11月30日(木)

 午前中、『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作り。
さらにiモード・ゲーム『さくま式東海道五十三次』『さくま式奥の細道』『さくま式
西遊記』の原稿を書き始める。
 iモード・ゲームの毎月の原稿が、三部作完成に伴い、3本になって、完全にピンチ!
 3本はさすがにきつい!
 しかも『桃太郎大全集(仮)』が、現在敵キャラの数値決めという、いちばん集中力
を必要とする時期だけに、まいった! インデックスの樋口さん、ちょっと時間くださ
い!
 あと打ち合わせのほうも、今週まったく時間無いです。
 しかし、珍しいよ、私が原稿が遅らせるなんて。

 午前11時30分。嫁と、南青山「アフタヌーンティー」で、ポテトとサーモンのパ
スタ。ひさびさに来ると、メニューも変わっていて、美味しいな。思わず食べ過ぎ。

 午後12時30分。嫁は銀座に、岩崎摂さんに会いに行って、私は表参道『ロイヤル
ホスト』で、アイデア出し。

 午後2時。美容室「ヘアストリート」へ。担当はいつもの佐藤志靖さんに、地上奈々
恵(ちがみ・ななえ)チャン。
「さくまサン、北海道行ってたんですってね! ハートビートの小林千尋さんが来てく
れて、教えてくれましたよ!」
「へ〜、男なのに、お肌すべすべなハートビート・小林くんが来たんだあ!」
 異業種交流会「笑止会」で、佐藤志靖さんと知り合いになった人たちが、次々にこの
美容室に来てくれている。別に私が無理強いしてるわけではない。佐藤志靖さんの人柄
によるのだろう。コミュニケーションは大切だなあ。

 …などという話をしていたら、テンユウの杉沢義文さんが、美容室にやってきた。杉
沢義文さんもまた、笑止会がきっかけで来てくれたのだ。

 しかし、50ン歳の杉沢義文さんに、48歳の私。ふたりで原宿の美容室のお客さん
の平均年齢を5〜6歳ほど上昇させてみた!
 おまけに、杉沢義文さんは、午後6時から、うちの近所の和食屋さん「樋口」に行く
そうだ。なんと! うちは、午後7時から行く予定。おなじ軌跡を、お互いきょう選ぶ
とは。こういう偶然もおもしろい。

 さらに、「ヘアストリート」の社長・鈴木勝裕さんも登場して、しばし杉沢義文さん
を交えて、業界話。なんだか美容室にいる気がしない。ばったり人に会ってしまう、私
のばったり病は、全開だ。

 午後4時30分。自宅に戻り、iモード・ゲームの原稿書き。う〜、終わらないよ〜!
『桃太郎大全集(仮)』のほうも、明日柴尾英令くんが打ち合わせに来てしまうから、
進めておかないといけないし。ふうっ。まいったなあ。

 午後6時30分。『週刊モーニング』編集次長の山畑雅夫が来る。山畑雅夫と呼び捨
てなのは、高校の同級生だから。
 よく不思議がられるのだが、私の高校の同級生とか、大学の同級生は本当によくこの 業界にいる。何でそんなにいるんですか?と聞かれるのだが、こればっかりは私だけの 問題ではないので、わからない。少なくとも、毎週ひとりは誰か同級生と会っているこ とは、確かである。羨ましがられるのもよくわかる。  『ダビスタ』伝道師の成沢大輔くんも到着。  午後7時。家族3人、山畑雅夫、成沢大輔くんといっしょに、「樋口」に行く。  杉沢義文さんが、『コロコロコミック』編集長の横田清さんと来ていたので、ご挨拶。    もともときょうは日本酒に造詣の深い山畑雅夫を、成沢大輔くんに紹介しようという 趣旨なのだが、私がお酒がまったく苦手と来てるもんだから、山畑雅夫が、あそこまで (…といってもどのくらいかを表す言葉を有していないのだが)、日本酒に詳しいとは 思わなかった。山畑雅夫、うちの嫁、成沢大輔くんの3人が、お酒の銘柄を言う度に、 「おお!」と叫んでいるのを、私は横でにこにこ笑いながら、あいかわらず「樋口」の 料理は美味しいなあ!と思うのみである。
 後半、いつものように酔ってくると、山畑雅夫が高校時代の私の話をしてくれる。私 は高校時代のことをほとんどといっていいほど覚えていない。いつも山畑雅夫の記憶が、 私の高校時代である。  中学時代まで「さくまは、本当によく勉強する」と学校の先生に言われ続けた男が、 高校に入って、250人中248番という、壊滅的な成績を記録した。  慣れないものだから、気が動転した。  そしてそのままの気が動転したままの3年間だったので、私にとっては悪夢の3年間 なので、勝手に頭のなかから消去してしまったのである。その時期に、私はわら半紙の ようなものに、毎日ギャグを書いた新聞を発行していたと、山畑雅夫はいう。  そういえば、クラスの目立たない男をギャグにして、人気者にしていた。思えば、そ れは『ジャンプ放送局』の手法ではないか。   また当時の高校は、70年代安保闘争の真っ只中で、私の高校もどうなってしまうの かわからない時期に、山畑雅夫は学校の文化祭実行委員とかやって、その大騒動の渦中 にいて、私はそんな学生運動にまったく興味がなく、三嶋由紀夫を読んでは、ギャグを 書いていた。そのふたりがこうしていっしょに和食を食べているのだから不思議なもの である。  後半は、すっかり成沢大輔くんを、おじさんたちの昔話に付き合せてしまった。すま ぬ。こんなもんだ。この世代のおっさんたちは。  午後10時30分。帰宅。まだ原稿が全然終わらない。iモード・ゲームの原稿だ。 明日、柴尾英令くんが来るから、『桃太郎大全集(仮)』の原稿ももう少しやっておき たい。  北海道旅行の疲労がまだ完全に取れたわけではないので、徹夜はできないし、困った もんだ。  とにかく、できるだけがんばるしかない。
 

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