ると、ストレスがすべて寿命を縮めて行くし、万病のもとだ。努力すべきときは、
とことん努力する。

 だからいまも、こうして粛々と仕様書作りだ。

 午後6時30分。買って来た食材で、きょうは、たこしゃぶ。
 函館で買って、冷凍しておいた、たこしゃぶをやっと食べる。
『桃太郎電鉄』でいうと、稚内駅の名産品ね。

 思ったより、たこしゃぶのタコは、大きく厚めにスライスされていた。以前どこかで食
べたたこしゃぶは、小さくて薄かったから、ほとんど下に敷かれた湯葉といっしょに食べ
たイメージがあるのだが、きょうのはダイナミックなタコだ。

 あまりの大きさに、たこをしゃぶしゃぶしていくうちに、お湯が米のとぎ汁のように濁
ってしまったほど。
 でも、十分に美味しかった。
 冬はやっぱり、鍋ですなあ!

 食後も、ずっと『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作りと、NHK『葵・徳川三代』が、
ついに最終回だ!
 ひさしぶりに、洩れなく大河ドラマを見ることができる。
 ビデオは、もはや生活の一部に溶け込んでしまっているけど、ビデオがなかったら、
1年を通して、全部見るなんてこと絶対できなかったもんなあ。

 そういえば、先日、4コマ漫画家のなかむら治彦くんと、話した内容。
 携帯電話とか、インターネットは、つかっていない人にとっては、無くてもまったく
不自由ではないけれど、つかっている人側から見て、つかっていない人に対してとても
迷惑だと感じてしまう文明の利器が多すぎる。

 しかも、つかってみないと、人に迷惑をかけていたことがわからないものが多いいか
ら困りものだ。
 是非をいうのは、早計だ。
 恐いのは、期せずして、持っていない人が、知らないところで、どんどんつまはじき
にされていく事実はなんとかならないものか。

 かくいう私も、永遠の相方である、漫画家のえびなみつるに、つい連絡するのを忘れ
てしまう。インターネットとか、携帯がないせいだったりする。

 とにかく21世紀は、新しい形態の社会になることは間違いないだろう。そんなとき
に、老年期を迎える私たちは、若者たちのデジタル機器をつねにつかっていないと、駅
の自動販売機の前で、呆然とするおじいさんにされてしまうのだろう。
 若者が年寄りに気をつかうとはとても思えない。自衛せねば。 
 あんまり世の中が進歩しすぎるのも問題だと思う。

 で、『葵・徳川三代』の最終回。
 最後まで人を食った演出がよかったなあ!
 昔のNHKの体質を知ってるだけに、ドキドキ、ハラハラすることが多かった。
 この番組いちばんの手柄は、ジェームス三木さんだけど、二番目の手柄は、語りの中
村梅雀さんだなあ。
 下品になりかける演出も、あの人が演じると、格調が漂う。
 この格調というものは、演技力というものではなく、その人からにじみ出てくるもの
だから、貴重である。一朝一夕で得られるものではない。

 最終回マニアとしては、最後まで堪能せり。

 来年は『北条時宗』。
 鎌倉が舞台ではないか。これは良きときに、鎌倉を購入したものよの。かっかっか。
来年も見るぞ。

 

-(c)2000/SAKUMA-